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3D建築プリンタが日本に上陸 — V3D Asia × 中澤建設、島根県雲南市で5月15日から日本初の実証実験

V3D Asia 自社開発ガントリー式3D建築プリンタ ─ アルミトラス構造
V3D Asia の自社開発ガントリー式3D建築プリンタ。アルミトラス構造で高い安定性を確保しています。※島根県雲南市での施工は2026年5月25日から開始。画像は東南アジアでの過去実証時の機材外観です。(画像:ShareLab NEWSより引用)

2026年4月9日、V3D Asia 株式会社 が、地元総合建設業 株式会社中澤建設(島根県雲南市掛合町)と共同で、建設3Dプリンタの実証実験を 2026年5月15日〜31日、島根県雲南市掛合町の実証フィールドで実施する ことを発表しました。

V3D Asia はこれまで インドネシア・ブルネイで住宅と公共施設の3Dプリント建設 を商用展開してきた事業者で、今回の実証は その技術が日本に初上陸する案件 とされています。使用機材は自社開発の ガントリー式(門型構造)3D建築プリンタ。アルミトラス構造で高い安定性と施工精度を確保し、国内調達可能な生コンクリート・モルタル で材料適合性と施工性を検証する計画です。

このプロジェクトは、2026年3月31日に国土交通省が公開した「建設用3Dプリンターを利用した建築物に関する規制の在り方」仕様基準案(パブリックコメント締切2026年4月29日、5月中施行予定。詳細はSK本舗ブログ過去記事で解説)と時期的に重なり、「制度改正 → 現場PoC」という業界の動きが、点から線に変わり始めた ことを示す案件です。

プロジェクト概要

V3D Asia 公式プレスリリース(2026年4月9日)の記載をまとめると、プロジェクトの骨格は以下の通りです。

項目 内容
PoC名称 3Dプリンター島根PoCプロジェクト
期間 2026年5月15日〜5月31日
場所 島根県雲南市掛合町(実証フィールド)
主催 V3D Asia 株式会社
施工パートナー 株式会社中澤建設(雲南市掛合町、1965年創業)
使用機材 V3D Asia 自社開発ガントリー式3D建築プリンタ(アルミトラス構造)
使用材料 国産レディーミクスコンクリート・モルタル
対象 小規模構造物の施工実証
現地視察ツアー 2026年5月25日〜27日(事前申込:info@v3d.asia)

中澤建設は1965年創業の地元総合建設業で、代表取締役 中澤豊和氏、専務 中澤太輔氏 が率います。今回のプロジェクトでは 基礎工事・仮設工事・付帯設備工事 を担当し、「最新技術と職人技術の共存」を新しい建設現場のあり方として示すと述べています。

なぜこのニュースが業界全体に影響するのか

建設3Dプリンタの国内展開は、これまで以下のような状況でした。

  • 海外(中国・欧州・東南アジア):商用施工事例が複数。住宅・橋梁・公共施設で実用化が進む
  • 日本:建築基準法・JIS規格の壁により、長らく試作・限定実証の段階で停滞

2026年3月末に公開された国交省の仕様基準案は、「3Dプリンタで使うモルタル・コンクリートを建築材料として認定するルート整備」 を打ち出した動きで、業界では「ようやく制度面の足かせが外れ始めた」と受け止められています。

V3D Asia × 中澤建設の今回のPoCは、仕様基準案の公開(3月末)から1〜2ヶ月後 に立ち上がった案件です。技術的には東南アジアで既に商用実績がある機材を持ち込むため、「国内の建築材料サプライチェーンに適合させる検証」 が主目的となります。

具体的には、以下の点が検証ポイントとなる見込みです。

  • 国産レディーミクスコンクリート・モルタル がガントリー式プリンタの吐出特性と適合するか
  • 日本の建設現場特有の 天候・湿度・気温条件 で施工品質を維持できるか
  • 労働力不足・職人高齢化 という日本の建設業課題への解の一つとして機能するか

ユーザー側にとっての意味

3Dプリンターを使う側、あるいは建設業界を遠目に観察する側にとって、このPoCが意味するものを整理します。

1. 「規制緩和 → 現場PoC」の流れに乗る業界全体

2026年3月31日の国交省仕様基準案公開(パブコメ締切4月29日・5月中施行予定)から1〜2ヶ月で、V3D Asia × 中澤建設の現場PoCがスタートします。これは 制度と現場が同じ方向に動き出した ことを示す重要なシグナルです。今後、他の建設3Dプリンタ事業者(POLYUSE・セレンディクス・大林組・大成建設・清水建設など)の追随も予想され、2026年後半は「建設3Dプリンタの国内本格化」の節目 となる見込みです。

2. 「東南アジア → 日本」の順序の意味

V3D Asia がインドネシア・ブルネイで先行展開していた背景には、東南アジア諸国の 建築規制の柔軟性インフラ需要の急伸 がありました。日本展開で重要なのは、東南アジア仕様の機材をそのまま持ち込むのではなく、国産材料・日本の建築規格に再適合させる工程 です。今回のPoCはまさにその「ローカライズ検証」フェーズで、結果次第で 2026年後半〜2027年の国内展開ペース が見えてきます。

3. 一般3Dプリンタユーザー・SK本舗顧客への波及

建設3Dプリンタは産業領域の話ですが、業界全体の盛り上がりは家庭用・ホビー向け3Dプリンタにも波及します。具体的には:

  • 教育需要の拡大:建築学科・土木学科で3Dプリンタを使った設計演習・モデル制作の需要が増える見込み
  • 建築模型・ジオラマ用途の機材需要:建設PoCが進むと、関連業務(建築模型・配置検討・プレゼン用ジオラマ)で家庭用機の活用も広がる可能性
  • 3Dデータ市場の拡大3D Data Japan(SK本舗運営の国内3Dデータ配布サイト)のような国内データプラットフォームの重要性も上がる流れ

4. 今後のチェックポイント

このプロジェクトを継続して追う場合、以下の節目を押さえると業界の動きが見えやすくなります。

時期 注目ポイント
2026年5月15〜31日 PoC実施期間、施工品質・材料適合性の検証
2026年5月25〜27日 現地視察ツアー(事前申込:info@v3d.asia)
2026年5月(予定) 国交省 仕様基準(建設3Dプリンタ向け建築材料)施行
2026年6〜7月(見込み) V3D Asia によるPoC結果報告、国内展開計画の発表
2026年後半〜2027年 他の建設3Dプリンタ事業者の追随

参考情報