3Dプリンター用フィギュアデータの作り方と無料配布サイト
現在、個人で3Dプリンターを使用されている方の中には、フィギュア制作を目的とされている方も多くいらっしゃるかと思います。そこで、この記事では3Dプリンターでフィギュアのデータを作るにはどうすれば良いのか、3Dプリンター初心者にも分かりやすく説明します。
3Dプリンターでのフィギュア作成の基本
3Dデータ制作を少し勉強すれば、ある程度クオリティの高いフィギュアは制作でき、モデリングを極めればお店で売られているようなフィギュアも制作することができてしまいます。
しかし、フィギュアを作りたいと思っても、そのためのデータ制作をする時間が取れない、という方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方に向けて、簡単に3Dプリンターでフィギュアを作れる方法を紹介します。
実は3Dプリンター用のデータを無料配布しているサイトがあります。3Dプリンターのデータ制作が面倒な方、あるいは見本と同じフィギュアを出力したいという方は、3Dデータ無料配布のサイトを利用すると良いでしょう。
そこで今回は、3Dプリンターを使用したフィギュア制作の方法として、フィギュアデータの作り方と、SK本舗がおすすめする3Dデータ無料配布のサイトを紹介します。この記事を参考に、手軽にフィギュアの3Dデータを作成・入手してみてください!
フィギュアデータの作り方とは?
フィギュアデータの作り方には様々な手法があります。
大きく分けると①ソフトを使用してモデリングする方法、②スキャナーを使用して3Dデータに変換する方法の2つです。
【フィギュアデータ作成法①】ソフトを使用してモデリングする
ソフトを使用して3Dデータを造形する作業のことを一般に「モデリング」と言います。そして、このモデリングに使用するソフトにも大きく2つの種類が存在します。「CAD」と「3DCG」です。
CADを使用する方法
これは機械部品などのデータを制作するソフト「CAD」でフィギュアデータを作るという方法です。
CADは難易度が高く、初心者が使用するのは大変なのでは……と思った方もいるかもしれませんが、必ずしもそのようなことはありません。もちろん、操作の難しいソフトもありますが、CADの中には子供でもフィギュアを制作することができるほど、操作の簡単なソフトがあります。
特におすすめのソフトは、AUTODESK社が提供している「Tinkercad(ティンカーキャド)」です。ティンカーキャドにはフィギュア用のデータがあらかじめ用意されています。そのため、それを自分でカスタマイズするだけで、自分好みのフィギュアを3Dプリンターで造形することができます。
CADの基本的な概念を学ぶことができるため、初心者や子供におすすめのフィギュアデータ作成ソフトといえるでしょう。
3DCGソフトを使用する方法
よりプロのようなフィギュアを制作したいのであれば、3DCGソフトの利用をおすすめします。
CADと3DCGでは何が違うのか? と思われた方もいらっしゃるでしょう。
CADと3DCGの違いを簡単に説明すると、CADでは計算式を元に3Dデータが作られているのに対し、3DCGではポリゴンを元に3Dデータが作られているという違いがあります。
3DCGソフトでは四角や三角などのポリゴンを組み合わせ、より表面が滑らかになるようにモデリングしていきます。フィギュアでも特に曲面を多用した造形をしたいような場合はCADよりも3DCGを使用する方が良いでしょう。
3DCGソフトでおすすめのソフトは「Blender」です。操作が難しいといわれている3DCGソフトの中でも比較的扱いやすいソフトであり、ストーリーアートや、VFXなども制作することができます。もし、プロのフィギュア作家を目指すなら3DCGソフトの勉強をするのがおすすめです。
【フィギュアデータ作成法②】スキャナーを使用する
これは立体物を3Dデータに変換するスキャナーを使用することでフィギュアデータを制作する方法です。
この方法の魅力は、CADや3DCGを用いたモデリングでは表現するのに時間がかかる滑らかな線も、スキャナーを使用すれば簡単に再現することが可能、という点です。
たとえば人間の顔は凹凸が多いため、モデリングで表現するためにはどうしても時間と手間がかかってしまいます。しかし、スキャナーを使用すれば、実物(スキャン対象)通りに滑らかでクオリティの高い3Dデータをすぐに制作することができます。
ただ、この方法の場合はモデルとなる立体物がすでにあることが条件となります。
また、スキャンの方が手間は少ないですが、スキャンするだけではプリントアウトができず、やはりCAD等でデータ修正が必要ですので、そこは気を付けないといけません。
本格的に行いたい方は、3Dプリンターと一緒に付属のスキャナーを購入することをおすすめします。
また、以下の記事では、3Dスキャナーについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください!
