
1日で家を建てる!6本脚の3DプリントロボットCharlotte登場
オーストラリアの Crest Robotics が、Earthbuilt Technology と共同で、地球上の住宅建設だけでなく将来の宇宙建設にも革新をもたらす可能性を持つ6本脚のロボット「Charlotte(シャーロット)」を発表しました。
このクモのようなロボットは、移動型の3Dプリンターとして設計されており、わずか1日で200平方メートルの住宅を建設できることを目指しているとのこと。建築業界を揺るがす技術に注目が集まっています。
「自動アースバッグ工法」で家を1日で建設
Charlotteの中核となるのは、「自動アースバッグ工法(Automated Earthbagging)」と呼ばれる技術です。
これは、粘土・砂・砕石などの現地素材を自動的に混合・圧縮し、層状に積み上げて構造壁を形成する方法。
従来のコンクリートとは異なり、この素材は72時間以内に硬化し、砂岩のような強度を持つのが特徴とされています。
Crest Roboticsの創設ディレクター クロード・ウェブスター博士(Dr. Claude Webster) は次のように語っています。
「私たちは、家の壁を1日で完成させることを目指しています。
この技術により、従来の重労働だったアースバッグ作業を自動化し、安全かつ迅速な建設が可能になります。」
建設現場の「安全」と「生産性」を両立
ウェブスター博士は、自動化が人間に与えるメリットにも言及しています。
従来のアースバッグ工法は非常に労力がかかり、しばしば危険を伴う作業でした。
しかしロボットを導入することで、Crest Roboticsは作業者の安全を守りつつ、生産性を飛躍的に高めることが可能になります。
博士によれば、「オーストラリアでは住宅需要が供給を大きく上回っており、今や仕事は山積みです。こうしたテクノロジーを市場に広めることで、より多くの人が建設業に携われるようにしつつ、危険な作業から人々を守ることができます」とのこと。
新技術が建設業の現場をどう変えていくのか、期待が高まっています。
「砂と粘土」で建てる ― 低コスト・持続可能な建築
またCharlotteのシステムが革新的なのは、高価な特殊素材を使わず、砂や粘土などの現地調達可能な素材を利用する点にあります。
これにより、コスト削減・サプライチェーンの安定化・環境負荷の低減を同時に実現。
従来の「コンクリートやプラスチックに依存した3D建設」ではなく、自然素材×自動化という新しいアプローチで、よりサステナブルな建築を可能にしています。
さらに、3Dプリント建設自体はすでに広がりを見せていますが、今回のアースバッグ工法の自動化は世界初の試みです。
Charlotteは、空気圧を利用して大量の素材を搬送するシステムを備えており、作業効率を大幅に向上させるとともに、遠隔地でも現地資源のみで住宅を建設できる点が大きな利点です。輸送コストとCO₂排出量を抑えることができるため、環境面でも優れており、サステナブルな建築技術としても注目されています。
地球から宇宙へ ― 住宅危機と月面基地への応用
実はこの技術は、地球のみならず、宇宙空間における建築においても意義を持つとのこと。
地球上では、オーストラリアの住宅危機に対して迅速で低コストな建設ソリューションを提供。一方で、Charlotteの軽量・折りたたみ式構造と現地素材を使う設計は、将来の月面基地建設にも応用が期待されているそうです。
Charlotteは、シドニーで開催される第76回国際宇宙会議(International Astronautical Congress) にて正式に披露される予定で、Crest RoboticsとEarthbuilt Technologyは、ここでパートナー企業を募り、この革新的技術のスケールアップを目指していくことになる模様。
地球上では低炭素で手頃な住宅を、そして宇宙では持続可能な建築技術を。Charlotteが切り拓く、3Dプリント建築の未来に注目です。