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金属とプラスチックを同時に造形できる3Dプリント技術を早稲田大学が開発
プラスチックと金属からなる製品を出力するには? 3Dプリンターで使用することができる素材といえば、まず思いつくのがプラスチックだろう。熱溶解式で用いられるフィラメントも、光造形式で用いられるレジンも、名前こそ異なるが共に樹脂、つまりプラスチックのことだ。 あるいは最近では金属も注目されている。これまでは主に工業的に用いられてきた金属3Dプリンターだったが、現在、技術の進歩とともに低価格化が進んでおり、金属は一般の3Dプリンターユーザーにとっても馴染みのある素材となりつつある。先日、記事にもまとめたように、金属のほか、砂やシリカを素材とする粉末造形方式という出力方式も存在する。 3Dプリンター第三の方式「粉末造形方式」とは何か? その5つの分類と特徴について 当然、使用できる素材が増えればつくることができる対象の幅も広がるのだが、一方で私たちが普段使用している製品の中には、プラスチックだけでできているわけでも、金属だけでできているわけでもないものが多い。そう、実は多くの製品においてはプラスチックと金属の両方が同時に使用されているのである。 すると、どちらか一方の素材しか使えない従来の3Dプリンターの場合、少なくとも一発で完成品を出力することは極めて困難となる。プラスチック、金属、それぞれの3Dプリンターで部品を出力し、その後それらを組み合わせるというプロセスは、控えめに言っても大変な手間だ。 2020年の8月、早稲田大学の研究チームがそうした3Dプリンターの煩わしい状況を一変させる技術を開発したことを発表した。研究チームが「ハイブリッド3Dプリンタ造形技術」と呼ぶその技術とは、他でもない「プラスチックと金属を同時に3Dプリント造形する技術」のことだ。 ハイブリッド3Dプリンタ造形技術とは何か さて、この「ハイブリッド3Dプリンタ造形技術」とはいかなるものだろうか。 そもそも、これまでプラスチックと金属を同時に出力することができなかったのは、それらの素材ではそれぞれ溶け出す融点が大幅に異なることがその理由だった。それゆえ同じマシン内でプラスチックと金属という二つの素材を扱うことはできないとされてきたのだ。 この難問を、早稲田大学の研究チームは「めっき技術」と「3Dプリンタ技術」を組み合わせた新しい技術を開発することで解決したという。そして、金属とプラスチックで構成される任意形状の立体を簡単に造形できるということを実証して見せたのだ。 早稲田大学のHP(https://skhonpo.com/blog/powder)によると “本共同研究グループは、めっき技術と3Dプリンタ技術を組み合わせることにしました。無電解めっきを施すことが可能なフィラメントを独自に開発することで、めっき部(金属部)とプラスチック部の位置を制御した立体造形物の作製を実現できると考えました。” “まず、プラスチック用の3Dプリンタで一般的に使用される材料であるABS樹脂に塩化パラジウムを含有させたABS+PdCl2フィラメントを新たに開発しました。その上で、開発したこのフィラメントとABSフィラメントをデュアルノズルの3Dプリンタによって、二色刷りの要領で、ABS+PdCl2部分とABS部分から構成される立体を3Dプリントします。” “3Dプリントされた造形物に対して、無電解めっきを施すことによって、塩化パラジウムの部分に金属が析出します。その結果、金属とプラスチックから構成される立体造形物を作製することができました。” とのこと。そうして実際にハイブリッド出力された造形物がこちらである。 画像引用:早稲田大学 ...
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フィラメントを天敵「湿度」から守るには!? その予防、検出、乾燥の方法について
どうする? フィラメントの吸湿性 SK本舗は基本的に光造形方式の3Dプリンターを扱っているが、今回は熱溶解積層方式(以下、FDM)の3Dプリンターを併用されている方のために、FDMのプリント素材となるフィラメントに関する情報をお届けしたい。 おそらく、FDMを使用されている方は誰しもフィラメントの吸湿性に悩んだことがあるのではないだろうか。湿気はフィラメントの大敵であり、特に日本のような多湿な環境においては、フィラメントを湿度から守ることが、非常に重要な取り組みとなってくる。 そこで、ここではフィラメントの吸湿性によって起こるトラブルや、そうしたトラブルを回避するための知識について、いくつか紹介してみようと思う。FDMユーザーの方はぜひご参考にしていただければ幸いだ。 吸湿によって起こるトラブル どんなフィラメントが吸湿しやすい? まず、ほとんどのフィラメントは吸湿性だ。つまり、空気中に湿度がある場合、フィラメントは自然にそれを吸収することになる。時間経過により吸湿しすぎたフィラメントを使用して生じるエラーはいくつかあり、主に以下のようなことが起こるといわれている。 ・レイヤーの気泡 ・押出機のエラー ・出力品が脆く、壊れやすくなる ・ヒートベッドへの密着性が悪くなる がっさがさフィラメントが吸湿してるのか糸引きもすごいや… pic.twitter.com/a9vQJ6HlSD — HiGE (@hige1117) October 11, 2020...
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1枚の写真から3Dモデルを作成するにはどうすれば? 思い出の瞬間を3Dプリンターで出力!
大切な写真を3Dプリンターで立体にプリントしたい、と考える人は多いと思います。今回は、写真から3Dプリントを行うための三つの方法をご紹介します。
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食用3Dプリンターは「食の未来」を変えるか? その現状、可能性、難点をめぐって──
食用3Dプリンターの原型となった「ピザの自動販売機」 現在3Dプリンターには様々な造形方式が生まれており、樹脂による出力、金属による出力など、素材も多様である。私たちが普段口にするような食品もその例外ではなく、食用3Dプリンターの技術的な発展は近年、実に目覚しい。 食用3Dプリンターの原型といえば、2015年に登場したピザの自動販売機がそれにあたると言うことが出来るだろう。この機械は1台の機体の中で既に用意されたピザの生地にトマトソースとチーズがトッピングされ、最後にオーブンで焼くというプロセスをオートメーションによって行うものだ。どちらかといえばクッキングマシンというイメージで、いわゆる3Dプリントのイメージとはやや異なるかもしれないが、特定の素材を用いて自動で立体物を出力するという意味において、これはけだし3Dプリンターだと言える。 近年、食用3Dプリンターはより技術的に発達しており、すでに3Dプリンターを使用するレストランも海外では少しずつ登場してきている。現在は高級レストランやベーカリーにしか導入されていないが、今後、食用3Dプリンター市場が急成長するであろうことは間違いない。各家庭に食用3Dプリンターが設置される日もそう遠くはないだろう。そこで、ここではピザの自動販売機に端を発する食用3Dプリンターの現在について、その技術的な部分を紹介すると共に、それがもたらす利点や欠点などについても考察してみたい。 食用3Dプリンターの出力方式 現在登場している食用3Dプリンターはいずれも材料押し出し法(FDM方式)と似たタイプのプリンターになっている。理論上においては、ペーストまたは半液体状態の材料であれば全て成形し、3Dプリントすることが可能であるとされており、たとえばチョコレートやパンケーキの生地などがその代表例である。 しかし、実際には全てのペースト状或いは半液体状の食材であれば何でも3Dプリントできるというわけでもない。というのも、食事の3Dプリントにあたっては使用するプリンター専用のカートリッジを事前に購入する必要があり、このカートリッジの種類に作れるものが依存しているからだ。 また現時点で登場している食用3Dプリンターにおいては、いわゆる「調理」をすることが出来ない。例外としてPancakeBotという3Dプリンターは生地を押し出し、最後に焼くことまで可能であるが、PancakeBotにおいても生地を裏返す際は人の手を介する必要がある。 その他、食用の3Dプリントの技術として、現在、粉末積層法(SLS方式)で食材を添加していくプロセスなども研究されているが、これが近年中に実現可能かどうかはまだ不明である。 食用3Dプリンターの長所と短所 ...
