光造形3Dプリンターで出力物に穴や欠損が生じる原因は1つではありません。LCDパネルの劣化(黒点)が代表的ですが、それ以外にも露光不足・レジン汚染・FEPフィルム劣化・サポート不足・振動・バット内不純物など、複数の要因が考えられます。本記事では、症状の切り分け方と原因別の対策をご説明します。
原因の切り分けと診断フロー
- 穴・欠損が同じ位置・形状で繰り返し発生 → 原因1(LCD劣化)の可能性が高い
- 穴・欠損が毎回異なる位置で発生 → 原因2〜6の可能性
- 細部のみ消失・薄板部の欠け → 原因2(露光不足)が中心
- 造形物全体に小さな欠損が点在 → 原因3(レジン汚染)が中心
原因1:LCDパネルの劣化による黒点
同じ位置・形状で穴が繰り返し発生する場合、最も疑うべきはLCDパネルの劣化により黒い点や黒い線が表示される状態(黒点)です。黒点部分は紫外線を透過しないため、そこのレジンが硬化せず、出力物にその形状のまま穴が生じます。
確認方法(LCDテスト):
- プリンターの操作パネルから「LCD Test」機能を実行
- LCDパネル全面を白(全点灯・全透過)表示にして、黒いまま見える点や線がないか確認
- 黒い点や線が見える場合 → LCDパネル交換が必要
LCDパネルは消耗品です。1,000〜2,000時間程度の使用で劣化が進む機種が多く、出力枚数の多いユーザーは定期的な交換が前提となります。交換方法・部品手配については SK本舗 までご相談ください。
原因2:露光時間不足
薄板部の欠け、細部の消失、出力物全体が脆い場合は露光時間不足の可能性があります。
- 対策:現在の露光時間を5〜30%延長してください(例:通常露光2.5秒 → 3.0〜3.3秒)。
- 厳密な最適値は 露光時間調整方法(RERFテスト含む) を参照のうえキャリブレーションを実施してください。
原因3:レジン汚染(硬化片混入)
過去の造形で発生した硬化片がバット内に残っていると、その上のレイヤーで露光が阻害され、穴・欠損の原因になります。
- 対策:バット内のレジンを200ミクロン目の塗料用フィルター(ペイントストレーナー)で濾過し、硬化片を除去してください。
- 造形失敗のたびに、バットを取り外してフィルムを軽く拭き、目視で硬化片の付着を確認します。
原因4:FEPフィルムの劣化・傷
FEPフィルムが白濁・傷・伸びがある場合、露光が均一に行き渡らず欠損の原因になります。
- 対策:透明度を確認し、白濁や明確な傷がある場合はFEPフィルムを交換してください。一般に200〜500時間の使用で交換目安となります。
原因5:サポート不足
造形物が造形中に剥離・脱落・部分破断すると、欠損として現れます。サポートの密度・接触面・配置の見直しが必要です。
- 対策:サポート密度を Medium → Heavy に変更、接触チップ径を0.5mm → 0.7mmに拡大、オーバーハング部のサポート追加を検討してください。
原因6:振動・外的衝撃
造形中の振動(プリンター設置面の揺れ、近隣機器の動作音、家具からの振動)は層ズレや微細欠損の原因になります。
- 対策:プリンターを安定した水平な台に設置し、振動源(洗濯機・冷蔵庫近接など)から離してください。防振マット(Anycubic純正の防振ボード等)の併用も効果的です。
注意事項
本記事は出力完了直後から穴が見られるケースを対象としています。出力直後は問題なく、時間経過後に割れが生じた場合は、別の原因(二次硬化収縮・サポート除去時の応力・素材選定)の可能性があります。
