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家庭用3DプリンターでTシャツをカスタムデザインする裏技とは?
3DプリンターでオリジナルTシャツは作れるか? 今回は3Dプリンターを使ってTシャツをカスタムデザインする方法について紹介したい。まず、3DプリンターによってTシャツにカスタムプリントを施すことは可能なのか? という問いがある。答えはYESだ。ただ、Tシャツそのものは無地のものを別途用意してほしい。現在、衣類の3Dプリント技術も進んできているとはいえ、今回は一般の家庭用3Dプリンターの使用を想定している。あくまでもデザインの方の話をしたい。さて、ここでは二つの方法を紹介する。一つは薄く3DプリントしたオブジェをアイロンによってTシャツ記事に付着させる方法、もう一つはTシャツ生地に直接プリントする方法だ。 非常に薄くプリントしたフィラメントをアイロンでプリントする方法では、数回の洗濯を経ても剥離することのない程度の安定性が限界だが、Tシャツの生地に直接プリントする場合は、より永続的な結果が得られると言われている。では二つの方法を見ていきたい。 1.アイロンを使う方法まず、アイロンを使う場合はあらゆる種類のプリンタで行うことができる。ベーキングペーパーをバインダークリップでプリントベッドに固定し、スティック糊を塗ってプリントを貼り付けるだけだ。 厚さは1層から2層がちょうどいい。これをTシャツのプリント面を下にして置き、最高温度に設定したアイロンをかけることで生地に転写することができる。かなり簡単な上、見栄えも悪くない。しかし、先に触れたように、耐久性は若干悪い。 2.直接プリントする方法もう一つは柔軟なフィラメントを使用して生地に直接プリントする方法だ。こちらはより永続的な効果を得られるものの、プロセスはやや複雑となる。下部掲載の動画に従って3DプリンターはまずPrusaの3Dプリンターを想定しておく。何より、こちらの方法ではまずPrusaプリンター用の隆起したベッドアダプターを3Dプリントする必要がある。さらに印刷設定もかなりいじる必要があり、その上でTシャツをアダプターの上にセットして出力を行う。 1つ目の方法に比べるとかなりの手間だが、それによって印刷されたデザインはシャープであり、何度洗濯しても緩むことはない。手間と耐久性がここではトレードオフの関係にあるようだ細かい方法については以下の動画が参考になる。前半では一つ目の方法、後半では二つ目の方法が解説されている。英語による解説になるが、要領は掴めるのではないだろうか。 いずれにしても、無地のTシャツを自宅で気軽にカスタムデザインできるというのは嬉しい。ただ、動画にもあるように、失敗してTシャツを破損することもある。皆さんも実験感覚でお好みのデザインの3Dプリントを試してみてはいかがだろうか。
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見た目、食感、味、栄養素まで再現した3Dプリントサーモンが登場
Plantishの積層造形フィッシュフィレ シーフード3Dプリントの世界が今大きく盛り上がりつつある。以前、この記事欄でもRevo Foodsによる3Dプリントサーモンを紹介したことがあるが、今回は昨年に設立されたオルトシーフードスタートアップであるPlantishの取り組みを紹介したい。 オルトミートに続くか? 3Dプリント「シーフード」に注目が集まる理由 https://skhonpo.com/blogs/blog/3dseafood Plantishは、現在、ホールカットフィッシュフィレを低コストで大規模に製造する積層造形技術を開発している。PlantishのCEOは「今こそ魚の時代です」と語っている。その上で現在、オルトシーフード産業の課題の一つは、丸ごとの魚の味、食感、口当たり、構造を再現することであると指摘している。従来の魚の70%以上が、丸ごとの魚または切り身のいずれかとして、丸ごとの形で世界的に消費されているため、オルトシーフードもその形に成形する必要がある。これまでPlantishは、動物の筋肉の複雑なテクスチャーを複製するために植物タンパク質に依存してきた。これによってサーモンをリアルな切り身として造形し、サーモンを食べる体験をリアルなものにしているのだ。食肉が環境に与える影響については、現在、多くの警鐘が鳴らされている。一方でシーフードはどうだろうか。一説には現在のようなペースで魚の乱獲を続けた場合、世界は2048年までにシーフードを使い果たすだろうと言われている。一方で現在の世界のシーフードの半分は養殖によって補われている。すると、水産養殖を拡張すれば必要なシーフード量を満たすことができるという見解もあるが、養殖技術の中には環境副作用が報告されているものもある。こうした背景から、Plantishはオルトシーフードによって海を救うことを目指しているのだ。 すでに今年の1月に100%植物ベースのホールカットサーモンフィレの試食会が行われた。食感や味だけではなく外見もまた本物と変わらないまでに作り込まれており、なおかつ栄養素もまた実際のサーモンに近似した値に調整され、たんぱく質やビタミンBが豊富に含まれているているという。 その超微細層から構成される積層造形技術については現在特許出願中のようだ。目指しているのは、「あなたにとってより安全で地球にとってよりよい」形へとサーモンをアップグレードすること。もちろん「美味しさ」はそのままに。 今後ターゲットにしていくのは、500億ドルを占めるといわれるサーモン市場、そして外食産業への対応だ。CEOは「今後2年以内に高級レストランにPlantishのオルトサーモンが取り入れられることを期待している」と述べており、実際その準備はできている。日本もまた鮭を常食する文化がある。果たして、オルトサーモンの焼き鮭定食をカジュアルに食べれる日は来るのだろうか。続報を待ちたい。
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Blenderの3.0がすごいと話題に|アップデートの内容と評価に迫る
2000年の2.0へのバージョン更新以来の重要なアップデート 2021年末、人気モデリングソフトのBlenderのバージョンが3.0にアップデートされた。今回のアップデートはBlenderにとって、およそ22年前の2000年に行った2.0へのバージョン更新以来の重要なアップデートだという。 Blender サイト → https://www.blender.org/ 実際すでにBlender3.0はかなり好評の様子。ここでは今回のアップデートでBlenderがどう変化したのかを眺めてみたい。 そもそもBlenderとは? まずBlenderについておさらいを。Blenderは現在もっとも有名な無料の3DCG系ソフトのひとつだ。オープンソースながらも、ハイクオリティな機能で知られる。3DCGは様々なタイプが作成可能となっており、リアルに近い人間の3DCGからアニメチックな3DCGなど多種多様なタイプを作成することができる。またBlenderは無料ソフトであるため、先発での利用者が多く、解説サイトや初心者用のチュートリアル動画が数多く出回っているのも嬉しいポイントだ。では早速、今回のアップデート内容に迫ってみよう。 Blender 3.0の主なアップデート内容 ・ワークフローまず、今回大きくアップデートされたのは速度とワークフローだ。たとえば大きなメッシュで作業する際のラグが大幅に削減され、この作業のスピードが2~3倍アップされた。また、リンクライブラリを含むファイルのロードにかかる時間も短縮された。・AMDグラフィックカードAMDグラフィックカードに関しても追加サポートが施された。3.1のアップデートではLinux及びAppleでのAMDのサポートも計画しているとのことで一般的なワークフローが大幅に改善されている。・ナイフツールモデリングに関しては今回ナイフツールが改善されたことでモデリングエクスペリエンスが大幅に向上している。分かりやすいところではカットする方向を軸としてスナップするのが簡単になり、また以前のカットを元に戻すことができるようになった。 ・アセットブラウザ今回最も評価されているアップデートは、新しく導入されたエディターであるアセットブラウザだ。このアセットブラウザを使用すると独自の元のモデルをアセットのライブラリに保存することができるようになる。それによって、シーンに何度でもドラッグアンドドロップできるようになった。またマテリアルライブを作成したり、同じオブジェクトの様々なポーズも保存が可能になった。この最新機能はユーザーからの評価が最も高い。 ・ジオメトリノードもう一つ、ジオメトリノードを使用される方にとって嬉しいアップデートもある。今回のアップデートでは約100の新しいノードが追加され、また全体として非常に高速化した。またノードのグループ化を簡便化するために、操作も更新されている。この点に関しては以下の記事が詳しいので是非参考にしてほしい。「Blender 3.0」で直感的に!新しい「ジオメトリノード」を使ってみよう!https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/blenderwthing/1374987.html・スカルプティング実は今回のアップデートではスカルプティングに関するアップデートがない。これは2.9のアップデート時に、多重解像度スカルプティングやサブディビジョンレベル間での変更機能など大幅なアップデートを行なっていたためだ。 ・レンダリングこれまでも大きな更新のたびに、レンダリングパフォーマンスは少しずつ向上してきたが、今回も例外ではなく、今まで以上に高速になっている。いわく「2~8倍高速」ということで、ここに関してはユーザーからの反応も上々だ。・その他その他、UVツールやリギング、VR機能などでも微々たるアップデートが施された。また2Dアニメーション制作に関しても、ペンシルのストローク速度などのいくつかのポイントにおいてアップデートがあったが、これは3Dモデリングにはあまり関係がないのでここでは触れない。 まとめ ...
