最終更新日:

光造形で初層が埋まってしまう原因

光造形の初層(Bottom Layer)が本来の形状を保てず、くっついて埋まったり、膨らんで潰れたりする症状は、過剰露光と設計面の要因が組み合わさって発生します。ChiTuBoxなどスライサー側の設定と、モデル配置の両方から見直すのが近道です。

症状とは

造形物の下側(ビルドプレート側)の数層〜十数層が、設計データよりも太く・広く形成され、ディテールが埋まる・穴が塞がる・隣接パーツ同士がくっつく、といった症状が現れます。ビルドプレートに密着している側だけがゾウの足(Elephant Foot)のように膨らんで見える、サポートの先端が溶けて合体している、といった形で表面化します。

結論(主原因)

主原因は「ボトム露光時間(Bottom Exposure Time)の過剰設定」です。ボトム層は通常層の5〜10倍の露光時間が推奨されますが、長すぎると光がXY方向にも広がり、設計より太くなります(ChiTuBox公式ドキュメントでも指摘されている現象)。

原因1:ボトム露光時間が長すぎる

ビルドプレート定着性を上げようとボトム露光を過度に長く設定すると、レジンが横方向にも硬化し、初層が設計より太くなります。結果として穴が塞がる・パーツ同士が融合するといった症状になります。

対策:メーカー推奨値から開始し、必要最小限まで短縮します。ボトム露光時間は通常露光の5〜10倍の範囲が目安で、機種・レジン・造形温度により最適値は異なります。ChiTuBoxでは「Bottom Tolerance Compensation(ボトム補正)」機能で初層径を小さく調整することもできます。

原因2:トランジション層(Transition Layer)が未設定

ボトム層から通常層へ一気に露光時間が切り替わると、境目で応力集中やディテール不均一が発生します。ChiTuBoxのTransition Layer Count(遷移層数)が0のままだと、急峻な変化が初層の太りとして残りやすくなります。

対策:Transition Layer Countを3〜8程度に設定し、Transition Typeを線形(Linear)にすることで、ボトム露光から通常露光へ滑らかに移行させます。これにより初層と上層の境目の違和感も軽減されます。

原因3:モデルがビルドプレートに平置きされている

モデルを水平に近い角度で配置すると、底面全体がボトム露光を受けるため、ディテールが埋まりやすくなります。特に細かい彫り込みや穴がある部分は、光漏れの影響を強く受けます。

対策:モデルをX/Y軸に対して20〜45°傾けて配置し、サポート経由でビルドプレートに接続します。これによりディテール面が直接ボトム露光を受けることを避けられます。平置きが必要な形状(ベースプレート等)はボトム露光時間を短めに調整します。

予防するには

  • レジンメーカー推奨値を起点に、XP2 Validation Matrix等のキャリブレーション治具で露光時間を追い込む
  • Transition Layer Countを必ず設定する(ChiTuBoxの既定値が0の場合があるため確認必須)
  • ボトム層数は6〜8層が一般的な目安。多すぎると初層の厚み全体が太る
  • 新しいレジンに切り替えた際は必ず露光テストを再実施する

まとめ

初層が埋まる症状は、ボトム露光時間の過剰とトランジション層未設定の合わせ技で起きることが大半です。定着性と精度はトレードオフであり、「プレート剥離しない範囲でボトム露光を最短化する」が正解の方向性です。新しいレジンを使う前のテストプリントは必ず実施してください。


関連FAQ