
世界初のゼロネットエネルギー3Dプリント住宅が登場|高騰する電気代、圧迫される家計に希望の光が?
電気代が高すぎる! そんな悩みを解決するかもしれない3Dプリント住宅
ゼロネットエネルギーという言葉をご存知だろうか。
これは一年間における一次エネルギーの収支がプラスマイナスでゼロになる状態を指す言葉で、主に住宅やビルなどの建物に対して用いられる言葉だ。
一般に建物内では人が活動しているため、エネルギー消費量をゼロにすることはできない。しかし、快適な室内環境を整えるためのエネルギーを建物内において創エネし、一方でこれまでの無駄を減らして省エネすることで、実質的な収支ゼロを実現することが、このゼロネットエネルギーの骨子だ。
実は先日、3Dプリント建築においては初となるゼロネットエネルギー住宅が誕生した。建築を手がけたのは3Dプリント建築業界の雄であるMighty Buildingsで、建設地はアメリカは南カリフォルニア。なんでも従来のゼロネットエネルギー住宅を超える野心的な試みがなされたらしい。
エネルギーを相殺する以上に多く生成する
Mighty Buildingsが今回示したのはカーボンニュートラルという概念のその先だ。この新建築においては、ライフサイクルの過程や建設プロセスにおいて消費されるエネルギーを単に相殺するのではなく、それよりも多くのエネルギーがそこで生成されるように設計されている。
これを実現させたのは、サプライチェーンへの依存と、材料の廃棄物を必要最小限に抑え、なおかつ住宅が建てられた後に再生可能エネルギー源を利用することによって達成される。今回の建築には住宅の屋根にソーラーパネルが組み込まれ、かつソーラーストレージ用のバッテリーを装備している。
デザインも洗練されている。フラットな長方体は自然豊かな南カリフォルニアの自然に溶け込んでおり、まさに新時代の住宅といった感がある。なお、Mighty Buildingsは今後、このゼロネットエネルギー住宅をキット化して南カリフォルニアだけで40以上の3Dプリント住宅を建築していくことを計画しているようだ。
エネルギー価格が高騰を続けている今日、ゼロネットエネルギー住宅への関心は、特に欧米で一層高まってきている。環境問題云々は一旦棚にあげるとしても、光熱費の高騰は単純に家計を圧迫する問題だ。3Dプリント建築技術の発達がこの問題のソリューションを生み出す日もそう遠くないかもしれない。