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あのエプソンが満を辞して3Dプリンター市場に参入|強度と精度を兼ね備えた産業用マシンを発表
エプソンが強度と精度を兼ね備えた産業用3Dプリンターを発表 日本が誇る2Dプリンター大手のエプソンが満を辞して3Dプリンター市場に参入した。長野県に本拠を置くセイコーエプソンは、これまでカメラや時計、プリンター、プロジェクター、パソコンなどなど様々な電子機器において比類なきプレゼンスを示してきた。特に2Dインクジェットプリンターに関しては業界の代名詞的な企業でもあり、「カラリオ」シリーズなど様々な人気シリーズを展開してきた。しかし、意外にも実はこれまでエプソンは3Dプリンター市場には参入していなかった。それが今回、満を辞して参入したのだ。今のところ発表されているのは産業用3Dプリンター1機のみだが、今後どうなるかは分からない。 エプソンの産業用3Dプリンター これまで日本のキャノン、コニカミノルタ、Mimaki、リコー、ゼロックス、ニコンなどの有名な電子機器メーカーはこぞって3Dプリンター市場に参入してきた。そんな中、エプソンがいまだ参入していなかったということを意外に思う方も多いだろう。実はエプソンは2015年には大量生産のための3Dプリント技術を開発する計画を発表していた。つまり、今回の産業用3Dプリンターの発表はおよそ7年越しの計画だったということだ。今回、エプソンが開発したのは材料押出方式の3Dプリンターだ。樹脂や金属のペレット材、環境配慮型のバイオマスペレット材の他、様々な汎用材料を使用することができるという。また材料の射出量を精密に制御し、かつ造形面の温度も細かく管理することで、精度と強度が両立した高性能なマシンになっているという。今後、一部部品の量産に活用しつつ、製品に改善を加えて、商品化を目指していくという。果たして3Dプリンター業界においてエプソンがどのような展開を見せていくことになるのか。注目だ。
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Thingiveseの3Dデータをディズニーが不正使用? 問い直されている3Dデータの権利
インフラストラクチャーとしての3Dデータ配布サイト 一般人の間に3Dプリンターが浸透し、ものつくりが活発化していく上で、3Dデータ配布(販売)サイトは欠かすことができないインフラストラクチャーだ。あらためて説明すると3Dデータ配布(販売)サイトとは、誰かがモデリングした3Dプリント用の3Dデータを無料で配布、あるいはモデラーが設定した価格によって販売を行なっているサイトのことだ。現在、世界的に有名なのはThingiverseやMyMiniFactoryなどがある。それぞれのサイトに得意分野があり、また無料データに特化しているサイトから有料データを中心としているサイトまで、体裁も様々だ。弊社メディアでも以前、まとめ記事を作成したことがある。3Dプリンター用無料データ配布サイトおすすめ9選https://skhonpo.com/blogs/blog/osusume9こうしたサイトは3Dプリンターに関わる人々の集合的な知識を拡張し、技術を磨き上げていく上で、非常に大きな役割を果たしている。あるいはモデリングに慣れていない3Dプリンター初心者にとっては、まず出力の楽しみを味わう上で、3Dデータ配布サイトはなくてはならない存在だとさえ言える。しかし一方で、3Dデータ配布サイトにはいくつか問題がある。たとえば知的財産権の問題だ。実際、今Thingiversにアップロードされたある3Dデータを中心にある事件が発生しているという。発端となったのはAndrew Martinという作家が作成し、Thingiverseにアップしたある3Dデータだった。 あのディズニーがThingiverseの3Dデータを盗用? 下の作品はAndrew Martinがディズニーランドにあるアトラクション「魅惑のチキルーム」にインスパイアされて制作した作品らしい。「魅惑のチキルーム」とは、オーディオアニマトロニクスで動く鳥や花、ポリネシアやタヒチなどの南洋文化の雰囲気をもつ木彫りの人形たちがエスニックな音楽に合わせて歌うショー形式のアトラクションで、東京ディズニーランドをはじめ世界のディズニーランドで展開されている。 https://www.thingiverse.com/thing:3778083 すると、この作品に対してディズニーがなんらかの訴えを起こしているのか、というと、違う。実は今回訴えているのはこの作品を制作したAndrew Martinで、訴えられているのがディズニーなのだ。どういうことか。Andrew Martinによる訴えの内容を見て見ると、なんでもディズニーが彼の作った3DファイルをThingiverseからダウンロードし、彼のデザインをコピーして使用しているらしい。その真相については分からないが、これはなんとも厄介な話だ。まず第三者がディズニーの「魅惑のチキルーム」にインスパイアされた作品を制作する自由についてだが、これは「インスパイア」の範囲内、つまり模倣ではなく影響と呼べる範囲内であれば、問題にあたらない。一方、ディズニーが彼の制作した作品をダウンロードして出力し、それをグッズとして販売した場合。これは確かに問題があるように思う。現在、Andrew Martinは自身のTikTokアカウントから、ディズニーが販売している作品と自身の作品とを比較しながら「Why did Disney steal my work?」と訴えている。今後これが法廷闘争となった場合の結果は分からないが、同様の事件が今後発生した場合の重要な判例にもなるため、注目度は高い。 いずれにしても、その3Dデータを誰がいつ作成し、どんな目的で共有し、それらの3Dデータは第三者にどう利用されるべきなのかということを今後しっかりと確立していく必要はあるだろう。特にデータはコピーが簡単なために繊細さが求められる。 中にはNFTの技術などを応用しつつ(※)、データの移動履歴、帰属、権利などを透明化していくブロックチェーンソリューションの必要性を説いている人もいる。一方でそうした透明化が、リミックスやサンプリング、コラージュなど、既存のデータを用いたクリエイティビティを抑圧してしまうことを懸念する声もある。 ...
