3D活用事例・インタビュー
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chloma 3D製ブレスレット製作をSK本舗が3Dプリント監修
「chloma(クロマ)」が、3Dプリンター&レジン&フィラメントの総合通販ECサイトを運営しているSK本舗との、22-23 W/S collection「Quantum Foam」受注展示会にて3D製ブレスレットの予約販売を行った。Photo by Hikari Matsuura 「SK本舗」×「chloma」の取り組みについて SK本舗は3Dプリンターの可能性をファッション業界にも広げたいという気持ちから、今回ファッションブランド「chloma」とのコラボ製品を企画致しました。本製品は原型としてロストワックス用レジンである、SKキャスタブルレジンを使用し、鋳造会社にて鋳造~研磨まで作成頂いたシルバー製品(SV925 (92.5%銀/7.5%銅))です。自作でアクセサリー等を作成したい、興味があるという方は下記の記事を参考にしてください。https://skhonpo.com/blogs/3dprinter-practice/usercolumn02?_pos=2&_sid=54ecab6b8&_ss=r また、SK本舗は出力依頼サービスにも力を入れて参りますので、今後に展開にご期待下さいませ。「chloma」とは何者なのか?〇chloma鈴木:「テクノロジーと人、キャラクターと人、インターネットと人との関係を考え、モニターの中の世界とリアルの世界を境なく歩く現代人のための環境と衣服を提案する」をコンセプトとしたインディペンデントファッションブランドです。作品の具体的な特徴を挙げるなら「実用性と創造性を兼ね備えた未来派衣服」と言えると思います。テクノロジー,SF,ゲーム,アニメ文化等をバックグラウンドとしている点も大きな特徴です。最近ではリアルの身体のための服だけで、バーチャルな身体=アバター 向けの洋服の販売も行っています。「Miq」とは何者なのか?〇Miq:デジタルでの抽象彫刻とイラストレーションを得意とするクリエイターです。「Biomorphic」(生物形態) デザインに大きな興味を持っており、自分自身の感情やアイデアを表現する効果的な方法として捉え、創作のために活用しています。幼い頃からデジタルやバーチャルな題材にわくわくさせられてきました。その整然とした論理的な効率性に魅力を感じ、コンピュータは私の心を置くのに心地よい場所となりました。ゆえに、デジタルアートに導かれたのです。2016年にアメリカから日本に移住した後、個人での創作の発表だけでなく、インスピレーションを与えるクリエイターや企業とのコラボレーションを行ってきました。元々Chlomaのファンで、Chlomaの展示会で鈴木さんと知り合い、その後ブランドとのコラボレーションの機会を得ることになりました。ファッション関連のプロジェクトは、ここ数年MIQの中心的な活動となっています。新コレクション「Quantum Foam」のコンセプト〇chloma鈴木:「様々な境界を超える」という願いがコレクション「Quantum Foam」のデザインの発端となりました。画面の中でしか自由に扱えなかった物体を、3Dプリントという技術によって、境界を超えてリアルの世界で利用可能にすることができた今回のSK本舗様とのプロジェクトはまさにコレクションの願いを叶えてくれるものでした。photo by Reiko Sakuma[ chloma + Miq ] × SK本舗 3D製ブレスレットへの想い〇chloma鈴木:今までchlomaとMiqさんは何度もコラボレーションをしてきました。しかしそれらはプリント等の平面的な手法で行われてきました。それらはもちろん素敵なものだったのですが、Miqさんの持っている美意識をフルに出しきれていないように感じていました。chlomaは昨年、VRChat内に「chloma Virtual Store in GHOSTCLUB」という名で、バーチャル店舗を設置しました。その空間の外殻の3DモデルをMiqさんに製作していただいたんです。それは純粋に、そして自由にMiqさんの美意識が表現されているように私には見えました。それを見て、いつか3Dプリントのアクセサリー等を作ってみたいね、と話していたんです。しかし、自分たちでは実現するための知識が足りず、空想の域を出ませんでした。そのような状況だったので、SK本舗様から今回の企画のお声がけをいただいたのは本当に幸運でした。chlomaとMiqさんの長い間の交流が、美しい結晶として具現化されたのが今回のシルバーアクセサリーだと僕は思っています。〇Miq:デジタルで作成した3Dデザインが現物になるのは初めてで、とても楽しみでしたが、本当に自分の頭の中にあるデザインと同じように感じられるかどうかは分かりませんでした。しかし、実物を見てみると、期待以上の出来栄えで、デジタルで見たときよりもさらに気に入りました。オンライン・オフラインのユーザーの反響〇chloma鈴木:オンライン/オフライン問わず、非常にたくさんの方が興味を持ってくださりました。海外の方からの反響は特に大きかったですね。「3Dプリントらしさ」をウリにしている3Dプリントを用いたファッションアイテムは多くありますが、もっと純粋に、無条件に、美しいものとして関心を持っていただけたように思います。その点が特に私としては達成感がありました。〇Miq:話を聞いていると、多くの人がそのアイテムに感動しているようです。アクセサリーを身につけないような人でも、まるで彫刻のように興味を持ってくれたのではないでしょうか。最近、メタリックな液体のようなものを使ったグラフィックはたくさんありますが、実際に目にすることはあまりないと思うので、少なくとも私にとっては刺激的でしたね。Photo...
