第五講「3Dプリンター(SLA方式)の性能の読み方」

第五講「3Dプリンター(SLA方式)の性能の読み方」

3Dプリンターは決して安いものではありません。皆さんはどのように比較検討し、プリンターを購入していますか?値段、性能、代理店のサポートの有無など比較項目は様々です。この中で値段やサポートの有無は調べればすぐにわかりますが、プリンターの性能を知るのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

性能を知ろうにも、サイトを見てみると知らない単語だらけでどうすごいかが分からない…!という方もいらっしゃるかと思います。


そこで今回はSLA方式3Dプリンターの性能を表す評価軸の意味についてお話します。性能の評価軸と言ってもたくさんありますので、よく目にする以下の6つに絞ります。


ただ、初めに注意してほしいのですが、3Dプリンターの性能について、名称や単位などの表記の仕方がメーカーによって異なります。今後3Dプリンターを買う際に「これはあのことかな」と想像しながら購入して頂ければと思います。

 

 

  1. プリンターサイズ
  2. 出力サイズ
  3. 重量
  4. XY解像度
  5. 積層解像度(積層ピッチ)
  6. 印刷速度

 

 

Phrozen Sonic Mini 4K _SONICMINI4K

 

 

1.プリンターサイズ

 

読んで字のごとく、3Dプリンター本体のサイズのことです。本体サイズと表記されることもあります。家に置くとどの程度の物理的な空間を締めることになるのかという指標になります。

勘違いしがちなのですが、プリンターサイズは出力サイズのことではありませんので、気を付けてください。

 

  

2.出力サイズ

 

先述の通り、出力サイズとプリンターサイズは違います。

Phrozen Sonic Mini 4Kの場合、

プリンターサイズ:23(幅)×23(奥行)×33(高さ)cm

出力サイズ: 13.3(幅)×7.5(奥行)×13(高さ)cm

なので、出力物のサイズは13.3(幅)×7.5(奥行)×13(高さ)cm 以下になります。

 

 

3.重量

 

本体の重量のことです。この重さなら家の模様替えも簡単にできそうだな、と思いながら見ていくと「生活の中の3Dプリンター」のイメージが付きやすいのではないでしょうか。その他、この重さを足に落としたら痛そうだ、みたいな想像力を働かせて丁重に扱って頂けるとなお良いです。

 

 

4.XY解像度

 

XY解像度はSLA方式で一般的に使用される評価軸です。XYとはグラフのX軸とY軸のことを指しています。X軸が幅、Y軸は奥行を表しています。


つまりXY解像度とは平面の解像度のことです。出力するために平面をどのくらい分解して識別できるのかという指標です。普通の2Dのプリンターでいうところの解像度(1インチ当たりに印刷できるドット数)と同じです。


ただ、「より細かく識別できる」=「精度が高い」とも言いきれません。というのも、結局は出力する素材や作業環境によって歪みや収縮が起きるため精度の高い出力が必ずしも可能とは言えないからです。


そのためXY解像度はメーカーによって書かれていない場合があったりします。その他、XY解像度というのはDLP方式のプロジェクターの解像度のことでSLA方式にはXY解像度の評価軸は無意味だという説もあります(SLA方式はレーザーを反射鏡に当て、レジンに照射します。それに対しDLP方式とは、DLPプロジェクターを利用してレジンに光をあてます)。


とはいえ、一つの指標ではあるため、事前に目を通して、他のプリンターと比較しておいても損はないでしょう。

 

 

5.積層ピッチ(積層解像度)

 

積層ピッチ(積層解像度)はZ軸の解像度のことであり、層を積み上げていく間隔のことです。

ピラミッドを思い浮かべてください。ピラミッドを遠くから見るときれいな三角形ですが、近づくと長方形の石材が集まっていてガタガタに見えます。しかしこの石材の厚さをより薄く細かく積み上げるとより滑らかな三角形に見えます。この石材の厚さが、3Dプリンターでいうところの積層ピッチに当たります。


