
フランスの名門校に“AIクラスメイト”が登場——教育に与える影響は?
フランスの工学系名門校 ECE(École centrale d’électronique) の学生たちが、新学期に迎えたユニークなクラスメイトが話題になっています。その名は Milo(ミロ)。フランスで初となる自律型AI学生です。
テキスト生成や数式の解法、図表の読み取りから学生同士の対話までこなすMilo。ただのAIアプリと違うところは、彼女には実体があるという点。そして、その身体を形作ったのは、3Dプリンターだそうです。
3Dプリンターで「AIにボディを」
Miloの身体は、大学のロボティクスクラブの学生たちがBambu Lab X1 Carbon Comboを使って製作。画面インターフェースやセンサーを収める軽量シャーシを設計し、さらには頭の上に小さな植物をちょこんと配置。こうしてわずか3か月で、ソフトウェアとしての存在だったMiloは、スクリーン越しではなく教室に実在するクラスメイトになったそうです。
開発スピードを支えたのは、3Dプリントの柔軟性と即応性。アイデアが浮かんだらすぐ試作、調整して再プリント。まさに「試行錯誤の加速装置」として3Dプリンターが機能した結果、Miloは生まれました。
履修相談やインターンシップのアドバイスまで
ECEパリの学長フランソワ・ステファン氏は、Miloについて「学生と教員をつなぐ仲介役」と説明。Miloは講義に“出席”するだけでなく、モバイルアプリ経由で履修相談やインターンシップのアドバイスまでこなす予定です。
つまり「ちょっと頼れる同級生兼、なんでも相談AI」。たとえ少し動作が遅かったり、たまにバグったりしても、学生生活を面白くしてくれる存在になりそうです。
3DプリントとAIが作る「未来のクラスメイト」
Miloは単なる“面白い試み”に留まりません。AIと3Dプリントが一緒になることで、カスタム設計のロボットがどんどん現実的になっていることを示しています。
3Dプリントの自由度とAIの進化 、それらのシナジー によって、技術が加速的に前進していくことは間違いありません。
もちろん、今はまだMiloも発展途上。反応が遅れたり、“考え込む”こともあるそうですが、ECEの学生にとっては技術の未来を間近で体験できるクラスメイト。
もしかしたら、今後の学校生活においては、それが当たり前の光景になっていくのかもしれません。
写真: Les Echos