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第九講「3Dプリンター初心者にありがちな失敗とつまずきポイント 」

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第九講「3Dプリンター初心者にありがちな失敗とつまずきポイント 」

 

前回、この連載にて掲載しました、「3Dプリンターを購入して実際に使ってみよう!」について、初心者の方からご好評を頂いたので、さらに詳しく踏み込みます。今回は前の記事では軽くしか紹介していませんでした、Sonic Miniを1から使ってみた上での「つまずきポイント」を紹介します 。

初めて使われるという方にとっては、あらかじめこの記事に目を通しておくことによって、その初使用が多少なりともスムーズになるはずです。

失敗ケースの紹介とあわせて私が悪戦苦闘の末に見出した「成功のためのコツ」も付記しましたのでご参照ください。

 

 

セッティング 電源がなかなかつかないのは初期不良?

 

まずはプリンター自体のセッティングについてです。以前の記事にも書いたように、基本的には電源コードをはめて電源を付けるだけなので難しくありません。しかしうまくいかないこともあります。


 

1.電源が付かない

 

初めて電源を付けた際に電源がなかなか付きませんでした。5~10分ほど待ってみたら点いたのですが、私はてっきり初期不良か何かかと思いました。


ただ、これは聞いたところによると本機のデフォルトとのことです。ですから初めは根気強く待つ必要があります。初期不良や故障などではないのでご安心ください。
なお、レアケースではありますが、電源コード自体に不具合があるという場合もあるらしいです。本当に電源が点かなければ、コードに問題がある可能性を疑ってみると良いかもしれません。

 

 

2.Z軸のキャリブレーションの仕方に戸惑う

 

Z軸のキャリブレーションはコピー用紙をプラットフォームの下に挟むというのが通例となっておりが、マニュアルを読むとコピー用紙は使わず、レジンVATを設置したままFEPフィルムを挟む形で行っても良いらしいです。

キャリブレーションとは、「calibration=調整」という意味で、プラットフォームの高さを0の状態に調整することです。それにより0地点を起点に1層ずつ高さを上げて出力することが出来るようになります。つまり、0地点の確定にFEPフィルムを挟んで行うか、コピー用紙を挟んで行うかとなるのですが、Sonic Miniは細かいZ軸の高さの調整が出来ないのでどちらでも結果は同じです。0.1mm単位などで高さを調整できるプリンターに関しては、紙を引っ張り、抵抗具合を見て、より正確に0地点を決めることが出来ます。

 

 

データの準備 スライサーソフトの使い方が分からない

 

さて、初出力で私が挑戦したのは弊社SK本舗のSKロゴの出力です。目指したのは下の画像のような状態です。

 

 

 

 

初心者なのでひとまずサポートはつけず、プラットフォームに直付けで出してみることにしました。その上でつまずいたポイントは以下のとおりです。

 

 

1.データはSTLデータのままでは出せない

 

おそらく本当に0から始めた人だと頷いてもらえるかと思うのですが、拡張子「.stl」の所謂STLデータなど3次元のデータさえ手に入れれば出力できるものだと思っていました。しかし、そうではありません。たまたま出力作業直前にまずスライサーソフトを経由する必要があるということを聞いた私はやっとChituboxをインストールしました。このインストールもなかなか分かりづらかったです。バージョンが一番高いものが見つかりづらくサイトをうろうろしました。ちなみに付属USBに入っているものでもインストールが可能ですが、バージョンが古い場合もあるそうなので要注意です。

 

 

2.Chituboxの使い方が分からない

 

無料のスライサーソフトで最も有名で、ある程度様々なメーカー・機種に対応しているものがChituboxです。私も早速、ロゴの3DデータをChituboxで変換しようとしてみたのですが、初めてのことなので、使い方が分かりません。Chituboxの初心者向けの分かりやすい使い方ページがあると便利だと思いました。こちらはネット記事やyoutube動画を参考にしながら進めるのが現状では良いですが、近々、初心者向けにChituboxの解説記事を書こうと思います。

