
2026年8月末から9月頭にかけて、SK本舗で扱っている機種のうち2つの系統で重要な更新が出ました。Bambu Lab H2Dのファームウェア 01.04.00.00(8月26日)と、ELEGOOのスライサー ElegooSlicer v1.5.3.5(9月3日)です。
Bambu Lab H2D ファームウェア 01.04.00.00 とは、2026年8月26日に公開されたBambu Lab H2D向けの安定版ファームウェアです。ひとつ前の安定版 01.03.00.00(2026年3月3日)から約6か月ぶりの更新にあたります。ElegooSlicer v1.5.3.5 とは、2026年9月3日にGitHubで公開されたELEGOO純正スライサーの最新正式版です。
どちらも便利になる更新なのですが、当てる前に知っておきたいポイントが1つずつあります。先に結論だけ書きます。
- Bambu Lab H2D ファームウェア 01.04.00.00(2026年8月26日公開):円形の穴の寸法補正アルゴリズムが変わりました。複数パーツを組み合わせるプロジェクトを制作途中の方は、関連するパーツを全部刷り終えてから更新してください。更新前後に刷ったパーツを混ぜると、はめ合いや組み立てに問題が出る可能性があるとメーカー自身が案内しています
- ElegooSlicer v1.5.3.5(2026年9月3日公開):Centauri系でビルドプレートの表裏を選べるようになりました。ただし初回使用時は1層目の温度設定を必ず確認してください。あわせて、2026年9月6日時点でELEGOO公式のダウンロードページはまだ1つ前の 1.5.3.4 のままで、最新版の入手先はGitHubのリリースページです
以下、それぞれ公式の一次情報を確認しながら整理します。
H2D 01.04.00.00:まず読むべきは「精度補正」の一文

H2Dのファームウェア 01.04.00.00 は2026年8月26日付です。ひとつ前の安定版は 01.03.00.00(2026年3月3日)なので、約6か月ぶりの更新にあたります。
最適化項目のひとつに「円形穴の寸法精度補正の改善」があり、Bambu Labは公式のリリース履歴でこう書いています。
精度補正(Precision Compensation)アルゴリズムを改善し、円形の穴が元の3Dデザインにより近くなるようにしました。すでに進行中のプロジェクトについては、このファームウェアバージョンに更新する前に、関連するプリントをすべて完了させることを推奨します。更新前と更新後に印刷されたパーツを混在させると、はめ合いや組み立てに問題が生じる可能性があります。
※Bambu Lab公式「H2D Firmware Release History」より、SK本舗訳
つまり「精度が良くなる」という改善なのですが、補正の仕方が変わるため、更新前後のパーツを混ぜるとはめ合いに影響する可能性があるということです。ケースやジグ、複数パーツをはめ合わせる作品を作っている途中なら、更新は一区切りついてからにするのが安全です。
もうひとつ、公式が「既知の問題」として挙げている項目も、更新前に把握しておく価値があります。
| 既知の問題 | 内容 |
|---|---|
| PTFEチューブ外れ検知 | 一時的に無効化されています |
| 外部スプールの情報 | 01.04.00.00 に更新すると外部スプールのフィラメント情報が消去されます。更新後に設定し直してください |
外部スプール(AMSを介さず直接送る運用)を使っている方は、更新後にフィラメント情報の再設定が必要になります。作業の前後で慌てないよう、更新のタイミングを選んでおくとよいと思います。
この更新でH2Dに何が加わるのか

不安要素だけ書くとフェアではないので、加わる機能も整理します。以下はすべてBambu Lab公式のリリース履歴に記載されている内容です(2026年9月6日取得)。
新機能
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| フィラメントトラックスイッチ対応 | デュアルノズル機向けに設計された、2入力・2出力のユニット。AMSとデュアルノズルの間のマッピングをシームレスに行えます。Bambu Studio v2.8.1.55 以降 / Bambu Handy V3.24.0 以降が必要です |
| RFID同期フィラメントの色を手動リセット | RFIDで同期された色情報を手動で戻せるようになりました |
| 異物検知のトグル | 異物検知のオン・オフを切り替えられるようになりました |
デュアルノズル機であるH2DシリーズやH2D Proにとって、フィラメントトラックスイッチの対応は素材運用の自由度に効いてきます。左右のノズルとAMSの組み合わせを固定せずに済むためです。使うにはBambu Studio側のバージョンも条件を満たす必要がある点に注意してください。SK本舗ブログではBambu Studio 2.8.2の正式リリースも8月に取り上げています。