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アメリカでは1年間でサッカーグラウンド約710万個分の森が山火事によって消失している|野火を早期発見して山を救うための3Dプリントデバイス
温暖化で急増する山火事 気候変動は様々なところに影響をもたらしている。有名なところでは北極の氷や永久凍土の溶解だが、それだけにとどまらない。たとえば近年の山火事の増加もまた気候変動を主な原因としているのだ。アメリカでは2021年だけで58985件の山火事が起きている。それによって焼失したエリアは710万エーカー以上。日本ではエーカーという単位にはあまり馴染みがないが、1エーカーが大体サッカーグラウンドひとつぶんだと言われている。つまり、昨年のたった1年間でサッカーグラウンド710万個分の土地が燃えたという計算になる。その規模は年々増しており、すでに2022年の最初の2ヶ月で過去10年間の山火事のエーカー数の平均を上回っているらしい。これはちょっと普通じゃないだろう。 もちろん、山火事対策もまた進んでいる。新しいテクノロジーは山火事を抑制したり、その火の拡大を防ごうと日々技術開発を進めているが、その上で何よりも重要なことがある。そう、山火事の早期発見だ。 山火事を早期発見するためのシステム 実は現在、野火の早期発見のために非営利の教育プロバイダーであるNew Collar Netwaorkの3Dプリント技術者チームが、マイクロアコースティックマイクのメーカーであるKnowled Corporationとの技術を使用して開発したあるシステムが、国際ハードウェア助成金のコンペにおいて入賞し助成金を賞与されたという。そのシステムとは、3Dプリントされたケースに収められた山の音声監視対応センサーだ。なんでもこのセンサーは機械学習を使用して森の自然音と森で起こる野火の音とを区別し、野火の音を感知次第、当局に山火事の可能性を警告するらしい。さらに、同システムはその信号をフィールドカメラなどの他のデバイスに中継することで、森林局の消防士たちに山火事の即自認識を提供できるということだ。 画像引用/New Collar Netwaork 設置場所は木の幹であり、簡単に取り付けられるようストラップ付きのデバイスケースが3Dプリントで作られた。あるいは金属表面でも役立つ磁石を備えたケースなども3Dプリントすることができるという。センサーの電源としては、開発チームは太陽光発電を考えているようだ。このような早期発見システムは、山火事による森林の焼失エリアを抑えるのみならず、近隣のコミュニティが安全に避難する猶予を作り出すことができる。また山火事の起こっているエリアをより詳細に特定することで、消防士の活動をスムーズにし、消火時間を短縮することも期待されている。ところで、日本は山が多いにも関わらず、山火事は比較的少ない。平均的には1年間に約1200件ほど、焼損面積も約700ヘクタール(1730エーカー)くらいに収まっている。少ない理由は日本の高い湿度だとされているが、もちろんそれでも山火事を少しでも抑えれるに越したことはない。また、気候変動によって日本の気候環境が変化していく可能性もある。備えあれば憂いなし。日本の森林にも是非とも導入して欲しい。
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Fordが車内アクセサリーの3Dプリント用CADファイルを公開|ユーザーの美意識がものをいう「センスの時代」が自動車業界に到来
Fordが車内アクセサリーのCADファイルを公開 大手自動車メーカーのFordが、3Dプリントで自作できる車内アクセサリーの提供を開始した。これはもともとFordの新型モデルであるハイブリッド・ピックアップトラック「Maverick」の発表の際に示唆された話だったのだが、Newsweek誌によると、Fordは「Maverick」のセンターコンソールの後方に備わっているFord Integrated Tether System(FITS)スロットと、シート下の収納ボックスに対応するアクセサリーのCADファイルを先日、実際に公開したようだ。このCADファイルによって、カーオーナーは自分好みにカスタマイズしたカップホルダーやスマートフォンホルダーなどを3Dプリンターによって自作できるようになったわけだが、実はこのFordの動きに対しては「遅い」という声もある。なんでも「Maverick」が発表されてから現在までの間に、すでに3Dプリンター愛好家たちがFITSに合わせたアクセサリーを自作しており、公式のCADファイルの発表はそうした動きに比較するとだいぶ遅れているということなのだ。もちろん、公式のデータがあれば、それだけアクセサリーの作成は簡単になるわけで、今後は一層活発に愛好家たちのオリジナルアクセサリー作成が活発化するだろうと見込まれている。これは是非とも他メーカーにも追随して欲しい流れだ。 3Dプリンターによって「センスの時代」が到来する? Fordのデザインマネージャーのスコット・アンダーソン氏はNewsweekに、今回のCADファイルの公開が同社のユーザーに対する態度のかなり大幅な変化を意味すると語っている。これはつまり、企業がコントロールする既成の製品をより多くの人に買ってもらう段階から、ユーザー自身によるカスタマイズに開かれたオープンソースのスタイルへと、Fordが転換していくことを意味するものだろう。現状ではCADファイルの公開は車内のアクセサリーなどに限定されてはいるが、今後はより多くのパーツについて、この流れが及んでいくことになるかもしれない。もちろんFordのような大手がその方向に舵を切った場合、自動車業界全体のフェイズが更新されていくことになる。そうすると、問われてくるのはユーザーのセンスだ。これまではある既成のモデルを選択することこそがユーザーの美意識の発現であったと言えるが、今後はそうではなくなっていく。つまりFordを所有することのみならず、Fordをどのようにカスタムするかが、ユーザーの審美眼を表す指標になっていくというわけだ。おそらく、これは自動車業界に止まらない。3Dプリンターの普及によって世界はやがて「センスの時代」へと突入していくだろうと筆者は睨んでいる。私たちも今のうちに「既製品」に慣れ親しむあまりに鈍ってしまった創造的感性を磨いておいた方がいいかもしれない。
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スマホを一発で3Dプリント出力することは可能なのか? 世界的3Dプリンターメディアの思考実験
3Dプリンターはスマホを出力できるのか 3Dプリント技術はこれまで様々なものを出力し、その3Dプリント可能領域を拡張させてきた。しかし、現状でスマートフォンのような高度な電子機器を3Dプリントすることは実現していない。果たして今後、どの程度、それは可能になっていくのだろうか?実は先日、3Dプリントの国際的メディア「3DPRINTING.com」で、まさにその可能性が検証されていた。ここでその記事の内容を追ってみたい。まず、3Dプリンターで高度な電子機器を出力するという上で考えうる方法は二つあるという。一つは、スマートフォンの大部分のパーツを3Dプリントし、同時にそれらのオブジェクトをデバイス上に配置していくマシンを用意するとうもの。そしてもう一つは、ある一つの3Dプリンターの中に様々な原材料を自在に処理し、それに応じた出力物をプリントする機能を内在させ、完全なデバイスとして出力するというものだ。当然、実現可能性が高いのはひとつめの案だ。これを記事では「箱の中の工場」とたとえている。すでにある様々な方式の3Dプリンターを駆使すれば、スマートフォンを構成する様々な部品の大部分を個別に出力しうるということは容易に想像できる。いくつかの外部部品とそれらを別のシステムによってデバイス上に配置していくというわけだ。この方法に関して、MITのすでにあるプロジェクトがその可能性を非常によく示しているという。これはMultiFabと呼ばれる技術で、、LEDやレンズなどの機能部品の周りにインクジェット3Dプリントを行うというものだ。iPhone製造3Dプリンターを実現する場合、こうした外部部品を認識して回避するという機能が欠かせない・ ただ、MulitiFabにはそれら配置のためのマシンが統合されたものではないという不足点もあるが、これを補うような試みをBotFactoryが行なっているという。BotFactoryは、はんだペーストを配置し、プリント回路基板(PCB)を製造するための電子部品のピックアンドプレースを実行できるシステムを開発しており、現在、米空軍の精密機械の製造に役立てられている。 一発操作でスマホを出すために必要な条件 さて、ではもう一つの案はどうだろうか。こちらの案の場合、スマートフォンの全ての要素を3Dプリンター自体で作り出す必要があり、そのハードルはかなり高いものとなると記事はいう。