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SK本舗導入事例 #8多摩美術大学メディアセンターstudio fabCAVE様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #8「多摩美術大学メディアセンター studio fabCAVE」様 youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=h9kTyWt5FwM 多摩美術大学内メディアセンター内には学生が自由に利用できる施設「studio fabCAVE」があります。施設内には光造形式、FDM方式の各種プリンターがあり学生は少額の材料費を支払うことで出力を代行してもらえます。 今回は、studio fabCAVEの運営をされている村穂様や実際にサービスを利用している学生さん方にお話を伺いました。 ※メディアセンターではデザイン研究の一環として、Macを中心に 古いコンピューターをコレクションしています Chapter1.studio fabCAVEとは [まずは、studio fabCAVEを運営している村穂様にお話を伺いました。] ここは2020年に新しくできた施設で、学生に3Dプリンターの体験をしてもらうというという、新しい施設になっています。 フィラメントを出す熱積層式と、レジンを固める光造形の2種類の機器を揃えています。 各学科を問わず、メディアセンターとして(学生は)自由に利用できる施設になっております。 ...
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SK本舗導入事例 #7専門学校桑沢デザイン研究所 様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #7「専門学校桑沢デザイン研究所」様 youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=57CJbZVFV1E 専門学校桑沢デザイン研究所は、東京都渋谷区に所在するデザイン専門学校です。 1954年設立当時、各界気鋭の教育者・芸術家・デザイナーたちが発足した日本初にして最先端のデザイン学校です。 ゼミや一部授業でSK本舗のプリンターを使用いただいておりその活用方法についてお話を伺いました。 Chapter1.2年生:授業での活用 3Dプリンターを導入しているのは「プロダクトデザイン専攻」という学科です。 まずは、プロダクトデザイン専攻2年生の「インターフェース」という授業を見学させていただきました。 この日は授業最終日で、生徒が自ら考案したプロダクトをプレゼンして、先生が好評を行っていました。 ~インターフェースの授業を担当:生駒 崇光先生~ インターフェースっていうのはですね、「ヒューマンマシンインタフェース」と呼ばれる人と機械との間をどういう風なインターフェースで繋ぐかという、そういうことをやってる授業でして、例えばカメラといったセンサーだったりボタンみたいなスイッチみたいなものとかを含めてですね。 『人と機械が接するポイントをどうデザインして新しい製品を生み出すか?』そんなことを授業でやっています。 結構インターフェースってテーマは広いので、人と機械が何かしら接するタッチポイントがあればどういう製品でもいいよっていう感じで授業をやってます。 その中で、今日の発表では半年間ほど色々授業で考えてきたことを課題発表でやってもらったんですけど、例えばアレルギーを検査するデバイスをどういう風な形に作ったらいいか、どういうセンサを使ったらいいか、みたいな形で考えてくれて発表してくれた子とかもいますし、全然違うところで言えばカメラとかそういうセンサーをたくさん使って周りの空間を認識する製品だとかですね、他にも本当に家具みたいなものを作る方とか、結構色んな方がいます。 本来であれば桑沢は工作室があるので、学校に来て粘土だったり木を削ったり、スタイルフォームという発泡スチロールみたいのを削ったりしてモックアップを作ってくる授業が多いんですけど、今年はやっぱりコロナということもあって授業が結構オンラインメインになってきたんですね。 なので、僕的には授業の当初からですね、3Dプリンターとか、なるべく自分のアイデアをすぐ形にできる機材などを使ってモックアップを作ることなども推奨してきました。 結構最後の辺りではあったんですが、実際にプリンターでものを出してみる、みたいなことも一部トライしてる生徒などがいました。 ~2年生 濱田さん~ 「アレシル」という、食物アレルギーの患者が日々の生活の中でアレルゲンを摂取してしまうことを防ぐ、助けになるデバイスを考えました。 一番のコンセプトが、ポケットに入れて手軽にいつでも持ち運びができるコンパクトさっていうところです。 使い方は電源ボタンを長押しして、料理の上をかざすことでセンサーが情報を受け取ってスマホと連動しているんですけど、それをAIが解析してアレルゲンかどうかっていうことを判断してこのアレシルがLEDで光って、もしアレルゲンがある状態だったらカチカチカチと光ってユーザーに対して教えてくれます。 [専用のアプリを介して使用状況を集積することでアレルギー治療に役立てる、という活用を想定されています] アレルギーの治療の最終目的っていうのが「その食べ物を最後まで食べられるようになる」...
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SK本舗導入事例 #6 造形作家Yoshi.様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #5「Yoshi.」様 youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=7qG0St8hRe0 取材ご協力:造形作家 Yoshi.様 Yoshi.様はオリジナルキャラのガレージキット制作やキャラクターデザイン、ゲームのモデリングなど多岐にわたる活躍をされている造形作家様です。 オリジナル作品「紡ギ箱」の世界観が人気を博し、フィギュアの販売だけに留まらず、現在はゲーム化に向けて展開を進めているとのこと。 今回はYoshi.様に、作品の世界観や 3Dプリンターの活用方法について伺いました。 Chapter1.「紡ギ箱」 Yoshi.様が展開するオリジナルコンテンツ「紡ギ箱」は不思議で切ない世界観が人気を博しています。 この章では「紡ギ箱」を通じてYoshi.様の世界観に迫ります。 ◆「紡ギ箱」について教えてください 「紡ギ箱」っていうのはそもそも僕が昔学生の頃から考えていた世界観の話で、登場人物に一切人間は出てこないんですけど。 ただ、人間の人格だったり記憶とかを持った作り物のキャラクターたちが自分たちの居場所を求めてあがく、っていう設定で考えてて。 それぞれのキャラクターにそれぞれの人間のバックボーンに基づいた形だったりとかデザインが施されていてそういうバックボーンを付けつつ、 最初に「プトゥン」っていうのを作り始めたのがきっかけで、そこからどんどん、世界観を広げていって他のキャラクターは実はここと繋がっているとか、こことは昔何かあったとか、そういうキャラクターの関係性とかも細々と趣味感覚でやってきてたんですけど。 でも元々ゲーム会社にいた、ってのもあっていつかその世界をゲーム化できたらいいなと思いながら活動していたんですけど、SO-TA(ソータ)さんからカプセルトイで発売される、ってなってからかなりゲームに向けての信憑性だったり認知度が上がってきたので、映像を制作させていただいて。 初めて自分たちのキャラクターの世界観であったりとか、どういうところでプトゥンたちはどういう環境で生きているのか、とか、そういうのが提示できたと思うんで次は本格的にゲームに向けてやっていこうかなと思って今、スポンサーさんであったり開発協力メーカーさんをまさに募集していこうかなと思っているっていうコンテンツですね。 ...