 

 

3.パラメーターの意味が分からない

 

初めてのChituboxに苦戦しつつ、とりあえずパラメーターの設定をすることにしました。しかし、パラメーター項目名を読んでもそれぞれの役割がよく分かりません。エンジニアに聞きつつネットで調べつつ試行錯誤しましたが、ひとまずSK水洗いレジンの設定はデフォルトのままでOKとのことだったのでデフォルトで出すことにしました。こちらについては、その後、パラメーターの解説をまとめ、以下の記事にしたので参考にしてください。

 

 

第八講「3Dプリンターのパラメーターを理解しよう!」

 

 

4.保存の仕方が分からない

 

データはこれで良いかな、となったのですが、データをどう保存したら良いのか分かりません。そういえば3Dプリンターの場合、3Dデータは1層ずつ出力されるよなと思い出し、「スライス」というボタンを押すのが正しそう…と押したら、スライスデータが作成され、保存ボタンが登場しました。スライサーソフトなのだから当たり前と言えば当たり前ですが、これは3Dデータを出力する場合「スライス」という過程を経る必要があるという前提知識がないと意外と分からないものです。スライスとスライサーソフトについても、その後、解説記事を書いたので参考にしてください。

 

 

「スライサーソフトってなに?」今さら聞けないGコードの重要性と今おすすめのスライサーソフト

 

 

出力後の処理 片付け方が分からない

 

無事に出力が成功したわけですが、3Dプリンターは出力が終わってからもやらなければならないことがあります。その上で私がつまずいたのは以下のポイントでした。

 

 

1.プラットフォームから出力物が外れない

 

プラットフォームから出力物が外れません。もしかして出力の仕方が間違っているのでは? と思ったのですが、どうやらこれが普通らしいです。慣れていない間やしっかりつけてしまった時は外すまでに30分~1時間格闘したこともありました。手が腱鞘炎(?)になりそうでしたが、弊社エンジニアがおすすめしているヘラを試したところ大変取りやすかったです。

 

 

2.どうやって出力物を洗浄するの?

 

やっとの思いで外した出力物は未硬化のレジンが付着しているため洗わなければいけないのですが、洗浄方法がよくわかりません。今回は水洗いレジンを使用したので水洗いが可能でした。さらさらと水で洗ってみましたが、それだけだと洗浄後にべたつきが残り、触ると手が痒くなります。何度か色々な方法で試してみた結果、使い終わった歯ブラシなどでしっかり洗浄するのが良かったです 。調べてみると刷毛などもお勧めされているようです。洗浄する際はきちんと手袋を装着しましょう。

 

 

3.機体の清掃方法(片付け方)が分からない

 

3Dプリンター本体ってどうやって清掃(片付け)すればいいんだ…と思ったときにSK本舗の公式TwitterでRTされていた以下の記事を発見しました。これをもとに自分で準備できる範囲でおこなうことにしました。非常に有用な記事なので是非、皆さんも参考にしてください 。

 

 

はじめての3Dプリンター!造形準備と後片付けについて(やなか技術士事務所)

 

そもそもなぜレジンの洗浄はアルコールなのか? といった疑問が個人的にあったのですが、一般的に理解できるレベルでのかみ砕いた解説もあり、非常にわかりやすい記事でした。どんなアルコールを使えばよいのかが書いてあるのも良かったです。また3Dプリンターの洗浄において一般的に使用されるのはIPAですが、IPAを利用するメリットデメリットもきちんと書かれており、大変参考になりますので是非読んでください。

 

 

4.レジンボトルの内蓋を捨ててしまった

 

レジンボトルの内蓋がしっかりと閉まっており、毎回開けるのが大変だと思っても捨てないでください。万が一レジンボトルを蹴ってしまうと家の床が大変なことになります。内蓋はレジンを溢さないためにちゃんと閉めましょう。