[ 3Dスキャナー入門|基礎知識や選び方・おすすめ機種も解説!]
https://skhonpo.com/blogs/3dprinter-practice/3dscanbasic
無料でフィギュアデータを手に入れる方法
「簡単な方法もあるとはいえ、やはりフィギュアデータを作るのは大変そう」と思った人も多いのではないでしょうか。そのような方のために、すでにモデリング済みのフィギュアデータを無料で入手できる、おすすめのサイトをいくつか紹介したいと思います。
またSK本舗でも、3Dデータの販売サイトである「3D DATA JAPAN」を扱っております。
無料でダウンロードできるデータも公開されているほか、データの販売者になることもできます。
こちらもチェックしてみてください!
(内部リンク:3D DATA JAPAN (skhonpo.com))
無料のフィギュアデータダウンロードなら「3Dモデラボ」
「3Dモデラボ」というサイトであれば無料でどのフィギュアデータもダウンロードすることができます。更に3Dモデラボはクリエイターさんが制作したデータをダウンロードして、コメントや評価することができるコミュニティーサイトでもあります。
つまり、もしモデリングを覚えて、自分が制作した3Dデータもサイトにアップロードした場合、様々な人にそのデータを使用してもらうことができる、というわけです。モノづくり冥利につきる瞬間ともいえるでしょう。3Dデータ初心者は3Dモデラボで人気のあるクリエイターのデータのトレースをして勉強するという手法も上達への近道になると思います。また、3Dモデラボではコンテストを開催しているので、自信のある3Dデータを投稿して、大会に参加しても面白いと思います。
クオリティの高い3Dデータなら「DMM.make」
「DMM.make」ではクオリティの高いフィギュアデータをダウンロードすることが可能です。種類も豊富で、面白いフィギュアがたくさんアップロードされています。
ただし、DMM.makeはデータのダウンロードに料金が発生する場合があります。DMM.makeではクリエイターさんや企業がネットショップを開いているという形を取っており、特に人気のショップやクオリティの高いフィギュアなどは、ダウンロードする際の料金も高くなる傾向にあります。無料のフィギュアデータもあるため、3Dプリンターさえあれば色々なデータをダウンロードして、十分にフィギュア造形を楽しめることでしょう。
加工して3Dプリンターで出力可能な3Dデータ配布サイト
3Dプリンターで出力可能な形式にモデリング済みの3Dデータをダウンロードすれば、手間なく3Dプリンターでフィギュアを造形することができます。
しかし、せっかくフィギュアを造形するのであれば、自分のオリジナルキャラで作りたいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
MMDやUnity用などに配布されている3Dモデルは、そのまま3Dプリンターで出力することはできませんが、簡単な加工をすれば、3Dプリンターで出力可能なデータに加工できます。3Dモデリングソフトでの加工は必要なものの、ゼロから3Dデータを作るよりも手間を軽減できるため、初心者でもチャレンジしやすいでしょう!