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腕時計界の至宝「トゥールビヨン」の複雑機構を3Dプリンターで再現──テクノロジーによって変化するステータスの意味
ステータスシンボルとしての「腕時計」 ある人物の地位や富を示すステータスシンボルといえば、車、服、家などがまず思いつくかもしれない。しかし、数あるステータスシンボルの中でも、その歴史の長さ、物語の深さでいえば、腕時計に勝るものはないだろう。 スイスの老舗時計ブランドであるヴァシュロン・コンスタンタンの伝統的なモデル「パトリモニー・トラディショナル・クロノグラフ」。価格は約500万円。 腕時計がステータスシンボルとして優れていることにはいくつか理由がある。たとえば、腕時計が常に身につける「身近」で「個人的」な装飾品であるということ、その他の高級品よりも価格的に入手しやすく(とはいえ家一軒分くらいの価値を持つ時計もあるが)多くの人に開かれた贅沢であるということ、そして車や服というものがモデルチェンジやモードチェンジによって数年ごとに流行が変化していくのに対し、時計のデザインは普遍的で美的に経年耐久性があること、などが挙げられる。 かつてフランスやイギリスの王侯貴族を魅了したとされているジャケ・ドローの「グラン・セコンド」。懐中時計からインスピレーションを得て製作されたモデル。価格は約220万円。 実際、ロレックスやオメガなど、高級腕時計ブランドの人気モデルは数十年にわたって変化がない。もちろん、新機種、新モデルなども常に登場はしているものの、エクスプローラーやシーマスターなど、誰もが耳にしたことあるような定番モデルは、今日においても変わらずに高い存在感を放っている。 もはや高級腕時計の定番となっているオメガの「シーマスター」。価格は40万円台から。 近年はiphoneの普及によって若年層の腕時計離れが進んでいたが、裏を返せば、これは腕時計が「時間を知るため」という機能性に還元されなくなったとも言えるだろう。ステータスシンボルとしての腕時計は、今日においてより純粋性を高めているとさえ言えるかもしれない。 腕時計界の至宝「トゥールビヨン」とは? さて、そうした腕時計の世界において、特別な存在がある。それは「世界三大複雑機構」と呼ばれる、技術レベルの高い限られたメーカーのみが製造できる、希少かつ複雑なメカニズムを有する時計である。 もちろん、この機構を持つ腕時計は抜群に高額だ。それらの時計にはたとえばロレックスのデイトジャストのような一見した派手さはない。言ってしまえば通向けではあるのだが、それだけに「分かる人には分かる」といういぶし銀の魅力を称えているのだ。つまり、それを腕に巻いているということは、その者のステータスを示すのみならず、「良いものを見極める」審美眼や、「表層よりも本質を重んじる」文化的教養の高さを示すことになるというわけだ。 この「世界三大複雑機構」がどのようなものかと言うと、長期にわたりカレンダー調整を不要とする「永久カレンダー」、ゴング音が時間を知らせる「ミニッツリピーター」、そして各パーツが受ける重力を均一化することにより安定した精度を維持する「トゥールビヨン」の三つからなる。 中でも高額で、人気が高いのは「トゥールビヨン」だろう。その神がかって複雑な構造を再現できる時計師は、なんと世界に10人程度しかいないと言われている。発明したのは天才時計技師ブレゲ。トゥールビヨンの発明によってブレゲは時計の歴史を200年推し進めたとまで言われており、実際、ブレゲのトゥールビヨンを現在買うためには最低でも車一台購入できるだけの額を用意しなければいけない。まさに至高のロマンと言うべき、腕時計界の「宝」である。 ブレゲの2019年の作品「クラシック...
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3Dプリンター第三の方式「粉末造形方式」とは何か? その5つの分類と特徴について
3Dプリンター第三の方式「粉末造形方式」 3Dプリンターの造形方式として、一般的に知られているのは光造形方式と、熱溶解積層法の2種類である。市販されている家庭用3Dプリンターは基本的にこの2種類のいずれかであり、たとえば弊社SK本舗ではご存知のように主に光造形の3Dプリンターを中心に取り扱っている。それぞれの造形方式に長所と短所、特性があり、そこについては以前、記事にまとめたこともあるので是非ともご参照いただきたい。 3Dプリンターとは?造形方式やその特徴比較! さて、今回取り上げるのは、光造形方式でも熱溶解積層法でもない、第三の造形方式についてだ。それは通称「粉末造形方式」 と呼ばれる造形方式である。 光造形方式、熱溶解積層法では共に樹脂が素材として用いられており、光造形の場合は紫外線硬化樹脂(レジン)が、熱溶解積層法では熱可塑性樹脂がそれぞれ印刷材料となる。一方、この粉末造形方式では、その名の通り、印刷材料として粉末が使用される のだが、果たして、この粉末造形方式とはどのような方法で粉末から立体物を造形していくのだろうか。 以下では粉末3Dプリンターについて、その基礎的な部分を解説してみたい。 粉末3Dプリントの基礎 まず、粉末3Dプリントの特性についてだ。粉末3Dプリンターでは金属、砂、シリカなど、他の方式では使用できない様々な材料で印刷を行うことができる。いわゆる金属3Dプリンターにおける代表的な造形方式であり、粉末3Dプリンターでは一般的に金属以外においても耐久性の強い造形物を製作できるとされている、そのため、粉末3Dプリンターは最終製品や鋳型の出力に向いていると言われ、主に製造業において高いプレゼンスを誇っている。 ただ光造形方式、熱溶解積層法の3Dプリンターと比較した時、粉末3Dプリンターは現状では平均価格が約60万円とされており、やや高価であるのも特徴だ。一応、一般向けの粉末3Dプリンターも市場には出ているが、今のところ家庭用ではなく主に業務用として流通している。とはいえ、今後は低価格化が進んでいくとも言われており、そうなると一般ユーザーにとってもより身近な存在になっていくことは間違いない。今のうちに学んでおいて損はないだろう。 さて、粉末3Dプリンターには2種類の主要な印刷方式がある。それは「パウダーベッド方式」と「バインダージェット方式」 である。 まず、パウダーベッド方式とは、材料となる粉末を敷き詰め、そこにレーザーやビームを当てていくことで、粉末粒子を焼結または溶解させて造形していく方法だ。 一方、バインダージェット方式とは、材料となる粉末を敷き詰め、そこに液体の結合材(これがバインダと呼ばれる)を噴射して固形化していくことで造形していく方法だ。 ...
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災害支援で活躍する先端3Dプリント技術──家屋の修復、仮設住宅の建造、不足物資の補填
台風で破損した屋根を3Dプリント瓦で修復 2019年に猛威を振るった台風15号によって家屋の破損など多くの被害を受けた千葉県館山市において、東京大院生らのチームが3Dプリンターで出力した屋根瓦を使って壊れた屋根の補修作業を行なったというニュースが2020年10月27日付の日経新聞に掲載された。 3Dプリント屋根瓦が復旧にあたったのは明治初期に建てられたという同地域の交流施設である古民家「かやぶきゴンジロウ」。この古民家もまた台風15号により家屋の一部が破損していた。 かやぶきゴンジロウ(画像引用:https://gramho.com/media/1881708459613670893) この修復プロジェクト自体は昨年より始動しており、記事によれば、同大学院修了の砂田頼佳さんが留学先のスイスで壊れた屋根を3Dプリント瓦で修復した経験が今回の作業に生かされたとのことだ。大学院チームは被災者からの需要があれば、今後もこの3Dプリント瓦の製作を続けるとしている。 コロナ支援でも活躍した3Dプリンター こうした災害支援のための3Dプリンター活用には他にも事例がある。それこそ思い起こされるのは、今なお猛威を振るうコロナ禍において3Dプリンターが果たした役割だ。 パンデミックによって交通機関が停止したことで医療物資の流通に遅れが生じ、深刻な物資不足に陥っていた臨床現場を救ったのは3Dプリンターだった。マスク、フェースシールド、イヤーガード、人工呼吸器、検査用綿棒など、多くの必要品を現場で出力するための3Dデータが有志らによって作成、拡散されたのだ。実際に医療現場はこの3Dプリント医療品によってかなり救われたと聞いている。 あるいは中国の湖北においては不足していたコロナ感染者のための隔離病棟も3Dプリントによって増設されるということもあった。パンデミックは世界中を混乱に陥れたが、皮肉にもそうした混乱によって3Dプリンターの有用性にあらためて注目が集まることになったのだ。 48時間で2棟をプリント!? 3Dプリント仮設住宅の現在 おそらくは今後、地震やハリケーンによる災害の復興支援などにおいても、今まで以上に3Dプリンターが役立てられていくことは間違いない。その中でも3Dプリンターが顕著に有用性を発揮するであろうは、被災者の仮設住宅の建設においてである。 3Dプリンターによる仮設住宅建設に関して注目すべきは、昨年にの記事でも紹介したカリフォルニアを拠点とする非営利団体「ニューストーリー」の取り組みだ。すでに2000棟を超える3Dプリント仮設住宅の建設に取り組んできた同団体は、現在、様々な理由で適切な住居を持てずにいる人々のために、メキシコ農村地区に3Dプリンターで出力された住宅街の建造することに取り組んでいる。 メキシコの農村に3Dプリンターの住宅街が誕生!?...
