最終更新:2026年6月13日
3Dプリンターを使い込むほど気になってくるのが、フィラメント代と、たまっていく失敗プリントやサポート材のゴミですよね。この2つの悩みに同時に答える製品として、Creality がフィラメント再生機「Filament Maker M1」と粉砕機「Shredder R1」を発表しました。海外メディアの報道では、家庭やオフィスの机の上で「捨てるはずだったプラスチック」を「次に使えるフィラメント」へ戻す、デスクトップ完結型のリサイクルシステムだとされています。
何が起きたかというと、Creality がこの2機種を2026年3月初旬に予告(Creality公式フォーラムの告知は3月2日付)し、その後 Indiegogo でクラウドファンディングを開始したという流れです。Yanko Design など複数メディアによれば、キャンペーンは5月14日に終了し、最終的に5,320人の支援者から $6,816,733.52(約680万米ドル)を集めたと報じられています。出荷は2026年第2四半期(6月開始の見込み)とされています。
なぜこのニュースが重要かというと、背景にフィラメント価格の高騰があるからです。Yanko Design の報道では、PLA の値上がりが大きく取り上げられ、記事の見出しでは約59%上昇という数字が掲げられています。同記事が例として挙げる「1kgあたり $18 から $28 へ」という値だけを計算すると上げ幅はおよそ56%になりますので、59%という数字は対象期間や品目の取り方が異なる可能性があり、ここでは「報じられた目安」として捉えるのが妥当です。いずれにしても、フィラメントを買い続ける前提が揺らぎ始めたタイミングで「自分で作る・リサイクルする」という選択肢が現実味を帯びてきた、という文脈は変わりません。本記事では、このM1/R1がどんな製品で、業界とユーザーにとって何を意味するのかを、確認できた事実ベースで整理していきます。
M1/R1とは何か ── 「粉砕」と「再生」を分けた2台構成
M1/R1は、ざっくり言うと「ゴミを原料に戻す機械」と「原料からフィラメントを作る機械」の2台セットです。報道されている仕様を見ると、それぞれ得意分野がはっきり分かれています。
それぞれの基本スペックを、報道ベースで整理すると次のようになります。価格は後述しますが、本体寸法・処理能力などはすべて発表時点の公称値・海外報道ベースである点にご注意ください。
| 項目 | Filament Maker M1(再生機) | Shredder R1(粉砕機) |
|---|---|---|
| 役割 | ペレットを溶かしてフィラメント化 | 失敗プリント・端材を粉砕 |
| 処理能力 | 最大 約1kg/時(バージンペレット時) ※リサイクル材を混ぜると約500〜600g/時に下がるとされる |
最大 約3kg/時、4mm以下のペレットを生成 |
| 本体サイズ | 約 555 × 245 × 570mm | 報道では未公表 |
| 重量 | 約15kg | 約13kg(一部報道) |
出典:Yanko Design(yankodesign.com 2026/04/11)、Smith3D(smith3d.com)。数値は発表時点のもので、製品版で変わる可能性があります。
ここでひとつ補足です。M1単体でも、市販されているバージンペレットを原料にすれば新品同様のフィラメントを作れるとされています。つまり「リサイクル専用機」ではなく、「自分でフィラメントを製造できる機械」でもある、というのがポイントなんです。色のブレンド(混色)にも対応すると案内されています。
精度と対応素材 ── 「使える品質か」が一番の論点
自作・再生フィラメントで一番心配なのは「ちゃんと印刷できる品質なのか」という点ですね。フィラメントは直径のムラ(公差)が大きいと、詰まりや造形不良の原因になります。ここがM1の評価を左右する核心部分です。
複数メディアの報道を突き合わせると、公差は次のように伝えられています。なお、±0.05mmという水準は「バージン材と端材を1:1で混ぜたときに狙える値」とCrealityが案内しているとの報道もあり、混合比率によって変わる前提の数字です。メディアによっては直径の対応範囲(1.70mm/1.80mm 系など)として表現しているものもあるため、製品版の最終仕様は公式の確定情報を待つ必要があります。現時点では「市販品に近い水準を狙っている」という読み方が妥当です。