以下では、3Dモデルをダウンロード可能なサイトを紹介していきます。
3Dキャラクターを半自動で作成できる「VRoid Studio」
「VRoid Studio」では、3Dキャラクターを半自動で生成することができます。イラスト投稿プラットフォームとしても人気の高いピクシブが提供するサービスです。
VRoid Studioでは、3Dモデリングの知識が無くても、直観的な4つの編集カテゴリーでオリジナルの3Dモデルを作成することができます。
・顔編集
・髪型編集
・体形編集
・衣装編集
例えば、顔編集では「目じりの上げ下げ」「目の位置の上げ下げ」など、各種パラメーターを調整することで3Dアバターが変化します。DSやWii、SwitchでMiiを作った経験のある方なら、すぐに操作方法を理解できるでしょう。
VRoid Studioで作成した3DデータはVRM形式で書き出すことができるので、Blenderをはじめとした3Dモデリングソフトで3Dプリント可能なデータに加工することができます。
VRoid Studioは誰でも無償で利用できるほか、商用・非商用の用途にも制限がない非常に使いやすいサービスになっています。
ユーザーが投稿した3Dデータをダウンロードできる「ニコニ立体」
ニコニ立体は、動画投稿サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが運営する、3Dモデル投稿プラットフォームです。
ニコニ立体では、自分が作成した3Dモデルを投稿できるほか、投稿された3Dモデルのうちダウンロード許可が設定されている3Dデータをダウンロードして利用することが可能です。
公式キャラクターの「ニコニ立体ちゃん」は、以下のファイル形式で配布されております。
・FBX(+MAX)
・MMD
・Unity Package
ダウンロードした3Dデータは各種3Dモデリングソフトで3Dプリンターに印刷可能なデータに加工できます。ニコニコ動画の関連サービスらしく、人気のコンテンツの二次創作の3Dモデルも多く、好きな作品の3Dモデルを手軽に入手できるのは嬉しい点です。
ただし、商用・非商用など、使用範囲については投稿者によって異なるため、トラブルにならないようにダウンロード前に確認しておくようにしましょう。
ニコニ立体はこちら
3Dデータを3Dプリンターで出力可能にするには?
3DCGのデータは、モデリング済みのフィギュアデータとは違い、そのまま3Dプリンターで出力することはできません。
3DCGのデータは、画面上で見ると立体的に見えるものの、個別のパーツで見ると空洞があったり、ポリゴンの板で立体感が表現されていたりと、完全な立体ではありません。
Vroid Studioやニコニ立体などでダウンロードした3Dモデルを3Dプリンターで出力するためには、データを3Dプリンターで出力できるように加工する必要があります。
ここでは、3Dデータの加工の手順を解説します。
3Dプリンターに出力する際のパーツ分割を考える
フィギュアを制作する場合、やはり単色ではなく各パーツを塗装して仕上げたいと考えるでしょう。
塗装の工程を考えると、フィギュア全体を一体化して出力するよりも、塗り分けの効率を考えて各パーツで出力した方が効率的です。また、3Dデータの作りによっては全体を出力すると、細部のディテールが出力されない可能性もあります。
頭部や髪、服装や小物などのパーツを分割して、パーツごとに出力することで、完成度の高いフィギュアを作ることができるようになります。
パーツを分割する際には、接着した際に接着面が目立たないように、パーツの区切りを考えて分割位置を考えるのがポイントです。
3Dデータの穴埋め
3DCGのデータは完全な立体ではなく、ポリゴン穴が空いている場合があります。また、パーツを分割した際には分割部分が空洞になってしまいます。
データに空洞があり、完全な立体では無い場合、3Dプリンターで出力することができないため、空洞部分を穴埋めしていく作業が必要となります。
また、髪や服などの部品はポリゴンの板のみで表現されているケースが多いため、3Dプリンターで出力可能な立体データに加工していく作業が必要となります。