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今すぐ始めるべき副業は「3Dプリンター」!? 間違いなく売れる出力品とは何か?
趣味の3Dプリンターが利益を生み出す? ますます、普及の速度を高めている3Dプリンター。一般家庭にも浸透しつつあり、3Dプリンターを使った「ものつくり」がより広く楽しまれるようになってきている。 もちろん、これは大変に素晴らしいことなのだが、ちょっともったいなさもある。せっかく色々なものを3Dプリントしているのに、多くの場合、それが趣味の範囲にとどまってしまっているからだ。言うなればそれはDIYの家具作りと同様、せっかく作った価値のある「作品」を、自分のためだけの「もの」にとどめてしまっているようなものだ。 それが決して悪いという話ではなく、繰り返すが「もったいない」のである。3Dプリンターを興じるにもそれなりにコストはかかる。プリンター本体代は言うまでもなく、レジン代、消耗品代、場合によってはソフト代など、頻繁に使用するならば特に一定のランニングコストが掛かってしまう。現在はレジンも低価格高品質なものもあり、かつてよりはだいぶ、そのコストは低下はしているが、もしそのコストを帳消しにできる、あるいはそのコストを上回る利益を得られるとしたらどうだろうか。 これはつまり「趣味と実益を兼ねれたらより良いではないか」という話である。実際、趣味としていた3Dプリンターを使って商品を出力、販売し、少なくない副収入を得ている人たちがすでにいるのだ。 特にリモートワーク化の推進が謳われている今日、通勤時間の削減で得た時間で3Dプリンターを使用した副業に注目が集まるのは時間の問題だろう。そこで以下では3Dプリンターを使った副業について解説してみたいと思う。 どんな出力品が売れるの? 狙い目のブルーオーシャンは? さて、3Dプリンターで副業といっても、一体何を売ればいいのだろうか。 これはまさに様々あって、一概に「これが売れる」とは言えない。3Dプリンターで作れるものは多種多様、その中で市場が求めているものは何かを推測し、かつ競合相手が少なそうな「もの」を考える必要がある 。 一般によく売れるとされているのは、趣味のための道具だ。たとえば、リンク先のすでに3Dプリンターで副業をされているという方が書かれたnoteの記事においては、以下のようなラインナップがよく販売されている例として紹介されている。 【副業】3Dプリンターって稼げるの?個人で販売してみた!(再編集版) ・クッキーの型 ・ミニ四駆の部品 ・釣り関連の道具...
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3Dプリンターによって立体再現された歴史的名画がヤフオクに出品!? ダヴィンチ、ダリ、葛飾北斎まで
多様化するアートと3Dプリンター かつて「アート」と言えば主に絵画や彫刻のことだった。しかし、現代においては「アート」という言葉が指し示す範囲は非常に広い。 たとえば、演劇性の高いパフォーマンスアートや地形を用いたランドアート、あるいは映像や音楽を駆使したメディアアートなどの登場は、「アート」の主要な形式を一点ものの絵画や彫刻から空間全体を使って表現するインスタレーションへとシフトさせた。 ランドアートの代表作であるロバート・スミッソンの「スパイラルジェッティ」(出典:wikipedia) ビデオアートの元祖と言われるナム・ジュン・パイクのテレビ彫刻(出典:wikipedia) さらにここ20年では鑑賞者との関係性や社会活動そのものを作品化するというソーシャリーエンゲージドアート(SEA)が注目を集めており、一方には視覚ではなく嗅覚に訴えかけるオルファクトリーアートなどまでありと、実に百花繚乱、あれもこれも「アート」というヴァーリトゥードの様相を呈している。 このような多様性に富むアート業界において、アーティストたちが現在、競うように3Dプリンターを制作ツールとして使い始めているということは、以前にも紹介した通りだ。 2020年に注目すべき3Dプリンターアートを厳選紹介── オラファー・エリアソンからろくでなし子まで 特に立体造形に関しては、3Dプリンターという技術によって初めて可能になった造形もあり、注目度が高い。あるいは3Dスキャンしたデータをそのまま3Dプリントすることが可能になったことによって、対象を写実的かつ立体的に再現すること自体の意味合いは明らかに変わったとも言えるだろう。それはかつて写真機の登場によって絵画の存在理由が根底から問われ直したのと同様だ。テクノロジーはえてして「アート」の世界に改革をもたらしてきたが、3Dプリンターもまた様々な意味で「アート」の世界全体に大きな影響を与えているのである。 かつての名画を3Dプリントによって立体的に再現 一方で今、3Dプリンターと「アート」の新しい関わり方も模索されている。たとえば、3Dプリント技術による新たなる価値創出を目指すベンチャー企業メルタは、来たる11月3日、文化の日にちなんで、3Dプリンターで製作した「3Dプリント名画」の公開オークションを実施することを発表した。 これは、ある意味で、アートの世界の外側からのアートの再解釈である。再現された「3Dプリント名画」は、いずれも歴史上の重要な名画だ。レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」、葛飾北斎の「富獄三十六景」、サルバドール・ダリの「記憶の固執」。アートの歴史に明るくなくとも一度は目にしたことがあるような有名作ばかりである。 出典:メルタ ...
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3Dバイオプリントは人間を「身体」から解放する── プリント人工骨を開発するA.D.A.Mが掲げる「トランスヒューマニズム」とは?
