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マルチカラー印刷が新局面へ:Prusaがオープンソースの色混合「ColorMix」を公開。Bambu Lab・Snapmakerの動きと合わせて解説(2026年)

ColorMixで混色した複数の色の3Dプリント出力サンプルが並ぶ様子
ColorMixで限られたフィラメントから多彩な色を作り出した出力サンプル(出典:Prusa Research公式ブログ、blog.prusa3d.com

技術解説・業界ニュース/SK本舗公開日:2026年6月13日

数色のフィラメントだけで、何十色もの色味を出す。そんな「色を混ぜる」スライサー機能が、いま各社で一気に出そろってきました。2026年5月26日、Prusa Research(チェコ)がオープンソースの色混合アルゴリズム ColorMix を発表し、同日付でスライサー PrusaSlicer 2.9.6 beta1 と同社の EasyPrint へ統合したと公表しています(出典:Prusa公式ブログ/PrusaSlicer 2.9.6-beta1 リリースノート)。これは新しいプリンター本体ではなく、あくまでソフト側(スライス時の色の作り方)の進化である点が大きなポイントなんです。

関係するのは、AMSのようなマルチマテリアル機能を使ってカラー出力を楽しんでいるホビーユーザー全般です。すでに Bambu Lab は2026年4月にBambu Studio 2.5.3へ色混合(Color Mixing)機能を追加しており、Snapmaker も2026年6月1日のSnapmaker Orca V2.3.3 BetaでFull Spectrumと呼ばれる色混合技術を取り込んだと発表しています。今回のPrusa参戦で、「数色から多彩な色を作る」という流れが、特定メーカーの独自機能ではなく、業界横断のトレンドになりつつあると読めます。

なぜ重要かというと、これまでマルチカラー=「色数ぶんのフィラメントを物理的に切り替える」のが常識でしたが、色混合は手持ちのフィラメントの組み合わせで中間色を作るという発想だからです。SK本舗はBambu Labの正規取扱店として、AMSを使ったマルチカラー出力を日常的にご案内していますが、その世界観が一段広がる動きとして注目しています。なおPrusa製品はSK本舗の取扱対象外のため、ここでは「業界の動き」としてご紹介し、実際に手に取りやすいBambu Lab側の流れを軸に解説していきますね。


ColorMixとは何か:ハードではなく「色を混ぜるソフト」

結論:ColorMixはプリンター本体ではなく、PrusaSlicer/EasyPrintに組み込まれた色混合の計算アルゴリズム(ソフトウェア)です。MITライセンスで公開されたコードで、既存のマルチマテリアル機にも応用が利く仕組みだとされています。

「ColorMix=新しいプリンター?」と誤解されがちですが、正体はスライス時に色を作るソフトです。本体を買い替えなくても色表現を広げられる点が、今回の話題の核心なんですね。

ColorMixの考え方は、印刷の「ハーフトーン(網点)」と同じ原理を立体に持ち込んだものだと説明されています。異なる色のレイヤーを交互に積み重ねることで、目の錯覚として中間色に見せる――そんな仕組みです(出典:Prusa公式ブログ、3Druck)。色の基準には CMYKW(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック・ホワイト) が使われていて、印刷業界の4色+白に近い発想だとされています。

ColorMixの基礎となるハーフトーン理論と層の交互配置方式を説明した図
異なる色の層を交互に重ねて中間色に見せる、ハーフトーン原理の図解(出典:Prusa Research公式ブログ、blog.prusa3d.com

ライセンス面も特徴的です。ColorMixは MITライセンスで公開され、ソースコードはGitHubの prusa3d/prusa-fdm-mixer(TypeScriptパッケージとC++17のシングルヘッダ版)として配布されているといいます。MITは制約のゆるい寛容なライセンスなので、他のスライサーや開発者が取り込みやすい、というのが業界で注目される理由の一つだと読めます。

