最終更新日:

Tripo Studioの分割とリメッシュで、AI生成モデルを3Dプリント向けに整えてみた

検証:2026年9月20日〜21日/実物写真追記:2026年9月28日/文責:SK本舗
前編:Tripo AIで自作キャラを3D化してみた

前編のペンギンで、生成した後の工程を検証

Tripo Studioの分割とリメッシュで、AI生成モデルを3Dプリント向けに整えてみた

生成したペンギンの面数を減らし、色分け用のパーツ分割も試しました。リメッシュでは196万面を9,770面まで減らせましたが、スライサーの予測時間は短くなりませんでした。分割後は10パーツに4色を割り当て、単色との時間・材料の差を比較しています。

2026年9月23日追記|キャラクターの最終版

「ヒエペン」の最終モデル

作者が仕上げた最終版STLを、正面と斜め前から描画しました。

ヒエペン最終版STLの正面。頭の葉と魚、丸い体、翼の形を確認できる単色レンダー
最終版の正面
ヒエペン最終版STLを斜め前から見た単色レンダー
最終版の斜め前

最終版STLの単色レンダリングです。配色や実物の仕上がりを示す画像ではありません。

上の実物写真と最終版STLとの対応は未確認です。以下の生成画面とスライス数値も、制作途中のモデルの記録です。

Tripo Studioは、Tripo AIをブラウザで使うための作業画面で、生成したモデルの分割・リメッシュ・テクスチャ・リグをクレジットの消費で行う編集画面です。前編で生成したペンギンを、Tripo Studioで加工しました。印刷用のデータで試したのは、面数を減らすリメッシュと、色分けのための分割・パーツ補完です。

分割|標準で10パーツ

Tripo Studioの分割画面。ペンギンが体・翼・目・くちばし・足・葉・魚とかき氷の10パーツに色分けされている
「分割精度:標準」で10パーツ。色はTripo Studioが自動で付けた識別用です。

リメッシュ|元・四角形・三角形

左から元の1,960,906面、四角形リメッシュ9,770面、三角形リメッシュ8,818面のペンギンを正面から比較
左:元(1,960,906面)。中:四角形10,000設定。右:三角形10,000設定。全体の形は残っています(接写での違いは章03)。
リメッシュ・分割・封口加工前後のデータを比較
単色と4色のスライス時間と使用量を比較
単色の3Dプリント表面の仕上がりを比較

リメッシュ・分割後のスライス結果

同じペンギン(全高105mm)を、Bambu Lab A1・0.4mmノズル・0.20mm・PLA・ツリーサポートの同じ条件でスライスしました。数値はBambu Studioのコマンドライン版(02.07.01.62)のスライス結果です。実物写真のモデルで測った印刷時間・材料使用量ではありません。造形時間は、加熱などの準備を除いた「モデル造形時間」の予測です。リメッシュの元にした版と、分割の元にした版は、前編の4回目と同じ入力から生成した2つの版(本体と無料再試行)で、形はほぼ同じです。

モデル 三角形数 ファイル(Tripo書き出し) 造形時間(スライサー予測) フィラメント
元A(リメッシュの元・無料再試行版) 1,960,906 98MB 3時間27分 90.96g
リメッシュ 四角形10,000 18,517(四角形設定・9,770面) 0.93MB 3時間45分(元Aより+8%) 92.67g
リメッシュ 三角形10,000 8,818 0.44MB 3時間41分(元Aより+7%) 91.75g
元B(分割の元・前編の4回目本体) 1,944,923 97MB 3時間32分 92.2g
元B→分割→クイック封口→1オブジェクトに組む 2,096,028(10パーツ) 22.5MB 3時間59分59秒(元Bより+13%) 95.35g(単色)
同じ10パーツに4色を割り当てる 2,096,028(10パーツ) ― 13時間6分(単色の約3.3倍) 208.59g(うち色替えで捨てる分が約114g)
面数の削減1/100〜1/220
予測造形時間短縮なし(+7〜8%)
今回のクレジット115

