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3Dプリンターにさらなる“価格革命”の予感!――光で動くチップがものづくりを変える?
2025年10月15日

3Dプリンターにさらなる“価格革命”の予感!――光で動くチップがものづくりを変える?

「3Dプリンターの仕組み自体が、まるごとチップの中に入るかもしれない」 そんな未来が、現実味を帯びてきています。 その鍵を握るのが、いま急速に進化しているフォトニック・チップ(Photonic Chip)――つまり“光で動く半導体”です。     電子の次は光の時代へ フォトニクス(Photonics)は、光を制御して通信・演算・計測などを行う技術。従来の電子回路が電子を動かして処理するのに対し、フォトニックチップは光(フォトン)を使うため、スピードが速く、消費電力が少なく、そしてより小型にできるという利点があります。 この“光チップ革命”は、すでにAIやデータセンター、通信分野で大きな注目を集めていますが、実は――3Dプリンターにも巨大な影響を与えそうだと話題になっているんです。     MIT×UTオースティン研究チームが示した「光の3Dプリンター」 2024年に発表されたMITとUTオースティンの研究では、シリコンフォトニクスチップを使ったチップベースの3Dプリンターが実験的に開発されました。 この仕組みでは、通常の3Dプリンターにある光源やミラー、モーターといった可動部が一切不要。チップそのものが光を発し、樹脂を硬化させ、造形をコントロールするのです。 つまり――「レーザー+光制御+造形機構」が、1枚のチップに全部入ってしまう。 この発想が実現すれば、3Dプリンターは「機械」ではなく、「スマホ部品のようなデバイス」へと変わるかもしれません。控えめにいってもとんでもない技術です。     仕組みはシンプル、影響は絶大 チップの中では、液晶ベースの導波路が光を操り、レジンを硬化させる仕組み(“光位相アレイ”と呼ばれる技術)を採用しています。 試作段階では、わずか60ミクロン(0.06mm)の微細パーツを出力することに成功。今後は3D構造の造形へと発展させる予定とのことです。 この方式のすごいところは、 可動部がないので壊れにくい 製造コストが激減する 超小型化できる(手のひらサイズの3Dプリンターも夢じゃない) という点。 つまり、“安く・速く・小さく”の三拍子がそろうのです。もちろん、大型サイズの出力をする上ではまた別の考えが必要ですが、いずれにせよ現在の3Dプリンターの限界を超越しています。   「3Dプリンター=高価な機械」という常識が変わる? もしフォトニックチップによる3Dプリンターが量産化されれば、現在のように大型の光学ユニットを必ずしも使う必要がなくなります。...

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なんとモスクまで!オマーンで3Dプリント建築の新時代へ
2025年10月15日

なんとモスクまで!オマーンで3Dプリント建築の新時代へ

中東オマーンで、初の3Dプリント・モスク建設プロジェクトが始動しました。その名も「アル・ハイル・モスク(Al Khair Mosque)」。持続可能な建築を目指す同国にとって、大きな節目となる挑戦。 建設地は、南部サラーラ(Salalah)のダハリーズ・ウォーターフロント地区。プロジェクトを手がけるのは、Innotech Oman と Oday Architecture の共同チームです。巨大3Dプリンターを使い、モスクの構造だけでなく装飾ディテールまでも造形。テーマはイスラーム建築の伝統と最先端技術の融合です。   リボンのようにねじれた“祈りのかたち” 建築デザインのモチーフは、螺旋状のリボン。モスクを取り囲むように緑地と日陰の通路が連なり、参拝者が自然の流れの中で静かに祈りへと導かれる構成とのこと。 最新の3Dプリント技術によって、複雑な曲線や模様もスピーディーに成形でき、しかも材料の無駄を最小限に抑えることが可能。 楕円形の礼拝ホールには天窓(スカイライト)が設けられ、自然光が降り注ぐことで「光による精神的な導き」を象徴しています。 完成予定画像を見る限り、実に未来的かつ荘厳。これは完成が楽しみです。     “地元素材×再エネ”で環境にも優しい ドファール自治体のアハメド・ビン・モフセン・アル・ガッサーニ議長は、「3Dプリント技術によって建設期間と資材使用量を大幅に削減できる」とコメント。 このモスクでは、現地で調達可能な沿岸環境に優しい素材を採用し、さらに太陽光・風力・動力発電を組み合わせたエネルギーシステムを導入。まさに“環境と信仰の調和”を体現する建築になりそうです。   公共建築のつくり方が変わる 今回のモスク建設は、公共建築の新しいモデルケースとしても注目されています。 3Dプリンティングを使うことで、これまで型枠(フォームワーク)に頼っていた複雑な造形を高精度かつ短時間で実現。コストや人手を減らしながら、デザインの自由度を大きく広げます。これは3Dプリント建築だからこそのメリット。 このアプローチは、オマーンが国家として掲げる「伝統を守りながら先端技術を取り入れる国家ビジョン」にもぴったり一致しています。 アル・ハイル・モスクは、完成後にはサラーラ海岸を象徴するランドマークになる見込みです。オマーンにとって初の“プリントされた礼拝堂”というだけでなく、3Dプリント建築の可能性を世界に示すショーケースにもなるでしょう。 すでにサウジアラビアやUAEでも3Dプリント・モスクの建設が始まっており、今回のプロジェクトはその流れをさらに加速させる存在となることが見込まれています。 「住宅から橋、そして――なんとモスクまで!」 3Dプリント建築の広がりは、いよいよ宗教建築の領域にまで届きつつあるようです。  

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MIT、電子部品なしで“動く印刷”を実現!FabObscuraが3Dプリントにも拡張
2025年10月8日

MIT、電子部品なしで“動く印刷”を実現!FabObscuraが3Dプリントにも拡張

アメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、電子部品を一切使わずに、静止した物体をアニメーションのように動かす新しい技術「FabObscura(ファブオブスキュラ)」を発表し、話題になっています。 開発したのはMITの CSAIL(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory/コンピュータ科学・人工知能研究所)。 このツールを使えば、誰でも紙やプラスチックシートを使って“動く”デザインを作り出すことができるとのこと。それを可能にしたのが、いわく「古くて新しい技法」です。   仕組みは「スキャニメーション」― 古くて新しいアニメーション技法 FabObscuraが採用しているのは、「バリアグリッドアニメーション(Barrier-Grid Animation)」という仕組み。 日本では「スキャニメーション」として知られ、19世紀から存在する光学トリックの一種です。 縞模様のシートを画像の上でスライドさせると、絵が動いて見える――という、あの不思議な視覚効果。子どもの頃に本のページで見たことがある人も多いのではないでしょうか。 ただ、この技術においては、これまでは手作業で制作する必要があり、多くの時間がかかるうえに直線パターンしか使えないという制約もありました。この制約を突破する鍵となったのが、コンピューテショナル・デザインでした。     数学×デザインで誰でも簡単に FabObscuraは、この古典的技法にコンピューテーショナル・デザイン(計算的設計)の力を導入。 ユーザーは短いアニメーションをアップロードし、ツール上で波線・ジグザグ・スパイラルなど、さまざまなパターンを数式で自動生成できます。 MIT博士課程の ティチャ・セサパクディ氏(Ticha Sethapakdi) によれば「FabObscuraは、静的な画像を簡単に“動くアート”へ変えます。これまで手作業では難しかった表現を、数クリックで体験できます」とのこと。 さらに、完成したデザインはそのままプリント出力可能。紙や透明シートに印刷して、絵やパッケージ、コースターなどに貼るだけで、平面が一瞬で動くディスプレイに早変わり。こうして「時代遅れの技術」に再び日の目が当たることになったんです。     コーヒーがカクテルに変わる!?...

