
サングラスというのは、基本的にはとてもシンプルな道具です。レンズが2枚あって、フレームがあって、顔にかける。それ以上でもそれ以下でもありません。
ところが、ときどきファッションはその常識を軽やかに裏切ります。
イッセイ ミヤケ のアイウェアライン「Issey Miyake Eyes」が発表したサングラス「UROKO」は、その好例。レンズはなんと片側4枚、合計8枚。普通のサングラスの倍どころか、まるで鱗のようにレンズが並んでいます。
8枚のレンズという異様な美しさ
UROKOの最大の特徴は、レンズの構造。
左右それぞれに4枚ずつのレンズが横一列に配置されています。
しかもレンズは、通常のように外側へ膨らむ凸レンズではなく、内側にカーブした凹レンズ。この形状によって、複数のレンズをフレーム内にコンパクトに収めることが可能になったとのこと。
結果として生まれるのは、普通のサングラスとはまったく違うリズムを持ったデザイン。整然と並ぶレンズが、どこか機械的でありながら、不思議と有機的な印象も与えます。
まるで、未来の昆虫の複眼のようでもあり、日本の伝統模様のようでもあります。
インスピレーションは日本陶芸
このデザインのルーツは、意外にも陶芸にあります。
UROKOのモチーフとなっているのは、陶芸家・加守田章二の作品。彼の陶器に見られる、繰り返しのパターンや独特の表面表現が、このサングラスのデザインに取り込まれています。
整然と繰り返されるモチーフ。しかし完全な均一ではない揺らぎ。
その感覚が、フレームのディテールにも反映されています。
フレームは3Dプリント
UROKOのフレームは、鯖江の眼鏡メーカー Kaneko Optical との共同制作によるチタン製で、3Dプリント部品を組み合わせています。ただし、ここで目指されているのは工業製品らしい完璧な滑らかさではありません。
むしろその逆です。
仕上げ工程では、あえて表面に微妙な凹凸を残す加工が施されています。これは、加守田章二の陶器に見られる「完全に整いすぎない質感」を再現するためのもの。
近くで見ると、金属フレームでありながらどこか焼き物のような表情を持っています。小さなシルバーのネジが見える構造も、どこか工芸品のような佇まいを感じます。
つまりこのサングラスは、単なるファッションアイテムではなく、工業と工芸の境界にあるデザインということ。
テーマは「Dancing Texture」
UROKOは、IM MENの2026年春夏コレクション「Dancing Texture」の一部として発表されています。
フレームはブラック1色、レンズは Brown / Dark Gray の2色から選べます。

レンズの列が作り出す影のリズムと、フレーム表面のテクスチャー。その組み合わせが、まさに“踊る質感”というテーマを体現しています。
眼鏡は顔にかける彫刻か
眼鏡というものは、顔の中央に乗るプロダクトです。つまり、服以上にその人の印象を変える存在でもあります。
UROKOは、実用性だけを考えれば少し奇妙かもしれませんが、その奇妙さこそが魅力です。
8枚のレンズが並ぶフレームは、まるで小さな建築のよう。顔の上に置く彫刻、アートですね。
3Dプリントという最先端の技術を使いながら、参照しているのは日本の陶芸というミックス感覚こそが、イッセイ ミヤケらしさ。
サングラスという日用品の中に、ちょっとした未来と、少しの遊び心を。
《UROKO》https://www.isseymiyake.com/blogs/eyes-itemseries/uroko

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