3Dプリントで使う編集機能

Tripo Studioの左側には、生成のほかに、分割・パーツ補完・リメッシュ・Smart UV・テクスチャ(生成・編集・アップスケール・PBRの4つ)・リグ・アニメの編集メニューが並びます。フィギュアをFDM機で印刷する目的で見ると、使うのは「分割」と「パーツ補完」で、データを軽くしたい時に「リメッシュ」が加わります。残りのSmart UV・テクスチャ・リグ・アニメは、今回のパーツ単位の色分けとスライスでは使いませんでした。

Tripo Studioの3Dワークスペース。左に画像・モデル・分割・リメッシュ・Smart UV・テクスチャ・リグのメニューが並ぶ(折り畳み表示)
左端の縦のメニューが編集機能。上から分割・リメッシュ・Smart UV・テクスチャ・リグの順で、パーツ補完は「分割」の下、アニメは「リグ」の下に畳まれています。印刷で使うのは分割・パーツ補完と、軽くしたい時のリメッシュです。
メニュー 何をする機能か 3Dプリントへの効き方 ボタンの表示クレジット
分割(セグメンテーション) モデルを部位ごとのパーツに切り分ける 効く。色分け印刷の下ごしらえ。部位単位で切るので、大物を平面で割る用途にはBambu Studioの切断が向く 40(初回はお試しで0)
パーツ補完 分割でできた切断面を閉じる 効く。今回はこれをしないとスライスが通らなかった 表示なし(実消費0)
リメッシュ(自動リトポロジー) 面の並びを作り直し、面数を500〜10,000にする 場合による。データは軽くなるが、造形時間は短くならず、接写では面の角が見える 四角形40/三角形35
Smart UV テクスチャを貼るための展開図を自動で作る 今回は不使用(形と色分けだけの造形には不要) 20(お試し×2)
テクスチャ/編集/アップス/PBR 色や質感の画像を生成・修正・高解像度化 今回は不使用(パーツ単位の色分けには使わない) 生成20(編集・アップス・PBRは未確認)
リグ/アニメ 骨を入れて動かす 今回は不使用 20

テクスチャやリグは、同じモデルをゲームや動画で使い回す人には便利です。今回のモデルでは、分割とパーツ補完で単色と4色のスライスが通りました。リメッシュはデータを軽くしますが、細部が角張るので、軽さが要る時だけ使います。

リメッシュで196万面のモデルを軽量化

リメッシュの元にしたのは、前編の4回目と同じ入力から生成した無料再試行版で、1,960,906の三角形、STLは98MBです(前編で採用した4回目本体は1,944,923面で、形はほぼ同じ)。この大きさのSTLをBambu Studioの画面版で開くと「モデル(ファイル名)には百万以上の三角形が入るため、処理するのに時間がかかる場合があります」という通知が出ます(02.07.01.62・リメッシュの元と4回目本体の両方で確認)。これをリメッシュ(自動リトポロジー)で減らします。

リメッシュの設定画面。トポロジーは四角形と三角形、スマートメッシュP1.0のスイッチ、ポリゴン数のスライダーが500から10000まで
設定は3つだけ。四角形か三角形か、スマートメッシュ、目標のポリゴン数(上限10,000)。ボタンに消費クレジットが出ます。

設定と結果

下の表の「検査」は3つの数字です。境界辺は閉じていない縁の数で、0なら穴がありません。非多様体辺は1本の辺に3枚以上の面が集まる箇所で、少ないほどスライサーが迷いません。連結はモデルが何個の塊に分かれているかで、1体なら1です(用語と修復の方法はAI生成STLの健全化ガイドにまとめています)。スマートメッシュのスイッチは初期設定のONのままにしました。

設定 消費 所要 結果の面数 STLの三角形数 検査
四角形・10,000 40クレジット 約4分(10秒間隔で確認) 9,770面(四角形8,747+三角形1,023) 18,517 境界6/非多様体10/連結1
三角形・10,000 35クレジット 約80秒 三角形 8,818面 8,818 境界4/非多様体3/連結1
(参考)元のモデル ― ― 三角形 1,960,906面 1,960,906 境界0/非多様体0/連結1

四角形版の9,770面は、四角形が8,747と三角形が1,023の混在でした。STLに書き出す時に四角形だけが2つの三角形に割られ、8,747×2+1,023=18,517の三角形になっています。三角形版は8,818のままです。