その上であくまでも思考実験としてその実現のためのプロセスが探られている。 現在のスマートフォンのタッチスクリーンは、通常、有機発光ダイオードディスプレイと、絶縁体として機能するガラス基板、酸化インジウムスズや銀などの透明な導電性材料のコーティングで構成されている。これを3Dプリントすることは果たして可能なのか。実はすでに様々なLEDスクリーンを3Dプリントするための研究が数多く行われているという。たとえばミネソタ大学ではカスタマイズされた3Dプリンターを使用し、柔軟な64ビットLEDディスプレイの製造に成功している。 またガラス基板に関しては3Dプリントガラスは丈夫なため実行可能だとされている。実際、ソーダライムやホウケイ酸塩など、3Dプリントガラスの出力にはいくつかのアプローチが存在する。電子インクもまた、すでに複数の企業が導電性材料、特に銀インクを3Dプリントする方法を提供しているという。それどころか、たとえばOptomec社のAerosolJetシステムは主要なスマートフォンメーカーが導電性トレースを部品へと3Dプリントするためにすでに使用されているらしい。そうなると残っているのはトランジスタやコンデンサなど、そのほかの要素を追加することだけであり、これもまた実現可能性は決して低くない。続いてチップの製造について。ここには少し問題がある。先に見たようにPCBの製造自体はすでに3Dプリンターで行うことが可能だが、1ミクロン未満の分解能を必要とする集積回路の製造に対応できる3Dプリンターは現状ないという。ここは今後の技術的進歩を待たねばならないところだろう。ただ、一般に実現が難しいと目されているコンデンサやトランジスタなどについては、すでに試されて、ある程度の成功が収められているという。2015年にはすでに、カリフォルニア大学バークレー校の研究者が、共振周波数が0.53 GHzの粗いインダクターコンデンサー共振タンク回路と、インダクターコンデンサータンクとワイヤレスパッシブセンサーが埋 め込まれたスマートボトルキャップを3Dプリントすることに成功している。あるいはスウェーデンの2つの機関、リンショーピング大学とスウェーデン研究所は、2次元スクリーン印刷プロセスを使用して、1,000を超える有機電気化学トランジスタをプラスチック基板に印刷し、さまざまなICを作成しているようだ。つまり、現状で完全な3Dプリントは困難とはいえ、すでにその道筋は見えつつあるということだろう。スマートフォンといえば、様々なセンサーが配置されていることも重要なポイントになってくる。これらのセンサーに関しては、すでに3Dプリント作成された例が多数あり、問題はない。またフォンである以上、当然必要となるスピーカーとマイクに関しても同様であり、これら比較的単純なコンポーネントは現状の技術力で十分に3Dプリント可能だとされている。バッテリーもまた3Dプリント成功例は数多くあるらしい。一方、意外にも難点としてあげられてるのがメタルケースだ。ケースそのものをプリントすることは金属3Dプリンターがあればもちろん可能だ。しかし、機能にまつわる多くのパーツをその金属のシェルに統合し、金属を後処理するというプロセスは簡単ではないという。金属3Dプリンターは一般的に炉内での猖獗を必要とする。これはパーツ全体に行われるある意味で「野蛮」な後処理技術であり、精密なスマートフォンの製造には適していない。記事ではその代替案としてジュール熱を動力源とする方法に可能性を見出している。インクジェットまたはエアロゾルジェットヘッドによって電子機器を作成したら、金属蒸着ヘッドが金属ワイヤを介して電気をサージし、部品の周囲の所定の位置に金属を蒸着するという方法だ。もちろん、これはまだ仮説に過ぎず、今後、検証されていく必要があるだろう。 技術的には実現可能……しかし さて、ここまでの話を総括し、記事ではスマートフォン全体を一回のビルド操作で3Dプリントすることは、そう遠くない将来にもっともらしいものとなるだろうと結論づけている。課題としてはより微小なアトム構成テクノロジーの導入、より複雑なプリンターとロボットの組立てラインの確立だ。すでにスマートフォンの製造には3Dプリント技術が欠かせなくなっている。そう思うと、じゃあいつ3Dプリントスマートフォンが誕生するのかと気を急がせてしまうが、記事はそこについてかなり冷静だ。というのも、現在、世界中で個々の部品が大量生産されており、労働力の安い工場でそれらを組み合わせるという製造方法が、経営判断上、理にかなったものとなってしまっているのだと記事は分析している。もちろん3Dプリント技術は、細かい部品の製造にますます使用されていくことになるが、スマートフォンをまるっと3Dプリントするというシナリオのビジネスケースは「ありえそうにない」とのこと。そう、ある技術が実装されるためには、技術の進歩だけではなく、ビジネスや政治の力学が多重に重なり合う必要があるのだ。大人の都合はいつだって複雑ということか。
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片手だけで操作可能なPS5の改造コントローラーが話題に|3Dプリンターを使ったMODの世界
ゲーム中のあのお悩みを解決する注目MOD コロナ禍になって世界が揺れ動いていく中、逆に大きな盛り上がりを見せた業界もある。ゲーム業界だ。緊急事態宣言やマンボウが推進され、遊びに行きたくても行けない中、せめてもなんか気晴らしをしたいと人がゲームに熱中するというのは、ある意味、当然の流れだったかもしれない。今回はそんなゲームにまつわる面白いニュースを紹介する。ゲーム機を使用する上で、欠かせないものといえば、テレビやモニター、ゲーム本体、ゲームソフト(現在はDL形式の方が一般的かもしれないが)、そしてゲームコントローラーだ。このゲームコントローラーに関して、こんなことを思ったことがある方は少なくないのではないだろうか。「ああ、片手でコントローラー操作できたら、ながらでゲームできるのになあ」筆者は思ったことがある。たとえばお菓子を食べながらゲームをしたい場合だ。長時間ゲームをしていれば、当然お腹が空いてくる。しかし、ゲームに夢中になっている最中は、その両手の自由はコントローラーに拘束されている。なんとかお菓子の袋を開けたはいいものの、結局、手をつけられず何時間も過ぎていき、フレッシュだったポテチがすっかりしなびてしまった。皆さんにはこんな経験ないだろうか。果たして、その人物が筆者と同じような経験をしていたかは分からないが、実は今、ある人物が3Dプリンターを使って改造したPlayStation5用のコントローラーが話題を集めている。その改造コントローラーがなんと、片手で操作できるコントローラーだというのだ。さて、まずは話題の動画をご覧いただきたい。 いかがだっただろうか。投稿者はAkakiという人物。どうやら左利きらしく、改造コントローラーもそれに合わせて左手のみで操作できるように改造されている。この左利きバージョンでは、通常、右手で操作するシンボルボタンと右のトリガーボタンは左手で操作できるように設計されており、さらに右のジョイスティックに関してはコントローラー全体を足やテーブルなどの任意の対象に押し込むことで使用することができるようになっている。 動画を見る限り、通常プレイに関しては滞りなく片手で行えているように見える。細やかかつ迅速な操作が必要な場面において、どれくらい対応が可能なのかはまだ未知数だが、慣れと鍛錬によって、かなりの程度まで片手プレイでも対応できるのではないだろうか。 この改造コントローラー、今後のブラッシュアップ次第では、ゲームしながらお菓子を食べること以外にも様々な形での活躍が考えられるだろう。なんらかの障害によって片手しか使用できない方に向けたコントローラーとして機能するかもしれないし、あるいは高みを目指すゲーマーの中からは二つの手それぞれで個別のコントローラーを操作するというような猛者も現れるかもしれない。それにしてもAkaki、よくぞこんなことを考えたものだ。まずはその宛先不明な情熱に拍手を送りたい。もし興味があるという方はAkakiの動画を参考に、自身でもコントローラーを改造してみるのもありかもしれない。Akaki以上の片手用コントローラーを制作できた暁には是非ともご報告いただきたい。
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3Dプリンターは本当に環境に優しい? 鍵となるのは「再生可能素材」か