 

 

その他の失敗について

 

1.レジン選びを間違えると出力がうまくいかない

 

最初、オフィスに余っている適当なレジンで出力を行ったところ、レジンが古い上に出力の難しいレジンだったようで出力の失敗が5回ほど続き、心が折れそうでした。古くないレジンを使った方が成功しやすいです 。また、レジンの種類も重要です。


レジンの質の問題を解決しておくと、露光時間不足やプラットフォームの問題など他の失敗の原因を特定しやすいです。初心者であればまずは入出庫が激しそうな人気レジンから試してみましょう。中でもSK水洗いレジンはパラメーターがデフォルトの値でも出力できるということなので初心者に優しいです。特に白色が使い易いとのことです。

 

 

2.FEPフィルムに穴が開いた

 

出力1回目で出力に失敗した上にFEPフィルムに穴を開けてしまいました。初心者の方はFEPフィルムの予備を必ず用意しておきましょう 。FEPフィルムの取り換え方はFEPフィルムページにYoutube映像があります。これを見ながらやってみましょう。


 基本的に「ご使用のプリンター機種 FEP」で検索すれば大体換え方の説明動画が出てきますので、それを参考にしつつやってみるのがよいです。Phrozenの場合はこちらです↓

 

 

 

 

 

 

3.六角レンチの準備がなかった

 

2に引き続きFEPフィルムの取り換えに関してお話しします。Phrozenの製品に関しては別途六角レンチを買う必要があります。付属の六角レンチはプラットフォームのネジを回すもので、レジンVATのネジにはサイズが合いません。付属の六角レンチをなくした場合にも備えて市販のもので良いのでサイズが異なる六角レンチのセットをあらかじめ備えておくことをおすすめします 。

 

 

出力を成功させるコツ

 

最後に、3Dプリンターで出力を成功させるための、おそらくは最も基本的な「成功のコツ」を紹介します。


「成功のコツ」は、3Dプリンターを正しく理解することです。それぞれの3Dプリンターの推奨環境や、レジンのパラメーター各項目を正しく理解すれば、どのようなときに何の数値をどのように変更すれば良いのかが分かるようになります。

出力失敗時のその場しのぎの対応策を知っているだけではだめです。それはいわば対症療法のようなものであり、問題の根幹には至っていません。その対応策がなぜ有効なのかまできちんと理解しておけば、今後、別の失敗に出会った時も、柔軟に対処できるようになります。


小さな「つまずき」を勘に頼って乗り越えているだけだと、いずれ大きな「つまずき」に直面することになってしまいます。もうよく分からないからいいや! と、3Dプリンターにほこりをかぶせてしまう前に、基本的なことをひとつひとつ覚えていくのが賢明です。


また、他の人の失敗を見て学ぶのも大事です。SNSやSK本舗の記事も見て、今後の出力の参考にしてください。

 


SK本舗トップページはこちら https://skhonpo.com


SK本舗Twitterアカウントはこちら https://twitter.com/3dprinter_SK

 

 

 

 

 

第一講「3Dプリンターとはそもそも何か」 

第二講「3Dプリンターにはどんな種類があるのか」

第三講「3Dプリンターを熱溶解層方式(FDM)から光造形方式(SLA)にした人にありがちな失敗の原因」

第四講「SK本舗で取り扱っている5種類のレジンとその特徴」

第五講「3Dプリンター(SLA方式)の性能の読み方」

第六講「サポート材周りのデザイン潰れの原因は“露光漏れ”かも!?」

第七講(前編)「3Dプリンターを購入して実際に使ってみよう! 〜購入からセットアップまで〜 」

第七講(後編)「3Dプリンターを購入して実際に使ってみよう! 〜出力から片付けまで〜 」

第八講「3Dプリンターのパラメーターを理解しよう!」

 

 

 

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