エアレスタイヤ搭載の自動運転車の実装が始まる!? 3Dプリント技術によって革新されるスマートタイヤ業界
運送業界を一新する自動運転技術
コロナ時代、人流が抑制される中で注目されたのが運送業者、配達業者などの存在だ。
街に買い物に行かなくても通販があるから問題ない。そんな声が聞こえてきた中、ではその通販で買った商品を配達するのは誰か。生身の人間である。
一方で、進んでいるのが自動運転技術。先数十年で需要がなくなる職業ランキングでは「運転手」が上位にランクインしているのはこのため。輸送業、運送業において、自動運転技術が全面的に導入されるのも、おそらくは時間の問題だ。
ところで、この自動運転車に関して新しいニュースが届いたので紹介したい。
パンク知らずの近未来のスマートタイヤ
アメリカはフロリダ州の自動運転車輸送プロジェクトの一環で、あの大手企業「グッドイヤー」が開発した革新的な3Dプリント・エアレスタイやを装着した自動運転シャトルのテスト走行が行われたのだ。
画像提供:GOOD YEAR
これはやがてフロリダ市内における公共バスや輸送バスとしての利用も検討されている。都市部の輸送環境は速度も遅く、行動経路の変動も少ないため、代替タイヤのテストにいては理想的な環境なのだという。今後、乗り心地や騒音などについても、データを収集していくようだ。
むろん、フロリダ州だけではなく、こうした自動運転車は世界の公共交通機関の未来を形作っていくことになる。その上でエアレスタイヤが注目されているのは、従来よりもメンテナンスが少なくて済むからだ。ようするに、非空気圧のためパンクのリスクがなく、耐久性が高い。これはタイヤ界を根底から覆す、最新技術でもあるのだ。
画像提供:GOOD YEAR
スマートタイヤの覇権を握るのは
グッドイヤーは3Dプリント技術を活用し、何年にも渡ってスマートタイヤの革新を進めてきた。あるいは同じくタイヤ大手であるミシュランも生分解性のリサイクル素材を使用した3Dプリントタイヤを発表しているなど、スマートタイヤ業界は3Dプリント技術によって大きく革新されつつある。
日本の大手ブリジストンもまた環境配慮型の3Dプリントタイヤを2019年に発表している。こちらはタイヤの従来の素材であるゴム分子、樹脂分子を世界で初めて分子的に融合させた新素材ポリマー「SUSYM」を使用したもので、それを竹細工をモチーフに編み込んだ近未来タイヤだ。造形は慶応技術大学の研究チームとともに3Dプリンターで行なったという。
素材の強度が高く、またこの「SUSYM」は様々な製品にも使用が可能。再生可能でもあるため環境調和、持続可能な社会に貢献することが期待されている。
よりクリーンで、よりスマートな都市のモビリティを実現することになる、次世代のタイヤはどれなのか。
企業は数十年で完全な切り替えを見込んでいる。生体材料で設計された3Dプリントスマートタイヤは環境への配慮という側面でも注目度が高い。今度、大きく進展しそうな分野だろう。