再生可能素材の最前線 3Dプリンターと環境問題については、様々な議論が交わされている。とりわけサステナビリティに関しては、従来の製造方法を超える大きな長期的な可能性があるとされている。ただ、課題がないわけでもない。3Dプリンターが廃棄物や資源の無駄遣いを減らすことになるのは、それがオンデマンド生産を可能にし、生産量を必要に応じて正確に計画することができるからだ。とはいえ、3Dプリンターを使ってこれまで以上に多くのものが製造、消費するようになったとしたら、これは意味がない。また物がやがて廃棄されるという点を踏まえるなら、使用素材の再生可能性も重要なポイントとなる。その上で、現在、注目されているのは、再生可能なフィラメントの開発だ。この流れはすでに数年前からある。生分解性材料、つまり自然に帰せば自ずと分解される材料の開発は、ポリ乳酸、通称PLAという形で様々に行われてきた。 パスタ製造の廃棄物でつくられた生分解性フィラメント たとえば有名なのはコーンスターチから作られたプラスチック代替品だ。ポーランドのスタートアップであるGREENFILL3Dは、ヨーロッパ最大の食品生産企業の一つであるMASPEXと行なった共同プロジェクトで、PLAや小麦ふすま、あるいはその他の生分解性成分から作られたフィラメントを使用して箱入りパスタのディスプレイを製造するというデモンストレーションを行なっている。 PLAがどれくらい環境に優しいかをめぐってはまだ議論の余地があり、その生産過程で大量の化石燃料を必要とする作物から作られているという点などは、慎重に検討されていかねばならない。しかし、GREENFILL3Dはすでに商品化されているパスタの製造過程において生じた廃棄物を積極的に使用している。確かにこの方法ならば、PLAを使用する量を今まで以上に低く抑えることができる。 その仕組みはこんな感じだ。まずMASPEXがGREENFILL3Dに廃棄された小麦ふすま材料を供給する。生の小麦ふすまはふるいにかけられ、乾燥させられる。その後、PLAを含む他の材料と組み合わされ、細いフィラメントワイヤに加工される。最後に、GREENFILL3Dは、Ender 3Dプリンターを使用して、小麦ふすまで構成される再生可能なフィラメントを素材に、小麦ふすまパスタのディスプレイスタンドをはじめとするさまざまなアイテムを出力していく。 環境問題への対策は複雑だ。あれを減らせばこれが増え、これを減らせばあれが増える。結局のところ環境問題を改善することのない堂々巡りがマーケティング都合で様々に展開されているというのが偽らざる現状でもある。しかし、そんな中でも環境への負担を微減させる技術が、少しずつ着実に生まれ始めている。もちろん3Dプリンティングがその中心的な役割を果たすテクノロジーであることは今も変わらない。
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見る角度によって絵柄が変わる! MITが開発した3Dプリント「レンチキュラー」
MITが3Dレンチキュラープリント技術を開発 レンチキュラーという技術をご存知だろうか。端的にいうと、かまぼこ状のレンズを用いて、見る角度によって絵柄が変化したり、3Dのような立体感が得られたりする印刷物を出力する技術だ。 いわゆる3Dポスターなどはこのレンチキュラー印刷によって作られている。見るたび、見る場所に応じて色味がガラっと変わって感じられるようなあの光学的な錯視効果はどこか魔法のようだ。子供の頃、レンチキュラー仕様の下敷きを使っていた同級生をとても羨ましく思っていたことを覚えている。実は昨年10月、マサチューセッツ工科大学のコンピューター科学人工知能研究所が、レンチキュラーを3Dプリントする方法を設計、これを発表した。さらに研究者たちはこのプロジェクトで開発された技術をオンラインでオープンアクセスで利用できるようにしたという。 マサチューセッツ工科大学のコンピューター科学人工知能研究所の論文http://groups.csail.mit.edu/hcie/files/research-projects/lenticular-objects/lenticular-objects-paper.pdf 実際に映像を見てみれば分かると思うが、やはりレンチキュラーは実に面白い。研究チームはすでに2年にわたってこのプロジェクトに取り組んできたという。使用したマシンはストラタシス社のPolyJet。クリアレンズとカラーパターンの両方を十分な解像度で曲面に3Dプリントすることでレンチキュラー特有の光学的効果が生み出された。最大の難関はレンズの研磨などの後処理だったという。 研究チームはこの技術の実証として4種のオブジェクトを出力している。ケトルベルと呼ばれるトレーニング器具(適切な姿勢で持っていると表示される絵が変わる)、ランプシェード(人がベッドに横たわった姿勢から見ると「おやすみなさい」と表示される)、スニーカー(履いている人だけにフロントのメッセージが見える)、イヤフォンケース(様々な彩りを放つ)だ。 あるいは専門家筋はこの技術を軍事部門におけるカモフラージュ技術に使用されるとも指摘している。アニメ化、映画化された人気漫画『攻殻機動隊』でおなじみのいわゆる「光学迷彩」だ。 いずれにせよ、レンチキュラーの3Dプリントが一般化すれば、3Dプリンティングの幅、想像力の可能性はまたグッと広がる。果たして、今後どのような3Dプリントレンチキュラーが生み出されていくのか、楽しみだ。
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Healshapeの「3Dプリント乳房」は乳がん患者を救うか?|バイオ3Dプリント技術によって飛躍する再生医療
乳房切除手術を受けた女性に乳腺再建の機会を バイオ3Dプリント技術を用いた再生医療の発展が著しい。とりわけ最近話題となったのが、3Dバイオプリント乳房の出力だ。研究しているのはフランスの再生医療会社Healshape。現在、Healshapeは患者自身の細胞を使用して乳腺再建用の3Dバイオプリント豊胸手術の生産を拡大するために680万ドルの資金調達を準備している。現在は前臨床段階にあり、15人の患者のサンプルで今後2年以内に臨床試験を開始することを望んでいるようだ。 画像引用:Healshape Healshapeが使用している技術はリヨン大学の超分子化学・生化学研究所が3D皮膚モデルを製造する企業であるLabSkins Creationsとともに開発された技術で、患者から採取された細胞を再組織することによって乳房の形を造形していく。使用されるインクは天然の吸収性ヒドロゲルを使用したバイオプロテーゼでありこれはHealshapeが2020年に開発したものだ。このバイオプリントされたインプラントは基本的に患者の解剖学的構造に基づくもので、生物学的インクから作られているためその組成は人間の組織の組成に近い。そのため、プロテーゼが配置されると、脂肪の移動によって患者自身の細胞がインプラントにコロニーを形成し、脂肪組織の自然な成長とバイオプロテーゼの完全な吸収が可能になるという。Healshapeによれば、移植後、数ヶ月以内に身体は平常な状態を取り戻すことができるようだ。 画像引用:Healshape Healshapeが想定しているのは、何らかの疾病により乳房切除手術を受けた女性に、乳腺を再建する機会を提供することだ。実際、今日では乳がんと診断された女性のほぼ半数が乳房を切除するための外科処置を受けている。もちろん、命を守ることが最優先ではあるが、乳房を失ったことにより精神的なダメージを受け取る方も少なくない。今回の技術では痕跡も残さずに6〜9ヶ月内に乳房を回復することができる。HealshapeのCEOは「女性が自分のイメージを受け入れ、再び自分の体に満足するために(この技術が)役立つことを願っている」と述べており、この技術が医療の現場になるべく早く導入されることを目指しているようだ。
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東京⇆サンフランシスコが6時間以内! 超音速ジェット機を3Dプリントするスーパーファクトリーがノースカロライナに開設
超音速ジェット機「オーバーチュア」 コロナ禍以降、値上がりを続けている輸送費は物流と人流に大きな影響を与えている。いまやどこに国も自国以外の製造物に頼って暮らしているグローバル社会においては、物流、人流のコスト上昇は極めて大きな問題だ。 そんな中、米国で国際的な物流、人流を担うことになるジェット機の工場が新たに開設されることが決まった。場所はノースカロライナ州のピエモンとトライアド国際空港、製造されるのは超音速ジェットとして知られるブーム・オーバーチュア社の「オーバーチュア」だ。 同機は最大88名の乗客を乗せ、マッハ1.7で飛行することで知られる。これはサンフランシスコと東京を6時間以内で結ぶことができる速度だ。すでに昨年、米国ユナイテッド航空が15機のオーバーチュアを発注し、話題となった。2030年までには実際にオーバーチュアに旅行客を乗せた飛行を開始する予定だという。空の旅は超音速の時代へと突入しつつあるのだ。 オーバーチュアの製造には3Dプリンターが多用 実はこのオーバーチュア、部品の多くが3Dプリントで作られていることでも話題となった。StratasysのFDMマシンや、VELO3Dの金属3Dプリンターなどで出力した部品が、マシンの重要なパーツとして多く使用されているという。もちろん、今回開設されるスーパーファクトリーにおいても3Dプリンターが多用されることは間違いない。 さらにこのオーバーチュアは燃料面においても革新的な取り組みを行おうとしている。ブーム・オーバーチュア社のCEOは航空機はすべて「持続可能な航空燃料を動力源とし、100%の純ゼロカーボン目標を達成する」と主張しており、超音速ジェットが環境面にも配慮したマシンであることを強調している。だが、まだ現段階においては燃料開発は中途段階にあり、今後の展開に注目が集まっている。 いずれにしても、物がより速く届き、目的地により速く到着することができるということは、シンプルに快適ではある。来たる超音速の時代を歓迎したい。