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SK本舗導入事例 #5山口県立田布施農工高等学校 様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #5「山口県立田布施農工高等学校」様 youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=7qG0St8hRe0 取材ご協力:山口県立田布施農工高等学校様 今回は教育現場で活躍する3Dプリンターについて、山口県立田布施農工高等学校の皆様にお話を伺いました。 山口県立田布施農工高等学校は農業科と工業科が併設された高校です。 SK本舗の「教育機関へのプリンター寄贈事業」に最初にご応募いただいた学校であり、現在は、寄贈したプリンター「ELEGOO mars 2 pro」を含むSK本舗取扱いのプリンターを2台利用されています。 本動画では、授業で3Dプリンターが使われている様子や先生・生徒のインタビューをご紹介いたします。 ※使用機種参考※ ELEGOO mars 2 pro :SK本舗寄贈品 ELEGOO Saturn : SK本舗にて追加購入いただいた機種 Chapter1.3Dプリンターの実習授業...
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SK本舗導入事例 #4 東京医科大学病院 脳神経外科 永井様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #4「東京医科大学病院 脳神経外科」様 youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=Ty0h_P-iEfk 取材ご協力:東京医科大学病院 脳神経外科 永井健太様 東京医科大学病院 脳神経外科 永井様 今回は医療現場で活躍する3Dプリンターについて、東京医科大学病院 脳神経外科の永井健太先生にお話を伺いました。 手術に伴う模型を出力することが、実際にどのように役立っているのか、そのメリットや出力の機体やレジンについてご紹介致します。 Chapter1.3Dプリンターの活用 東京医科大学病院 脳神経外科の永井健太と申します。 よろしくお願い致します。 ◆3Dプリンターの用途について SK本舗のプリンターを購入して、現在、手術用の3Dモデルを作成しております。 主に当院で行っている複雑で難しい頭蓋底手術や脳動脈瘤の手術、 脳動静脈奇形などの難しい手術を中心に模型を作っております。 現在の手術というのは基本的にチーム医療で1人で手術をするのではなく、 3~4人のグループで手術をすることが多くなっています。 そのような場合に術前の検討会などを必ず開いて手術に臨むわけなんですけれども、 手術をする時にみんなで情報を共有しながら手術の方法もしくはアプローチなどを決めていくのに非常に有用であったり、当日の手術をやっている最中に画像を見ながら手術をしたりすることもあるんですけれども、 その時に現物をそのまま見ることで、回したりだとか、マウスを使って回したりだとかということが基本、手術中手袋をしているとできないので、本物を直に回して見られるというのは非常に良い点だと思います。 ...
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SK本舗導入事例 #3 造型工房キトラ様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #3「造型工房キトラ」様 youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=X_Ye71MIfAU 取材ご協力:造型工房キトラ 岡 健之様 「造型工房キトラ」様は様々な模型作品の制作・販売をされており、有名な怪獣作品の模型なども販売されております。 今回は代表の岡様にこれまでの歩みと3Dプリンターの活用方法について伺いました。 ※作品名、怪獣名等の関係で一部省略しているシーンがございます。 全編は公式youtubeチャンネル内『【3Dプリンター】ユーザーズボイス「造型工房キトラ」【SK本舗導入事例】』にてお楽しみください。 Chapter1.「造型工房キトラ」の歩み 私は2005年から造型工房キトラっていう形でワンンフェスにデビューしまして、それからずっと造型をやっております。 元々「ガレージキット」っていって怪獣のキットですね、精巧にできた模型を作ることが趣味でそれを若い頃からやっていて、ゴジラを見て自分でも作れるんじゃないかということで粘土をこねて一番最初に作ったのが2005年の時に作ったゴジラの怪獣の頭なんですが、 それをワンフェスに持って行ったところ非常に評判が良くてそれを複製して販売してみたらまたお客さんができて、それからずっとワンフェスにお邪魔するようになって、年に2回のワンフェスに出続けた、というような形になっております。 その頃は会社員でして、子どももいましたし、家のローンとかもあって色々とお金のかかる時期だったんで、造型で一本で食っていくなんていうのは夢にも思わなかったんですけど、ずっとそれを続けていくことになってやっていくうちにお客さんもついて、安定した収入みたいな…副収入なんですけど、できるようになって、いずれはこれで一本立ちしたいな というような形で考えるようになって徐々に徐々にそれにシフトしていって。 最終的には会社を辞めて、自分で一本で造型で食べていこうという形になりました。 ※ワンフェス:ワンダーフェスティバルの略。正解最大のガレージキットのイベント。 [当初は粘度で行っていた造型作業を現在はZBrushで行い、3Dプリンターで出力されています] ◆3Dプリンター導入のきっかけ 桶川というところに作業場を借りていたんですけど、そこが台風19号で浸水してしまったんですよ。 その時にいろんなものが浸水して、私のオリジナル作品の「麒麟」とか龍とかが浸水して、それが泥にまみれちゃった、というのがありました。 それをなんとか復活させようと思って、何ができるかなと思って3Dスキャンして、3Dスキャンしたものをデータ化して3Dプリントすることによって復活できるんじゃないかっていうことをちょっと考えまして、それを私単独でやるには経費がすごいかかるっていうことで、補助金っていうのがちょうど台風19号の関係であるということを聞いて、その補助金を使って3Dスキャンしたデータを3Dプリントして復活させるっていう企画案を考えて補助金事務所に出したところ、それが通るような形になって、SKさんにお願いして、3Dプリンタを購入したっていう経緯があります。 ◆3Dプリンターを覚えるまで...
