最終更新日:

Anycubic FDMプリンターでABSを印刷する設定

Anycubic FDMプリンターでABSを印刷する設定

はじめに:ABS印刷は機種選びが結果の8割を決めます。ABSは反り(ワーピング)と層間剥離が起きやすい素材で、ベッド周辺の温度を一定に保つエンクロージャー(造形室の囲い)が事実上必須です。Anycubicの現行ラインで対応状況をまず確認してください。

Anycubic現行機のABS印刷適性

機種 構造 ABS適性 補足
Kobra S1 / Kobra S1 Combo / Kobra S1 Max CoreXY+フルエンクロージャー 推奨 エンクロージャー標準搭載・320℃ホットエンドでABS/ASA常用可
Kobra 3 / Kobra 3 Max オープンフレーム ベッドスリンガー 条件付き 別途エンクロージャー必須。小型部品なら可
Kobra 2 Pro / Kobra 2 Plus / Kobra 2 Max オープンフレーム ベッドスリンガー 条件付き 別途エンクロージャー必須

※ Anycubic公式tech-specsより整理(2026-05時点)。エンクロージャー非搭載機でのABS常用は反り・ノズル詰まり・換気不足のリスクがあります。

ABSフィラメント(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)は、耐久性と耐熱性に優れた素材として知られていますが、適切な設定が必要です。Anycubic FDMプリンターでABSを成功させるための重要な設定をご説明します。

ノズル温度とベッド温度の設定

ABSの印刷には高い温度が必要です。以下が標準的な設定値となります:

  • ノズル温度:240~250℃フィラメントメーカーの推奨値を確認)
  • ベッド温度:100~110℃(密着性を高めるため高めに設定)

温度が低すぎるとフィラメントが流れず、高すぎると劣化する可能性があります。

印刷速度と冷却設定

ABSは急冷すると反り(ワーピング)が発生しやすい素材です。以下の対策が有効です:

  1. 印刷速度を30~40mm/sに低く設定する
  2. 冷却ファンは最初のレイヤーでは0%に設定
  3. 2レイヤー目以降は15~20%に段階的に上げる
  4. ベッド周辺の風流を遮断するためエンクロージャーの使用を検討

ベッド準備とサポート材

ABSは反りやすいため、ベッドの準備が重要です。サポート材については、ABS自身を使うブレイクアウェイ(手で折る)方式が基本です。水溶性サポートが必要な場合、PVAはABSの印刷温度(240~250℃)に耐えられないため不適で、リモネンに溶けるHIPSをデュアルエクストルーダー機で使うのが定番となります。

よくある失敗と対策

  • 反り(ワーピング):ベッド温度を上げ、冷却ファンを弱くする
  • ノズル詰まり:ノズル温度と印刷速度を確認し、定期的なメンテナンスを実施
  • 印刷物の粘着不足:ベッドの清掃またはビルドシートの交換を検討

Anycubic専用スライサーの活用

Anycubic FDMプリンターではAnycubic SlicerやCuraなどのスライサーソフトを使用します。これらには素材別プリセットが搭載されているため、ABSを選択するだけで最適な設定が自動適用されます。ただし、環境条件に応じた微調整は手動で行う必要があります。

ヒント:初めてABSを使用する場合は、テスト印刷で小さなオブジェクトから始めることをお勧めします。温度やファン設定を記録し、成功したパラメータを保存することで、以後の印刷がスムーズになります。