3Dプリント可能なオープンソースのVRヘッドセットが2023年にPrusaよりダウンロード開始
ユーザーが独自にカスタマイズ可能なヘッドセット
あのPrusaがオープンソースの3Dプリント可能なVRヘッドセットを作成した。
今回、PrusaがコラボレートしたのはVRgineersとソーシャアルアプリの開発で知られるSomnium Space。この新しいVRヘッドセットの名前はSomnium VR ONEとなる予定で、2023年初頭にはPrusaのPrintables.comよりダウンロードできるようになるという。
開発の背景にあったのは、VR空間でのカスタマイズが、今日のVR業界にとって優先事項であるという意識だ。ユーザーが購入したハードウェアを完全に自分のものとし、いつでもカスタマイズ、あるいは修理や強化をできる環境を提供するためには、ヘッドセットのパーツの3Dモデルが公開され、一般に利用可能である必要がある。Somnium SpaceのCEOによれば「これはメタバースの自由である」とのことだ。
確かに一般にVRヘッドセットを購入した場合、ユーザーにできることは、説明書通りにそれらを使用することぐらいである。しかし、あらかじめオープンソースに設定されているSomnium VR ONEの場合、ユーザーは独自にヘッドセットをカスタマイズし、またそのためのパーツをダウンロードして3Dプリントすることができるようになる。
2023年に完成版がプラハで発表か
現在、Somnium VR ONEのプロトタイプはすでに作成済みとのことだが、実際に公開されるヘッドセットはまだ製造中の段階にあるという。最終バージョンは2023年頭にプラハで開催される予定のイベントSomnium Connectで発表される予定らしい。
実際の流れとしては、まずPrusaはヘッドセットのプラスチック部品の3Dモデルを配布することになる。これは3Dプリンターで誰もが3Dプリントすることができる。そこにオンライン販売される電子機器と独自のレンズを組み立てることで、Somnium VR ONEとなる。
もちろん、自分で組み立てることが面倒だという方のために、完全に組み立てられたSomnium VR ONEを購入するオプションも用意されるらしい。この場合でも後になってカスタマイズしたければ、独自にカスタマイズが可能な仕様になっている。
これまで特に精密電子機器は基本的に「完成品」として販売されるのが常だった。よほどの専門的な知識でもない限り、ユーザーが購入した電子機器を独自に改良するということは考えづらかった。しかし、3Dプリント技術によってその状況が変わりつつある。もはや商品は「完成品」ではないのだ。それは常にプロセスの状態に置かれ、さらなる改良を待ち受けながら存在することとなる。
Somnium VR ONEがその旗印となるかもしれない。いずれにせよ、2023年の発表が楽しみだ。