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レジンキッズ誕生秘話【SK本舗/林愛桃インタビュー】
はじめに いつもSK本舗をご愛顧いただきありがとうございます。 SK本舗・ハンドクラフト事業マネージャーの林愛桃(はやし・あいな)です。 この春、SK本舗・ハンドクラフト部の新しいプロジェクト『レジンキッズプロジェクト』が始動いたしました。 この『レジンキッズプロジェクト』とは、SK本舗のハンドクラフトレジンとレジンクラフトに必要な資材一式を、初心者向けマニュアル動画と合わせて、全国の児童養護施設に寄贈し、施設の子供達にクラフトレジンを使ったものつくりを体験していただこうというプロジェクトです。 すでにこの春、第一回目の寄贈を目黒区にある目黒若葉寮さんに行いました。詳しくは後述いたしますが、施設の先生からは、子供たちがクラフトレジンによるものづくりをとても楽しみ、喜んでくれていたというご報告をいただいており、私たちも大変嬉しく思っております。 今後もこのプロジェクトでは全国の児童養護施設を対象に、クラフトレジンの輪を広げていきたいと思っております。クラフトレジン一式の寄贈をご希望の施設関係者の方は記事の最下部より、ご応募いただけましいたら幸いです。 レジンキッズプロジェクトを行うキッカケとは ところで、なぜこの『レジンキッズプロジェクト』を行うことになったのかと言いますと、実はこのプロジェクトを企画した背景には、私、林愛桃の個人的な思いがありました。 私は5歳から8歳の約4年間、家庭の都合により、児童養護施設にいました。今となっては良い思い出もたくさんありますが、当時は寂しい思いを感じたことも少なくありませんでした。 先生方のご尽力もあり、養護施設の暮らしは安心感のある快適なものではありました。ただ一方で、遊び盛りの子供にとってはやはり、遊びの少ない環境ではありました。 子供たちの中には親類などからおもちゃが送られてくる子もいれば、一切送られてこない子もいました。時には海外の団体などから施設宛におもちゃが寄付されるようなこともありましたが、ものすごく感謝している一方で、当時の子供心としては「自分が欲しいものとは違う」という思いもなかったとは言えません。 おもちゃをあまり持っていないことで学校の友達たちの会話についていくことができないことも少なくありませんでした。幼いながら様々な方々にいろんな形で支えられているということを実感しつつも、遊びに関しては足りなさを感じていたというのが、当時を振り返って思う、偽らざる本音です。 2020年の初冬、世界がコロナ禍に揺れ始めた最初の時期、私が真っ先に思い浮かべたのは施設の子供たちのことでした。ソーシャルディスタンス、ステイホーム、感染拡大防止のための行動変容の必要性が説かれていく中で、ただでさえ遊びの少ない施設の子供達が、外に出て遊ぶということもできなくなってしまったら、本当に寂しい思いをすることになるんじゃないだろうか。決して他人事とは思えませんでした。 何かできることをしたい。そう思った私は自分にできることを考えました。そして、自分が普段、仕事で取り扱っているクラフトレジンを児童養護施設に寄付することはできないかと思うに至りました。...
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SK本舗導入事例 #2 逗子開成中学校・高等学校様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #2「逗子開成中学校・高等学校」様 youtube チャンネルより一部抜粋(記事用に一部文言を文語に修正しております) :https://www.youtube.com/watch?v=1aAja1KpQfs ◆3Dプリンターで出力した骨格標本 逗子開成様には「教育機関への寄贈事業」として3Dプリンターを寄贈し、教育にご活用いただいております。 今回は、3Dプリンターで出力した標本を用いた講座の様子と先生のインタビューをご紹介いたします。 逗子開成では、趣味を増やしたり考え方の幅を広げるため希望選択授業「土曜講座」が多彩なジャンルで開講されています。2021年7月17日(土)には「ネズミの解剖」が解雇言うされ器官の構造などを実体験を通じて学ぶ機会になりました。 授業の後半では3Dプリンターで出力した骨格標本を使用した講義が行われました。 その様子をご覧ください。 ◆Chapter1 「土曜講座」 路上博物館館長 森先生の授業より これ、シマウマとライオンとパンダです。 この突起が気になるよね?実は全員にあるのわかる? これは何かというとみんなも口を「ウーッ!」って噛みしめると ここ動くのわかる?目の横(の骨) これは噛むと動く感じだけど実はここにある筋肉が噛ませている。 これは「側頭筋」という筋肉でこれ実はパンダだけど、側頭筋がここにハマっていて これが、頭の上の部分とこのでっぱりを結んでいてこうやって動かしている。 これがなんていうのかな、下あごを動かすためのレバーになっているんだよね。...