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1日で家を建てる!6本脚の3DプリントロボットCharlotte登場
2025年10月8日

1日で家を建てる!6本脚の3DプリントロボットCharlotte登場

オーストラリアの Crest Robotics が、Earthbuilt Technology と共同で、地球上の住宅建設だけでなく将来の宇宙建設にも革新をもたらす可能性を持つ6本脚のロボット「Charlotte(シャーロット)」を発表しました。 このクモのようなロボットは、移動型の3Dプリンターとして設計されており、わずか1日で200平方メートルの住宅を建設できることを目指しているとのこと。建築業界を揺るがす技術に注目が集まっています。     「自動アースバッグ工法」で家を1日で建設 Charlotteの中核となるのは、「自動アースバッグ工法(Automated Earthbagging)」と呼ばれる技術です。 これは、粘土・砂・砕石などの現地素材を自動的に混合・圧縮し、層状に積み上げて構造壁を形成する方法。 従来のコンクリートとは異なり、この素材は72時間以内に硬化し、砂岩のような強度を持つのが特徴とされています。 Crest Roboticsの創設ディレクター クロード・ウェブスター博士(Dr. Claude Webster) は次のように語っています。 「私たちは、家の壁を1日で完成させることを目指しています。この技術により、従来の重労働だったアースバッグ作業を自動化し、安全かつ迅速な建設が可能になります。」     建設現場の「安全」と「生産性」を両立 ウェブスター博士は、自動化が人間に与えるメリットにも言及しています。 従来のアースバッグ工法は非常に労力がかかり、しばしば危険を伴う作業でした。 しかしロボットを導入することで、Crest Roboticsは作業者の安全を守りつつ、生産性を飛躍的に高めることが可能になります。 博士によれば、「オーストラリアでは住宅需要が供給を大きく上回っており、今や仕事は山積みです。こうしたテクノロジーを市場に広めることで、より多くの人が建設業に携われるようにしつつ、危険な作業から人々を守ることができます」とのこと。 新技術が建設業の現場をどう変えていくのか、期待が高まっています。    ...

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生徒たちがクラスメイトのために3Dプリント義手を制作|オーストラリア・ポートマッコーリーの取り組み
2025年10月8日

生徒たちがクラスメイトのために3Dプリント義手を制作|オーストラリア・ポートマッコーリーの取り組み

オーストラリア・ポートマッコーリーにある「The Nature School」の生徒たちが、クラスメイトである ロイス・アニェロ(Lois Agnello)さん のために、3Dプリンターで義手を制作しました。このプロジェクトでは、オーストラリアの慈善団体 Free 3D Hands が公開しているオープンソース設計データを活用。生徒たちは数か月にわたり、3Dプリンターの使い方を学び、さまざまな素材を試しながら、最終的に機能的な義手を完成させています。 プロジェクトのきっかけは、生まれつき左手の一部がないロイスさんが、「自分の義手を作ってみたい」と理科・技術の先生に相談したことから始まったそうです。   試行錯誤を重ねたプロトタイプ制作 生徒たちは昼休みの時間を利用し、3か月にわたって活動。異なる繊維素材をテストしながら技術を磨き、最初のプロトタイプを完成させました。 この義手は上腕の動きで作動し、物をつかむことができます。ロイスさんは「最初は本当に動くのか信じられなかった」と驚きを語っています。多くの生徒にとって3Dプリントは初めての経験であり、担当教師の ロイド・ゴッドソン(Lloyd Godson)氏 は「創造性とチームワークを育む貴重な学びの場だった」と話しています。     継続する改良と協働 初期モデルの完成後も、生徒たちはFree 3D Handsと協力しながら改良を続けました。 これまでにさらに3つのバージョンを製作し、回を重ねるごとにより快適で高機能な義手へと進化しています。 Free 3D Handsの創設者 マット・ボウテル(Mat Bowtell)氏...

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3Dプリンターの“悪用”が子どもたちの未来を奪う? ― カナダで起きた偽造事件
2025年9月29日

3Dプリンターの“悪用”が子どもたちの未来を奪う? ― カナダで起きた偽造事件

3Dプリンターは、ものづくりの民主化を進める夢の技術。誰でも手軽に部品や模型、アート作品を作れる時代が訪れ、教育や産業にも大きな恩恵をもたらしています。 しかしその一方で、その“便利さ”は、時に悪用されてしまうこともあります。 2025年9月、カナダ・ブリティッシュコロンビア州で行われた大規模バーベキューフェスティバル「Ribfest(リブフェスト)」で、3Dプリンターを使った偽トークン(模造チケット)事件が発生しました。そして、その影響を受けたのは、他でもない地域の子どもたちでした。 「子どものための寄付」が狙われた 毎年開催されるというRibfestは、カナダ各地のバーベキューチームが集まり、3日間にわたって料理と音楽、地域の交流を楽しむ人気イベント。最大の目的は「地域の子どもたちを支援するチャリティ」。来場者はフードやドリンク用のトークンを購入し、その売上が学校支援やスポーツ、家庭への援助に充てられています。 これまでの開催で集まった寄付金は約200万ドル(約3億円)。すごい額です。しかし、今年はそんな善意の輪が悪意ある一部の行動によって汚されてしまいました。 3Dプリントされた“偽トークン” 警察と主催者によると、今年のRibfestにおいて本物そっくりの偽トークンが3Dプリンターで作られ、会場で使用されていたことが判明したんです。不正に使用されたのは約2000ドル(約30万円)相当。当然、損失を被るのは本来子どもたちへ渡るはずだった資金です。 問題は、偽造されたトークンが非常に精巧だったことでした。外観やサイズまで本物と見分けがつかず、会場スタッフも気づかないまま交換・使用されていました。警察は現在も犯人の特定を進めており、情報提供には500ドルの懸賞金がかけられています。 「犯罪」としての重さ カナダでは、たとえ“公式の通貨”でなくても、金銭的価値を持つものを偽造して利益を得れば「詐欺罪」として処罰されます。日本においても、日本でも、「公式の通貨」でなくても“金銭的な価値を持つもの”を偽造して使えば、刑法上の詐欺罪や私文書偽造罪などに問われる可能性があり、つまり、今回のケースはれっきとした犯罪行為です。 「子どものためのチャリティイベントでこんなことが起きるとは非常に残念だ」と、地元警察はコメント。地域住民のショックは大きく、SNSで拡散された事件の投稿には多くの非難の声が寄せられました。結果的に、損失額の約5倍にあたる約1万ドルの寄付が新たに集まったのは、せめてもの救いです。 3Dプリンターが“犯罪の道具”になる時代 3Dプリンターはここ10年で急速に普及し、価格も大幅に下がりました。それに伴い、犯罪への悪用も増加しています。代表例は「3Dプリント銃」で、世界各国で摘発が相次いでいますが、最近では偽造ナンバープレートや電子タバコ部品など、より日常的な物品の偽造にも使われています。 今回のトークン事件は大規模な組織犯罪ではありません。しかし、「少量・高精度の偽物を、誰でも自宅で作れる」という点で、3Dプリンターが持つ“影の顔”を象徴する事例と言えるでしょう。 このような事件を防ぐためには、コミュニティ全体での意識向上が欠かせません。 例えば今回のようなケースを防ぐ上では、今後イベントや団体側は、トークンやチケットに偽造防止策(特殊な形状や刻印、QRコードなど)を導入する必要があるかもしれません。 あるいは利用者や市民も、「安易なコピー品を作ることの危険性」を認識し、“使う側”の倫理を持つ必要があるとも言えます。教育現場でも、3Dプリンターの技術と同時に「法と倫理」についても指導していく動きが出てくるかもしれません。 「便利さ」と「危うさ」は表裏一体 3Dプリンターは、未来のものづくりを支える素晴らしい技術です。しかしその力は、使う人次第で“凶器”にも“希望”にもなるという現実を、私たちは忘れてはいけません。 今回の事件は、「たった数千円の悪ふざけ」が子どもたちの支援を奪うという現実を突きつけました。技術の進化が進む今だからこそ、私たちはその「影の側面」にもしっかりと目を向け、賢く安全に付き合っていく必要があるのではないでしょうか。   参照記事:https://3dprint.com/320732/outlaw3d-3d-printed-tokens-used-to-rip-off-canadian-ribfest-charity-for-kids/  Image courtesy of Victoria Police