人間の「骨」を3Dプリントする技術 これまでもSKメディアでは臓器や血管のバイオ3Dプリンティングについては様々にレポートしてきているが、この技術にこれほど注目が集まっているのには理由がある。過去20年間で臓器移植を待つ間になくなった人は15万人超、そして、これまでの臓器移植のやり方ではこの問題は永遠に解決できないと言われているのである。では、どうすればいいのか。解決方法は一つ、それは「必要に応じて人間の臓器をプリントする」ことだ。 かくして医療分野における臓器プリント技術は日進月歩の勢いで進歩し続けているのだが、そんな中、現在では私たちの身体を形成する「骨」もまた3Dプリントの対象となってきている。 たとえば、今年の6月にはテキサスA&M大学の研究チームが、骨組織の3Dバイオプリンティングに使用できる新たなバイオインク「NICE」を開発したことを発表している。これまで、骨の3Dバイオプリントは、身体への適応においてハードルが多く、歯科医療などの限定的な部位を除いてはなかなか進んでこなかった。しかし、この人工細胞を含んだNICEバイオインクであれば、プリント後にネットワークを架橋して強力な足場を作りだし、細胞に優しい人体部位の環境を模倣することで、身体への適応が図られている。要するにNICEとは、問題なく移植可能な「人工骨」を作り出すことができるインク、というわけだ。 Source: Texas A&M University College of Engineering まだ実験段階だが、臨床現場に導入されれば、患者に特異的な骨移植片を設計することによって、従来の治療法と比べて時間も費用も抑えた骨の欠損や損傷に対する医療を提供できる可能性があると言われている。多くの患者を救うかもしれない注目の技術だ。 3Dバイオプリントが人間を「身体」から解放する 同じく、3Dバイオプリントによる人工骨の出力を試みているのがウクライナで操業しているA.D.A.M.である。同社は、骨形成を促進し、高強度で生体吸収性の良い生体高分子材料を改質したバイオセラミックから3 Dプリント骨移植片を作るためのオンデマンド組織製造ソリューションの設計を試みている。 実際、すでにA.D.A.Mでは人工骨の製造が行われているのだが、現状ではまだFDA(米国食品医薬品局)からの承認は受けられていない。残すところは動物実験による安全性の確認となっており、A.D.A.MのCEOであるDenys Gurak氏曰く、あと1年半ほどで市場に提供できる見込みとのことだ。 この承認が通れば、少なくともまずは米国で「骨のインプラント」がより素早く、安価に行われるようになるということだが、A.D.A.Mのビジョンはさらに遠くへと向かっている。同社の最終目標は人間の「身体からの解放」だ。つまり、骨、臓器など、すべてを手軽な価格で3Dバイオプリントすることを可能にすることで、あたかも機械の部品を交換するかのように、身体を修繕、あるいは改造できる社会を作り出すことが、目標として掲げられているのだ。 ...
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3Dプリンターが再現する「極小の世界」!? 髪の毛の半分サイズのナノ彫刻が切りひらく近未来
様々に描かれてきたミクロな世界への想像力 2017年に公開された『ダウンサイズ』という映画をご存知だろうか? 舞台は近未来、人口爆発による資源不足、土地不足の問題を抱えた地球において危急の策として生み出された対策案、それは人間を極小化し、ミクロの街に住まわせるというものだった。「ダウンサイズ」と呼ばれるその技術は人間を13cmにまで縮小することができるもので、マット・デイモンが演じる主人公もまた、試験的に設計されたミクロの世界への移住を決める。全てがダウンサイズされた不思議な世界を舞台に展開していくこの物語は、その後、誰もが驚く予想外の結末を迎えることになるのだが…、ネタバレは避けよう。いずれにせよ、映像上で再現されたミクロ世界はなんとも生々しく、ああ、こんな未来もありえるのかもな、と他人事ではない気持ちにさせられたものである。 この手の想像力がフィクションにおいて描かれることは実は少なくない。映画でいうと『ダウンサイズ』の他にも、ミクロ化した人間がカプセルに入って人間の身体を駆け巡る『インナースペース』(1987)や、ミクロ化した子供達がジャングルと化した自宅の庭を冒険する『ミクロキッズ』(1989)あたりがまず思い浮かぶところだ。あるいは日本人であれば何よりもまず藤子不二雄の名作漫画『ドラえもん』の未来道具の一つ「スモールライト」を連想するという方も多いかもしれない。 だいたい、人間の想像力というものは、宇宙か深海、巨大か極小へと飛躍しがちなものだ。特に極小の世界への憧れというのは根強いようで、海外などにいくと、路傍で米粒に極小の絵を描いて売っている芸人さんをちらほら見かけるし、仏教では古くから修行の一つとして米粒への写経が行われてきたとかこなかったとか。確かにそう考えてみると、小学校の理科の授業においても最も興奮したのは顕微鏡で微生物を眺めたとき(いや、一番はカエルの解剖か)だったというような気がしなくもない。 このように人間を蠱惑してやまない「小さな世界」なのだが、今、この「小さな世界」を作り出すナノ3Dプリント技術が、ネット上でにわかに注目を集めているのだ。 実寸比52万分の1の超極小「戦艦大和」が話題に 発端となったのは、ツイッターにて金属部品メーカー・キャステムが運営するものづくりスペース「京都LiQビル」の公式アカウントが投稿したこちらの写真だ。 これが…コレ‼️👀#ナノ3Dプリンタ で印刷した #戦艦大和 ⚓️✨ pic.twitter.com/gxMpwsTHPx — キャステム京都LiQ【公式】Youtube始めました! (@castem_liq)...
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人気おもちゃの3Dデータを無料公開!? 大量生産大量消費を3Dプリンターが抑制する
「SDGs」から考える3Dプリンター 大量生産大量消費をベースとした生活がもはや限界にきている。 そう言われるようになって久しい。最近ではSDGsという言葉も注目を集めている。これは「持続可能な開発目標」を意味する言葉だ。背景には20世紀を通じて行われてきた産業発展のための環境破壊、資源の無駄遣いへの反省があり、環境を不必要に圧迫することのない新しい開発モデル、産業モデルが、今この「SDGs」という言葉を一つの掛け声に世界中で模索されている。 しかし、そうとはいえ、なかなか私たちの暮らしを根本から変えることは難しい。「ものを大事に」とは言うものの、ものは使っていれば壊れるし、素材、造形が複雑化した商品が多い今日では、自宅で簡単に修理できるような商品自体がそもそも少ないということもある。 あるいは、同じ商品を長く使われすぎてしまうと、製造メーカーが困ってしまう。商品のモデルチェンジは技術変革によってのみ起こるものではなく、企業が従業員に給料を支払い、経営を持続していく上での必要から起こるものでもあるのだ。 すると結局、大量生産大量消費社会は続いていく。しかし、そのような形を続けていく限り、地球環境はますます悪化していってしまい、いずれは私たち自身の首を締めることになる。これは負のスパイラルだ。 こうした事態をブレイクスルーするための技術として、ここ10年、注目を集めているテクノロジーが3Dプリンターである。 言うまでもなく、3Dプリンターとは3次元の立体物をプリントすることができるプリンターである。すでに製造の現場には3Dプリンターが広く導入されており、個人、企業を問わず「ものつくり」のあり方を大きく変えつつあるが、この3Dプリンターがより普及することで、大量生産大量消費時代を終わらせることができるかもしれない、とも言われているのだ。 3Dデータ販売を通じた究極のオンデマンド生産 工業型の大量生産は、基本的に需要を超えて生産される。言ってしまえば、余分に多く作っておくことで、欠品を防ごうとする。すると当然、売れ残りが生じ、それらはやがて廃棄されることになる。必要を超えて作ることは資源の無駄遣いであり、さらにその余ったものを捨てるとなれば、その廃棄物がさらに環境へと負荷をかけることになる。まさに不合理なシステムだ。 その点、3Dプリンターであれば、必要なものを必要なときに必要なぶんだけプリントすることができる。あるいは、商品を「もの」としてではなくデータで販売することができれば、そもそも在庫という概念がなくなる。消費者が欲しい時に欲しいもののデータを購入して自宅で出力する。必要最低限の資源で、必要最低限な「もの」だけ作られる、そんな究極のオンデマンド生産が実現するかもしれないのだ。 これこそが3Dプリンターが大量生産大量消費時代を変えると言われている所以の一つなのだが、ただ、まだこの究極のオンデマンド体制が実現しているかといえば、そうでもない。商品のデータ形式による販売についても実践している企業はごくわずかだ。しかし、状況は徐々にだとしても動きつつある。 皮肉にもそのきっかけとなっているのは、今まさに猛威を振るっているCOVID-19のパンデミックだ。感染拡大を防ぐための人の移動や物流の制限は、各国の医療現場における医療器具不足を引き起こした。そんな中、不足している医療器具をそれぞれの現場で供給できるように、3Dプリンターの無料データがネット上で次々に公開されたのである。 公開されたデータは、たとえば、防護用のフェースシールド、マスク、人工呼吸器の部品、注射器のプランジャーなどで、いずれも医療現場に欠かせない器具である。それらを現場で出力するためのデータが各メーカー、各研究所、あるいは個人によって作成、拡散されたことによって、実際に現場は大いに救われたそうだ。これは3Dプリンターの可能性を、世の中に広く周知するきっかけになった。 物流にもエネルギーが必要だ。あるいは配達員などのエッセンシャルワーカーへの過剰な負担も今回のパンデミックであらためて問題となった。商品のデータ移動による地産地消の仕組みは、そうした観点からも合理的である。今後、拡充していくことはほぼ間違いないだろう。 壊れたおもちゃのパーツの3Dデータを無償提供...