最適化された項目
- ファームウェア更新画面の改善
- ビルドプレート有無の検知を改善(プレートが載っていない状況の検知を追加)
- スパゲッティ化とパージシュートの詰まり検知の精度向上
- 残量推定の精度向上(AMS 01.00.07.00 / AMS 2 Pro 05.00.22.22 / AMS-HT 05.00.22.19 が必要)
- 円形穴の寸法精度補正の改善(前章のとおり)
- 異常箇所をライブビュー画像上に表示する視覚検知の強化
- print-then-cut のカットオフセット検知を改善し、エッジ品質を向上
残量推定の改善はAMS側のバージョンも条件になっています。AMSのファームウェアが古いままだと、この項目だけ効かないことになります。
ElegooSlicer 1.5.3.5:Centauri系でプレートの表裏を選べるように

ElegooSlicer v1.5.3.5 は2026年9月3日公開です(GitHubのリリースAPIで公開日時を確認。正式版でプレリリース扱いではありません)。公式リリースノートに挙がっているのは3項目です。
1. マルチビルドプレート対応
スライス時に異なるビルドプレートを選べるようになりました。公式は「この機能を初めて使うときは、フィラメントの1層目温度が意図どおりか確認してください。プリント失敗を避けるためです」と注意書きを添えています。なお、ノズル側とベッド側のどちらの1層目温度を指すのかは、公式リリースノートには書かれていません。
この機能の実体は、v1.5.3.5 に含まれるコミット 0affba3で確認できます。「Elegoo Centauri プリンターのマルチベッド対応を有効化」「スムースPEIをSide B、テクスチャPEIをSide Aにマッピング」と明記されており、主な対象はCentauri系です。SK本舗で予約受付中のCentauri Carbon 2 Comboをお使いの方にとっては、付属プレートの表裏を使い分ける前提でスライスできるようになる、という実務的な改善になります。

同じコミットには「print-send時のベッド不一致警告と現在のベッド問い合わせを削除」という変更も含まれています。送信時に「プレートが違います」と教えてくれる仕組みがなくなったということなので、プレートの選択は自分で確認する前提になります。なお、この変更と温度確認の注意書きが結びついているかどうかは、公式には説明されていません。
2. Neptune 3以前の接続方式の変更
公式リリースノートには「N3シリーズ以前のモデルにフィジカル接続オプションを追加」とあります。これも実際の差分(コミット 94db3ff)を見ると、プロファイル内の `host_type` が `elegoolink` から `octoprint` へ書き換えられたもので、物理ケーブルの話ではなくプリントホストのプロトコルをElegooLinkから汎用のOctoPrintへ切り替えた変更です。対象はNeptune / Neptune 2 / 2D / 2S / Neptune 3 / Neptune X / Neptune 3 Pro / 3 Plus / 3 Max のプロファイルでした。
3. macOSのクラッシュ修正
ELEGOOはリリースノートで「macOSで断続的に発生するクラッシュを修正した」としています。一方、リリースノートがリンクしているGitHub Issue #98(macOS 26 Tahoeで起動のたびにクラッシュダイアログが出る)は、2026年9月6日時点でオープンのままでした(SK本舗が確認)。Issueの状態だけで再発の有無は判断できませんが、macOS 26環境の方はご自身の環境で確認してから常用に移すのが無難です。
入手先に注意:公式ダウンロードページはまだ1.5.3.4