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飲み物を“プリント”する時代が到来 |「Print a Drink」がつくる未来のカクテル
2025年9月29日

飲み物を“プリント”する時代が到来 |「Print a Drink」がつくる未来のカクテル

3Dプリンターで家を建てたり、人工臓器をつくったり──そんな話題にはもう驚かない、という人も多いと思います。でも、「カクテルを3Dプリントする」と言われたらどうでしょうか? 「Print a Drink」は、そんな常識を覆すユニークなスタートアップ。創業者のベンジャミン・グライメル氏がたった一人で立ち上げ、今や世界中のイベントや展示会で注目を集めています。   飲み物が“造形”される驚きのアイデア すべての始まりは、オーストリア・リンツの大学でのある授業だったそうです。「ロボットと食べ物を組み合わせて何か面白いことをやれ」という課題から生まれたのが、「液体を“造形”する」という前代未聞のアイデア。酢と油など“混ざらない液体”の性質を利用した実験から始まり、やがて「飲み物の中に3Dパターンを描く」というコンセプトに進化していったといいます。 それが今では、企業イベントから国際展示会まで引っ張りだこの人気サービスに。グライメル氏は「今でも会社は自分一人。顧客対応もレシピ開発もロボットプログラミングも、グラス洗いまですべて自分でやっている」と語っています。まさに“ワンマン”スタートアップ。その全ては最初の突拍子もないアイディアから始まったのでした。 ロボットが「カクテルの中に3Dアート」を描く仕組み Print a Drinkの心臓部は、独自設計のロボットアームとプリントヘッド。 飲み物の中にマイクロリットル単位でオイルの微小な滴を打ち出し、それが液体中で3Dピクセルのように浮かび上がる、という機序です。 最初は水溶性のシロップなどで試したそうですが、極性の問題で失敗。試行錯誤の末に最終的に行き着いたのは、食用オイル。これが表面張力によって液体中で球状になり、まるで宙に浮かぶ立体パターンのようなアートを生み出すんです。レモンオイルやナッツオイルなどを使えば、香りや味わいの演出もできるそう。つまり、視覚も嗅覚も味覚も満足させる次世代カクテルなんです。    技術的な挑戦の数々 もちろん、「飲み物をプリントする」というのは口で言うほど簡単ではなく、主に以下の点がハードルになったそうです。 吐出の精度:1滴200ミリ秒以内でオイルを正確に出す必要がある ナノリットル単位の制御:余計な液漏れは“失敗作”の原因に 食品安全性:飲料用なので素材選びにも細心の注意が必要 初期のプロトタイプは改造したラボ用ピペットだったそうですが、現在のプリントヘッドは医療用マイクロバルブを採用した完全自社設計。数百のパーツが3Dプリンターで試作され、形状も“液体の乱流”が起きにくいよう最適化されています。  世界中のイベントで話題に 現在、Print a Drinkはイベント専用サービスとして展開されています。依頼主は大手IT企業やイベント代理店などで、依頼が来るたびに世界各地で“液体アート”が披露されています。 「ほとんど宣伝はしていません。毎回、会場で撮影された動画がSNSで拡散され、それが次の仕事につながっていくんです」とグライメル氏。リピート率も高く、企業イベントの“目玉演出”としての地位を確立しつつあります。     今後は、単発イベントだけでなく常設インスタレーションとしての展開も視野に入れているそうです。テーマパークのバーや高級ホテルのラウンジなど、「体験型の演出」として設置できれば、まさに“未来のドリンク文化”が生まれるかもしれません。 アジアからの引き合いもあるそうですが、今は物流やコストの問題で実現には至っていないとのこと。とはいえ、グライメル氏の情熱と技術力を考えると、それも時間の問題でしょう。日本で3Dプリントカクテルを楽しめる日も近い?...

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フランスの名門校に“AIクラスメイト”が登場——教育に与える影響は?
2025年9月20日

フランスの名門校に“AIクラスメイト”が登場——教育に与える影響は?

フランスの工学系名門校 ECE(École centrale d’électronique) の学生たちが、新学期に迎えたユニークなクラスメイトが話題になっています。その名は Milo(ミロ)。フランスで初となる自律型AI学生です。 テキスト生成や数式の解法、図表の読み取りから学生同士の対話までこなすMilo。ただのAIアプリと違うところは、彼女には実体があるという点。そして、その身体を形作ったのは、3Dプリンターだそうです。 3Dプリンターで「AIにボディを」 Miloの身体は、大学のロボティクスクラブの学生たちがBambu Lab X1 Carbon Comboを使って製作。画面インターフェースやセンサーを収める軽量シャーシを設計し、さらには頭の上に小さな植物をちょこんと配置。こうしてわずか3か月で、ソフトウェアとしての存在だったMiloは、スクリーン越しではなく教室に実在するクラスメイトになったそうです。     開発スピードを支えたのは、3Dプリントの柔軟性と即応性。アイデアが浮かんだらすぐ試作、調整して再プリント。まさに「試行錯誤の加速装置」として3Dプリンターが機能した結果、Miloは生まれました。 履修相談やインターンシップのアドバイスまで ECEパリの学長フランソワ・ステファン氏は、Miloについて「学生と教員をつなぐ仲介役」と説明。Miloは講義に“出席”するだけでなく、モバイルアプリ経由で履修相談やインターンシップのアドバイスまでこなす予定です。 つまり「ちょっと頼れる同級生兼、なんでも相談AI」。たとえ少し動作が遅かったり、たまにバグったりしても、学生生活を面白くしてくれる存在になりそうです。 3DプリントとAIが作る「未来のクラスメイト」 Miloは単なる“面白い試み”に留まりません。AIと3Dプリントが一緒になることで、カスタム設計のロボットがどんどん現実的になっていることを示しています。 3Dプリントの自由度とAIの進化 、それらのシナジー によって、技術が加速的に前進していくことは間違いありません。 もちろん、今はまだMiloも発展途上。反応が遅れたり、“考え込む”こともあるそうですが、ECEの学生にとっては技術の未来を間近で体験できるクラスメイト。 もしかしたら、今後の学校生活においては、それが当たり前の光景になっていくのかもしれません。   写真: Les Echos  

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3Dバイオプリント「胎盤」は妊娠合併症を解明するか
2025年9月19日