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3Dプリンターが可能にする未来のアンチエイジング! シワやシミの悩みを解決する最先端の人工皮膚とは?
人工皮膚をハンディデバイスで3Dプリント 礼に始まり礼に終わる。どうも、合氣道初段、SK広報のエリナです、おすおすっ! これまで建築、医療、食、ファッション、芸術など、様々な分野における3Dプリンターの活躍を紹介してきたが、なんと今、美容業界でもアンチエイジングの部門において、3Dプリンターが革新的な技術を提供しつつあるらしい。 その気になる技術の名は3Dスキンプリンター。これはトロント大学の研究チームによって開発されたもののようで、その名の通り、スキン=皮膚を3Dプリントしてくれる技術とのことだ。この印刷された3Dスキンを顔に重ねれば、シワ取り手術やシミ取りレーザーなどを一切経ることなく、すでにある皮膚に一層、皮膚を追加する形でシワ、シミを隠せてしまうということらしい。 携帯型3Dスキンプリンター / Wonderfulengineering.com 使われるデバイスも携帯型で重量は1キロ未満。いわば皮膚に塗りつけるような形で、新しい皮膚を手にできるのである。 しかし、元々は美容目的ではなく、火傷の治療などの目的で開発された技術らしい。素材にはバイオインクが使われており、ようは患部に貼るテープの代わりとなる、人工皮膚のシートを刷り出してくれるということだ。まだ実験段階で救命現場では導入されていないようだが、これが手術室で使われるようになれば救命現場に革命をもたらすとも言われている。 (出典:University of Tronto) この3Dスキンプリンターは、重傷を負った人の命を救い、傷跡を隠し、さらには美容技術にも転用しうるという、夢のような技術なのだ。 近未来の「美」の鍵は3Dプリンターにこそある しかし、実を言うと、この技術が開発、発表されたのは2018年のこと。それから2年が経ち、この人工3Dスキン技術はさらなる発展を遂げているらしい。メディア「Forbes」がその最新技術について紹介しているので、内容を追ってみよう。(https://forbesjapan.com/articles/detail/33453/1/1/1) 新技術の開発を行っているのはアメリカのレンセラー工科大学。ここの研究チームでは、「生きた皮膚」の3D印刷が研究されている。記事によれば、研究チームでは「生体材料を使ったインクを結合し、移植用の皮膚を形成し、患者の肌に合わせて貼り付ける」ということらしい。 さらに、人工皮膚ではないが、このプリント技術を駆使して世界の「P&G」が、インクジェットプリンター「オプト」を開発、2020年内に発売されることをForbesは伝えている。...
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注目すべき3Dプリンターアートを厳選紹介── オラファー・エリアソンからろくでなし子まで
礼に始まり礼に終わる。どうも、合氣道初段、SK広報のエリナです、おすおすっ! 3Dプリンターはアートの世界でも大きく活用されている。今回は、いま最も注目すべき3Dプリンターを使用したアーティストとその作品を、自称アートファンの私が厳選して紹介してみたい。 1.オラファー・エリアソン まず、紹介したいのは今まさに東京都現代美術館で2020年に開催された展覧会「ときに川は橋となる」が話題となった世界的アーティストであるオラファー・エリアソンさんだ。 自然との共生、サステナビリティなどのテーマのもと、光や水などの自然現象を取り込んだ大胆な作品で知られるオラファーさんは、同時に最先端科学に対しても常に敏感に反応し、制作に取り入れてきたことでも知られる。 当然、3Dプリンターも例外じゃない。たとえば、今回の展覧会ではアイスランドの海岸に打ち上げられた氷河の氷をスキャンし、3Dプリンターで再現したという模型が展示されている。実はオラファーさんは以前、グリーンランドから取り出した本物の巨大な氷をロンドンの市街地に複数持ち込み、通行人達にそれが溶けていく様子を見せることで地球温暖化に対する問題提起を行うといった作品も発表したことがある。 今回は3Dプリンターによる再現ではあったが、展示を見た感想としては、見事な造形力のおかげで本物に勝るとも劣らない迫力となっていて、「氷」の放つメッセージについて深く考えさせられた。 いずれにしても、オラファー・エリアソンさんは今最も注目されているアーティストの一人、注目しておいて損はないはずだ! 2.AKI INOMATA 続いては日本の若手アーティスト、AKI INOMATAさんを紹介する。INOMATAさんは人間と動物、人間と異種との関係性をテーマにした作品で知られる作家さんで、たとえば、自分の愛犬の毛で作った毛皮のコートを自分が纏い、一方の愛犬には自分の切った髪の毛で作ったコートを纏わせるというような、非常に面白い作品を作っている。 ...
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ケンタッキーが地球の未来を救う!? 3Dプリント・ナゲットは切迫した食糧問題のソリューションとなるか?
KFCが動物性たんぱく質から作る3Dプリント・ナゲットを開発中 礼に始まり礼に終わる。どうも、合氣道初段、SK広報のエリナです、おすおすっ! バイオ3Dプリンターによる食用人工肉プリンティングの先端情報については、SK本舗でも以前から関心を持って取り上げてきた。まだまだ一般化には至っていないものの、その精度の向上は日進月歩。昨年にはイスラエルのアレフ・ファームズ社が宇宙空間での人工肉の培養に成功して話題となったが、バイオ3Dプリンターでの人工肉プリントが一般化すれば、一般家庭においても、必要な時、必要な分だけ、肉をプリントできる日が来るかもしれない。 そうした期待が渦巻く中、この度、ついにあの大手ファストフード・フランチャイズであるケンタッキーフライドチキン(KFC)が、3Dプリントでのナゲットのプリントテストを始めていることを発表 した。 画像引用:KFC KFCによれば、 ロシアのバイオ3Dプリントの研究開発機関である3D Bioprinting Solutionsとの協力のもと、現在、3Dプリント・ナゲットの開発が進められているという。フライドチキンの代名詞的な存在であるKFCだ。当然、生半可なものは作れないだろう。目指されているのは、本物の鶏肉の食感と味の再現である。 以前ご紹介したイスラエルのベンチャー「Redefine Meat」社のバイオプリント人工肉や、Novameatの「Steak.2.0」などは、いずれも主に植物性タンパク質を合成し、肉そっくりの食感を再現することを目指したものだった。しかし、どうやらKFCは動物性タンパク質を使用している らしい。 画像引用:Redefine Meat すると本来、バイオ3Dプリント人工肉技術が見据えている食糧問題のソリューションには繋がらないのではないか、とも思ってしまうが、KFCによれば、たとえ動物性タンパク質を使用していても、従来の鶏肉からの生産より環境に優しい商品になるそうだ。また、従来よりも少ない添加物で作ることができるため、食べる人の健康にとってもクリーンな食品になるらしい。 チキンといえば、今年の4月に中国のマクドナルトが「5Gチキン」を発表して話題となった。結局それは中国マクドナルドのちょっとしたジョークで、実際に5G技術で作られたチキンが存在したわけではなかったのだが、KFCの方はどうやら本気の様子。詳細はまだ不明とはいえ、来年にも店頭に並び始めるのではないだろうかと期待している。 環境に優しい「肉食」のあり方とは何か ところで、いまや「環境に優しい」はマーケティングにおいて欠かせない要素だ。さすがはKFC、時代の空気を敏感に捉えているその嗅覚が素晴らしい。 実際、2050年に世界人口は約93億人まで増えるということが予想されている。そうなった時、仮に人類の全員が現在のアメリカ風の肉中心の食生活をした場合、2014年に生産された肉の約4.5倍が必要になると言われている のだ。もともと肉食というのは経済効率が非常に悪く、たった1kgの(ケンタッキーはチキンだが)牛肉を育てるためにも、牛に与える食物は13kg、水は14000ℓが必要とされる。 ...