ここで一つ整理しておきたいのが、ちょうど同じころに話題になった OrcaSlicerのAGPLライセンスをめぐる件との混同です。あちらは2026年4〜5月にかけて、Bambu Labのクラウド印刷機能を復活させたフォークに対する差止め要求(C&D)に端を発した別問題で、今回の色混合アルゴリズムColorMixとはまったく別の話です。「オープンソース×スライサー」という共通点で混ざりやすいので、切り分けておきますね。

混同しやすい2つの話題(切り分け)
話題 中身 時期
ColorMix(本記事) 色を混ぜるスライス用アルゴリズム(MIT) 2026年5月発表
OrcaSlicer AGPL論争 クラウド機能フォークへの差止め要求(別件) 2026年4〜5月

なぜ「色混合」が業界全体を動かすのか

結論:主要プレイヤーが半年以内に相次いで色混合へ動いたことで、これが一過性ではなくマルチカラーの新しいアプローチの一つとして定着しつつある、と読めます。Bambu Lab・Prusa・Snapmakerが横並びで参入した構図です。

1社だけなら独自機能ですが、3社が短期間で続くと「トレンド」として見えてきます。各社の動きを時系列で並べると、流れの速さがよく分かりますね。

2026年に入ってからの動きを並べると、色混合が急速に広がっていることが見て取れます。Bambu Labが4月、Prusaが5月、Snapmakerが6月と、おおよそ月ごとに新しい発表が続いています。

メーカー 機能・取り組み ソフト/時期 SK本舗取扱
Bambu Lab Color Mixing(色混合)機能を追加 Bambu Studio 2.5.3/2026年4月 正規取扱
Prusa Research ColorMix(CMYKW・MITライセンス)を公開 PrusaSlicer 2.9.6 beta1/EasyPrint・2026年5月26日 取扱対象外
Snapmaker Full Spectrumを統合(開発者Ratdoux氏が参画) Snapmaker Orca V2.3.3 Beta/2026年6月1日 取扱対象外

出典:Prusa公式ブログ、PrusaSlicer 2.9.6-beta1 リリースノート、Bambu Lab Wiki(Bambu Studio 2.5.3 リリースノート)、3Druck、3D Printing Industry、Snapmaker公式ブログ。各時期は各社発表ベース。価格はいずれも記載なし。

技術の中身を見ると、各社で計算方法には違いがあるとされています。たとえばPrusaのColorMixは、実際のFDM出力を測色して Yule-Nielsenのハーフトーン式をベースに補正をかけ、色を再現しているといいます。これに対し、コミュニティ発で層交互のマルチカラー手法を先駆けて広めたとされる OrcaSlicer-FullSpectrum(Ratdoux氏) は、色の異なる薄い層を交互に積んで中間色に「見せる」アプローチが軸だと説明されています(出典:Prusa公式ブログ、3Druck)。同じ「色を混ぜる」でも、測定にもとづく補正で攻めるか、層の積み方の工夫で攻めるかで、考え方が分かれているわけですね。

青、赤、黄、黒、白のPrusament CMYKWフィラメントスプール
CMYKWの5色を起点に多彩な色を合成する、というColorMixの色体系(出典:Prusa Research公式ブログ、blog.prusa3d.com

なお、Prusa公式ブログによれば、ColorMixの色補正は現時点で Prusa純正フィラメント(Prusament PLA)をPrusa XLで出力した条件で較正されたもので、PETGやABS、特殊フィラメントでの精度は今後の検証次第、という位置づけのようです。つまり「どんな素材でも狙った色がぴたり」という段階ではまだない、と読めます。こうした前提も含めて、いまは各社が手法を競い合っている発展途上のテーマと捉えるのが妥当そうです。


いま手元の環境で何が変わるか

色混合がソフト側の進化だという点は、ユーザー目線でいうと「本体を買い替えずに色表現を広げられる」という意味になります。とくにAMSのようなマルチマテリアル機構を持つ機種なら、スライサーが対応すれば、いま動かしているプリンターのまま中間色づくりに踏み込めるわけですね。