コマンドライン版では、どちらもメッシュに関する警告なしでスライスできました。画面版のBambu Studioに取り込むと、百万三角形の通知は出なくなります。代わりに、三角形版では「Info: 2 open edges/Error: 1 non-manifold edge」、四角形版では「Info: 7 open edges/Error: 6 non-manifold edges」という表示と、修復ツールの案内が出ました(02.07.01.62・2026年9月21日)。元のモデルでは出なかった表示です。数え方が違うとみられ、上の表の検査値とは一致しません。三角形の数も、Bambu Studioの表示では8,817個と18,516個で、STLの記録より1つずつ少なくなります。

Bambu Studioに取り込んだ時の通知を3つ並べた画像。元のモデルは百万以上の三角形の通知、三角形リメッシュ版は2 open edgesと1 non-manifold edge、四角形リメッシュ版は7 open edgesと6 non-manifold edges
Bambu Studio(画面版)に取り込んだ時の通知。上から、元のモデル、三角形リメッシュ版、四角形リメッシュ版。
四角形リメッシュと三角形リメッシュのペンギンを横から比較。翼と頭飾りの形が残っている
横から。全体の形(翼の厚み、葉の傾き、魚とかき氷のかたまり)は保たれています。葉の縁は三角形版がやや薄く見えます。

接写すると、面の角が見える

Tripo Studioの画面は面をなめらかに見せる表示です。そこで、書き出したSTLをBlenderで面のまま描画し(フラットシェーディング)、同じカメラで比べました。元のモデルは三角形の辺が平均0.18mmで、目の中の小さな凹凸まで残っています。10,000設定のリメッシュ後は、辺の平均が四角形版で1.8mm、三角形版で2.5mm(最大は6.1mmと9.2mm)になりました。目の凹凸は簡略化され、くちばしや体に面の角が見えます。

元のモデル、四角形リメッシュ版、三角形リメッシュ版の顔と頭の葉を同じカメラで接写したレンダリング。リメッシュ版は目の凹凸が簡略化され、面の角が見える
書き出したSTLをBlenderで描画(フラットシェーディング・同じカメラ)。上:顔。下:頭の葉と魚・かき氷。左から元、四角形10,000設定、三角形10,000設定。

実物の側面写真でも違いが出ています。ローポリ版は体・翼・頭飾りに平らな面が残り、通常ポリ版は曲面が滑らかです。

予測造形時間は短くならず、軽くなったのはデータの方

面数を1/100〜1/220にしても、予測造形時間は短くなりませんでした。元の3時間27分に対して、三角形版は3時間41分(7%増)、四角形版は3時間45分(8%増)です。フィラメントは90.96gが91.75〜92.67gになりました。スライサーは表面をレイヤーごとの輪郭に直してから経路を作るので、形が同じなら面数の違いは経路にほとんど表れないと考えられます。十数分の増加は今回の条件での結果で、内訳(サポートや経路の違い)は確認していません。

変わるのはデータの重さです。98MBが0.44〜0.93MBになり、コマンドライン版でスライスの準備にかかる時間は1.3秒から0.01〜0.03秒になりました。メールやチャットで人に渡す時、スライサーの表示が重い時、複数のモデルを1つのプレートに並べる時に効きます(画面版の読み込み秒数は計っていません)。

ペンギンを10パーツに分割

色分けで印刷したい時に使うのが「分割」です。精度は「粗め(3〜6パーツ)」「標準(6〜15パーツ)」「精細(15以上)」の3段階で、今回は標準を選びました。四角形メッシュとリグ付きのモデルには使えないと画面に書いてあるので、先に四角形でリメッシュした場合は、履歴から元の版に戻してから分割します。

分割の設定画面。分割精度は粗め・標準・精細の3つから選び、ボタンにセグメント化を開始と40クレジットの表示
1回目は「新機能お試し」で0クレジット、2回目からは40クレジットでした(Proアカウント・2026年9月20日)。