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3Dプリンター製のロケットが2023年に打ち上げ!? 銀河を開拓する3Dプリンティング最前線
宇宙開発の可能性とリスク 礼に始まり礼に終わる。どうも、合氣道初段、SK広報のエリナです、おすおすっ!! 人類にとって最後にして最大の秘境と言えば他でもない宇宙だ。映画監督スタンリー・キューブリックの1968年における未来予測では、2001年には私たちは宇宙空間を自在に旅して、月面でモノリスに接触しているはずだったが、すでに2020年となっている現在、いまだ私たちが気楽に宇宙旅行に出かける状況にはなっていない。 とはいえ、人類は宇宙への夢を捨てたわけではない。数十年で人口が100億人を超えると言われている今日、手狭になった地球とは別に居住地となる惑星を探すという意味でも、宇宙開発はたえず進行している。あるいは、宇宙旅行という夢についてもZOZOの元代表の前澤友作さんが「月旅行」のスターシップへの搭乗権を獲得したように、遅ればせながらも少しずつ、キューブリックの思い描いた未来へと近づいていってはいる。 もちろん、宇宙開発といったときにリスクもある。かつてコロンブスが世界中に天然痘を持ち運び故郷ヨーロッパへは梅毒を持ち帰ったように、宇宙空間には未知なる危険なウイルスや細菌が存在している可能性だってある。未知への挑戦は、そうした生態系を撹乱し、地球に新たなリスクを呼び込む可能性とも常に背中合わせなのだ。 こうした危険を認識しつつ、またそこに対して十分に気をつけながら、宇宙開発、研究は積極的に行っていって欲しいものだ。その上でも3Dプリンターが今、大活躍しようとしているので今回はその最前線を紹介したい 。 「Relativity Space」の挑戦 たとえば、アメリカのロケットベンチャーである「Relativity Space」が先月6月に、衛星通信会社のイリジウムから最大6回の打ち上げ契約を受注したことを発表 している。宇宙開発評論家の鳥嶋真也氏がこれについて記事を纏めているため、ここでも少しその内容を追ってみよう。 「Relativity Space」とイリジウムは2023年以降に6回以上のロケットの打ち上げを予定しているらしい。しかし、日々ロケットが打ち上げられている今日では、それ自体は特筆すべきことではない。「Relativity Space」が今、業界内で注目をされているのは、「Relativity Space」が3Dプリンターでロケットを丸ごと製造することを目指している という点においてなのだ。 「Relativity Space」は2015年に設立したばかりのスタートアップで、20代の若手エンジニアであるティム・エリスと、ジョーダン・ヌーンの2名によって立ち上げられた。実は「Relativity Space」以前にも3Dプリンターは宇宙分野で導入されてきていたのだが、それらはいずれもロケットの部品のプリントレベルにとどまっていた。そこに「Relativity Space」が登場し、ロケットを丸々3Dプリンターで出力してしまおうという大胆なプロジェクトを立ち上げたのだから、3Dプリンター業界も宇宙業界も大注目だろう。 ...
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3Dプリンターは本当に地球環境を救うのか? サステナブルな社会を作るための技術革新とは?
地球環境は限界寸前 気候温暖化が進行している。北極では観測史上初の20℃以上を観測しており、昨年の日本の夏の最高気温は沖縄を除くすべての都道府県で40度以上を記録している。毎年、記録的な規模の台風が猛威を振るっている。温暖化についての見解は様々とはいえ、体感的にも何らかの気候変動が起こっているということについては否定しえないリアリティがある。2019年には環境保護を訴えるグレタ・トゥーンベリの存在も話題になった。この問題においては誰しもが当事者であり、地球の一員として無視することはできない。背景には近代資本主義以降の産業構造がある。大量生産大量消費。エネルギーの過剰な使用。森林面積は毎年、日本の国土面積の2割程度ずつ減少している。一方で地球人口は20世紀頭から数倍に増え、今も増加の一途を辿っている。 人間がこれまでと同様の暮らしを続け、エネルギーを消費し続ければ、環境はもはや致命的に破壊されてしまう。しかし、環境保全のために全員が引きこもってしまったら世界の動きそのものが止まってしまう。この未曾有の困難に解決策はあるのか。テクノロジーの革新が鍵だ。3Dプリンターは元来、無駄な生産、無駄な消費を減少させる可能性を持ったテクノロジーだ。しかし、実際のところ、3Dプリンターはどれくらいエコロジーに役立っているのだろうか。というわけで、今日は、3Dプリンターとエコロジーに関して、最新の情報を紹介したい。そして「3Dプリンターは本当に地球環境を救うことができるのか」ということについても、少し考察してみようと思う。 使用済み油を用いた土に還る「優しいレジン」が登場 さて、まずはウェブメディアGIZMODOが紹介していたこちらのニュースを取り上げよう。 マクドナルドの使用済み油、エコな3Dプリント素材に。土に還るしコストも安いしhttps://www.gizmodo.jp/2020/02/mcdonalds-fry-oil-3d-print-resin.html なんでも北米カナダはトロント大学の研究チームが、使用済み油を加工して、3Dプリンタで使えるレジンに変身させる技術を編み出したそうだ。記事によるとトロント大学スカボロ校のアンドレ・シンプソン教授が、市販の3Dプリンター用レジンの原料の分子が、料理油の脂肪分子と構造が近似しているということを発見したとある。使用済み油と言えば下水詰まりの原因の一つ。あるいは廃棄も大変であり、家庭の悩みの一つとして知られる。しかし現代では毎日大量の油が消費されてる。その使用済み油をレジンに変身させてリサイクルするというのだから、これは実にエコな話だろう。 Don Campbell 実は油の生産においても生態系が乱されているということはあまり知られていない。ファストフードなどでよく使われているパーム油の乱獲は現在オランウータンを絶滅に追い込もうとしている。パーム油は主にアブラヤシという木から取れるのだが、このアブラヤシの原生林はマレーシアのボルネオ島にしかなく、このボルネオ島は数少ないオランウータンの生息地としても知られている。現在、このアブラヤシの伐採によりオランウータンが絶滅に瀕しているのだ。由々しき問題である。この一例をとっても油を無駄遣いすることはできない。使う量を控えるというだけではなく、貴重な油ならば使用後もちゃんとリサイクルしたいところだ。この使用済み油をレジンに変換するという研究に関し、まず手をあげたのは世界第2位の規模を誇るファーストフードチェーンであるマクドナルドだったらしい。大手が名乗りを上げたことで、今後のこの技術が普及していくことは、間違いないだろう。どうやら油1リットルにつき420ミリリットルのレジンが作れるらしい。さらにこのレジンは生分解性があるそうで、土に埋めれば微生物の働きによって2週間ほどでその20%が分解されるとのこと。最近はこの「土に還る」ということが、世界的な関心を集めている。以前にも、土に埋めれば12週間で完全に生分解されるTシャツが発売され、話題になっていた。 【WIRED】そのTシャツは“植物”からつくられ、わずか12週間で土に還る 今後、このようにエコロジーの観点を取り入れたレジンが続々と出てくるかもしれない。SK本舗としても、エコを意識した開発を試みていきたいところだ。 世界の飲み水不足を3Dプリンターが救う 3Dプリンターが活躍するのはリサイクルにおいてだけではない。実は、世界の飲料水不足を3Dプリンターが解決するかもしれないと言われている。現在、地球上の水のうち、飲用可能な汚染されてない水は1%未満と言われている。このことから発展途上国では清潔な飲料水が恒常的に不足している。人間にとって水はライフライン。人口は爆発してるのに飲み水が足りないというのはとても深刻な事態である。そこで3Dプリンターが活躍する。実はすでに米国エネルギー省とゼネラルエレクトリックが、3Dプリンターを使用した新たなる淡水化技術プログラムにおいて提携している。なんでも、ゼネラルエレクトリックは、3Dプリントされたタービンを使って空気、塩、水を圧縮し「過冷却ループ」なるものを形成する計画しているようだ。凍結すると塩が氷から分離する性質を利用し、最終的に融解することで飲料水を作ろうということらしい。...
