Anycubicが開発中の未来の3Dプリンター「Photon Nex」|徐々にその驚異の全貌が明らかに
謎に包まれたPhoton Nex
PhotonシリーズでおなじみのAnycubicが数年前より開発を進めているあるレジン3Dプリンターがある。
その名はPhoton Nex。
AnycubicいわくSF映画シリーズの「スタートレック」にインスパイアされたというデザインからも分かるように、同社はこのPhoton Nexを未来の3Dプリンターとして位置付け、開発を進めているという。
これまで同社はPhoton Nexの情報を小出しにしか公開してこなかった。しかし2022年に入り、Photon Nexは少しずつ、その全貌の輪郭を露わにさせ始めている。
9月に入ってからもAnycubicは公式ツイッターにおいて唐突いPhoton Nexのビジュアルを公開した。これは近いうちに何かが起こるのではないかと予感させるムーブだ。俄然、気になってくる。
Nexの革新ポイント
そもそもPhoton Nexはどのような点で「未来の3Dプリンター」なのだろうか。
世界的3Dプリンターメディアである「ALL3DP」によれば、Photon Nexには少なくとも4つの革新的なポイントが準備されているという。
まず一つ目は「速度」だ。
同社がPhoton Nexに期待している出力速度は1600mm/h。これは高さ200ミリメートルのエッフェル塔のモデルを7分半で印刷できる速度であり、もし本当に実現したら革新どころの騒ぎではない。現状でその出力速度を裏付けるような機能的説明はないものの、期待値は否応なしに高まってしまう。
二つ目は「色」だ。
Anycubicが当初言及していたところによれば、Photon Nexはフルカラー3Dプリンターとして想定されている。それもただのフルカラーではない。現実世界そのままの色を精巧に実現する多色3Dプリントの実現が目指されているという。いまだフルカラー3Dプリンターがそれほど一般に普及していない現状を思えば、かなり先進的なヴィジョンだろう。
三つ目は「自動レベリング」だ。
Photon Nexにはプリントプレートのレベリングが自動で行われるシステムが搭載される予定だという。つまり、Photon Nexにおいてはプリントプレートをレベリングするためにネジをいじって調整する必要がなくなるということだ。これは光造形ユーザーにとっては単純に非常にありがたい話だ。果たしてどうそのシステムを搭載するのかについては、いまだ明るみにされていない。
四つ目は「省エネルギー」だ。
Anycubicは機能性だけではなく、省エネにも強い意識を抱いている。Photon Nexではなんらかの形でゾーン照射システムが搭載される予定だという。それによって、今までの3Dプリンター以上に消費エネルギーを節約することが目指されている。
さらにPhoton Nexには10.1 インチ 8K モノ LCD、自動レジン供給システム、および停電回復機能が搭載される予定だという。端的に言ってすごい。
夢物語か未来の青写真か
しかし、このように見ていくとPhoton Nex、あまりに夢物語すぎて、少なくともしばらくは現実に販売されることはないだろうと思ってしまう。実際、AnycubicがPhoton Nexを市場にリリースする計画は現状においてまだ立っていない。あくまでもヴィジョンなのだ。
ただ、たとえ無謀だとしても、壮大な青写真を描くこと自体は評価すべきだろう。たとえこの理想へと辿り着くことは難しかったとしても、目指すべき山頂があるかないかでは、歩く速度も変わってこようというものだ。
それに、上記したようなすべての機能を同時に達成することは難しくとも、部分的に達成するということであれば、決して現実味がないわけでもない。とりあえずNexの手前の手前でどんな機種がリリースされるのかを楽しみにし続けることにしよう。