結果は10パーツです。体(お腹を含む)、左右の翼、左右の目、くちばし、左右の足、葉、そして魚とかき氷のかたまりが1つ。目や足のような小さな部位まで自動で分かれています。処理は約1分でした。切る位置はTripoが決めるので、大物を造形サイズに収めるために平らな面で割る用途には向きません。その場合はBambu Studio側の切断(Cut Tool)を使います。

分割結果の画面。パーツ一覧にtripo_part_0から9が並び、ビューアでは各パーツが違う色で表示されている
パーツ一覧の目のアイコンで表示を切り替えられます。「結合」はCtrlを押しながらパーツを選んでまとめる機能です。

分割したパーツの切り口は開いたまま

体を非表示にしてみると、翼や目や足が中の見える殻になっていました。分割は表面を部位ごとに切り分けているだけで、切り口は閉じていません。手元の検査では、10パーツの境界辺が456から6,452ありました。この10パーツをそのまま3MFにしてBambu Studioに渡すと、「Object can't be printed for empty layer」というエラーで止まりました。

体のパーツを非表示にした画面。翼・目・くちばし・足・葉・魚とかき氷が中空の殻として浮いている
体を非表示にした状態。各パーツの内側が見え、切断面がないことが分かります。

この開いた切り口を閉じるのが、次の「パーツ補完」です。

分割したパーツの穴を「クイック封口」で閉じる

「パーツ補完」には「クイック封口」と「AI補全」(画面の表記のまま)の2つのモードがあります。画面の説明はこうです。クイック封口は「メッシュの開口部をすばやく閉じ、モデルの印刷適性を高めます」。AI補全は「すべてのパーツを自動でクリーンな閉じたメッシュに補完します」。どちらもBetaの表示でした。

パーツ補完の設定画面。補全モードにクイック封口とAI補全、下にパーツ一覧
モードを選んで「パーツ補完」を押すだけです。パーツの選択はなく、全パーツに適用されました。
モード 所要 面数の変化 検査(全10パーツ) 消費
クイック封口 約30秒 1,944,923 → 2,096,028(切断面を閉じる面が足されたとみられる) 境界辺0/非多様体辺6〜532 0(2026年9月20日の実測)
AI補全 約1.5分 1,944,923 → 1,702,242(各パーツを作り直すためとみられる) 境界辺0/非多様体辺0〜1,358 0(同上)

どちらも全パーツの境界辺が0になり、閉じた殻になりました。クイック封口は、面数の差から見て切断面のフタに相当する面が足されたと考えられます(元の表面がそのまま残っているかまでは確かめていません)。AI補全は面を作り直すため面数が減り、体の非多様体辺はクイック封口版の532に対して1,358でした。今回はクイック封口の結果を印刷用に採用しています。

クイック封口の後に体を非表示にした画面。翼や足の切断面にフタができ、閉じた形になっている
クイック封口の後。翼・目・足の切断面が閉じ、パーツ単体で成立する形になりました。

封口後の3MFは「empty layer」のエラーが解消し、Bambu Studioでスライスできました。この10パーツを使った実機印刷は未検証です。掲載した単色の実物写真が、同じ10パーツのデータを使ったものかどうかも未確認です。

パーツを分けたまま書き出すなら3MF

「エクスポート」で選べる形式はUSD・FBX・OBJ・STL・GLB・3MFの6つです。分割したモデルをSTLで書き出すと、パーツは1つのメッシュに結合されました(1,944,923の三角形が1オブジェクト)。パーツを別々のまま持ち出したいなら3MFかGLBです。3MFはパーツごとに別のオブジェクトとして入り、GLBにはtripo_part_0〜9の名前が付いていました。

3MFはミリ単位で書き出され、今回のモデルでは全高が約490mmになりました。Bambu Studioで105mmなどに縮小してから使います。

「3Dプリント」ボタンからBambu Studioへ直接送る機能もありますが、送信先は「Bambu Studio(モノクロ)」だけです(2026年9月20日の画面)。パーツごとに色を分けたい場合は、3MFを書き出してBambu Studio側で読み込みます。

