なんとモスクまで!オマーンで3Dプリント建築の新時代へ
中東オマーンで、初の3Dプリント・モスク建設プロジェクトが始動しました。その名も「アル・ハイル・モスク(Al Khair Mosque)」。持続可能な建築を目指す同国にとって、大きな節目となる挑戦。
建設地は、南部サラーラ(Salalah)のダハリーズ・ウォーターフロント地区。
プロジェクトを手がけるのは、Innotech Oman と Oday Architecture の共同チームです。
巨大3Dプリンターを使い、モスクの構造だけでなく装飾ディテールまでも造形。テーマはイスラーム建築の伝統と最先端技術の融合です。
リボンのようにねじれた“祈りのかたち”
建築デザインのモチーフは、螺旋状のリボン。モスクを取り囲むように緑地と日陰の通路が連なり、参拝者が自然の流れの中で静かに祈りへと導かれる構成とのこと。
最新の3Dプリント技術によって、複雑な曲線や模様もスピーディーに成形でき、しかも材料の無駄を最小限に抑えることが可能。
楕円形の礼拝ホールには天窓(スカイライト)が設けられ、自然光が降り注ぐことで「光による精神的な導き」を象徴しています。
完成予定画像を見る限り、実に未来的かつ荘厳。これは完成が楽しみです。

“地元素材×再エネ”で環境にも優しい
ドファール自治体のアハメド・ビン・モフセン・アル・ガッサーニ議長は、「3Dプリント技術によって建設期間と資材使用量を大幅に削減できる」とコメント。
このモスクでは、現地で調達可能な沿岸環境に優しい素材を採用し、さらに太陽光・風力・動力発電を組み合わせたエネルギーシステムを導入。まさに“環境と信仰の調和”を体現する建築になりそうです。
公共建築のつくり方が変わる
今回のモスク建設は、公共建築の新しいモデルケースとしても注目されています。
3Dプリンティングを使うことで、これまで型枠(フォームワーク)に頼っていた複雑な造形を高精度かつ短時間で実現。コストや人手を減らしながら、デザインの自由度を大きく広げます。これは3Dプリント建築だからこそのメリット。
このアプローチは、オマーンが国家として掲げる「伝統を守りながら先端技術を取り入れる国家ビジョン」にもぴったり一致しています。
アル・ハイル・モスクは、完成後にはサラーラ海岸を象徴するランドマークになる見込みです。オマーンにとって初の“プリントされた礼拝堂”というだけでなく、3Dプリント建築の可能性を世界に示すショーケースにもなるでしょう。
すでにサウジアラビアやUAEでも3Dプリント・モスクの建設が始まっており、今回のプロジェクトはその流れをさらに加速させる存在となることが見込まれています。
「住宅から橋、そして――なんとモスクまで!」
3Dプリント建築の広がりは、いよいよ宗教建築の領域にまで届きつつあるようです。