| 原料の状態 | 報道される直径公差 | 想定される使いどころ |
|---|---|---|
| バージンペレット中心(新品寄り) | ±0.05mm の見込み | 通常の造形に十分とされる水準 |
| リサイクル材が多い(端材・失敗品) | ±0.1mm の見込み | 試作・治具・練習用など実用寄り |
出典:Yanko Design(yankodesign.com)、Smith3D(smith3d.com)。確定仕様は公式発表をご確認ください。
対応素材は、報道ではPLA・PETG・ABS・PA・PC・PET・ASA・TPU、さらにカーボン/ガラス繊維入りのコンポジットなど、8種類以上に及ぶとされています。ただし、報道では「1回につき1素材」での運用が前提とされ、出荷初期にどの素材まで実用的に扱えるかは段階的になる可能性があります。ここも公式の確定情報を待ちたいところです。
なぜ業界全体に影響するのか ── 価格高騰と「材料の自給」
この製品が注目される理由は、単体のスペックよりも「タイミング」にあります。Yanko Design の報道によれば、PLA の例として 1kgあたり $18 から $28 へ値上がりしたとされ、記事の見出しでは約59%という数字が掲げられています。フィラメント代がプリンター運用コストの大きな部分を占める以上、これは趣味ユーザーにも、量を使う現場にも効いてくる変化です。
コスト面で報じられている数字を並べると、インパクトがわかりやすくなります。あくまで海外メディアが伝える試算で、米ドル(USD)ベースである点はご留意ください。
| 項目 | 報道される数値(USD) | 補足 |
|---|---|---|
| 市販フィラメント価格 | 約 $28/kg | PLA で $18→$28 の例が報じられている |
| リサイクルでの製造コスト | 1巻あたり約 $5 | 原料を端材でまかなった場合の試算 |
出典:Yanko Design(yankodesign.com)、Smith3D(smith3d.com)。為替・送料・電気代・本体償却は含まない単純比較です。
クラウドファンディングで5,320人・約680万米ドルが集まったという事実は、「材料の自給」というテーマに多くの人が反応したことの裏返しだと読めます。フィラメント再生という発想そのものは新しいものではなく、海外には押し出し機や粉砕機を手がける先行メーカーもありました。ただ、それらは設置スペースや扱いの難しさがネックになりがちで、机の上で2台完結という形に落とし込んだ点が、今回の広がりにつながった可能性があります。
もちろん、この$5という数字は「原料をタダ同然の端材でまかなえた場合」の話です。実際には本体価格の償却、電気代、作業の手間、そして再生材ならではの品質の振れ幅も計算に入れる必要があります。「すぐ元が取れる魔法の機械」ではなく、使い方次第で効いてくる道具、というのが冷静な見方だと考えられます。
誰に向いている話か ── 「材料を自分でまかなう」が刺さる人
ここまでの内容を、いま手元のプリンターを使っている方の目線で整理してみます。M1/R1は造形機(プリンター本体)ではなく、その手前の「材料」をまかなう機械です。ですから刺さる人と、そうでない人がはっきり分かれます。
まず関係が深いのは、FDM機でフィラメントを量産的に使っている方です。Creality の Ender / K シリーズはもちろん、Bambu Lab の A1・P1S・X1 系、ELEGOO の Centauri 系など、メーカーを問わずフィラメント代がかさんでいる方ほど、再生・自作という発想が効いてきます。とくに、プロトタイプや治具を数多く回して失敗プリントや端材が大量に出る方、毎月のフィラメント代が気になり始めている方、そして色や素材を自分で配合してみたいという作り手志向の方には、検討する価値のあるテーマです。一方で、光造形(レジン)機 ── ELEGOO の Mars / Saturn 系や Anycubic の Photon 系 ── を使っている方には、レジンとは原理が違うため直接の関係はありません。月に数百g〜1kg程度しか使わない方も、本体投資の回収に時間がかかりやすいため、急いで飛びつく対象ではないと考えられます。