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キャサリン妃やエマ・ワトソンも愛用する木製バッグブランド「ROCIO」が業界を刷新する3Dプリントバッグを発明
セレブ御用達のブランド「ROCIO」の新展開 斬新なデザインが目立つ3Dプリントファッションの世界に新しいニュースが届いた。エコファッションブランドとして知られ、キャサリン妃やエマ・ワトソン、スーザン・サランドンやケイト・アプトンなども愛用していることで知られるROCIOと、スコットランド国立製造研究所の共同研究によって、3Dプリントされたシグネチャーハンドバッグが開発されたのだ。もとよりROCIOのハンドバッグはアカシアの木を原材料とし、およそ19段階のプロセスを経て個別に彫刻されている。エコロジーをテーマとする同ブランドは同時に長らくよりサステナブルで環境に優しい製造方法を模索もしてきた。 画像引用:ROCIO そんなROCIOが従来のどの製造形態よりも持続可能であると言われている3Dプリンターにたどり着いたのは半ば必然だった。3Dプリンターを用いれば、カスタマイズの可能性を増やし、製造プロセスの無駄を減らし、なおかつ従来の製造方法では実現できなかった複雑な構造体を作成できるようになる。独創的なバッグをエコロジカルに製造する上でこれ以上ない方法なのだ。さてROCIOの職人技とスコットランド国立製造研究所の専門知識を組み合わせる形となった今回のコラボレーションの結晶がこちらだ。 画像引用:ROCIO これはROCIOならでは木製バッグと同様の構造を持つハンドバッグの3Dプリントタイプだ。従来のROCIOのシルエットの美学を維持しつつ、製造面での無駄を大幅に削減することが実現された。さらに、今回は3Dプリントされた構造体を元にROCIOにとって初めての革製ハンドバッグが作られることになった。「私たちはこの結果に本当に驚いています」そう語るのはROCIOのクリエイティブディレクターであるハミッシュ・メンジーズだ。「制作された作品は芸術作品であり、このユニークな革製ハンドバッグのコンセプトは、構造化されたアートの形で卓越した美しさをもたらし、デザインの限界を押し上げると信じています」さらにメンジーズは語る。「私たちにとって、3D印刷されたプロトタイプの使用を検討することは、長期的にはより多くのコスト、時間、および材料効率をもたらします。このテクノロジーを使用することで、業界の将来の能力を解き放ち、受け入れながら、より持続可能性な取り組みを行っていく未来に一歩近づきました」なんでもこの3Dプリントバッグは早くも今年の3月のパリファッションウィークにてデビューする予定らしい。果たして世界のファッショニスタたちはROCIOが提示するこの新しい「スタイル」をどう受け止めるのか。3Dプリントファッションの夜明けは近そうだ。
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動物福祉と3Dプリンター|ジレンマを超えてより豊かな世界へ
ヒューマニズムの歴史の行く先 ヒューマニズムは人類が発明したものの中で最も大きな発明品の一つだろう。現在の我々に当たり前のように備わっている「人権」という理念もまた長い歴史の中で育まれてきたヒューマニズムの叡智に基づくものだ。もし、この「人権」がなければ、あらゆる権力の横暴に対して我々はたちまち無力になってしまう。理不尽な命令に対して我々が正義を持って反抗することができるということもまた、ヒューマニズムを背景にもつ「人権」が憲法上で保証されているからに他ならない。 人権の起源とも言われる12世紀「マグナ・カルタ」の写本 20世紀の歴史はこのヒューマニズムという思想が世界中に拡散した1世紀だったと言えるだろう。民主主義に基づかない独裁権力による圧政、奴隷労働や人種差別、子供差別やジェンダー差別など、世界が西洋によって近代化されていく中で発生した様々な不公正や不正義が、ヒューマニズムの名の下に少しずつ是正されていった。 閣僚たちと奴隷解放宣言の草稿を作るリンカーン大統領 やがて20世紀後半になると、ヒューマニズムの批判的精神はヒューマニズムそのものへも向けられていくことになる。ヒューマニズムを旗印に他国へと干渉し、その国の文化を簒奪するような先進国の振る舞いに対して、ヒューマニズムの視点から過去のヒューマニズムへと批判が加えられていくことになったのだ。そして近年、拡張したヒューマニズムはついにヒューマンの垣根さえも超えて、不公正の是正に乗り出そうとしている。そう、アニマルライツ(動物の権利)の回復だ。 動物の権利の思想的根拠として参照される『動物の解放』の著者ピーター・シンガー 人類はみな平等であり、生まれながらにして幸福を追求し、それを実現する権利を所有している。これこそがヒューマニズムが世界に広く知らしめた考えである。では、人間以外の動物はどうなのだろうか。彼らはその権利を所有していないのだろうか。それはヒューマニズムの歴史プロセスにおいて起こるべくして起こった当然の疑問だった。こうして、20世紀後半頃より動物の権利獲得を目指す運動が主に西欧を中心に広がっていくことになったのだ。もちろん、アニマルライツを求める人々の中にも様々な立場がある。動物も人間も等しく生きている以上、全く同等の、かつ同様の権利が認められるべきだとする観点のもと、一切の畜産や屠殺、狩猟や肉食、動物園やペット飼育を否定するという立場。あるいは、これまでの長きに渡る肉食の歴史を踏まえて、食用としての畜産や屠殺、狩猟は認めつつも、そのあり方を少しでも動物にとって苦痛の少ない形にしていくことを目指すという動物福祉的な立場。昨今では動物に法的人格を与え、裁判の原告となる権利を認める事例なども出てきており(実は動物のみならず川が裁判の原告になった事例もある)、アニマルライツは世界的にも極めて高い関心を集めている。かつて小説家のジョージ・オーウェルが『動物農場』に描いたような世界が、今まさに起こりつつあるということなのだ。 一方、こうしたアニマルライツを求める運動に対して批判的な意見を持つ人も少なくない。たとえば、市民的権利には市民的義務が伴うものであり、動物はその義務を果たすことができないというような意見や、人間のつくった尺度によって動物の幸不幸を判断したり、人間が作りだした「権利」という概念を動物に押し付けたりしていくような態度こそが傲慢であるというような意見などがそうだ。最もよく見られるのは、動物に権利があるなら植物にも権利があるはずだ、という主張だろう。つまり、際限なく権利の概念を拡張し続けていけば、やがては野菜を食べることすらできなくなるのではないか、という指摘だ。あるいは日本においては世界の捕鯨反対運動に対する批判的な意見も多く見られる。捕鯨やイルカ漁は日本のローカルな文化の中に根差した伝統狩猟であり、そうした伝統的な文化を現代の価値観で安易に潰すべきではないという主張だ。この問題は度々世界でも取り上げられ、複数の視座からドキュメンタリー映画化も撮られている。特に鯨は哺乳類の中でも知能が高く、まだその巨大な体軀の持つ神秘的な性格から、動物愛護運動のメルクマールとなりやすいのだ。 推進派、反対派、どの立場の意見もきちんと追っていくと相応の理があるように感じられるが、そのぶん、この議論は落としどころの設定が難しい。近年では環境問題への関心の高まりから、平行線だった議論にやや波風が立っているとはいえ、この種のテーマはそれぞれの人生の根幹にある哲学の部分での対立を引き起こしてしまうため、社会全体のコンセンサスを得るということが達成しづらいのだ。いずれにしても、筆者のような特別アニマルライツの運動と関わりを持たない人間にとってみても、先ほど紹介したアニマルライツの後者のような立場、つまり可能な範囲で動物が苦しむような機会は減らしたほうがいいという動物福祉的な考え方については、否定する余地がないように感じている。それこそペットを飼っている人なら、自分のペットと同種の動物が苦しむ姿を見るのは、人間が苦しむ姿を見るのと同様に心が痛くなるというもの。普段、食用にしている肉にしても、虐待的に飼育された動物の肉よりも、丁寧に飼育された動物の肉を食べたいと思ってしまうのが人情というものだろう(それはそれで都合の良い考えなのかもしれないが)。 ↓ ショッキングな内容を含むため閲覧ご注意ください。...