3Dバイオプリント「胎盤」は妊娠合併症を解明するか

胎盤は小さな臓器ながら、妊娠において極めて重要な役割を担っています。受精卵が子宮に着床するたびに新しく形成され、胎児とともに急速に成長し、やがて小皿ほどの大きさにまで発達。胎児は子宮内で呼吸も摂食もできないため、胎盤が酸素と栄養の供給源となり、さらに老廃物を排出する腎臓の役割も果たします。まさに「命綱」と呼ぶにふさわいい、生命の誕生に欠かせない臓器です。 ところが、その重要性にもかかわらず、胎盤は人類の生物学の中で最も理解の進んでいない臓器の一つとされています。理由は、妊娠中に胎盤のサンプルを採取するのは感染や流産のリスクが伴い、出産後には組織が大きく変化してしまうため、初期発達の研究には適さないということ。さらに、動物の胎盤はヒトと大きく異なるため、動物実験から得られる情報にも限界があります。 胎盤オルガノイドとバイオプリント この課題に挑んでいるのが、オーストラリアのシドニー工科大学(UTS)の研究チームです。彼らは「胎盤オルガノイド」と呼ばれる人工ミニ胎盤を、3Dバイオプリントで作り出すことに成功しています。 オルガノイドそのものは決して新しい技術ではなく、2009年には医療研究に登場した技術です。これは幹細胞をゲルに浮遊させて培養することで、臓器に似た立体構造を自発的に形成するという技術で、2018年には初めて「トロフォブラスト」という胎盤特有の細胞を用いた胎盤オルガノイドが作られました。 しかし、従来の研究では動物由来のゲルに細胞を浮遊させる方法が主流であり、実際の胎盤環境を正確に再現できないという問題がありました。また、大量のオルガノイドを作る際には手作業が多く、効率性にも課題がありました。 世界初の「3Dプリント胎盤オルガノイド」 UTSの研究が画期的なのは、バイオ3Dプリンターを使ってオルガノイドを作成した点です。さらに、使用したのは動物由来ではなく、合成で制御可能なゲル。これにより、より正確で再現性の高い胎盤モデルが可能になりました。   A placental organoid under the microscope   実際に作成されたオルガノイドは、ヒトの胎盤組織と非常に近い特徴を示し、細胞の種類や構造もより自然に近い形で発達しました。研究者たちは「若いオルガノイドをゲルから取り出して液体培地に浮かせることで、細胞の組織化を変化させることができた」と報告しています。 応用の可能性──妊娠合併症の解明へ 胎盤オルガノイドの研究は、特に子癇前症(preeclampsia)の解明において、大きな期待が寄せられています。子癇前症は胎盤の機能不全と関連があると言われ、妊娠の5〜8%に発生。毎年約4万6千人、新生児で50万人もの命を奪っています。唯一の治療法は出産ですが、原因が特定されていないため予防や対策が難しいのが現状です。 今回のUTSの研究では、子癇前症患者で多く見られる免疫シグナルにオルガノイドを曝露し、複数の治療法を試す実験も行われました。こうした研究を通じて、病態解明や新薬開発が大きく進む可能性があります。 また、今後はCRISPR遺伝子編集と組み合わせて遺伝子レベルでの理解を深めたり、感染症研究や薬剤安全性テストに活用したりする道も考えられます。 バイオ3Dプリントの可能性 バイオ3Dプリンターを使う最大の利点は、複雑な3D構造を精密に再現できるということです。これにより実験の精度と再現性が向上し、動物実験の削減にもつながります。 胎盤オルガノイド研究はまだ初期段階とはいえ、将来的には妊娠合併症の予測・予防・治療に不可欠なツールとなるかもしれません。バイオ3Dプリント医療の未来に期待がかかります。          

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シンガポール国立大学、3Dプリントで“発光する皮膚”を開発──水中通信や安全性を革新へ
2025年9月7日

シンガポール国立大学、3Dプリントで“発光する皮膚”を開発──水中通信や安全性を革新へ

シンガポール国立大学(NUS)の研究チームが、電池やケーブルを必要とせず光を発する弾性の「フォトニックスキン」を3Dプリントで開発することに成功し、話題となっています。この素材は「オーゼティック構造(auxetic design)」と呼ばれる特殊な設計を採用し、引き延ばすと縮むのではなく逆に膨張する特性を持っています。これにより、水中での通信や安全確保に新しい道を開く技術として注目されているんです。 水中探査の課題と新しいアプローチ 水中探査は依然として大きな課題を抱えています。低い視認性、塩分濃度、極端な温度変化などにより、従来の電子機器は損傷しやすく、その解決案としてLEDや光ファイバーも利用されていますが、外部電源への依存や柔軟性の低さが制約となっていました。そこで研究チームは、「機械的な刺激で発光する性質(メカノルミネセンス)」と、3Dプリントによるオーゼティック構造を組み合わせるという新しいアプローチを採用しました。これにより、動かすだけで光る素材を実現。これがグローブや酸素タンク、ソフトロボットなど曲面にも適応しながら発光する新素材として注目を集めているんです 3Dプリントとオーゼティック材料の融合 研究では、シリコンマトリクスにZnS(硫化亜鉛)のセル構造を3Dプリントしています。ZnSは安定性と生体適合性に優れ、海洋環境でも安全に使用できると言われています。このオーゼティック設計により、複雑な形状への適応性が高まり、また、外層のシリコンが応力を均一に分散させ、繰り返し伸縮しても均等に発光することが可能に。実験では1万回以上の使用サイクル後も性能を維持する耐久性が確認されているようです。 National University of Singapore 応用例と今後の展望 研究チームはフォトニックスキンを実際の物体に組み込み、その可能性が実証されましたが、主に考えられている今後の実用例は以下のようなものです。 発光グローブ:モールス信号を送る水中通信に利用。 ロボット魚:動くと光る仕組みで、水中ロボットの実験に活用。 ガスタンク:漏れを検知し発光で知らせる安全モニタリングに応用。 フォトニックスキンは視覚的な通信システムやリアルタイムの安全監視に有効な素材。研究チームは「3Dプリントこそが、複雑形状デバイスの創造を可能にし、極限環境でも安定した光を発生・維持する鍵」と強調しています。次の課題は湿潤環境での耐久性向上と量産化。もし実現すれば、ダイビング装備、水中ロボット、ワイヤレス通信システムの標準技術として普及する可能性があり、今後の進展に期待がかかっています。 詳しい研究内容については以下をご参照ください。https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.202502743

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Rapid Fusion、大型3Dプリンター向けAIアシスタント「Bob」を発表──ゆくゆくは一般ユーザーにも?
2025年9月7日

Rapid Fusion、大型3Dプリンター向けAIアシスタント「Bob」を発表──ゆくゆくは一般ユーザーにも?

イギリスの3Dプリンターメーカー Rapid Fusion が、新たにAI搭載アシスタント「Bob」を発表し、話題となっています。 Bobは「Base of Build」の略で、同社が8か月間の開発とテストを経て完成させたものとのこと。航空宇宙、自動車、建設、医療技術、防衛といった産業分野での利用を想定し、大型3Dプリンターの運用効率を大きく高めることを目的として開発されたものですが、これがAIと3Dプリンティングが本格的に協働する時代の到来を告げる技術となるのか、期待を集めています。 Bobの特徴と仕組み Bobはプリンターの制御を簡略化し、予防保守によるダウンタイム削減やセットアップの効率化を実現するAIシステム。オンライン環境はもちろん、知的財産保護が必要な企業向けにオフラインでも稼働可能な設計となっています。対応する機種は、同社の既存モデル「Apollo」「Zeus」、そして最新機「Medusa」。Bobは1,000以上のプリントパラメータを考慮し、100種類以上の部品に最適化プリセットを提供。例えば「Smart Extrusion Readiness」という機能では、複数の加熱ゾーンで温度安定性を監視し、自動で印刷の可否を判断します。さらに、高温ポリマーや複合材を扱う際には、耐熱性、収縮、膨張といった特性を踏まえたマテリアルインテリジェンスを活用。ユーザーは「耐熱ツールをプリントして」と自然言語で指示するだけで、Bobが適切な設定に翻訳し、最適なプロセスを実行します。また、複雑な作業はSmart Chained Functionsにより自動で連携。材料選択から温度プロファイル、後処理工程までを一括して管理できます。 提供形態と今後の展開 Rapid Fusionは2026年から、研究機関やパートナー向けのアドバンスト版と、既存顧客向けのスタンダード版の2種類を展開予定。リモートアップデートにも対応し、常に最新機能を提供していくとのこと。こうしたAIアシスタントは現状、大型産業用3Dプリンター向けに開発されています。しかし気になるのは、今後それらが家庭用・デスクトップ3Dプリンターにも導入されていくのかどうかということ。 結論から言えば、その可能性は極めて高いでしょう。 たとえば、自動トラブル検知(詰まりやフィラメント切れをリアルタイムに予測し、事故や失敗を防ぐ)や、自然言語操作(「強度重視の部品を作って」といった音声・テキスト指示で、自動的にスライス条件を最適化)、学習型パラメータ調整(ユーザーの過去の出力結果を学習し、その人の使い方に合わせて設定をアップデート)などにおいて、今後、AIアシスタンツが役立てられていることは間違いないと思います。 特に初心者にとっては、複雑な設定や失敗が3Dプリント導入のハードルとなっています。AIアシスタントが搭載されれば、“誰でもワンクリックで失敗なく出力できる3Dプリンター” という未来像が現実に近づいていくはずです。 参照:https://rapidfusion.co.uk/blogs/news/rapid-fusion-launches-ai-print-assistant-to-optimise-3d-printing-technology