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SK本舗導入事例 #1 一般社団法人 路上博物館様
【3Dプリンター】ユーザーズボイス #1「一般社団法人 路上博物館」様 ◆「路上博物館」とは 路上博物館様のメイン事業は標本の3D計測とモデルの製作3Dモデルをもとに出力した商品の販売やコンテンツの提供をされています。 ◆松戸未来フェスタでの展示道端で展示をすれば博物館に普段来ない人でも標本に触れ合えるんじゃないか、ということで始まりました。博物館の中で働くと面白いものがたくさんあってそういうものに自由に触れられて楽しい。もっと皆が降れたらいいのにと思った。 外に持ち出すのは難しいのでそれをプリントアウトした3Dプリントレプリカにしてそれを外に持っていき誰でも自由に触れるようになれば、もっと「博物館って実は面白いかもしれない」って思ってくれる人が増えるんじゃないかと。 標本を使った講座やイベントへの出店など学ぶびにつながる取り組みもされています。◆松戸未来フェスタでの展示について道端で展示をすれば博物館に普段来ない人でも 標本に触れ合えるんじゃないか、ということで始まりました。 博物館の中で働くと面白いものがたくさんあってそういうものに自由に触れられて楽しい。もっと皆が触れたらいいのにと思った。 外に持ち出すのは難しいのでそれをプリントアウトした3Dプリントレプリカにしてそれを外に持っていき誰でも自由に触れるようになれば、 もっと「博物館って実は面白いかもしれない」って思ってくれる人が増えるんじゃないかと。 標本を使った講座やイベントへの出展など学ぶびにつながる取り組みもされています。 ◆SK本舗のプリンター 路上博物館様ではSK本舗が取り扱う『Elegoo Saturn』と『Elegoo Mars 2 Pro SK Special...
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「明日、僕たちは世界を“出力”する」──3Dプリンターは新たな「ものづくり」を触発する|SK本舗・遅沢翔インタビュー④
いまや3Dプリンターは、メーカーのプロトタイピングやフィギュアの制作を超えてさまざまな現場に導入されつつある。プリンターが普及すればするほど、あらゆる「ものづくり」はこれから急速に変わっていくのかもしれない。3Dプリンターに精通するSK本舗代表取締役・遅沢翔に3Dプリンティングの現在を問うシリーズ、最終回はいかにこれからのものづくりが変わりうるのか遅沢が語った。 3Dプリンターは、いまどこでどのように活用されているのだろうか。新たな「ものづくり」の波はどこから生じ、どこへ向かおうとしているのか。本シリーズでは、3Dプリンターの販売を手掛ける新進気鋭のスタートアップ・SK本舗の代表取締役、遅沢翔に3Dプリンティングの現在を尋ねていく。 ものづくりの民主化を実現するこの新たな道具が普及すれば、製造業のあり方は大きく変わることは間違いない。では、これまで製造の現場に携わってきた職人は3Dプリンターによって仕事を奪われてしまうのだろうか。人間の仕事は機械がとってかわられるという紋切り型の未来予測は、デジタルファブリケーションによって現実のものとなるのか? 「そんなはずはない」と遅沢は語る。3Dプリンターの販売を通じてさまざまな活用事例を目にしてきた彼によれば、むしろこの道具は職人の新たな可能性を切り開き、クリエイティビティを活性化するものになるだろうというのだ。果たしていま3Dプリンター導入の現場ではいったい何が起きているのだろうか。 広がりゆく3Dプリンター HZ 3Dプリンターをめぐる状況は日々変わっていますよね。SK本舗を取り巻く状況も立ち上げから1年で大きく変わったんじゃないでしょうか。 遅沢 変わりましたね。レジンの販売から始まって3Dプリンターの販売やオリジナルレジンの制作など事業も変わりましたが、お客さんも変わったように感じます。最初は個人のお客さんがすごく多かったんですよね。8〜9割は個人だったんじゃないかな。日本の法人さんってきちんとした実績のあるプリンターやよく知られているものじゃないと導入してくれない傾向があるので、最初はほとんど法人のお客さんがいなかったんです。ただ、半年くらい経ったところから少しずつ名前が知られてきたのか、法人や大学、デザイン系の専門学校からお見積りの連絡をいただけるようになりました。いまは毎日どこかしらからお問い合わせをいただいているので、かなり状況が変わってきたなと感じます。 HZ SK本舗が扱っているプリンターは比較的安価ですし、個人のユーザーさんが多いのも頷けます。個人で3Dプリンターを買われている方々は、どんな用途で使用されているんでしょうか? 遅沢 フィギュアの原型師さんとか、職人さんが多いですね。やはりものづくりが好きな人は多いと思います。特に去年くらいからワンフェス(ワンダーフェスティバル)のようなイベントでも3Dプリンターを使った作品の販売はどんどん増えていますね。ただ、いきなりすべてを1台の3Dプリンターでつくるというより、3Dプリンターでつくったものにさらに手を加えたり、アレンジしていく人が多いように感じてます。 HZ 3Dプリンターはあくまでも新しい「道具」のひとつという感じですね。 遅沢 すべてを3Dプリンターに頼るのはまだ難しいですからね。かといって、すべてを手でつくろうとなった場合、時間や労力の上で大変なことも事実。ぼく自身としては、3Dプリンターと手作業の融合を目指していきたいなと思っています。フィギュアの原型師さんも、未経験の人が使いはじめるというより、これまで手作業でつくっていた方が3Dプリンターに挑戦しているというケースが多いんです。 HZ なるほど。フィギアってこれまでは手作業の部分が大きかったんでしょうか。 遅沢 粘土を使って手作業で型をつくることが多かったようです。つくった型にウレタン樹脂を流し込んで大量生産していくんですが、5〜6体つくると型が傷んでしまうので、またつくりなおす必要がありました。でも、3Dプリンターならデータがあれば永遠に出力できるので、何年も前のフィギアでもすぐ型をつくりなおせる。原型師の方々にとってのメリットは大きいんじゃないかと思います。一般には3Dプリンターによって仕事がなくなると考えられることもありますが、実際には対立しているわけではないんですよね。プリンターがあるからといってぼくがいきなりモデリングできるわけではないですし、フィギュアをつくるうえで基礎となる体のつくりや骨格に対する知識がないとソフトをつかってもなかなか上達しないわけで。これまでものづくりに携わってきた人だからこそエンパワーされる領域も非常に大きいように思います。 あるいは、これまでの手作業では不可能だったことを3Dプリンターが可能にするという部分もあります。たとえば極小サイズのフィギュアなどになると、ディテイルをいかに細かくデザインしようとしても、手だと限界がある。3Dプリンターであれば、そこをより細かく作り込むことができる。発想次第では、クリエイティビティの増進にも繋がっていくんです。 「仕事」を楽にしていくもの...