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欧州に議論を巻き起こしている3Dプリント安楽死ポッド「サルコ」|命の基準を判断するのはAIか
3Dプリンターが「安らかな死」を出力する 現在、欧州である「乗り物」が話題になっているのをご存知だろうか。その流線型の美しいフォルムはどことなくスポーツカーを連想させる。しかし、この「乗り物」は決して走ったりはしない。まして友達と楽しくドライブに行くために使うだなんてことは到底できない。この乗り物に乗り込んだが最後、ほとんどの確率でその人が再び地に足をつけることはない。行く先はただ一つ、そう、死後の世界だ。その乗り物は通称「安楽死ポッド」と呼ばれている。要するに自死カプセルだ。正式名称はサルコ。同装置を開発したのは「死ぬ権利」推進団体エグジット・インターナショナルで、現在、自殺幇助が法的に認められているスイスにおいて実用化が期待されているところらしい。 安楽死ポッド「サルコ」 このサルコに乗るとどうなるのだろうか。いわく、このポッドは内側からのみ操作が可能であるという。乗り込んだユーザーの操作によってポッド内は低酸素状態となり、やがてユーザーは意識を失う。最終的には死に至る窒素ガスが放出され、ユーザーの生は終わりを迎えるという仕組みだ。同時代の別の国で、このようなポッドの販売が現実に開発されているということに対して、日本人としては驚きを禁じ得ない。だが、スイスでは以前から死ぬ権利が尊重されていた。たとえば2020年の1年間だけでも、スイスでは権利団体による幇助の元に1300人が自死している。これはサルコによるものではなく、医師が処方した薬液を患者本人が体内に取り込むことで行われたものだ。果たして、こうした自死と、その幇助をめぐっては、さまざまな道義的、哲学的な見解があることだろう。死を自ら選ぶなんて、さらにその死を手助けするなんて言語道断だ、と考える人もいるかもしれない。あるいは死が避けるべきネガティブなものでしかないのだとすれば、生物はみなネガティブな運命を背負った存在ということになるのであり、この生を肯定的に生きるために自死の選択は尊重されるべきだろう、と考える人もいることだろう。別にここで答えを出す必要はない。ただ、事実としてスイスではすでに死は権利として認められているというだけだ。 さて、このサルコ、実は3Dプリンターによって作られたものだという。作成者はフィリップ・ニッチケ、デザイナーはアレクサンダー・バニンクという人物で、バニングは現在、このサルコの3Dデータと設計図を50歳以上の希望者に対して提供する計画を考えているという。これはヨーロッパではスイス以外のほとんどの国で自殺幇助が認められておらず、マシンを直接提供したり、マシンを共に製造したりした場合、法に問われてしまうからだ。果たして、サルコクロは世界にどのように受け入れられ、用いられるのだろうか。なんでも作成者のフィリップ・ニッチケは、サルコにアクセスするためのテストをAIによって行うことを考えているらしい。その人物が死ぬ準備ができているかどうか、命の判断を行うのはもう人間の仕事ではないのかもしれない。
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あのイーブイに9つ目の進化形が誕生!? 3Dプリントフィギュア界でにわかに注目を集めるハイブリッドフィギュア
ポケモンの人気キャラが思いもよらぬ姿に イーブイは他の第1世代のポケモンの中でも人気の高いユニークなモンスターだ。小さな茶色のキツネのような風貌は愛玩動物のようにキュートだが、ゲームフリークが注目するのは他のポケットモンスターのどれよりも多く、8つの異なる可能な進化を持っていることだ。さて、実は最近、イーブイに新たな進化のバリヴァリエーションが加わった。残念ながらそれは公式にではない。しかし、その新たな進化形イーブイが、今、世界のゲームファンの中でひそかに話題になっているのだ。 Twitter上で活躍するコスプレアーティスト@JohnnyJunkers は、今月の5日、「ついに、ロックタイプのイーブイの進化が」というタイトルの写真を投稿した。もちろん、これはポケモンファンが予想していたものとは異なるものだ。一見して「イーブイ?」と目を見開かずにはいられない。なんせ、あの可愛いイーブイの最新の進化形は、ハリウッド俳優でプロレスラーのドウェイン「ザロック」ジョンソンの強面な顔をイーブイの体に融合させたものを3Dプリントした彫刻だったからだ。 Finally, a rock type Eevee evolution. pic.twitter.com/gErHdmUAWS — ⚔Junkers@Cosplay: Megaman LGNDS⚒ (@JohnnyJunkers) January 5, 2022 デザインはいたってシンプル。イーブイの小さな体からロックの頭が出ている。この彫刻には、ロックの人間の耳にイーブイの耳を加えて、合計4つの耳がある。端的に言ってちょっとヤバい。しかし、このちょっとヤバいイーブイはすでに19.4万いいねを集めるバズ画像となっている。ツイッターユーザーからの反応も上々で、みな一様にこの変わり果てたイーブイの姿を賞賛している。ポケモンファンは懐が広い。あるいはロックのファンが大らかなのか。 ...
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たった6分でハンバーガーを3Dプリントするマシンがついに実装|外食産業に混乱をもたらすロボットシェフシステムとは?
