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光造形で層間剥離が起きる原因と対策

光造形で層と層が剥離する「層間剥離(Delamination)」は、露光不足・剥離力(Peel Force)・サポート不足のいずれかが主因です。Formlabs公式の解説でも共通して指摘されているポイントを押さえれば、大半の症状は改善します。

症状とは

造形物の途中で層間に筋状の亀裂が入る、特定の層を境にパーツが真っ二つに分離する、中空モデルの側面に横方向の割れが走る、といった症状で現れます。プリント中の音が「バチッ」と通常より強くなった層で発生するケースが多く、剥離面はきれいに剥がれて露出していることが特徴です。

結論(主原因)

主原因は「層露光不足による層間接着力の不足」と「剥離動作時の過大な剥離力」です。前者はスライサー設定、後者はモデル配置・サポート設計・ハードウェア要因が絡みます。

原因1:通常層の露光時間不足

露光時間が短いと層の硬化が不十分になり、次の層との接着が弱くなります。特にダーク・ブラック・深ブルー系の顔料が濃いレジンはUV透過が悪く、クリア系より長めの露光が必要です。

対策:レジンメーカー推奨値を起点に、1.5〜3秒刻みで露光テストを実施して最適値を見つけます。モノクロLCD機種の目安は2〜4秒、カラーLCDや古い機種では6〜10秒以上が必要になる場合もあります(機種・レジン・造形温度により異なります)。

原因2:剥離力が大きすぎる(大断面積・サクションカップ)

FEPからの剥離時に加わる力が層の接着力を超えると、そこで剥離が起きます。大きな水平断面、急な面積変化、中空モデルの内部に発生する真空(サクションカップ)は剥離力を劇的に増加させます(Formlabs公式が指摘)。

対策:モデルをX/Y軸に対して20〜45°傾けて配置し、水平断面積を分散させます。中空モデルには必ずドレインホール(直径2〜4mm以上、複数箇所)を開けて真空を防ぎます。リフト速度を下げる、剥離後の待機時間を増やすといった設定変更も有効です。

原因3:サポート不足・サポート強度不足

モデルを支えるサポートが少なすぎる・細すぎる場合、剥離動作時にサポートがしなって層が引き剥がされます。オーバーハングや空中に浮く部分に十分なサポートが付いていないと、その周辺で層間剥離が起きます。特に大きめのモデルで自動生成サポートのみに頼ると、重量に対して支持力が不足するケースが多々あります。

対策:サポート密度を上げ、直径もワンサイズ太めに設定します。ラフト(Raft)を使用して土台を強化するのも有効です。サポートはオーバーハング部と島(アイランド)部に最低1本は必ず配置してください。ChiTuBoxやLychee Slicerの自動生成後は、プレビューで島が残っていないか必ず確認し、手動で追加します。

原因4:レジンの劣化・保管状態

開封後に長期間経過したレジン、UV光に曝されていた環境で保管されたレジンは、硬化特性が劣化し層間接着力も落ちます。気温の低い場所で長期保管されたレジンも同様に粘度が上がり、フロー・硬化に影響します。

対策:レジンは遮光容器で常温保管し、開封後は6〜12ヶ月以内の使用を推奨します(メーカーにより目安は異なる)。使用時は25〜30℃の環境で扱い、ボトル内で沈殿が見える場合はよく撹拌してから注ぎます。

予防するには

  • 造形温度を25〜30℃に保つ(寒い環境ではレジン粘度が上がり剥離力も増加)
  • プリント中断・長時間ポーズを避ける(再開時の層間接着が弱まる)
  • 中空モデルには必ずドレインホールを設ける
  • FEPに硬化片が固着していないか毎プリント前に確認する
  • 新レジン使用時は必ず露光テストを実施する

まとめ

層間剥離は「接着力 vs 剥離力」のバランスが崩れた結果です。露光時間を伸ばして接着力を上げるか、モデル向き・ドレインホール・サポートで剥離力を下げるか、両面から手を打つのが定石です。まずは失敗した層で何が起きていたか(大断面積の直後か、空中部分か等)を観察することから始めてください。


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