Bambu Studioで色分けするなら「1つのオブジェクト」で読み込む

封口した10パーツの3MFをBambu Studioに読み込む時、2つの扱いがあります。10個の別々のオブジェクトとして扱うと、パーツをプレートに並べて別々に印刷する見積りになります(コマンドライン版の自動配置・単色で3時間20分・90.63g)。「複数パーツを持つ1つのオブジェクト」として組むと、組み立てた状態の1体として扱われ、3時間59分59秒(約4時間)・95.35gでした。AMSで色分け(多色印刷)するのは後者の読み込み方です。

Bambu Studioのプレート画像。左は10パーツが並んだ状態、右は1体に組まれた状態
左:別々のオブジェクト(自動配置)。右:1つのオブジェクトに組んだ状態。色分けで1体を作るなら右の読み込み方です(スライサーのプレート画像)。

1体に組んだ見積りは、分割の元にした一体メッシュ(前編の4回目本体・3時間32分・92.2g)より27分37秒・3.15g多くなりました。増えた分の内訳は確認していません。ここまでは単色のスライスです。

4色を割り当てると、約4時間が13時間6分になった

同じ10パーツに4色を割り当てて、同じ条件でスライスしました。体と翼を1番(青)、くちばしと足を2番(オレンジ)、葉を3番(緑)、目と魚・かき氷を4番(白)です。パーツごとのフィラメント番号はプロジェクトファイル(3MF)の設定に書き込み、コマンドライン版でスライスしたうえで、画面版で開いて割当を確認しました。

Bambu Studioの画面。左にGeneric PLAのフィラメントが4本、プレートの中央に青い体、オレンジのくちばしと足、緑の葉、白い目と魚・かき氷のペンギン、奥にプライムタワー
Bambu Studio(画面版)で開いた状態。左に4本のフィラメント、奥の柱が色替えのたびに使うプライムタワーです。
項目 単色(1オブジェクトに組む) 4色を割り当て
造形時間(スライサー予測) 3時間59分59秒 13時間6分2秒
フィラメントの合計 95.35g 208.59g
うち造形とサポートに使う分 95.35g 94.18g
うち色替えで捨てる分(フラッシュ+プライムタワー) 0g 114.41g
フィラメントの交換 0回 293回
色ごとの使用量 ― 1番 135.21g/2番 22.88g/3番 20.54g/4番 29.96g

増えた約9時間のうち、スライサーの内訳では色替えのフラッシュ(パージ)が約6時間28分、プライムタワーが約1時間19分でした。全525層のうち208層で複数の色を使い、目や足のような小さなパーツのために、そのつど色を替えています。フィラメントは、造形に使う分より捨てる分の方が多くなりました。

条件は単色と同じA1・0.4mmノズル・0.20mm・PLA・ツリーサポートで、フラッシュ量はコマンドライン版の既定値(1回280mm³)のままです。準備を含む総見積りは、単色が4時間6分、4色が13時間12分でした。Bambu Studioの画面版には、色の組み合わせからフラッシュ量を自動計算する機能があり(公式Wiki「Reduce Waste during Filament Change」)、それを使うと数値は変わります。色数を減らす、小さなパーツを体と同じ色にまとめる、といった調整で交換回数は減らせます。

参考までに、この色の割当で印刷した場合の完成イメージを画像生成AIで作りました。色分けした実データのレンダリングを元に、積層痕などの質感と、撮影風の背景・照明を足したもので、実物の写真ではありません。

4色で印刷した場合の完成イメージ(AI生成)。青い体と翼、オレンジのくちばしと足、緑の葉、白い目と魚・かき氷のペンギン。画像内に実物の写真ではない旨の表示
4色で印刷した場合の完成イメージ(AI生成)。形と色は実データのレンダリングに合わせ、質感を画像生成AIで足しました。4色での実機印刷は未検証です。

パーツごとに色を変えて1体で印刷するなら、AMSのようにフィラメントを自動で切り替える仕組みか、ノズルを複数持つ機種を使うのが現実的です。今回の見積りに使ったA1なら、AMS lite付きのA1 Comboが最大4色に対応します。

色分けの手順(Bambu Studio 画面版)