つまり積層ピッチの数値が小さいほど、造形物の表面は滑らかに見えます。ただし、先ほどと同じように造形できるものの精度には、その他の様々な条件も関わるため、一概に「積層ピッチの値が小さい」=「精度が高い」とは言えない点に注意が必要です。


ちなみに、単位が「mm」と記載しているメーカーと「μm(マイクロメートル)」と記載しているメーカーがあります。1mm=1000μm(言い換えると1μm=0.001mm)です。

 

 

6.印刷速度

 

読んで字のごとく、印刷する速度です。印刷速度もメーカーによって表記の仕方が違います。あるメーカーの表記は「〇mm/h(またはs)」(1時間(秒)に〇mm出力)という表記もあれば、「〇-〇s/層」(1層を出力するのに〇-〇秒)という表記もあります。


このように表記に違いがあるのは、先ほど説明した積層ピッチ等の設定によって出力する時間が変わるためであり、自分が作りたい物を出力するのにどのくらいの時間がかかるのかを正確に計算することはできないからです。3Dプリンターは出力するのに何時間もかかることもあるので、印刷速度は非常に気になるところではあります。もしメーカーの印刷速度表記に印刷設定の条件が書かれているようであればそれを参考にし、書かれていなければメーカーに問い合わせるのが良いかと思います。

 

 

まとめ

 

SLA方式3Dプリンターの性能を表す評価軸について、おわかりいただけましたでしょうか?今回お伝えしたいのは「プリンターの性能」≠「精度」ということです。


出力結果として表れる「精度」は、プリンター自体の性能だけでなく、レジンの性能や制作環境、印刷設定など様々な要素が関係します。たとえば、出力後の収縮・歪みに関しては3Dプリンターではなくレジンの問題です。レジンは冷えて固まる時に収縮してしまいます。これを熱収縮といいます。そのためプリンターを買う際は、より収縮の小さいレジンを探したり、使おうとしているレジンに合わせて設定を決めた方が良いです。

【SK本舗レジン商品一覧】https://skhonpo.com/product-category/resin

 

 

似たような話で入浴剤作りについて聞いたことがあるのですが、毎日同じ原料を同じ分量で同じ方法で作れば良いのではなく、その日の気温・湿度などに合わせて作り方(混ぜる時間など)を変えたりする必要があるらしいです。また、大学で何か実験する際にとある条件以外全く同じ条件(環境)にするために、全く同じ環境を用意する機械をわざわざ買うとも聞いたことがあります。三次元で作業するというのはつまりそういうことなのです。日によって天気や湿度が違うため、作業環境に合わせて設定をしてあげる必要があります。


…などとあれこれ書いていくと3Dプリンターのハードルを少し上げてしまいかねないのですが、あくまでもより精巧に作るならば、という言葉を付け足しておきます。しかもSLAであれば、レーザーで固めていくため「積層ピッチの値がFDMよりも小さく設定できる(細かい光をあてられる)」=「熱収縮の影響も小さくできる」ということは確かですのでご安心ください。

 

 

 

 

第一講「3Dプリンターとはそもそも何か」

第二講「3Dプリンターにはどんな種類があるのか」

第三講「3Dプリンターを熱溶解層方式(FDM)から光造形方式(SLA)にした人にありがちな失敗の原因」

第四講「SK本舗で取り扱っている5種類のレジンとその特徴」

第六講「サポート材周りのデザイン潰れの原因は“露光漏れ”かも!?」

第七講(前編)「3Dプリンターを購入して実際に使ってみよう! 〜購入からセットアップまで〜 」

第七講(後編)「3Dプリンターを購入して実際に使ってみよう! 〜出力から片付けまで〜 」

第八講「3Dプリンターのパラメーターを理解しよう!」

第九講「3Dプリンター初心者にありがちな失敗とつまずきポイント 」