SK本舗ユーザーのリレーコラムFDM編 #05「地理院地図×FDM式3Dプリンターで地形を立体化してみよう」| Aoi
リレーコラム前任のMITSUKIさんからバトンを受け取り、第5回はAoiが担当させていただきます。
近年、家庭用3Dプリンターの普及により、個人でも気軽に様々な立体物を作れるようになりました。自分で3Dモデリングをしてオリジナル作品を作ったり、公開データを見つけてプリントしてみたり。さらに最近では、AIによる3Dモデル生成技術も進化し、ものづくりが好きな方にとって3Dプリンターは必需品になりつつあります。
FDM式3Dプリンター関連のコラムということで、積層の特徴を生かした題材を紹介したいと思い、私が3Dプリンターを使い始めた頃に感動した「地形の立体化」を取り上げることにしました。

本記事では、国土地理院が公開している「地理院地図」の3Dデータを利用し、FDM方式3Dプリンターで出力する方法を紹介します。
【1】地理院地図とは?
「地理院地図」は、国土地理院が提供する日本の地図情報を閲覧できるウェブサービスです。標高データや航空写真、地形図など、さまざまな地理情報が公開されており、その一部は3Dデータとしてダウンロードして利用することが可能です。
※データは出典を明記することで利用できます。詳しくは公式の利用規約をご確認ください。
【2】「地理院地図」から3Dデータをダウンロードする方法
1. 「地理院地図」にアクセス
ブラウザで「地理院地図」にアクセスします。

2. 地図上で出力したい範囲を選択
マウスで3Dデータにしたいエリアに移動・拡大します。おおよその位置が決まったら、画面右上にある「ツール(矢印①)」を開き、「3D(矢印②)」をクリックします。

そうすると、範囲の選択形式を選べるので「大」「小」「カスタム」の中から選びます(矢印③)。※ここでは「カスタム」を選択しました
続いて赤い四角が表示されるので、範囲を調整します(カスタムの場合は四隅にある白い四角をドラッグすると範囲を手動で調整できます)。調整後、「OKボタン(矢印④)」をクリックすると、「3D表示」モードに切り替わります。

3. 3D表示で高さ倍率を設定
地図が3D表示に切り替わったら、マウスで左ドラッグして画面を回転しながら地形の凹凸を確認してみましょう。視点は画面左上の東西南北ボタン(矢印⑤)をクリックすることで切り替えられます。
続いて、必要に応じて高さ方向の倍率を調整しましょう(矢印⑥)。数値入力欄に倍率を入力します。数値入力欄の右側にあるつまみをドラッグして調整することも可能です(デフォルトでは1倍に設定されています)。
平坦な地形を3Dプリントする場合は、凹凸をわかりやすくするために高さ方向の倍率をやや上げるのがおすすめです。1倍(デフォルト)で実際の標高差のまま出力すると起伏が目立ちにくいことがあります。そのような場合は、倍率を上げると地形の特徴がより明確になります。
※今回は3Dプリントする都合上、地形の起伏がわかりやすくなるように、倍率を2倍に設定しました

4. 3Dデータとして保存
画面下部のダウンロードボタンをクリックします(矢印⑦)。ダウンロードファイルの形式は4つから選べます。ここではSTLファイルをダウンロードしました。

以上で「地理院地図」の3Dデータダウンロードは完了です。このあとはいよいよ3Dプリントしていきます。
【3】3Dプリント
3Dプリントを行うには、まず3Dデータをスライスし、3Dプリント用のデータに変換する必要があります。スライサーソフト(※ここではBambu Studioを使用します)を開き、地理院地図でダウンロードしたSTLデータを取り込みましょう。

FDM式3Dプリンターはフィラメントを熱で溶かして下から1層ずつ積み上げてプリントするため、平らな面を下にする方が安定してプリントできます。
そのため、地形の裏側の平らな面が下になるように向きを修正します。あとはお好みで出力サイズを調整して、スライスを実行したら設定完了です。

では、3Dプリンターで出力してみましょう。
完成したのはこちら! 地形の起伏がはっきりと再現され、平面地図では分かりにくい標高差を直感的に把握できるようになりました。

等高線とFDM方式3Dプリンターの「1層ずつ積み重ねる」造形方式は非常に相性が良い組み合わせです。
積層構造そのものが等高線の段差表現と一致するため、積層痕がネガティブな要素ではなく、むしろ地形表現の一部として自然に機能してくれます。
ちなみに、同じデータを標高ごとに色を分けて多色印刷してみるとこのような仕上がりになりました。地形の高低差がより視覚的に分かりやすくなりました。

同様の手順でいくつか出力してみました。色分けすることで情報量が一気に増す印象です。

なお、標高ごとに色を変える方法であれば、多色3Dプリンターを使用しなくても、単色機で多色表現を行うことは可能です。標高の切り替わる層で印刷を一時停止し、フィラメントを交換することで、層の途中から色を変更できます。
その場合、層の高さを事前にスライサーで確認し、停止タイミングを正確に設定することがポイントです。
また、単色でプリントした場合、塗装することでさらに表現の幅が広がります。こちらは、過去に白色フィラメントで出力した地形モデルに塗装を施したものです。

塗装には主にアクリル絵の具を使用しました。まず薄い色で全体を塗り、その後、標高の高い部分に徐々に濃い色を重ねていくと、より立体感のある仕上がりになります。陰影を加えることで立体感が強調され、よりリアルな地形表現を楽しむことができます。
【4】利用時の注意点(出典表記について)
地理院地図のデータを利用する際は、国土地理院の定める出典表記ルールに従う必要があります。作品や展示、Web掲載時には、必ず「出典:国土地理院 地理院地図」などの表記を行いましょう。
【5】まとめ
国土地理院が公開している地理院地図の3Dデータを活用すれば、誰でも手軽に地形を立体模型として3Dプリントできます。趣味、教育、防災、模型制作など幅広い分野で応用できます。ぜひ、お住まいの地域や思い出の場所を立体化してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
本記事では、国土地理院が公開している「地理院地図」の地形データを加工して使用しています。
出典:国土地理院 地理院地図