今回は、10パーツを1オブジェクトに組む作業も、フィラメント番号の割当も、コマンドライン版とプロジェクトファイルの編集で行いました。画面で同じことをする場合、パーツへのフィラメント割当はBambu Lab公式Wikiの「Multi-Color Printing」(Set filament for object/part の節)、オブジェクトとパーツの違いは「Split to Objects/Parts」が参考になります。想定している流れは次の4つです(当社は割当済みのファイルを画面版で開いて確認したところまでで、画面上での割当操作はしていません)。

  1. 3MFを、複数のパーツを持つ1つのオブジェクトとして読み込む
  2. オブジェクト一覧でパーツを1つずつ選び、フィラメント番号を変える
  3. 全高を105mmなどに縮小し、サポートを設定する
  4. スライスして、時間・フィラメントごとの使用量・フラッシュ量を確認する

Blenderで作ったSTLを取り込んで分割

Tripo Studioの編集は、自作のモデルにも使えます。アセット欄の「3Dモデルをアップロード」の表示ではOBJ・FBX・STL・GLB(150MB以下)に対応していて、今回はSTLで試しました。前編の応用編で紹介した、BlenderとGPT-6 Astraで作ったペンギン(345,056面・17MB)を試しました。

STLを取り込んだ時のダイアログ。最適な角度を見つける、という見出しとX・Y・Zの回転、確認ボタン。カスタムマテリアルと多階層ノードは削除される注記
取り込み時の角度確認。STLはZ軸が上の向きで作られることが多く、Tripo Studioでは横倒しで表示されました。ここで向きを直せます。

取り込みは0クレジットで、新しいプロジェクトとして開きます。分割(標準・40クレジット)は約40秒で11パーツになりました。クイック封口を通した後の検査でも全パーツが閉じていて、向きを直して105mmにした状態を自動配置・単色でスライスすると3時間0分・84.28gでした。取り込んだSTLのリメッシュは試していません。

アップロードしたBlender製のペンギンを分割した画面。横倒しの状態で11パーツに色分けされている
横倒しのまま分割しても、見た目では部位ごとに分かれていました(11パーツの内訳は未確認)。向きは取り込み時か、スライサー側で直します。

今回の自作STLは約40秒で11パーツに分かれました(Blenderで同じ作業をした場合との時間の比較はしていません)。どこで切るかを自分で決めたい人には向きません。切る位置はTripoが自動で決め、確認した範囲では、細かい調整はパーツの「結合」だけでした。

編集履歴の保存期間と消費クレジット

編集するたびに版が積まれ、右側の履歴パネルから「復元して編集」で戻れます。リメッシュした後に元の版へ戻して分割する、といった往復が簡単でした。画面には「履歴は7日間保存されます」とあり、Proでも「アップグレードして保存期間を延長」の案内が出ます。大事な版は書き出して手元に置いてください。

操作 今回の実消費 ボタンの表示
リメッシュ 四角形/三角形 40/35 40/35
分割(Tripo生成のモデル/取り込んだSTL) 0(初回のお試し)/40 40
クイック封口/AI補全 0/0 表示なし(2026年9月20日・Beta)
リグ/テクスチャ/Smart UV/アニメ 未実行 20/20/20(お試し×2)/20
合計 115(残高3,080→2,965) ―

公式ヘルプのクレジット料金表(2026年9月21日閲覧)では、Segmentation 40、Retopology 5(Quad +5・Smart Lowpoly +30)、Auto Rig 20とあります。今回の画面表示(分割40・リメッシュ四角形40/三角形35)は、スマートメッシュ(Smart Lowpolyに当たるとみられます)をONにした場合の額と一致し、切れば5〜10クレジットになる計算ですが、画面では試していません。同じ表にはPart Completion(パーツ補完)が1パーツ+5とありますが、2026年9月20日の実測ではBeta表示で0でした。

料金プランごとの月間クレジットは公式の料金ページ、クレジットの考え方はヘルプにあります。前編の料金の章もあわせてどうぞ。

リメッシュ・分割の使いどころ

加工とスライスの結果

  • リメッシュで面数を1/100〜1/220にしても予測造形時間は短くならない(7〜8%増)。軽くなるのはデータで、細部は角張る(辺の平均0.18mm→1.8〜2.5mm)
  • 分割は1分で10パーツ。ただし切断面は開いている
  • クイック封口(今回は0クレジット・約30秒)で閉じたらスライスが通った
  • パーツを持ち出すなら3MFかGLB。STLは結合される
  • 10パーツに4色を割り当てると、予測は約4時間から13時間6分、フィラメントは95gから209gに。増えた分のほとんどは色替え
  • 自作STLも取り込んで分割できた
  • 単色の実物では、ローポリ版の体や翼に面の角が残り、通常ポリ版は曲面が滑らか