ここは実際に確認して驚いた点です。
2026年9月6日時点で、ELEGOO公式サイトのダウンロードページ(elegoo.com/pages/download)に掲載されているElegooSlicerは、Windows版・macOS版(x86_64 / arm64)ともに 1.5.3.4 でした。一方、GitHubのリリースでは v1.5.3.5 が最新版として公開されています。
つまり、公式サイトからダウンロードすると1つ前のバージョンが手に入る状態です。1.5.3.5 を使いたい場合は、GitHubのリリースページから入手することになります。公式サイトの反映は追って行われる見込みですが、本記事執筆時点では未反映であることを確認しています。
更新前チェックリスト

両方に共通する形で、更新前に確認しておきたいことをまとめます。
Bambu Lab H2Dを更新する前に
- 複数パーツをはめ合わせるプロジェクトが進行中なら、関連パーツを刷り終えてから更新する
- 外部スプールを使っているなら、更新後にフィラメント情報を再設定する前提でスケジュールを組む
- フィラメントトラックスイッチを使うなら、Bambu Studio v2.8.1.55 以降 / Bambu Handy V3.24.0 以降も合わせて更新する
- 残量推定の改善まで効かせたいなら、AMS側のファームウェアも条件のバージョンに上げる
- PTFEチューブ外れ検知が一時的に無効になっている点を把握しておく
ElegooSlicerを更新する前に
- 入手先を確認する(9月6日時点で公式サイトは1.5.3.4、GitHubが1.5.3.5)
- マルチビルドプレートを初めて使うときは、1層目の温度設定を目視で確認する
- プレート不一致の警告が出なくなっているので、実際に載っているプレートと選択したプレートが一致しているか自分で確認する
- macOS 26環境の方は、クラッシュの再発がないか確認してから常用に移す
よくある質問

Q. 更新しないという選択はありますか?
A. あります。今回のH2Dの更新は、進行中のプロジェクトがあるなら急ぐ必要はありません。ただし検知系の精度向上や不具合修正も含まれるため、区切りがついた時点で更新することをおすすめします。
Q. 更新前後で寸法はどれくらい変わりますか?
A. 具体的な変化量は公式に公表されていません。「円形の穴が元の3Dデザインにより近くなる」という記載があるだけです。数値が公開されていない以上、事前に補正量を見積もることはできません。実測で確かめる場合は、次の3ステップが確実です。
1. 更新前に刷る:穴のあるテストピースを、いつも使うフィラメントとプロファイルで1つ印刷しておきます 2. 条件を記録する:スライサーのバージョン、フィラメント、ノズル径、レイヤー高さをメモし、穴径をノギスで測ります 3. 更新後に同じ条件で刷る:同じデータ・同じ設定で印刷し、穴径を比較します。差が分かれば、進行中のプロジェクトをどう扱うか判断できます
(この手順はSK本舗による提案で、メーカーが指定した手順ではありません)
Q. H2D以外のBambu Lab機も同じ注意が必要ですか?
A. 本記事で確認したのはH2D向けのリリース履歴のみです。他機種のファームウェアについては、それぞれの機種のリリースノートをご確認ください。
Q. ElegooSlicerのマルチプレート機能はCentauri以外でも使えますか?
A. 公式リリースノートには機種の限定は書かれていませんが、実装はCentauri系を対象としたものであることがコミット 0affba3 から確認できます。他機種での挙動はSK本舗では未確認です。
Q. 更新でトラブルが起きたらどうすればいいですか?
A. SK本舗でご購入いただいた機種については、お問い合わせフォームから日本語でご相談いただけます。症状・機種・ファームウェアのバージョンを添えていただけると、確認がスムーズです。
参考情報(出典リンク集)
- H2D Firmware Release History(Bambu Lab 公式Wiki)
- ElegooSlicer v1.5.3.5 リリースページ(GitHub)
- ElegooSlicer Issue #98(macOS 26 Tahoe クラッシュ)
- ELEGOO 公式ダウンロードページ
- Bambu Studio 2.8.2 正式リリース(SK本舗ブログ・2026年8月18日)
最終更新:2026年9月6日。 本記事のバージョン番号・日付・仕様は、上記の一次ソースを同日に取得して確認したものです。ELEGOO公式ダウンロードページのバージョン反映状況など、時間の経過で変わる項目は再確認をおすすめします。