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3Dプリントが音楽教育を変える──ペンシルベニアの小学校区の挑戦
2025年8月30日

3Dプリントが音楽教育を変える──ペンシルベニアの小学校区の挑戦

アメリカ・ペンシルベニア州のある農村部の学区が、子どもたちの音楽教育を大きく変える新しい取り組みを始めています。その鍵となっているのが、3Dプリント技術で作られたバイオリン。経済的な理由でこれまで楽器に触れることが難しかった生徒たちが、低コストで自分の楽器を持てるようになったというこのニュース。楽器製造業界における3Dプリント技術の導入はこれまでも行われてきましたが、こうした教育現場における導入はまだまだ珍しい事例です。 楽器レンタルの壁はいまなお高い このプロジェクトを立ち上げたのは、コールセンター地区(California Area School District)の教育長であるローラ・ジェイコブ博士とのこと。きっかけは、学区の音楽プログラムに参加するために必要な楽器レンタル費用が、年間数百ドルにものぼることでした。 学区の生徒の7割以上は低所得家庭に属しており、家計に大きな負担を強いる現状がありました。そうした背景のもと、ジェイコブ博士は「もっと持続可能で手頃な解決策」を模索し始めたそうです。そんな中、ジェイコブ博士はYouTubeで「3Dプリント楽器で演奏する音楽家たち」の動画を発見。すぐに、オープンソースのファイル共有プラットフォームからデジタル設計データを入手して試行錯誤を始めたそうです。最初はオフィスに置いた2台のプリンターからスタートし、その後は30台以上のプリンターを備えた工房へと発展。試行錯誤の末、演奏に耐える音色を持ち、安定して出力できるデザインを見つけ出しました。 Credit: California Area School District 材料費は1本あたりわずか50ドル程度。通常ならレンタルや購入に数百ドルかかることを考えると、その差は歴然。こうして約5年間で200本以上のバイオリンを生徒たちに無償で提供することに成功しました。 3Dプリントバイオリンの影響 ジェイコブ博士は、毎週「3Dバイオリンクラブ」を運営し、生徒たちはバイオリン演奏だけでなく3Dプリント技術そのものを学ぶ機会もつくっているそうです。これは単なる音楽教育にとどまらず、テクノロジーへの理解を深めるきっかけにもなっています。この取り組みは、単に安価な楽器を提供する以上の意味を持ち、生徒たちの自信や表現の意欲を引き出しています。ジェイコブ博士も「コスト削減以上に、生徒が音楽への情熱を育むことが大切。もしその気持ちが続くなら、それだけで価値がある」と強調しています。 Credit: California Area School District 今回の事例は、3Dプリンターが理科実験やプロトタイピングの道具にとどまらず、芸術分野でも創造性や教育機会を広げる手段として活用できるということ、とりわけ音楽教育の世界でも、3Dプリント楽器は「次世代にチャンスを与える楽器」として新しい可能性を切り開きつつあることを示しいています。音楽教育は幼少期から始めることが重要な教育の一つ。ただ楽器の高価さゆえに一般家庭ではなかなか簡単に始めることができないものが多いという現状もあります。3Dプリント楽器がそうした状況に対し、機会の公平をもたらす一助になれば、とてもいいことです。今後の展開に期待大です。 参照記事:https://www.3dnatives.com/en/pennsylvania-school-3d-prints-violins-to-make-music-more-accessible-27082025/

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小型射出成形機「SALTGATOR」登場──3Dプリントと組み合わせて広がるDIYの世界
2025年8月30日

小型射出成形機「SALTGATOR」登場──3Dプリントと組み合わせて広がるDIYの世界

アメリカ・テキサス州ディキンソンに拠点を置く新興企業 SALTGATOR Tech Inc. が、DIYメイカー向けのデスクトップ射出成形機「SALTGATOR」を発表しました。射出成形といえば、大型で高価な産業用機械を思い浮かべる方が多いはず。実際、従来は工場レベルでしか扱えなかったこの技術なんですが、今やガレージや教室、オフィスの机の上で手軽に扱えるようになっているんです。この小型機はソフトで柔軟なプラスチックパーツを成形でき、3Dプリンターと組み合わせることでユーザー自身がオリジナルの金型をデザイン&プリントし、多彩なカスタム作品を生み出すことができます。3Dプリントの可能性をグッと広げる「SALTGATOR」に迫ります。 SALTGATOR誕生の背景には「釣りバカ」が? この小型射出成形機のアイデアの源は意外にも釣り好きのホビーユーザーだったそうです。市販ルアーの代わりに、もっと手軽に自分好みのソフトベイト(柔らかい釣り餌)を作れないか――そんな思いから開発が始まったとのこと。社名の「SALTGATOR」も、釣行中に見かけたワニに由来します。塩水にも淡水にも適応するワニの姿が「柔軟性とタフさ」の象徴となり、製品コンセプトに結びついたんだそうです。もちろん現在は釣り具だけでなく、スマホケースやキーボードのキーキャップ、トイやプロトタイプ部品まで、柔らかい素材を使ったものなら幅広く製作可能。身近な関心から新たな技術が生み出されるのは技術進歩の常とはいえ、まさか「釣りバカ」が背景にいたとはちょっと驚きです。 SALTGATOR 仕組みと操作性 以下は発表されているSALTGATORの特徴です。 オールインワン設計:ソフトウェアや特別な調整は不要。箱から出してすぐ使える。 材料容量:最大120ml(約4oz)のSoftGelを投入可能。 加熱方式:気密チャンバー内で加熱し、においや煙を閉じ込める設計。 温度調整:80℃〜210℃(176°F〜410°F)までタッチ操作で制御可能。 成形時間:材料注入から固化まで約3分。 初心者でも扱いやすく、10〜15分で最初のパーツを完成できるシンプルさが売りとのことで、さらに残った材料は再加熱して再利用できるため、無駄も最小限に抑えられるそう。 対応する材料と金型 SALTGATORは自社製のSoftGel素材を用意しており、硬さの異なる3種類から選ぶことができいます。 0A:超ソフト(ゼリーのような柔らかさ) 20A:中間(シリコンラバーに近い) 40A:やや硬め(消しゴム程度の硬さ) これらは単体で使うことも、配合を変えてオリジナルの硬度を作り出すことも可能です。また、PLAやABSといった一般的な3Dプリント素材で作った金型にも対応。さらにPEEKやアルミ、銅、高耐熱シリコンやエポキシ樹脂など、多様な素材の金型と組み合わせることができるというんだから便利。 安全性と環境への配慮 家庭での利用を想定しているため、低温で扱える安全な材料を前提に設計されています。筐体は外側が熱くならないよう断熱され、万が一のやけどや漏れを防ぐための熱保護・密閉チャンバー構造も搭載。DIY愛好家だけでなく、教育現場やワークショップでも安心して使える点が大きなメリットになりそうです。 SALTGATOR 価格とコミュニティ さて、気になる価格は約399ドル(Kickstarterの早期支援者は249ドル)と、日本円で約6万円前後と考えると産業用の射出成形機に比べて圧倒的に手頃です。追加の金型や材料パックも提供予定で、導入コストを抑えつつ幅広い実験ができます。さらに、開発チームは専用Discordコミュニティを開設。ユーザー同士が金型デザインを共有したり、ノウハウを交換したり、作品を披露したりできる場を整えています。公式ライブラリとして無料のSTLデータも配布予定で、ユーザーはすぐに試作を始められます。 3Dプリンターの隣に置きたい一台 SALTGATORは、3Dプリントと並んで個人製造の可能性を広げる新しいツールといえるでしょう。釣りルアーからオリジナルガジェット、教育教材やアート作品まで、使い方は無限大。「自分のアイデアをすぐ形にしてみたい」――そんなDIYラバーにとって、SALTGATORはまさに3Dプリンターの好き相棒になりうる存在かもしれません。 SALTGATORのキックスターターページhttps://www.kickstarter.com/projects/saltgator/saltgator-the-1st-desktop-softgel-injection-molding-machine?ref=d8wqkr...