今回試していない条件

  • 分割・封口した10パーツの実機印刷、および4色での実機印刷
  • フラッシュ量を色に合わせて計算し直した場合の見積り(今回は既定値)
  • 実際の印刷時間・材料使用量・葉の付け根の強度の測定
  • 分割してから細部のパーツだけ高い面数で残す使い方
  • 無料プランでの分割・パーツ補完の可否
Tripo Studioで10パーツに分割したペンギンを少し斜めから見た画面。体・翼・目・くちばし・足・葉・魚とかき氷が別の色で表示されている
10パーツに分けた状態(色はTripo Studioの識別用)。このパーツ分けを使って、Bambu Studioで色を割り当てます。分割・封口した10パーツと4色版の実機印刷は未確認です。

印刷に使う機材と材料

色分けで印刷する

AMSやAMS liteとフィラメント自動供給の一覧、色をそろえやすいBambu Lab純正フィラメントから選べます。

印刷できる形の基本を知る

境界辺や非多様体辺の直し方はAI生成STLの健全化ガイドにまとめています。

完成データから始める

モデリングせずに印刷したい方は3D Data Japanの配布データからどうぞ。

機材選びの相談はお問い合わせから受け付けています。

よくある質問

Tripo Studioとは何ですか?Tripo AIと何が違いますか?

Tripo Studioは、Tripo AIをブラウザで使うための作業画面です。テキストや画像からの生成に加えて、生成したモデルの分割・パーツ補完・リメッシュ・テクスチャ・リグをクレジットの消費で行えます。Tripo AIはサービス全体の名前で、開発者向けのTripo APIも同じ会社(VAST)が提供しています。生成の手順と料金は前編にまとめています。

面数を減らすと3Dプリントは速くなりますか?

今回の条件では速くなりませんでした。同じ形のペンギン(全高105mm・Bambu Lab A1・0.2mm)のスライサー予測で、元の1,960,906面が3時間27分・90.96gでした。リメッシュ後は四角形設定の9,770面で3時間45分・92.67g、三角形8,818面で3時間41分・91.75gです。軽くなったのはファイルサイズ(98MBが0.44〜0.93MB)と、コマンドライン版でのスライス準備の時間です。

リメッシュは四角形と三角形のどちらを選べばいいですか?

3Dプリント用にSTLで書き出すなら、どちらでも三角形になります。四角形は書き出し時に2つの三角形に割られるため、同じ10,000の設定でも三角形の数は約2倍(18,517と8,818)です。全体の形はどちらも保たれましたが、接写ではどちらも面の角が見えます(三角形の辺の平均は四角形版1.8mm、三角形版2.5mm)。ゲームやアニメーション用に四角形が要る場合を除き、三角形の方が5クレジット安く、ファイルも小さくなります。

分割したパーツはそのまま印刷できますか?

今回のモデルでは、そのままではスライスが通りませんでした。分割直後のパーツは切断面のない開いた殻で、手元の検査では10パーツの境界辺が456〜6,452ありました。この状態の3MFをBambu Studioに渡すと「empty layer」のエラーで止まりました。「パーツ補完」の「クイック封口」を通すと全パーツが閉じ、スライスが通りました。

クイック封口とAI補全はどう違いますか?

画面の説明では、クイック封口は「メッシュの開口部をすばやく閉じ」、AI補全は「すべてのパーツを自動でクリーンな閉じたメッシュに補完」します。実測では、クイック封口は約30秒で面が1,944,923から2,096,028に増えました(切断面を閉じる面が足されたためと考えられます)。AI補全は約1.5分で1,702,242に減りました(各パーツを作り直すためと考えられます)。どちらも今回はクレジットを消費しませんでした。

大きなモデルを分けて印刷したいとき、Tripo Studioの分割とBambu Studioの切断はどちらを使いますか?

