光造形3Dプリンタ(レジンプリンタ)の出力時に、プラットフォーム上昇時にフィルムから大きな剥離音が発生する場合は、上昇スピードを遅くする、モデルの配置を変更する、またはレジンを適温に保つことで改善できます。
光造形プリンタの出力メカニズム
光造形タイプの3Dプリンタは、以下の工程を繰り返して造形を行います。
- プラットフォーム(造形台)が所定位置まで降下する
- UV-LEDが点灯し、レジン(液体樹脂)が硬化する
- プラットフォームが上昇し、硬化したレジンがFEPフィルム(透光性フィルム)から剥がれる
この工程中の上昇時に、FEPフィルムからの剥離がスムーズに行われないと、フィルム自体が一緒に持ち上がってしまい、その反動で大きな音や振動が生じます。放置するとフィルム損傷や出力物への線状の欠陥につながる可能性があります。
剥離音が発生する主な原因
- プラットフォームの上昇スピードが速すぎる:勢いよく剥離することで音が大きくなります
- 出力層の断面積が大きい:フィルムへの吸着力が強まり、剥離時に衝撃が生じます
- FEPフィルムの状態が悪い:フィルムにたるみがある、または剥離性が低下している
- レジンの粘性が高い:気温が低く、レジンが冷えて固い状態になっている
剥離音を軽減する対処方法
1. プラットフォーム上昇スピードを調整する
最も効果的で容易な対策です。初期層上昇速度と一般層上昇速度の両方を40~60mm/分程度に設定してください。デフォルト設定から大きく低下させることで、剥離時の衝撃が軽減されます。
2. モデルの配置を再検討する
出力時の断面積(FEPフィルム上の造形面積)が小さくなるよう、モデルの向きや配置を変更します。これによりフィルムへの吸着力が減少し、剥離がスムーズになります。
3. FEPフィルムを交換する
複数回の使用でフィルムが劣化している場合、新しいフィルムに交換することで剥離性が改善されます。
4. レジンを適温に保つ
特に冬季など、レジンの保管環境が20℃を下回る場合は注意が必要です。レジンの推奨運用温度は概ね20~30℃です。粘性が低下し、剥離がスムーズになります。
- 第一推奨:レジンVAT(または容器)専用のレジンウォーマーを使用する、もしくは作業室を20~30℃に保つ室温管理を行ってください
- 事前にレジンボトルを暖かい場所(直射日光や暖房直撃は避ける)にしばらく置いてから使用するのも有効です
⚠ ドライヤーによる加温について:ドライヤーで温風を直接当てる方法は、局所過熱・引火リスク・容器変形の懸念があるためメーカー各社は推奨していません。レジンウォーマーの使用または室温管理を優先してください。
推奨される対策の進め方
まずは設定変更で容易に実施できる「上昇スピードの低減」から始めてください。それでも改善しない場合は、他の対策をモデルの配置変更→フィルム交換→レジン温度管理(レジンウォーマー使用または室温20~30℃)の順で組み合わせてお試しください。