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スコットランド三兄弟、3Dプリントで太平洋横断に挑戦
2025年8月19日

スコットランド三兄弟、3Dプリントで太平洋横断に挑戦

3Dプリンターを使った挑戦にはこれまでにも様々なものがありましたが、今話題となっているのはスコットランド出身のイーワン、ジェイミー、ラクランのマクレーン三兄弟。彼らはなんと太平洋を手漕ぎボートで横断する9,000マイル(約14,500km)の旅に挑戦中。しかもそのボートには、Formlabsの最新3Dプリンター「Form 4」で作られた40点以上のカスタムパーツが搭載されているとのこと。彼らの目標はただ横断することではなく、一つは世界最速の3人組・無支援太平洋横断記録の樹立すること、そしてマダガスカルの安全な水プロジェクトのために100万ポンド(約1.9億円)の寄付を集めること。冒険と社会貢献を同時に狙った壮大なチャレンジ。果たして、どうなったのか。 「エミリー=ローズ号」は3Dプリンティングで最適化 ボートの名前は「エミリー=ローズ」。F1グレードのカーボンファイバーを使い、オーシャン・ローイング・カンパニーと共同設計されました。ここに3Dプリンターが役立てられてます。 具体的には「各選手の体を3Dスキャンして作ったオーダーメイドの座席」「船内で休むためのスリーピングプラットフォーム」「航行・通信システム用の耐候性マウント」などに関して3Dプリンターが用いられたそう。 とはいえ、太平洋横断といえば、灼熱の太陽、激しい波、そして塩水――素材にとっては地獄のような環境です。 それでもマクレーン兄弟は、Formlabsのエンジニアリングレジンを使い、金属や従来素材に匹敵する強度を持つパーツを製作。調理用ストーブのジンバルや紫外線や塩害に耐える衛星アンテナ用の固定具など、現場で即戦力となる部品を3Dプリンターで仕上げています。 イーワン曰く「海は素材にとって最悪の環境。それでも“プリントして取り付けて海上で使える”のは発想を変える体験だ」とのことです。 デスクトップ3Dプリンターだからこそ 特筆すべきは、これらのパーツがデスクトップサイズの3Dプリンターで作られたこと。外注せず、自分たちで設計から取り付けまで管理できたため、完全に自分たち用にカスタマイズされたものをスピード感を持って制作できたとのこと。これぞ“現場で使えるデジタル製造”の真骨頂。現在はまさに挑戦中とのこと。果たして無事に横断できるのかどうか。ただ、実は彼ら、2020年には大西洋横断を35日で成功させ、すでに記録保持者でもあります。今回の太平洋横断は、それを超える「より長く過酷な冒険」でありつつ、3Dプリンターが極限環境でも役立つことを示す実証実験。 いずれにしても、DIYやホビー用途を超えて、「過酷な環境でも頼れる相棒」としても3Dプリント品が耐えうるということを証明してくれているというのはなんとも心強い話です。彼らの横断が無事成功することを祈ってます。 写真: Maclean Brothers / Maclean Foundation

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Elegooが「Nexprint」始動 ─ 3Dモデル共有の次世代プラットフォーム?
2025年8月19日

Elegooが「Nexprint」始動 ─ 3Dモデル共有の次世代プラットフォーム?

弊社SK本舗が総代理店を務めるElegooがオープンソースの3Dモデル共有プラットフォーム「Nexprint」を立ち上げ、話題になっています。このNexprintで目指しているのは「3Dプリンター利用者同士を世界中でつなぐ」というもの。新しい創作ハブを目指した野心的なプラットフォームの誕生です。 Nexprint https://nexprint.com 今までのプラットフォームとどう違う? 1. プラットフォームの一元化 まずNexprintはElegoo公式モデルとユーザー投稿を融合し、ThingiverseやPrintablesなど他のプラットフォームのモデルもまとめて検索・ダウンロードできる機能があります。これはユーザーにとって複数サイトを行き来する手間が減るため、かなりありがたい仕組み。 2. スライサーとのシームレス連携 Nezprintは、Elegoo SlicerとOrcaSlicerに対応しており、選んだモデルをそのまま最適な形でプリント準備に移せるとのこと。モデル選びから出力までの流れが滑らかで実用性が非常に高いのも特徴です。 3. 制作者へのリワード制度 クリエイターにはポイント制で報酬が用意されており、 オリジナル作品へのポイント付与 定期的なコンテスト開催 優秀作品のプラットフォーム全体での露出 専用のサポート窓口などび提供 4. 創作者を支える1,000,000ドルのファンド 今回、創作活動を後押しする1,000,000ドル(約1億4千万円)のクリエイターファンドも設立されています。投稿されたオリジナルモデルには、まず1件あたり約5ドル、さらに優れたデザインには追加5ドルの報酬があり、招待制度で最大月100ドルまでのボーナスもある仕組みです。 実際のところは? 正直、今回のElegooの取り組みはかなり革新的です。 例えば、ユーザーが各種モデルを探したり、プリントしたりする際の“動線”を突き詰めていて、使い勝手が非常に洗練されている印象があります。各種掲示板でもすでに「非常に見やすいUI」と評価されていて、今後、存在感を増していくことは間違いなさそうです。 そして、報酬制度があることで、モチベーションを持った投稿が増えていけば、ただの作品集を超えて「常に新しい発見がある創作コミュニティ」になるポテンシャルも秘めています。特にクリエイター向けの新しいステージが、ここには芽吹いていくように感じます。 とはいえもちろん、弊社が運営する3D DATA JAPANも負けてはいません。ユニークで独創性溢れハイレベルな3Dデータが揃っています。コンテストも随時開催していますので、是非とも覗いてみてください! 3D DATA...

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2025年8月7日

3DプリンターとPLAとは?