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明日、僕たちは世界を“出力”する」──アメリカからアジアへ、3Dプリンタームーブメントの次なる中心地はどこか|SK本舗・遅沢翔インタビュー③
アメリカ発のMAKERSムーブメントから一気に注目されるようになった3Dプリンター業界は、いまや欧米ではなくアジア圏のメーカーが牽引しているのかもしれない。3Dプリンターに精通するSK本舗代表取締役・遅沢翔に3Dプリンティングの現在を問う本シリーズ、第3回は遅沢自身も交流をもつアジア圏の3Dプリンターについて話を訊いた。 この数年で、3Dプリンティング(3Dプリンター)は徐々に一般的なものとなりつつある。プリンターの価格は徐々に下がっており、設備として取り入れる教育機関も少なくない。この流れは、わたしたちの「ものづくり」をいかに変えうるのだろうか? 本シリーズでは、3Dプリンターの販売を手掛ける新進気鋭のスタートアップ・SK本舗の代表取締役、遅沢翔に3Dプリンティングの現在を尋ねていく。 ひとくちに「3Dプリンター」といっても、その種類はさまざま。数千万円もの価格を誇る大規模な工業用プリンターもあればわずか数万円で買える簡易的なものもあり、プリンターをつくっているメーカーも欧米の大企業からアジア発のスタートアップまで日々新たなプレイヤーが業界に参入している状態だ。 3Dプリンターが盛り上がってきているのはわかったが、どこでどんなプリンターがつくられ、どんなメーカーがいいのかわかりにくいのも事実。シリーズ3回目の今回は、多くのプリンターを買って試行錯誤を繰り返してきた遅沢に、3Dプリンターの現在について尋ねる。さまざまなメーカーが乱立する現在、3Dプリンターの“中心”は欧米からアジアに移っているのだろうか? 多様化する3Dプリンター HZ 遅沢さんのSK本舗は最初レジンの輸入から始められて、現在は3Dプリンターの販売も行なわれていますよね。 遅沢 そうですね。最初はレジンだけ扱っていたんですが、それだけだと物足りなくなってしまって(笑)。プリンターも輸入するようになって、いまはいくつかの海外メーカーの製品を販売しています。なかでも一番有名なのは、「Phrozen Shuffle」というプリンターですね。去年の10月から弊社で取り扱っています。〈Phrozen〉という台湾のメーカーの製品なんですが、精度が高くていいプリンターだなと思っていたので交渉をもちかけて。現在は〈Phrozen〉のプリンターだけではなくレジンも取り扱っています。 HZ いまやオリジナルレジンも開発されているわけで、どんどん事業が広がっている印象を受けます。 遅沢 繰り返すようではありますが、僕は3Dプリンターという技術に夢を見ているんです。だから、ただの小売事業で終わりたくないなとは最初から思っていました。それにレジンの販売を始めてからお客さんとコミュニケーションをとることが増えていったんですが、こういうレジンが欲しいとご意見をいただくことも多くて。ならばわれわれとしてはその声に合うものを提供したいし、既存のものでそこの水準に達するものがないのであれば、オリジナル製品を作ってしまおう、と。 HZ ところでレジン輸入のきっかけとなったメーカー〈Wanhao〉は中国の会社ですよね。台湾、中国の方では3Dプリンティングが盛んなのでしょうか。 遅沢 アジアは結構盛り上がっていると思います。一番すごいのは中国でしょうね。“戦国時代”のようにいろいろなメーカーが乱立して、さまざまな商品を発表しています。 HZ ドローンやデジタルガジェットの世界や家電の領域では中国メーカーがかなり活躍していますが、3Dプリンターもそうなんですね。 遅沢 これは中国ならではの状況かもしれませんが、優れたプリンターがひとつできると多くのメーカーがそれを真似しようとするんですよね。そのうえで差別化も図るので、結果的に高性能かつ多様なプリンターが数多く生まれることになる。もちろんMAKERSカルチャーの生まれたアメリカにも有名なメーカーはあるんですが、1台50〜100万円くらいする高価なモデルが多いんです。 ...