ただし冒頭でも触れたとおり、日本での取り扱いや発売時期については、現時点では確認できていません。SK本舗は Creality の正規代理店ですが、本記事を書いている2026年6月時点で、M1/R1がSK本舗の取り扱いラインに並んでいるという情報はありません。国内展開の有無・時期は今後の発表待ちで、続報が入り次第このブログでも整理してお伝えしていきます。
そして見落とされがちなのが、再生機の登場を待っているあいだも、フィラメント価格の上昇という現実は止まってくれないという点です。M1/R1が国内で手に入る時期はまだ読めませんし、手に入ったとしても、本体価格の償却や品質の振れ幅を考えると「届いた翌日から material費がゼロ」というわけにもいきません。だとすれば、いま値上がりに備えてできる一番堅実な手は、信頼できるフィラメントを賢く選び、よく使う銘柄はまとめ買いで単価をならしておくことです。SK本舗では eSUN・SUNLU・Kexcelled・旭化成・BASF などのフィラメントを取り扱っていますので、用途に合う1本を見極めるところから、ムダ撃ちと出費を減らせます。用途(強度重視か見た目重視か)・予算・お使いの機種を整理したうえで迷ったら、LINEのカスタマーサポートでお気軽にご相談ください。在庫や価格は各商品ページで、Creality製品の最新ラインは Crealityコレクションページ からご確認いただけます。
まとめ ── 「材料も自分でまかなう」時代の入り口
フィラメント価格の上昇が報じられる流れの中で、Creality の M1/R1 は「買い足す」だけでなく「作る・戻す」という選択肢を、机の上のサイズで提示してきました。クラウドファンディングで5,320人・約680万米ドルを集めたという事実は、このテーマへの関心の高さを物語っていると読めます。
一方で、公差や対応素材の最終仕様、そして日本での取り扱い時期は、現時点ではまだ確定していません。「面白い方向性ですが、実機評価と国内情報を見てから判断」というのが、いまの誠実な立ち位置だと考えています。SK本舗は Creality 正規代理店として、続報が入り次第このブログでも整理してお伝えしていきます。まずは足元のフィラメント選びから、ムダなく3Dプリントを楽しんでいきましょう。
※ SK本舗では xTool 関連製品を Coming Soon(近日取扱開始)として準備中です。
参考情報(出典)
- Creality公式ブログ「Filament Maker M1 & Shredder R1 Indiegogo Launch」── creality.com(製品概要)
- Creality公式フォーラム「Filament Maker M1 & Shredder R1 — Coming Soon on Indiegogo」── forum.creality.com(予告投稿・2026年3月2日付)
- Yanko Design「As 3D Printing Filament Prices Surge 59%, Creality Turns Plastic Scrap Into New Supply」── yankodesign.com(2026年4月11日/価格高騰・スペック・コスト試算)
- Smith3D「Creality's Filament Maker M1 / Shredder R1 ── What It Means」── smith3d.com(スペック・サイズ・公差のクロスチェック)
- Indiegogo プロジェクト更新「Creality Filament Maker M1 / Shredder R1」── indiegogo.com(最終調達額 $6,816,733.52/支援者5,320人)
- SK本舗 Creality コレクション ── skhonpo.com/collections/creality/ブランドページ
本記事の数値・日付は2026年6月13日時点で確認できた海外メディア報道・公式情報に基づきます。価格は発表当時のクラウドファンディング価格(米ドル・海外価格)で、製品版・国内価格とは異なる場合があります。仕様は予告なく変更される可能性があります。