3DプリンターとPLAとは? 近年、3Dプリンターはものづくりの分野で注目を集めています。自宅や学校でも手軽に使える機種が増え、興味を持つ方が増えているのではないでしょうか。ここでは3Dプリンターの基礎知識と、代表的な材料の一つである「PLA」についてわかりやすくご紹介します。 そもそも3Dプリンターとは? 3Dプリンターは、コンピューターで作成したデジタルデータをもとに、プラスチックなどの材料を層(レイヤー)状に積み重ねて立体物を作り出す機械です。伝統的なものづくりとは異なり、型を作る必要がないため、少量生産やオリジナル品の制作に適しています。 3Dプリンターの主な種類 FFF/FDM方式(フィラメントを溶かして積み重ねる) 光造形(光で樹脂を硬化させる) 今回は、家庭用や初心者に多いFFF/FDM方式の材料「PLA」について解説します。 PLAとは?特徴とメリット PLA(ポリ乳酸)は、トウモロコシやサトウキビなどの植物を原料に作られた、環境にやさしい3Dプリンター用のフィラメント(プラスチック素材)です。 PLAの特徴 植物由来のバイオプラスチックで生分解性がある 印刷時の臭いが少なく、室内で扱いやすい 低温で溶けるため、初心者にも使いやすい 印刷後は硬くて丈夫、見た目もきれい こんな方におすすめ 3Dプリンターをこれから始めたい初心者 安全にものづくりを楽しみたい方 環境に配慮した素材を使いたい方 PLAで作れるものの例 PLAフィラメントを使うと、アクセサリーや小物、模型、プロトタイプなどさまざまなものを作ることができます。カラーバリエーションも豊富で、アイデア次第で無限の可能性があります。 初心者でも安心!SK本舗のスターターキット 3Dプリンターの購入を考えている方に、SK本舗の「3Dプリンタースターターキット」をおすすめします。セット内容にはプリンター本体のほか、PLAフィラメントや必要なツールが揃っているため、初めての方でもすぐに使い始められます。 初心者向けにわかりやすい説明書とサポートも充実しているので、安心してものづくりをスタートできます。 SK本舗 3Dプリンタースターターキットを見る まとめ 3Dプリンターは、新しいものづくりの可能性を広げる機械です。PLAは初心者に優しく環境にも配慮された素材であり、これから3Dプリンターを始めたい方にぴったりです。まずはSK本舗のスターターキットで、気軽に3Dプリンターの世界を体験してみませんか?

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熊本のLib Work 社が3Dプリント住宅産業を革新
2025年8月2日

熊本のLib Work 社が3Dプリント住宅産業を革新

熊本県山鹿市に拠点を置くLib Work(リブワーク)が、建築工期とコストの削減を目指して、土を主原料とした3Dプリント住宅(Lib Earth House)の量産へ本格参入しています。 3Dプリント建築は未来の話ではなく、建設業界の基盤を変える技術へと進化しつつある。日本企業がこの大きな波の中でどうプレゼンスを高めていくのか、注目が集まっています。 Lib Workは、2040年までに1万棟の3Dプリント住宅を完成させると発表しています。これは日本国内での普及を進めるだけでなく、効率的かつ安価な住宅提供を目指した壮大な取り組みです。 なぜ日本で3Dプリント住宅なのか? 日本は世界でも特に地震が頻繁に発生する国であり、住宅の設計には高度な耐震性が求められます。2024年1月には石川県でマグニチュード7.5という大地震の後、6.2の余震が相次ぎ、住宅や古寺に甚大な被害が発生しました。このような状況下で、Lib Workは震度3に相当する耐震等級3(日本住宅の最高基準)に対応可能な住宅を3Dプリンターで建築。その設計構造は、木造の軸組構造に、土ベースのプリント壁を組み合わせるハイブリッド構法で、コンクリートを使わずに高耐震性を確保しています。さらに、日本は特に地方で建設技能者の不足が深刻ですが、欧州のような移民による補完が難しい現実があります。3Dプリント技術による自動化は、この人手不足を補う手段として期待されています。 熊本・山鹿のモデル住宅 Model A(試作品)最初に公開された「Model A」は、地上1階・延床面積約15㎡の小型住宅で、木造の構造体に、外壁として土ベースの3Dレイヤープリント壁を設置。日本で初めて法的に建築確認を取得した3Dプリント住宅として注目されました。実際には3Dプリントに72時間、木造工事に2週間、総工期約3カ月で完成しており、従来工法に比べて工期の大幅短縮が実証されています。 Model B(一般住宅規模・量産モデル)現在発表されている「Model B」は、延床面積約100㎡の平屋住宅で、熊本日日新聞によれば2025年8月から予約受付を開始し、翌春から施工予定です。構造は引き続き木造フレーム+土ベースの3Dプリント壁で、Model Aより耐震強度を約5倍に向上させています。また、セメントを一切使わず、土・石灰・藁・もみ殻など自然素材を約65%主体にした独自ブレンドで、脱セメント・CO₂排出量の大幅削減を実現しています。 Lib Workの3Dプリント住宅の特徴と利点 Lib Workの3Dプリント住宅には、コスト、環境、性能の3つの面で大きな特長があります。まずコスト面では、1棟あたりの建築費用は約2,000万円程度とされています。これは、東京で平均的なマンションを購入する場合の費用(約1億円)に比べて非常に手頃です。また、一般的な戸建て住宅の価格(3,000万〜5,000万円)と比較しても、低価格帯に位置づけられます。 工期についても、従来の住宅では完成まで数ヶ月かかることが一般的ですが、この3Dプリント住宅では、内装を含めても平均6週間程度で完成を目指しています。建設スピードの向上は、住宅不足や人手不足の解決にもつながる可能性があります。環境への配慮も進んでいます。コンクリートを使わず、土や藁など自然素材を主原料とすることで、従来の住宅に比べて約半分のCO₂排出量に抑えられます。さらに、廃棄時には自然に還る素材である点も特徴です。耐震性も高く、建築基準法における最高等級(耐震等級3)に対応しており、日本のような地震大国でも安心して住むことができます。 また、住宅内には温湿度センサーが設置されており、結露や素材の劣化を早期に検知できる仕組みになっています。さらに、太陽光発電とテスラ社の蓄電池「Powerwall」を組み合わせたオフグリッド設計により、電力の自給も可能です。スマートホーム機能も搭載されており、IoTによる家電管理や顔認証による玄関の開閉など、快適な生活を支える工夫も施されています。このように、Lib Workの3Dプリント住宅は、低コスト・短工期・高耐震性・環境配慮・スマート機能といった多くの利点を兼ね備えた、次世代型の住まいとして注目されています。 まとめ 熊本発のLib Workによる3Dプリント住宅は、「低コスト・短工期・環境配慮・耐震性・スマート機能」を兼ね備え、日本の住宅未来を刷新する技術です。Model Bが市場に出たことで、今後本格的に量産フェーズへ移り、一般普及が進むと予想されます。都市部でも地方でも、コスト・耐震・エコを重視する方にとって、従来の住宅の新たな選択肢となることでしょう。いよいよ一般化しつつある3Dプリント建築の今後に注目です。 写真:Lib...

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犬と人の居場所をひとつに。3Dプリンターが生んだ「Dog Hut Side Table」
2025年8月2日