3Dフードプリント業界に激震を走らせた「ロボットシェフシステム」 3Dフードプリント技術が大幅に飛躍しようとしている。これまで3Dフードプリンターの可能性は様々に語られてきた。ボタン一つで好きな食べ物が自動的にプリントされるようになるかもしれない未来をめぐって、半ば夢想的な語りが多くなされてきたのだ。たとえば、こんな物語だ。レストランに入店したあなたは、テーブルのモニターを操作し、好きな食べ物を選択する。するとテーブルに備え付けられた小型の機械が瞬時に動き出し、瞬く間に注文した料理をプリントしてくれる。もちろん、ステーキからお寿司まで、メニューのバリエーションも完璧だ。しかし、なかなかどうして、3Dフードプリント技術の進歩は思ったように進んでこなかった。ペースト状にした食材を成型し、ムースのような食事を提供することはできても、複雑な料理を出力するとなると様々な技術的障壁があり、実現できずにいたのだ。それが変わりつつある。その遥かな夢の鍵を掴んだのは、イスラエルの3Dプリント食品会社SavorEatだ。なんでも最近SavorEatは「ロボットシェフシステム」なる新しいマシンを発表したという。そして、すでにその「ロボットシェフシステム」はイスラエルのハンバーガーチェーンBBBのいくつかの店舗に導入されているというのだ。 画像引用:SavorEat 料理の脱人間化に混乱する外食産業 まず、この「ロボットシェフシステム」とはどのようなものだろうか。このマシンは、ジャガイモ、ひよこ豆、えんどう豆などのたんぱく質の混合物が入ったカートリッジを使用して、ヴィーガンにも優しいベジタブルハンバーガー(のハンバーグ部分)をたった6分で出力してくれるというものだ。さらに、お客さんは自身の好みや健康状態に合わせて、脂肪分やたんぱく質のレベルを選択し、ハンバーガーをカスタマイズできるという。 以下は実際のBBBの体験動画。登場する3Dプリントハンバーガーは見た目も味も従来のバーガーと比べてなんら遜色がなさそうだ。 「これは革命的なことだ。決して忘れることができない体験を生み出すだろう」そう語るのはBBBのCEOであるAhuva Turgemanだ。それもそのはず、この「ロボットシェフシステム」は先に書いた夢をすでに小さく実現しているのだ。つまり、もはやBBBにおいては少なくともハンバーグ部分を作るシェフがいらないということになる。店員はあくまでもハンバーガーのラッピング、商品の受け渡しを行うウェイターとしての役割、そして店内を清潔に保つ清掃員としての役割を持つに過ぎない。 画像引用:SavorEat この技術的革新は、今まで3Dプリント技術を採用してきた様々な産業を襲った変化以上の変化を食品産業にもたらす可能性があると言われている。「ロボットシェフシステム」がさらに進歩を続け、様々なレストランに普及していった時、今までレストランで人間が行なっていた仕事の大部分はロボットによって取って代わられることになる。たとえばアメリカでは全人口の3分の1以上が外食産業で働いていることを考えると、これは労働市場を根底から覆す大事変とさえなりかねない。実際、すでにSavorEatは米国市場のために植物ベースの豚肉を使った朝食用ソーセージを3Dプリントによって提供する準備を始めているという。この「ロボットシェフシステム」を取り上げた世界大手3Dプリントメディアである「3DPRINT.COM」の記事には次のように書かれている。“テクノロジーの準備がほぼ整った今、必要となるのは、人口の大部分が3D印刷された食品を受け入れることと、自動化されデジタル生産された食品が大規模に採用された場合に最終的に置き換わる膨大な数の労働者を補償/再訓練する方法に関する計画です”日本の場合、外国産業従事者数は464万人、これは全従業者の7%に当たる数だ。いつの時代も大きな技術的革新は労働市場に混乱をもたらす。果たして、今回はどうなるだろうか。
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あの世界的経済誌が3Dプリント技術の今後を分析|あらゆる社会的ニーズを3Dプリンターが満たしていく
「3Dプリンター元年」からまもなく10年 2022年は3Dプリンターの可能性を世界に知らしめたベストセラー書籍『MAKERS』(クリス・アンダーソン著)の出版からちょうど10年目の節目に当たる。 『MAKERS』(クリス・アンダーソン著/NHK出版) 『MAKERS』が出版された翌年の2013年にはオバマ元米国大統領が一般教書演説にて「3Dプリンターがアメリカの製造業を変える」と宣言し、テレビやメディアでも3Dプリンターが大きく取り上げられるようになった。大手家電量販店で3Dプリンターの実機が置かれるようになったのもこの頃だ。そうした状況を受けて「3Dプリンター元年」なんて言葉も生まれた。その後の3Dプリンター業界の発展と普及については、これまでも本欄で様々に取り上げてきたところだ。活用の幅は日増しに拡張しており、また技術の精度も向上の一途を辿っている。 とはいえ、全てが順風満帆かと言えばそんなこともない。一方ではさらなる発展のために越えていかなければならない課題や障壁も見えてきており、10年前に夢想していたほどには3Dプリント業界は発展していないと感じている人もいることだろう。 確かに、一般人で3Dプリンターを自宅に常備している人はまだ割合的に多くない。社会生活そのものを一新すると言われた3Dプリンター革命はいまだ局所的な段階にあり、真の特異点には達していないというのが大筋の見立てだ。まだ道半ば、今後に期待がかかる。 3Dプリントテクノロジーの40年史──全ての始まりは小玉秀男の「ラピッドプロトタイピング」だった では、次の10年で3Dプリント業界はどこまで発展していくのだろうか。2020年代以降の3Dプリントテクノロジーの可能性について、先日、世界的な経済誌である『Forbes』が非常に面白い記事をポストしていた。今、世界で注目すべき先端技術を牽引するフォーブステクノロジーカウンシルのメンバーたちが今後3Dプリントテクノロジーによって満たされていくであろう社会的ニーズについて語ったというのだ。ここで少しその記事を覗いてみよう。 10 Exciting Applications Of 3D Printing That Could Revolutionize Industry And Society(Forbes) ...
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IKEAの最新3Dプリント装飾品がモードでカッコいい|自社製品の用途をAM技術で拡張する北欧の最前線
IKEAの新たなるライン「FLAMTRÄD」 新年、特にこれからの2月、3月というシーズンは新生活に向けての準備が始まるシーズンでもある。引っ越し予定がある方はもちろん、新しい一年を心機一転して過ごしていく上で、居住環境のリニューアルを計画されているという方も少なくないだろう。スウェーデン発の家具大手IKEAは、今日、日本においても全国に12店舗を構え「北欧式のおしゃれな家具や生活雑貨を手頃な値段で買えるお店」として親しまれている。2020年には渋谷に、2021年には新宿にも店舗を出店し、その存在感を高まるばかりだ。 そんなIKEAが最新商品ライン「FLAMTRÄD」を発表した。このラインでは3Dプリンターによって製造されたオンデマンドの室内装飾品をリリース、すでに発売が開始されている。これまでも3Dプリントアイテムを様々に提供してきたIKEAだが、今季はSLS方式の3Dプリンターを用い、人間の顔や手などをモチーフとした格子デザインのアイテムを出力した。 カラーリングは黒と白の展開、モードな雰囲気が空間をスタイリッシュに装飾してくれそうだ。専門筋によると今回のFLAMTRÄDのリリースは、IKEAが3Dプリント商品の価格を十分に低くして大量生産する方法を見つけたことを表している可能性があるという。今回の価格帯は4000円から6500円。IKEAの他の商品ラインナップと比較すると決して安くはないが、アートとしての装飾性を考えればリーズナブルだろう。 ところで、DIY愛好家たちの間において、IKEAの家具は3Dプリントされた部品でハッキング、つまりはカスタマイズするのに非常に適していると言われている。IKEA自身もこうしたDIYを奨励していて、自社のスピーカーを3Dプリンターを用いてハックするためのコンテストを主催していたりもする。中でもThisAblesという取り組みでは、IKEA製品を特別なニーズに基づいて使用するための3Dモデルを開発、提供している。たとえば引き出し用のハンドル、ストローを安定させる器具、ゲームコントローラー用のアダプターなどなど。販売された商品を最終形と考えず、それらに潜在している可能性を探求していく姿勢は、まさに今後の製造企業が見習うべきところだろう。 今後、家具雑貨業界では3Dプリンターがますます存在感を高めていくことは間違いない。今度、IKEAに行った際は、どれが3Dプリンターで作られたものかを探すような視線で店内を回ってみても面白いかもしれない。
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