
実物大のティラノサウルスの頭骨をVRスカルプトして3Dプリントした男性が話題に|使用したのはCrealityのCR-10Max
出力にかかった時間は3070時間以上! 家庭用3Dプリンターの限界に挑む
今、Redditであるひとつの投稿が注目を集めていいる。
その投稿には、ある男性が巨大な恐竜の頭骨を掲げてにんまりと満足げな笑みを浮かべている画像も添えられている。この本物と見紛うばかりの精巧な恐竜の頭骨、なんとこの男性が個人的にモデリングして3Dプリントしたティラノサウルスの等身大の頭骨なのだ。
この男性(@Topgunsi)によれば、この頭骨の3Dプリントにあたって使用した出力時間は3070時間以上、使用したフィラメントの総量は97kg以上だという。気が遠くなるような時間と質量。その重労働を担ったのは、SK本舗でも取り扱いのある3DプリンターメーカーCrealityのCR-10Maxだ。
画像はCrealityのCR30。非常に高性能なFDM家庭用3Dプリンターだ。
CR-10Maxはもちろん家庭用3Dプリンターであり、その価格も極めてお手頃。いわば誰にでも手が届くレベルの3Dプリンターであるわけだが、それでこれだけの巨大オブジェをこの精度で作り上げたというのだから、なんとも夢のある話だ。
@Topgunsiによれば、今回、彼はVRスカルプトによってティラノサウルスの頭骨の3Dデータを作ったそうだ。以前にも記事にしたことがある通り、VRスカルプトとはVRヘッドセットを装着し、VR空間の中であたかも本当に彫刻作品を制作するように3Dデータを作り上げていく最新の手法。使用アプリはShapelabs VRというメッシュスカルプティングアプリ。有機的なモデルの造形に強い人気アプリだ。
VRモデリングの魅力と難点──近い将来、VRモデリングがスタンダードに?
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@Topgunsiはこの手法にのめりこんで以来、様々な恐竜や先史時代の生き物の骨格をバーチャル空間で造形し、恐竜骨格の仮想ミュージアムを構築してきた。そして今年に入り、地元であるニュージーランドで本物のティラノサウルスの骨格標本を鑑賞する機会を経て、現在は自身が作ったティラノサウルス骨格モデルの全体を等身大で3Dプリントするという、壮大な計画に着手している(計画の進捗は常にRedditにて公開されている)。
ただし、実は恐竜の骨格の3Dプリント自体は珍しいことではない。すでにスミソニアン博物館は独自でスキャニングしたティラノサウルスとトリケラトプスの3Dモデルを一般に無料公開しており、もし恐竜を3Dプリントしたいだけなら、誰にでもその門戸は開かれている。
つまり今回注目すべき点は、やはり一般人がVRスカルプトによって複雑な骨格データを作りあげ、それを家庭用3Dプリンターで等身大サイズにおいて出力するという力技を達成した点にこそあ流のだ。それはまた同時に、時間と根気さえあれば誰にでも挑戦できるということをも意味している。
果たして、@Topgunsiの無謀な挑戦は今後どんな展開を見せるのだろうか。さしずめ現代版「シュヴァルの理想宮」。続報を待つことにしよう。