犬と人の居場所をひとつに。3Dプリンターが生んだ「Dog Hut Side Table」

家具とペット用品の境界が、今まさに変わろうとしている——。 英国の若手デザイナー、リアム・デ・ラ・ベドワイエ(Liam de la Bedoyere)氏が開発した「Dog Hut Side Table(ドッグハット・サイドテーブル)」は、飼い主のための機能と犬のための安らぎスペースを一体化した新しいコンセプト家具です。 まるで煙突付きの小さな家のような形をしたこの作品は、見た目の可愛らしさだけでなく、製造方法にも最先端の3Dプリント技術が用いられています。 曲線の難しさと、ロボット3Dプリンターという解決策 このサイドテーブルは2023年に木材(合板)で最初のプロトタイプが製作されましたが、複雑な曲線や積層構造のために従来の製造方法では効率的に量産できないという壁に直面しました。設計上の美しさと使いやすさを保ちつつ、実際に作れる形に落とし込むため、デザイナーは翌2024年に構造を見直し、機能性と製造性のバランスを追求。最終的に、2025年にはロボット制御の3Dプリンターによる製造へと完全に切り替えることで、この家具の量産が可能になりました。 この製造方式の大きな利点は、なめらかな曲面を一体で成形できること。素材の無駄を抑えられるだけでなく、後加工や部品の組み立てが不要となり、生産の効率も大きく向上しました。また、煙突のような上部の突起には、サポート材を使わずに積層できるように絶妙な傾斜角(ドラフト)を取り入れ、印刷中のトラブルを防いでいます。こうした細かな設計配慮が、プロトタイプから実用家具への進化を支えているのです。 ペットとの距離をもっと近くに。暮らしの中に「居場所」を作る家具 Dog Hut Side Tableの魅力は、そのユニークな構造だけではありません。上部は人間のためのサイドテーブルとして機能し、コーヒーカップや読みかけの本を置けるフラットな天板と、ちょっとした小物を支えるスタンドが設けられています。一方、下部は愛犬のためのクッションスペースになっており、ほどよい囲まれ感の中でリラックスできるよう設計されています。テーブルの脚や側面には傾斜がついており、クッションをしっかりと固定する構造になっているのも特徴です。 このデザインには、ペットと人が一緒の空間で自然に過ごせるようにしたいという思いが込められています。例えば、リビングでソファに座って本を読みながら、足元で犬が安心してくつろいでいる――そんな日常のひとコマを、家具の力でサポートするのがこのプロダクトのコンセプトです。 販売はいつ? 今後の展開に注目 現時点(2025年8月)では、Dog Hut Side Tableはプロトタイプの発表段階で、一般販売はまだ行われていません。ただし、デザイン系メディアや3Dプリント業界からはすでに注目が集まっており、今後メーカーやブランドとのコラボによる商品化が期待されています。また、デザイナー自身がデザインコンペ「DesignWanted」に応募中であることも明らかになっており、さらなる露出を通じて量産化に向けた動きが進む可能性があります。 3Dプリンターという革新的な製造技術を活用しながら、ペットとの生活に寄り添う実用的な家具を提案したこのプロダクト。愛犬家はもちろん、インテリアにこだわる方にも響く魅力が詰まっています。もし今後正式に販売されたならば、ペットと暮らす空間づくりの選択肢として大きな注目を集めることは間違いないでしょう。 Image Credit: Liam de la...

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ガラスや卵の殻も印刷できる?ペースト押出型3Dプリントの可能性を探る
2025年8月2日

ガラスや卵の殻も印刷できる?ペースト押出型3Dプリントの可能性を探る

3Dプリントといえばプラスチックフィラメントが主流ですが、最新の研究ではガラスや卵殻など、思いもよらない素材がペースト(スラリー)として3Dプリントできる可能性が示されています。たとえばニューメキシコ大学の研究チーム(Hand and Machine)は、ペースト押出技術を使って装飾や生分解容器を作る実験に成功しています。 ガラスのプリント:スラリー+焼成でオブジェに まず、研究者たちはガラス粉(glass frit)をメチルセルロースとキサンタンガムという流動性を調整するバインダーと混合し、水でスラリー化しました。このようなせん断薄化性をもつペーストは、押出時にはスムーズに流れますが、表面では形状保持力もあるため、積層造形に適しています。 気泡除去のため真空処理も行い、造形後は約750℃のキルンで焼成してバインダーを焼き飛ばし、粉を焼結させます。焼成による収縮はあるものの、その性質をコントロール可能で、装飾品や小物などの造形で十分な精度が得られています。またカスタムスライサーを専用に開発し、押出開始・停止の遅延を補正する道筋(ツールパス)設計で材料漏れを防いだり、壁厚を一定に保つ設定などによりプリント失敗を最小限に抑えています。 卵殻スラリーの活用:植木鉢が生分解可能素材に 同様の手法で、卵殻を粉砕して粉末化したものを、同じバインダーと水で混合してペーストを作成。乾燥後は追加処理なしで生分解可能な植木鉢など生活用品を造形することに成功しました。自然に還る素材としてエコな可能性を示しています。 Robocasting(ロボキャスティング)という広がり このようなペースト押出型3Dプリントはロボキャスティング(robocasting)とも呼ばれ、セラミック系材料の印刷や工業応用に使われてきた手法です。せん断薄化性のあるインク(ペースト)をノズルから押し出す形で積層し、乾燥後に焼成したり固化させることで形状を保持します。繊維強化セラミックス、金属スラリー、生体材料など多様な素材が可能で、形状・材料特性・作業環境に応じた幅広い応用が期待されています。 実験から教えられること:課題と可能性 ガラスや卵殻を使ったプリントはまだ研究段階ですが、素材の選択肢を広げる意味で非常に象徴的です。特に焼成を伴う素材では、収縮や形状保持の設計精度、スライサーの最適化、乾燥や焼成の工程制御など、FDMやSLAにはない課題があります。その一方で、得られる素材の質感、美しさ、生分解性、火や熱に強い構造など、これまでにない「造形表現」が可能になります。 日常のDIYから芸術、建築、環境保全まで、素材と技術の境界を越えて、3Dプリントの未来はさらに広がっています。今後の応用事例や新素材の登場に、ぜひご注目ください。 参照論文 https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3706598.3714031 https://dl.acm.org/doi/10.1145/3706598.3714290  

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3Dプリントで子どもの生活をサポート スペインの大学生たちが作る“やさしい補助器具”
2025年7月24日

3Dプリントで子どもの生活をサポート スペインの大学生たちが作る“やさしい補助器具”

スペイン・マドリードにあるサン・フアン・デ・ディオス・コミージャス大学看護・理学療法学部(EUEF)が、子どもたちの生活を支える新しい3Dプリントプロジェクトを進めています。対象は、障がいのある子どもたち。プロジェクトに参加する理学療法学科の3年生たちが、実際の現場で必要とされている補助器具を、3Dプリンターで一人ひとりに合わせて設計・制作しています。 この取り組みは「サービス・ラーニング(Service-Learning)」と呼ばれる実践的な教育メソッドの一環で、学生たちは単に技術を学ぶだけでなく、当事者への共感や対話、現場との協働を通じて成長していくことが目的です。3Dプリントという柔軟な道具を活用することで、高価な市販品では対応できないようなニーズに対して、もっと身近でリアルな解決策が生まれています。 子どもと家族に寄り添いながら 学生たちは、理学療法士や福祉関係者、そして子ども本人やその家族と密にやりとりをしながら、実際に必要な機能を備えた器具をデザインしています。 たとえば学生のマルセラ・マルシアルさんは、車いすを操作しやすくするために、ある女の子のためのオーダーメイドの手首用スプリント(装具)を設計しました。 Photo:Comillas (EUEF) 別の学生ディエゴ・ルイスさんは、立位保持器に取り付けられる交換式のグリップシステムを開発。さらにラウラ・フェルナンデスさんは、理学療法中に親指の可動域を広げるための補助具を制作するなど、実用的かつ個別性の高い成果が次々と生まれています。 心の変化も、もうひとつの成果 このプロジェクトで得られるのは、物理的なサポートだけではありません。「自分のことをちゃんと見てもらえている」と感じることが、子ども自身の自信につながり、その成長を見守る家族にとっても大きな励みになっているといいます。 関わった理学療法士たちは、こうした“目に見える変化”が子どもの自己肯定感を育み、ケアをする側の不安もやわらげてくれると語っています。 また、これらの補助器具は無償で提供されるため、経済的な負担が大きい家庭にとっても大きな助けになっています。 優しさとテクノロジーの交差点 このプロジェクトは、3Dプリントが医療や福祉の現場にどう貢献できるかを示す好例であると同時に、人に寄り添い、社会に関わる専門職を育てる教育のあり方そのものを示しています。 誰かの困りごとを“技術”で解決する。でもそこには、しっかりと“まなざし”と“対話”がある。 そんなやさしいテクノロジーのあり方が、スペインの大学で実践されています。

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