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明日、僕たちは世界を「出力」する──3Dプリンティングに革新を起こす「レジン」の可能性|SK本舗・遅沢翔インタビュー②
3Dプリンターは、わたしたちの「ものつくり」をいかに変えるのか? 果たしてそれは産業革命以降つづいてきた大量生産大量消費時代に終止符を打つのだろうか? 来るべき新たなものつくりの可能性を問うべく、本シリーズでは個人向け3Dプリンター販売で国内シェアトップを誇るスタートアップ、SK本舗代表取締役・遅沢翔に3Dプリンターの現在を尋ねていく。 ひとくちに「3Dプリンティング」といっても、出力のクオリティや機材の価格はもちろんのこと、素材や出力方式もさまざま。出力するプロダクトの規模や用途によっても使用されるプリンターの種類は変わってくるのだという。なかでも遅沢率いるSK本舗が注力しているのは、「レジン」と呼ばれる樹脂を用いた光造型方式の3Dプリンティングだ。 SK本舗立ち上げよりはるか前から個人的にさまざまなプリンターを購入していたという遅沢は、光造型方式のプリンターに出会って同社の立ち上げを決意したと語る。遅沢はいかにしてそこに新たなものつくりの可能性を見出したのだろうか? そしてその可能性を下支えする「レジン」とはいかなるものなのだろうか? シリーズ第2回となる今回は、遅沢と3Dプリンティングの出会い、そしてレジンがもつポテンシャルについて話を訊いた。 投資銀行から3Dプリンティングへ HZ 遅沢さんが3Dプリンターに興味をもったきっかけはなんだったんですか? 遅沢 もともと先端技術に興味があったので、VRやマイニングなどいろいろなものに手を出していました。あくまでも自己満ですけどね。そのなかで3Dプリンターも試してみようと思って、最初はFDM(Fused Deposition Modeling:熱溶解積層法)と呼ばれるタイプのプリンターを買いました。そのとき買ったのは10万円くらいの安価なモデルだったんですが、ゼロからモノをつくれて感動したことを覚えています。 HZ そのときはどんなものを出力されたんでしょうか。 遅沢 モデリングができるわけではなかったので、最初はネット上に落ちているフリーのモデリングデータを使って出力していました。彫刻とか、エッフェル塔とか。それだけでも十分楽しかったんです。ものづくりは子どものころから好きでしたし、自分でなにかを創造したかのような錯覚が生まれるのが面白くて。子どものころ紙粘土やミニ四駆で味わっていたものづくりの感覚が、3Dプリンターを通じて大人になっても得られたのは嬉しかった。ただ、当初は正直失敗も多かったしうまくいっても精度があまり高くなかったのですぐに飽きてしまって。でも、しばらくしてから海外の通販サイトで光造型方式のプリンターを発見したのでまた試してみたら、段違いに精度が高くて一気に魅了されてしまったんです。 HZ では最初はビジネスにするつもりではなかったわけですね。 遅沢 最初は完全に趣味ですね。仕事としてはずっと投資銀行にいて財務モデリングやM&Aを行なっていたので、3Dプリンターとはぜんぜん関係のない世界にいました。投資の世界って大きなお金は動かすけど、現実からどこか乖離しているところがあるんです。もともとは「ものつくり」が好きな少年だったということもあって、右から左にお金を動かしていくという仕事に虚しさを感じていたところもあって。そんな時に3Dプリンターに出会ったので、ある種、「ものつくり」への熱が急上昇してしまった感じですね(笑)。さらに色々と調べていくと、ものすごい可能性を秘めたテクノロジーであることも分かり、一気に引き込まれました。この世界に貢献したいって言ったら大げさですが、なんていうか賭けてみたくなったんです。それに僕はもともと、20代のうちに独立して起業したいとずっと思っていたので、どんなことをしようか以前から考えてもいたんです。それまで特にビジョンというビジョンはなかったんですが、今話したような経緯から、3Dプリンターのビジネスに挑戦する決意をしました。 HZ SK本舗を立ち上げて、具体的にはまずどんなことから始められたんでしょうか。 遅沢 ヒントは3Dプリンターで遊んでいる最中に発見しました。3Dプリンターで何かを出力する上では、原料をはじめとする消耗材というのが存在していて、のめり込んで遊んでいるとこの消耗剤があっという間になくなってしまうんです。もちろん、もっと出力したいから消耗材を買わないとってなるんですけど、日本国内だと消耗剤がぜんぜん手に入らない。少なくとも当時は、海外サイトでしか買えないし、買っても1カ月待ちとかだったんです。本当は今すぐ欲しいのに手に入らないという状況って、すごくストレスですよね。そこで、だったら日本で消耗材を購入できる即日配送のお店を作ればいいんじゃないか、と気づきました。そこからしばらくは、海外の様々なメーカーの商品をとにかく購入してみて、どれが一番使いやすいかを試しまくってましたね。結果、いろいろ見ていくなかで〈Wanhao〉というメーカーがコスパがよく比較的に安定しているということに気づきました。加えて、〈Wanhao〉はまだ誰も日本国内で売っている人がいない。これはぜったいに需要があるなと思い、〈Wanhao〉を中心とした「レジン」の輸入を始めることにしたんです。 「レジン」が生み出す新たなものつくり...