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「STL」時代はあと5年で終了? 次世代の3Dデータファイル形式はどれか!?
2020年代に注目すべき3Dデータファイル形式 今回はちょっと3Dデータのファイル形式について話そう。ファイル形式とは何か。3Dプリンターで何かを出力するときにはまず3Dデータが必要だ。ファイル形式とは、そのデータの種類のことである。一般のデジタル画像における「jpg」などの拡張子を思い浮かべてくれれば良い。3Dデータの拡張子には様々な種類がある。VRML、AMF、X3D、FBX、IGES、STEP、iges、stl、obj、3ds、wrl、fbx、ply、3MF……枚挙すればキリがないが、ではどの形式を使えば良いのだろうか。それぞれに良い点、悪い点がある。あるいはどんなデータを作成したいかによっても、使うべきファイル形式は変わってくる。とはいえ、膨大な種類のファイル形式から、それぞれが自由に選ぶというのもあんまりだ。そこで今回は現在、そしてこれから最も注目すべき、4つのファイル形式について紹介しようと思う。 なぜデータ形式が様々あるのか? そもそも、なぜデータ形式が様々あるのかという点を、少しだけ解説しておきたい。3DデータにはCADモデルからプリンターへと送られる情報が格納されている。CADというのは、モデリングソフトのことであり、つまり、CADで作った3Dデータの情報を3Dプリンターに送ることで、初めて出力が始まるのだ。ただ、それらの3Dデータには、すべての種類の情報が保持できているわけではない。たとえば、単一の素材、単一の色で印刷する場合と、複数の素材、複数の色で印刷する場合とでは、情報の種類や量が違う。あるいは、より複雑で精密なミクロレベルまでこだわったデータを作ろうとすれば、情報量だって普通のデータより圧倒的に多くなる。それぞれのデータ形式には強みと弱みがあり、たとえば単一マテリアルの割と単純な構造のデータを得意としているデータ形式があれば、逆に複数マテリアルの複雑な構造のデータを得意としているデータ形式もあるのだ。このように書くと「複雑なことができるデータ形式なら、単純なこともできそうなものだけど」と思われるかもしれない。理屈としてはそうなる。ただ、複雑なデータに対応するためには、仕組み自体を複雑化する必要があり、ようするにデータ制作の難易度が全体的にあがってしまったり、あるいはデータ自体が脆くなってしまったりもするのだ。単純だけど制作が簡単で頑丈か、複雑だけど制作が難解で繊細か、ざっくりと言えば、そういう選択になる。あるいは、いかに優秀なデータ形式であっても、CADソフトウェアにサポートされていないと、結局、使われないし、使いにくいという問題もある。形式に合わせてソフトウェアを買い換える必要があったり、あるいはデータを他の人とやりとりする上でも、あまり普及していないデータ形式の場合、対応が難しいというもんだもある。これも音声データの形式などを思い浮かべてくれれば良いと思う。そこでここでは、今触れたような普及度、あるいは普及可能性なども加味しつつ、現在、そして近い将来において3Dプリント業界で活躍するだろう4つの形式を紹介したい。 3Dデータ形式のJPEG的存在「STL」 ではまず最も注目すべき4つのファイル形式の1つめから紹介しよう。「STL」だ。 普及度で言えばダントツ1位、3Dデータ形式のJPEG的存在、それが「STL」だ。おそらくSK本舗のユーザーさんの間でも、この「STL」を主に使用しているという方が多いんじゃないだろうか。なんせ歴史が長い。開発したのはChuck Hullさんという人で、1987年に3Dシステムズで最初の3Dプリンターを開発した、この業界の立役者の一人だ。彼が同時に「STL」という形式を作り、以来、30年間、3Dプリント業界のファイル形式のスタンダードであり続けてる。しかし、一方で30年という月日で3Dプリンター技術は大いに進歩し、変容している。そうした背景のもと、「STL」限界説というのも、ずっと囁かれ続けている。「STL」の基本的な仕様は初期のままなんだが、一方の3Dプリンターは日増しに進化している。ただ、それにもかかわらず、今日のほとんどの3Dプリンティングにおいては未だ、ソフトウェアにおいて圧倒的なサポートを受けているこの「STL」を使用し続けている。そろそろ切り替え時期じゃないか、というわけだ。現状、兌換性も高く、使いやすさにおいても優れている。「STL」はテッセレーションと呼ばれるとても単純なアプローチで3Dモデルのジオメトリを保存している。ただ、それは制作を簡易化している反面、ミクロンレベルの精度には対応がしきれない。使いやすさと精密度が、ここではトレードオフの関係になっているわけだ。あともう一つ、「STL」には大きな問題がある。今後、3Dプリント業界ではおそらくマルチカラー化が進行していくと予測されているが、「STL」形式においてはこの色情報を保存することができない。つまり、単色プリントにしか対応してないのだ。とはいえ、この先5年くらいはまだ「STL」のシェアは大きなものであり続けるだろうとも予測されてる。その後はちょっと厳しいのではないか、というのが大方の見立てだ。すると気になるのは、次世代の3Dデータ形式の王者はどれなのか、ということ。以下ではその可能性を秘めた3つの形式を紹介したい。 色情報も素材情報も保存可能な「OBJ」 次の時代の覇権的拡張子の候補として、まず注目したいのは「OBJ」だ。 この「OBJ」が「STL」に対してもつ強み、それはなんといっても複数の色や素材を使用したデータを保存できるということだろう。先述したように、今後、3Dプリント業界のマルチマテリアル化、マルチカラー化が進んでいくことは間違いない。「OBJ」はそうした変化に対応しているのだ。ただ、同じような属性を持った形式を持った拡張子は他にも存在する。その中で、「OBJ」が目立っているのはオープンソースライセンスと、シンプルさの二つだ。このオープンソースという点がポイントで、オープンソースにしたことでCADメーカーが取り入れやすく、ライバルだったFBXやCOLLADAといった形式に対して、「OBJ」はその点で差をつけている。また、またその性能の高さから、航空宇宙産業や自動車産業ではすでに広く使用されている。しかし、欠点もある。やはり「STL」に比べるとデータ自体がかなり複雑なのだ。壊れたOBJファイルを修復すると問題が発生しやすく、修復や編集のためのオンラインツールも少ない。現状ではやはりサポートしているCADも足りていないため、使うためにはプラグインを使用する必要があったりと、手間も多い。もちろん今後どうなるかはわからない。そして「OBJ」にはまだとてつもないライバルたちがいる。以下ではそのライバルたちを紹介する。 「STL2.0」と呼ばれた「AMF」の美点と難点 次なる覇権候補の二つ目は「AMF」だ。2011年に導入されたデータ形式で、当時は「STL2.0」なんて呼ばれてもいた。「AMF」はそもそもの開発目的が「STL」の欠点に対処するというところからスタートしていた。処理速度の遅さ、エラーの多さ、カラーやマテリアル情報が保存できない点、などなど、こうした「STL」の諸問題を全て解決することを目的に発表された形式が「AMF」だった。実際に全ての技術的な面で「STL」よりも優れていて、まさに「STL」の大規模アップデート版と言って差し支えない。こう書くと次の覇権は「AMF」で決まりだと思われるかもしれない。なぜなら、色や素材もカバーしてて、他の面でも「STL」より優秀なのだから。しかし、「AMF」の失敗は、その性能じゃなく、展開にあった。技術的には優れているのだが、2011年のタイミングでは、まだマルチカラーやマルチ素材の必要性も薄く、「STL」で十分という雰囲気が強かった。それゆえ、各種ソフトウェアは「AMF」の採用に消極的だった。結果、これだけのハイクオリティな形式にもかかわらず、普及率に関して出遅れてしまったのだ。なら今から導入すればいいじゃないか。そう思ってしまうが、ここに第三の次世代覇権候補が登場するんだ。その名も「3MF」だ。 マイクロソフトの最終兵器「3MF」 この「3MF」を開発したのは、何を隠そう、あのマイクロソフトである。「3MF」は「AMF」とは異なり、その開発を少数の専門家に委ねるのではなく、業界のビッグネームたちをごそっと巻き込んで、大きなコンソーシアムを設立する形で行った。その結果、業界の関心は一気に「3MF」に向かっていくことになった。開発段階で3Dプリント業界の主要業界を巻き込んでいた、というのは宣伝の面でも大きい。当然、採用されるスピードも早く、現状ではまだ十分には広がってないが時間の問題だと言えるだろう。そしてもちろん、トップ技術者たちが開発したものだから、性能も優れてる。正直なところ、現状ではこの「3MF」が一馬身抜けてる感じはある。ただ、マイクロソフト社には権利問題などで悪い噂も多く、今後どうなるかは果たしてわからない。要約すると、「STL」帝国があと5年ほどでおそらく崩壊して、「OBJ」「AMF」「3MF」の三國時代による戦国の世がやってくるということ。あるいは小さなダークホース的拡張子はまだまだ存在する。皆さんももしかしたら早めに脱「STL」の準備を進めておいた方がいいのかもしれない。
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「Nova Meat」が開発する3Dプリント人工ステーキ「Steak 2.0」とは?