サブディバイド
3DCGデータはポリゴン数が多くなるほど滑らかな立体になるが、ポリゴン数が多くなるほど加工は難しく、データも大きくなってしまいます。
「サブディバイド」の機能を使用することで、ポリゴンの粗い3DCGのデータを、3Dプリンターで出力可能な滑らかな仕上がりに変換することが可能です。
パーツ分割・接合箇所の加工
3DCGデータをパーツで分割する際には、接着・接合の際の仕込みを考えて加工しておきましょう。
パーツを接着する際には、接着面同士を均一の断面で仕上げておく必要があります。また、接合箇所に「ダボ」を付けておくことで、より強度の高い組み立てが可能です。
フィギュア制作におすすめの3Dプリンター
人気の3DプリンターにはFDM(Fused Deposition Modeling、熱溶解積層法)方式の機種もありますが、ここではフィギュア製作に向いている光造形方式について、初心者にもおすすめの3Dプリンターを紹介します。
光造形方式のプリンターにおいて、非常に重要な要素が解像度で、ピクセル数という言葉でも表現されます。
以下の2つは、解像度が高く初心者でも使いやすいおすすめ機種です。
Phrozen「Sonic Mini 8K」
初心者にも使いやすく人気のSonic Miniシリーズの中でも、解像度が8K(22μm)と非常に良く、ハイクオリティな造形が可能なプリンターです。
プロの彫刻家が作成した繊細な手作り作品を超えるほど、非常にリアルなテクスチャ、毛穴、しわも造形可能です。
造形可能サイズは、165mm (幅)×72mm (奥行)×180mm (高さ)であり、フィギュアからアクセサリーなどの製作に最適です。
プラットフォームから造形物が落ちにくいデザイン設計となっており、出力物をプラットフォームにしっかりと固定できるため、3Dプリントでよくある失敗を防ぐことができます。
<h3>ELEGOO「Saturn 3 Ultra」</h3>
造形可能サイズが、218.88mm (幅)×122.88mm (奥行)×260mm (高さ)と、大ボリュームの出力サイズが特徴でユーザーのあらゆる創作活動に対応できる機種です。
4インチのタッチスクリーンパネルでの操作は、日本語を含む12か国語に対応しております。
3Dプリンター用に特別に設計され、レジンから出る臭いの分子を効果的に吸着する空気清浄機をもつなど、ユーザーの使用環境を重視し、細部までこだわりぬかれたプリンターです。さらに気になる方には、別売りの大型空気清浄機を接続することもできます。
スクリーンの傷防止やレジンや他の液体の付着時の清掃性を高めるため、強化スクリーン保護フィルムが使用されております。さらに独自の冷却システムを持ち、効率的な放熱を実現します。
これらの工夫によって、スクリーンやプリンター本体が長寿命化し、初心者には難しいメンテナンスや買い替えが発生しにくいと言えるでしょう。
Elegoo 光造形方式3Dプリンター『Saturn3 Ultra』 – 3Dプリンターとレジン&フィラメントの通販・購入はSK本舗 (skhonpo.com)
3Dプリンターフィギュア制作まとめ
最近はソフトの多様化も進み、またその機能も向上していることから以前よりもはるかに3Dデータの作成は簡単になってきています。いっぽう、3Dプリンター初心者が、いきなり複雑な形状のフィギュアを制作するのはまだ少し難しいのも事実です。
そこで、初心者の方には「シンプルな構造のフィギュアは自分でモデリングしながら、より高度なデータはダウンロードサイトで入手し、少しずつ勉強しながら3Dプリンターによるフィギュア制作を楽しむ」のがおすすめです。
もちろん、いきなり高額な3Dデータ制作ソフトを購入する必要はありません。フィギュア制作のモチベーションを上げるためにも、無料ダウンロードで、人気クリエイターさんの造形物を出力してみることから始めてみましょう!
弊社、3Dプリンター通販サイトSK本舗では、3Dプリンターの販売はもちろん、初心者の方でも3Dプリンターを楽しめるようなコラムを作成しております。
ぜひ下記からチェックしてみてください!