SK本舗ユーザーのリレーコラム FDM編 #10「まちの中でも、FDM式3Dプリンター使ってみよう!」|滑川寛(旅するものづくり工房)

みなさん、こんにちは。旅するものづくり工房の滑川寛です。アーキロイドの林さん(第9回)よりバトンをいただきました。ありがとうございます!

僕は慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の修士2年で、研究として、そして自分の活動として、「旅するものづくり工房」という移動型のものづくり工房を運営しています。

ソーラーパネルを載せた軽トラックの旅するものづくり工房

旅するものづくり工房は、ただ移動する工房ではありません。軽トラックにものづくりの道具を積んでまちを訪れ、その地域の人たちと一緒にものをつくる。ものづくりだけでなく、地域づくりのための工房でもあります。地域を読み解き、そして、ものづくりを通して、まちの人やものとの新しい出会いをつくりたいと思っています。活動の詳細はこちらにまとめています。

工房内に積んだBambu Lab P1SとxTool M1 Ultra

工房には、今回のテーマであるFDM式3Dプリンターの Bambu Lab P1S(画像左)、レーザー加工・カッティング・ペン・インクジェットプリントの4役をこなす xTool M1 Ultra(画像右)、刺繍ミシン、そして各種工具や工作道具など、工作から古民家の改修まで、あらゆるものづくりに対応する道具を積んでいます。

① 旅するものづくり工房をつくるのにも、FDM式3Dプリンターを使っています!

角材でメインのフレームを組み、そこに断熱材を入れ、防水し、壁や床などを貼り、工房をつくりました。実は、この工房の各所で、FDM式3Dプリンターが活躍しています。ホームセンターには売っていない部品や、独自の規格のパーツをすぐつくれるのは、FDM式3Dプリンターの魅力です。

角材でフレームを組んでいる制作中の工房

売っていない部品を、つくる

FDM式3Dプリンターでつくった換気扇のカバー

この換気扇、中は12VのPCファンですが、そのカバーはFDM式3Dプリンターでできています。こういう既製品に3Dプリンターでつくったものを合わせるときは、ぴったりの寸法で出力すると入らないことが多いので、設計の寸法に少し余裕(すきま)を足します。これを「オフセット」といいます。どれぐらいオフセットするかが難しいですよね。僕はだいたい全体で0.4mmぐらい大きくするようにしています。ただもし入らなくても、またすぐつくって直せるので、ものづくりのハードルはぐっと低くなるように思います。

3Dプリンターでつくったライトのつまみとバッテリー押さえ

この換気扇やライトのつまみ、このバッテリーを押さえている部品など、細かい部品もつくっています。

使う場所に合わせて、素材を選ぶ

FDM式3Dプリンターの素材は、PLAやABSが一般的ですが、それ以外にも、さまざまなものがあります。

ASAで出力し黄色く塗装した丸い窓枠

例えば、この丸い窓枠は、FDM式3Dプリンターでつくった後に、黄色く塗装をしています。屋外では、雨や紫外線が当たるので、それらに強い「ASA」という素材を使っています。

TPUで出力した配線用の穴隠し

また、配線が出てくる穴の穴隠しは、コードが傷つかないよう、柔らかい「TPU」で出力しました。

目的や使う場所に応じて素材を選べるところも、FDM式3Dプリンターの魅力だと思います。

道具箱まで、自分の工房らしく

キャビネットの中の3Dプリント製ペン立てと道具入れ

キャビネットの中のペン立てや道具入れは、すべてFDM式3Dプリンターで出力しています。ロゴを入れたり、オリジナルの形にしたり、設計した棚の寸法にぴったり合わせたりできるのが強みです。

ただ、正直にいうとコストはやや高めです。100円ショップに行けば100円で買えるものが、大きさにもよりますが、1個あたり約250円かかっています。(大量生産の射出成形には、さすがにかないません笑)フィラメントはセールのときに買いだめするのがおすすめです。

② まちの中でも、FDM式3Dプリンターを使っています!

僕は、こうした3Dプリンターやレーザーカッター、工具など、さまざまなものづくりの道具とともに、まちと関わる活動をしています。これまでのワークショップでは、FDM式3Dプリンターを使ったものもあります。

北海道栗山町の雪のバス停プロジェクト

ここで紹介するのは、北海道栗山町で行った「雪のバス停プロジェクト」です。札幌から車で1時間ほどの場所にある栗山町で、その名の通り、雪でバス停をつくるという活動をしました。栗山町には、FabLab栗山があります。

雪のバス停ワークショップ2日間の流れ

ワークショップは2日間。1日目に、どんなバス停をつくるか、粘土で考え、そこで使う雪型をFDM式3Dプリンターでつくりました。栗山にちなんで、栗の型や、恐竜の型など、参加者それぞれ好きな型をつくりました。

FabLab栗山でのワークショップの様子
バス停の模型と型のモデリング

型のモデリングには、Tinkercadを使いました。ブラウザで使える無料の3Dモデリングツールで、図形を組み合わせるだけで形がつくれるので、小さな子どもでも簡単にモデリングできます。いまはAIのツールもあるので、3Dモデリングは本当に、誰でもできる時代になりました。

栗山駅前で雪のバス停をつくる参加者
3Dプリントした雪型で飾り付けをする様子

2日目は、FabLab栗山から栗山駅前のロータリーに移動し、バス停をつくりました。最初に大きな雪の土台をつくり、そこからバス停の形に雪を削っていきました。だいたいの形ができたら、前日につくった雪型で飾り付けをして、恐竜型のバス停が完成しました!

まちのような大きなものに対して、3Dプリンターでそのままなにかをつくるということは、時に難しいです。でも、今回の雪型のように、まちの中でものをつくるための「道具」をFDM式3Dプリンターでつくる、という使い方もあります。

3Dプリンターは、完成品をつくるだけの機械ではありません。まちに関わるときに、人と一緒につくるための道具をつくる機械でもある。そんな考え方もあります。

おわりに

FDM式3Dプリンターは、小さな部品から、オリジナルグッズ、まちづくりの道具まで、ありとあらゆるものをつくることができる魔法の道具です。100人いれば100通りの使い方がある。僕のFDM式3Dプリンターの使い方も、誰かの参考になればと思います。

そして、旅するものづくり工房は、移動型のものづくり工房です。FDM式3Dプリンターをはじめ、さまざまなものづくりの道具とともに、あなたの街へ!イベントのお誘いや、まちづくりでのコラボレーションなど、お待ちしております(SNSのDMや公式サイトからご連絡ください)。日々の旅や制作の様子はSNSでも発信しているので、ぜひチェックしていただけると嬉しいです!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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