用途で分かれます。Tripo Studioの分割は目や翼といった部位の単位で切り分けるもので、切る位置は選べません。色分けの下ごしらえには向きますが、造形サイズに収めるために平らな面で割るなら、Bambu Studioの「切断」ツールを使います。Bambu Lab公式Wikiの「Cut Tool」に、切断面の角度や位置の決め方と、切った後をオブジェクトやパーツに分ける手順があります。

自分で作ったSTLにも分割やリメッシュを使えますか?

STLの取り込みと分割を試しました。アセット欄の「3Dモデルをアップロード」の表示ではOBJ・FBX・STL・GLB(150MB以下)に対応していて、今回試したのはSTLです。Blenderで作った345,056面のSTL(17MB)を取り込み、分割で11パーツになりました(40クレジット)。取り込んだSTLのリメッシュは試していません。Z軸が上のSTLは横倒しで表示されるので、取り込み時の角度確認で向きを直してください。

Tripo StudioとBlenderはどう使い分けますか?

形を自分で作り込むならBlender、AIで生成したモデルを部位に分けたり軽くしたりする作業はTripo Studioの自動処理に任せる、と分けて使います(同じ作業をBlenderで行った時間との比較はしていません)。両方を行き来する人向けに、開発元のVASTがBlender拡張をGitHub(VAST-AI-Research/tripo-3d-for-blender)で公開しています(2026年9月20日にリポジトリの存在を確認。機能は未検証)。前編の応用編では、BlenderとGPT-6 Astraで同じペンギンを作った手順を紹介しています。

無料プランでも分割やリメッシュは使えますか?

有料のProアカウントで試した範囲では、分割の1回目は「新機能お試し」として0クレジット、2回目からは40クレジットでした。2026年9月20日の実測では、リメッシュ(スマートメッシュON)は四角形40・三角形35クレジット、Beta表示のクイック封口とAI補全は0でした(公式ヘルプの料金表にはパーツ補完が1パーツ+5とあるので、今後変わる可能性があります)。無料プランの月間クレジットと機能の範囲は料金ページで確認してください(無料プランでは試していません)。

パーツを別々のデータとして持ち出すには、どの形式で書き出せばいいですか?

3MFかGLBです。STLはパーツを1つのメッシュに結合して書き出されます(今回は分割前と同じ1,944,923の三角形が1つになりました)。3MFはパーツごとに別オブジェクト、GLBはtripo_part_0〜9の名前付きで入っていました。Bambu Studioで色分けするなら3MFを選びます。GLBはUnityやBlenderなど、他のソフトに渡す時の形式です。

Tripo Studioから直接、多色でBambu Studioに送れますか?

「3Dプリント」の送信先は「Bambu Studio(モノクロ)」だけでした(2026年9月20日の画面)。同じ送信先の一覧で、Creality Print、Anycubic、Lychee Slicer、Orca Slicerは「近日公开」(画面は簡体字のまま)の表示でした。パーツごとに色を変えるには、3MFを書き出してBambu Studioで読み込み、パーツごとにフィラメントを割り当てます。

色分け(多色)で印刷すると、時間とフィラメントはどれくらい増えますか?

今回のペンギン(全高105mm・10パーツ・Bambu Lab A1)に4色を割り当てたスライサー予測では、単色の3時間59分59秒・95.35gに対して、13時間6分2秒・208.59gでした。フィラメントの交換は293回で、208.59gのうち114.41gは色替えのフラッシュとプライムタワーで捨てる分です。フラッシュ量は既定値(1回280mm³)のままの数値で、この10パーツの単色・4色比較の実機印刷はまだ行っていません。色数を減らす、小さなパーツを同じ色にまとめる、といった調整で交換回数は減らせます。

リメッシュの面数は10,000より上にできますか?

設定画面のスライダーは500〜10,000で、100,000などを入力しても10,000に戻ります。全高105mmのペンギンでも、10,000面では接写で面の角が見えました。フィギュアの細部を残したいときは、分割してから必要なパーツだけをリメッシュする案内が処理中に表示されました。この使い方は試していません。