私たちは肉食を諦めなければならないのか 今日、地球環境に対しては様々な警鐘が鳴らされているが、その中でも最も注目されているのが気候温暖化だ。この気候温暖化の原因になっているものの一つに畜産業がある。実に現在発生している温暖化ガスの20%がこの畜産によって発生していると言われているのだ。お肉は美味しい。筆者もまたお肉なしでは生きていけない体だ。しかし、とはいえ、環境破壊も食い止めなければいけない。なんせお肉を美味しく食べるためには、まずもって生きている必要があり、生きていける環境が必要だからだ。では、どうすればいいのか。私たちは肉食をもう諦めなければならないのか。このどん詰まりを救済しようとしているのが3Dプリント人工肉だ、ということについては、以前にも別の記事でredifine meetの3Dプリント代替肉を紹介したことがある。ただ、この問題に取り組んでいるのはredifine meetだけではない。今回は、また違う取り組みを紹介してみよう。 見た目、食感ともに精巧な代替肉ステーキ「Steak 2.0」 今回、取り上げたいのはスペインのバルセロナに設立されたスタートアップ「Nova Meat」という会社だ。その「Nova Meat」がバイオ3Dプリンターを使って、見た目、食感ともに精巧な代替肉ステーキ「Steak 2.0」を開発したらしい。 CEOのギャスパー・サイオンティさんは組織工学分野の科学者であり、この「Steak 2.0」ではそうした先端科学、特に動物の細胞組織に似た組織を作る技術を応用する形で、代替肉を作成したらしい。材料となっているのはエンドウ豆や海藻、ビートルートの絞り汁など。Nova Meatの技術は、“顕微鏡レベルで植物由来のタンパク質の構造を微調整することができ、ビーフステーキ、鶏胸肉、マグロステーキなどの動物肉の質感、外観、栄養および感覚特性を模倣する”ことが目指されている。つまり、厳密には「お肉」ではない。しかし、見た目、質感まで精巧に再現されており、食べる側としては「お肉」でしかないという。もとより大豆は「畑の肉」とも呼ばれるほどタンパク質が豊富だが、今回はそうした栄養面を維持しつつ、食感などではリアルな「お肉」感を再現している。 (画像引用)Nova Meat さらに優れているのは費用だ。現状、生産費用は50gあたり1.5ドルほど。かなりお手頃な値段だと言える。サイオンティさんいわく、この「Steak 2.0」は、これまでに開発された人工肉の中でも、最も現実的な植物をベースにしたステーキになっているとのことだ。 レストランやスーパーへの導入はいつから? さて、一体どこでそれが食べれるのか?...
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メキシコの農村に3Dプリンターの住宅街が誕生!? 人類と住宅の「新しい物語」とは?
家を作るなら3Dプリンターが当たり前の時代? 3Dプリンターで出力された住宅街が誕生するらしい。2020年の1月にそのニュースを報道していたのはアメリカの報道メディア「CNN」だ。CNNによれば、なんでもメキシコの貧しい農村地帯で3Dプリンターで作った住宅が2棟、完成したらしい。実はこのプロジェクトは、なんらかの理由によって適切な住居を持たない人たちが住める場所を作ろうというところから始まったものらしい。実際、この作られた家に入居予定の人たちは災害多発地域で安定した居住環境を得られていない家族らしい。プロジェクトを行なっているのはアメリカのカリフォルニアを拠点とする非営利団体の「ニューストーリー」というところで、これまで2000棟以上の3Dプリンター仮設住宅の建築に取り組んできたらしい。 (写真:ニューストーリー) CNNの記事によるとアメリカ南西部を思わせるデザインで、壁は丸みを帯びているそうだ。広さは約46平米。寝室2つ、浴室1つ、もちろんリビングやキッチンも完備とのことだ。寝室が2つあったら子供部屋も作られて家族でも住める。なんでも今回のプロジェクトのために「バルカン2」という巨大3Dプリンターが作られたみたいなんだが、これは2棟の家を同時にプリントできるらしい。しかも、建設にかかる時間も48時間と僅かだ。今回の最新住宅の費用についてはまだ検討中とのことだが、これまで「ニューストーリー」が建ててきた家は約40万~70万あたりだったようだ。「ニューストーリー」の代表者も、3Dプリンティング技術は、住宅ソリューションの実現において、人類の最高の希望になるって語っている。 (写真:ニューストーリー) 世界中で進展している「住宅革命」 もちろん、「ニューストーリー」以外でも、様々な取り組みが行われている。たとえばイタリアではライス・ハウス(米の家)と呼ばれる円柱型の家「GAIA」というものも建てられてるんだが、これなんと原材料が土や藁など、現地で手配できる天然資源なんだそうだ。いわば、究極の地産地消である。 ライスハウス(写真:GAIA) 以前に3Dプリンター橋の回でも説明したように、3Dプリンターで建造物を作ることは、単にスピーディーでコストが安いというだけではない。手作業であれば本来難しい造形なども3Dプリンターであれば可能になる。人々や環境に優しいだけではなく、まったく新しい創造性を生み出しているという点も見逃せない。日本はこの動きに関してはこれまでは少し出遅れていたが、日本のゼネコンも、3Dプリンターを使った建築にようやく本腰を入れ始めているらしい。災害の多い日本の建築基準をクリアする家を3Dプリンタデ作れるようになった暁には、もしかすると世界一安全な3Dプリント住宅が日本から生まれるかもしれない。世界では住宅の3Dプリント化が日進月歩で進んでいる。これまで3Dプリントフード、3Dプリンターによる靴や洋服の製作についても記事にしてきたが、3Dプリンターが引き起こすのは「ものつくり」革命にとどまるものではなく、私たちの「衣食住」の大革命でもあるということだろう。 ちなみに「ニューストーリ」は2020年末までに50棟の家をバルカン2で作ると発表している。まさに住宅の、いや、人類の「新しい物語」が始まろうとしている。
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