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明日、僕たちは世界を「出力」する──3Dプリンターの普及は“大量生産大量消費”時代を終わらせるか|SK本舗・遅沢翔インタビュー①
かねてより製造業に革新を起こすとされてきた「3Dプリンター」が、本当の意味で生産の民主化を実現しつつある。生産の民主化が起きた先で、わたしたちの生活はどのように変わるのか。家庭用3Dプリンター販売の領域で国内トップシェアを誇るスタートアップ、SK本舗代表取締役・遅沢翔に話を訊いた。 わたしたちは3Dプリンターのことをあまりにも知らなさすぎる テクノロジーは、わたしたちに新たな「生産」の可能性をもたらしてくれる。第一次産業や第二次産業、あるいは絵画や写真、映像といった芸術表現はもちろんのこと、料理のように身近な行為においても生産は常にテクノロジーと不可分の関係にある。 だからこそ、3Dプリンターの登場は多くの人々にとって衝撃的なものだった。かつて『WIRED』編集長だったクリス・アンダーソンの著作『MAKERS』がベストセラーとなったように、とりわけデジタルテクノロジーが可能にした新たな生産のあり方は「第三の産業革命」と呼ばれた。その可能性を信じるものたちは、これからは専門知識や巨大資本をもたずともオープンイノベーションによって製造業が民主化されていくのだと喧伝している。 たしかに、もしそれが本当に起こるのだとしたらわたしたちの暮らしは一変する。あるいは、それによって職を失う人もいるかもしれない。「生産」という言葉だとピンとこないかもしれないが、その基本は「ものつくり」だ。わたしたちにとって「ものつくり」は普遍的な行為であり、その「ものつくり」のあり方が根本から覆されるのだとしたら、その変化はわたしたちのライフスタイル、ひいては商品経済のあり方そのものにまで大きな影響を与えることだろう。 しかし、一方では本当の意味での「民主化」がまだ起きていないということもたしかである。わたしたちの多くにとって、「3Dプリンター」とは名前こそ知っていれど使ったこともなければ実態もよくわからないもののままだ。現在、3Dプリンターは急速に普及しつつあるとはいえ、いまだ当たり前のように一般家庭にあるものとは言い難く、3Dプリンターを日常的に活用しているのは、一部の大企業や職人のような限られた人々である。 もちろん、時間が解決する問題でもあるのかもしれない。近年はメイカームーブメント発祥の地であるアメリカのみならず、中国や台湾といったアジア圏でも多くの新興企業が3Dプリンターの製造に乗り出している。価格や品質面での競争は激化し、3Dプリンティングにかかるコストはこれからどんどん下がっていくだろう。そうなれば、一般人が日常的に3Dプリンターを使う未来も現実のものとなるのかもしれない。いや、おそらくは、なる。 ならば、わたしたちはもっと3Dプリンターについて知らなければならない。新たな生産の時代に、製造業が真に(?)民主化する時代に、しっかりと備えなければならない。わたしたちは3Dプリンターのことを、あまりにも知らなさすぎるのだから。 2018年に創業した「SK本舗」は、まさに遍く人々へ新たな生産の手法を届けるべく3Dプリンターを販売しているスタートアップだ。同社がおもに手がけているのは、一台数千万円もするような大企業向けのプリンターではなく10万円程度で購入できる個人向けのプリンター。中国や台湾のメーカーの代理店としてプリンターを販売しながら自社オリジナル製品も手がけている同社は、小規模の3Dプリンター及び3Dプリンター用レジンの販売においては国内トップクラスのシェアを誇り、来たるべき3Dプリンターによる新たな生産の時代を牽引している。 SK本舗は、なぜ、いかに3Dプリンターに希望を見出し、いったいどんな未来を描いているのか。そこで同社が手がけているテクノロジーとはどんなものなのか。本連載ではSK本舗の代表取締役・遅沢翔のインタビューを通じて、3Dプリンターの、新たな生産の可能性を模索していく。 「3Dモデリング」は20年前の「プログラミング」と同じ HZ 3Dプリンターの存在は広く知られるものとなりましたが、利用しているのはまだ一部の方々なのではないかと感じています。個人向けのプリンターを多く取り扱われている遅沢さんから見て、3Dプリンティングはいまどのような状況なのでしょうか。 遅沢 20年前における「プログラミング」と同じ状況なんじゃないかと思っています。1998年に設立したGoogleがいまや世界トップクラスの企業となったように、3Dプリンターもいまは一部の人しか使っていませんが今後は急速に広がっていくのではないか、と。 HZ 製造業や職人といったプロユースに限らず、今後は一般的な家庭でも3Dプリンターが使われるようになるということでしょうか。家具の細かいパーツを自分で出力したり、あるいは家具そのものをまるごと出力できたり。 遅沢 いずれは、ボタンを押すだけでそういうことができるようになると思います。それこそ、日常生活の消耗品などはすべて自宅の3Dプリンターでプリンティングするといった暮らしが実現するのではないか、と。3Dプリンターはこれからさらに安価になるでしょうし、機能も向上していきます。今でいう「DIY」の延長みたいなかたちで普及していくのではないでしょうか。すでにさまざまなモデリングデータ(3Dプリンターに読み込ませる出力データ)はウェブ上で公開されていて、そのデータさえあれば誰もが簡単に出力できるような状況なんですから。データの種類はさまざまで、船や自動車の模型から、拳銃のモデリングデータまで公開されていたりする。誰もが自由にそうしたデータをアップロード/ダウンロードできて、ユーザー同士が交流する場も生まれています。 HZ モデリングデータが自由にシェアされていくようになると、生産と消費の関係性も変わっていくような気がします。...
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