
Rapid Fusion、大型3Dプリンター向けAIアシスタント「Bob」を発表──ゆくゆくは一般ユーザーにも?
イギリスの3Dプリンターメーカー Rapid Fusion が、新たにAI搭載アシスタント「Bob」を発表し、話題となっています。
Bobは「Base of Build」の略で、同社が8か月間の開発とテストを経て完成させたものとのこと。航空宇宙、自動車、建設、医療技術、防衛といった産業分野での利用を想定し、大型3Dプリンターの運用効率を大きく高めることを目的として開発されたものですが、これがAIと3Dプリンティングが本格的に協働する時代の到来を告げる技術となるのか、期待を集めています。
Bobの特徴と仕組み
Bobはプリンターの制御を簡略化し、予防保守によるダウンタイム削減やセットアップの効率化を実現するAIシステム。オンライン環境はもちろん、知的財産保護が必要な企業向けにオフラインでも稼働可能な設計となっています。
対応する機種は、同社の既存モデル「Apollo」「Zeus」、そして最新機「Medusa」。Bobは1,000以上のプリントパラメータを考慮し、100種類以上の部品に最適化プリセットを提供。例えば「Smart Extrusion Readiness」という機能では、複数の加熱ゾーンで温度安定性を監視し、自動で印刷の可否を判断します。
さらに、高温ポリマーや複合材を扱う際には、耐熱性、収縮、膨張といった特性を踏まえたマテリアルインテリジェンスを活用。ユーザーは「耐熱ツールをプリントして」と自然言語で指示するだけで、Bobが適切な設定に翻訳し、最適なプロセスを実行します。
また、複雑な作業はSmart Chained Functionsにより自動で連携。材料選択から温度プロファイル、後処理工程までを一括して管理できます。
提供形態と今後の展開
Rapid Fusionは2026年から、研究機関やパートナー向けのアドバンスト版と、既存顧客向けのスタンダード版の2種類を展開予定。リモートアップデートにも対応し、常に最新機能を提供していくとのこと。
こうしたAIアシスタントは現状、大型産業用3Dプリンター向けに開発されています。しかし気になるのは、今後それらが家庭用・デスクトップ3Dプリンターにも導入されていくのかどうかということ。
結論から言えば、その可能性は極めて高いでしょう。
たとえば、自動トラブル検知(詰まりやフィラメント切れをリアルタイムに予測し、事故や失敗を防ぐ)や、自然言語操作(「強度重視の部品を作って」といった音声・テキスト指示で、自動的にスライス条件を最適化)、学習型パラメータ調整(ユーザーの過去の出力結果を学習し、その人の使い方に合わせて設定をアップデート)などにおいて、今後、AIアシスタンツが役立てられていることは間違いないと思います。
特に初心者にとっては、複雑な設定や失敗が3Dプリント導入のハードルとなっています。AIアシスタントが搭載されれば、“誰でもワンクリックで失敗なく出力できる3Dプリンター” という未来像が現実に近づいていくはずです。