日本のホビー市場で、この「AMS+対応スライサー」の組み合わせをいちばん手に取りやすいのは、SK本舗でも正規取扱しているBambu Labのラインナップです。X2D(X1 Carbonの後継として位置づけられる機種)をはじめ、P2S、A1/A2Lといった機種がAMSと組み合わせて使えます。色混合機能はBambu Studio 2.5.3でこのAMS環境を活かす形で動くため、お持ちの方はスライサーを最新に更新するだけで試せる見込みです。これから始める方も、すでにAMS機を使っている方も、特別な新型を待たずに今の延長線上で多色出力に入れる、というのが現実的なところです。

複数フィラメントの色を層ごとに混ぜて出力した、グレーの濃淡を持つ金魚の造形例
ソフト側の色混合で、1本ずつ色を切り替えずに濃淡・中間色を表現した造形例。AMSのようなマルチマテリアル環境とスライサーの組み合わせで実現します(出典:Prusa公式ブログ)。
要点:色混合はソフト更新で広がっていく機能なので、新方式の本体を待つ理由は薄いと読めます。いま日本で入手しやすいBambu LabのAMS環境を起点にしておけば、スライサーの進化に合わせて色表現の幅が伸びていく見込みです。

一方で、色の正確さを最優先したい方は、少し落ち着いて様子を見る価値もあります。記事前半で触れたとおり、各社の色補正はまだ較正の途上で、素材(PLA/PETG/ABSなど)によって仕上がりの色味が変わる可能性があります。まずは手持ちの素材で小さく出力して、狙った色との差を確かめながら使い込んでいくのが安全です。色混合は「どんな素材でもぴたりと再現」という段階にはまだなく、発展途上のテーマだという前提で楽しむのがちょうどいい距離感だと思います。

なお、こうした流れの背景には、コミュニティ発の工夫がメーカー標準機能へ昇格していく3Dプリンター界隈らしいパターンがあります。先駆けとされる OrcaSlicer-FullSpectrum を各社が自社ソフトへ取り込み始めた動きは、今後も他のスライサーへ波及していく可能性が高そうです。だからこそ、いまAMS環境を整えておくことが、これから来るアップデートを取りこぼさない近道になります。

「そもそもマルチカラーってどう始めるの?」という方には、SK本舗のこれまでの解説記事が入り口になります。基本のやり方は3Dプリンターでマルチカラー出力する方法の解説、機種の選び方はマルチカラー3Dプリンターの選び方ガイド、フルカラー出力の考え方はフルカラー3Dプリンターの基礎でそれぞれ整理しています。あわせて読むと、今回の色混合トレンドが「どこに効いてくるのか」がより立体的に見えてきますね。

機種選びや、いまのAMS環境で多色をどう始めるか迷ったときは、SK本舗にご相談ください。用途・予算・サポート体制を整理のうえお問い合わせいただければ、マルチカラーに向いた構成をご案内します。立体データを探したい方は、まず3D Data Japan(3d-data.skhonpo.com)ものぞいてみてください。

参考情報(出典リンク)

  • Prusa Research公式ブログ「Our new open-source ColorMix model in PrusaSlicer and EasyPrint」記事へ
  • All3DP「Prusa ColorMix in PrusaSlicer 2.9.6 Beta」記事へ
  • PrusaSlicer 2.9.6-beta1 リリースノート(GitHub)記事へ
  • 3Druck「Prusa ColorMix: open-source color mixing」記事へ
  • Bambu Lab Wiki「Bambu Studio 2.5.3 リリースノート」記事へ
  • 3D Printing Industry「Snapmaker brings Full Spectrum developer Ratdoux into multicolor push」記事へ
  • Snapmaker公式ブログ「Getting Started with Full Spectrum Slicing」記事へ

※本記事の発表日・統合時期は各社の公式発表に基づきます。価格・仕様・対応素材は更新される可能性があるため、最新は各商品ページ・各社公式情報をご確認ください。