洗浄後の造形物表面が青みがかって見える、ベタついてUVライトに当てても硬化しきらない――このような症状の多くは「硬化不足(アンダーキュア)」のサインです。露光時間・レジン特性・二次硬化の3点を見直せば解決できます。
症状とは
造形物の表面が本来の色よりも青みがかって見える、触るとベタつく・ヌメつく、指の爪で軽く押すと跡が残る、樹脂臭が強い、洗浄液(IPA)に長時間浸けても表面のベタつきが取れない、といった形で現れます。ブルー系レジンで顕著ですが、クリア・グレー・白レジンでも同様の傾向が出ることがあります。Formlabs公式やAnycubic公式の指摘通り、未硬化のレジンが残っているサインです。
結論(主原因)
主原因は「プリント中の層露光不足」または「プリント後の二次硬化(ポストキュア)不足」です。特に青・黒・深色系レジンはUV透過率が低いため、クリア系より長い露光と二次硬化時間が必要です。
原因1:プリント中の層露光時間が短い
ブルー・ブラック・深色系のレジンは顔料がUVを吸収するため、クリア系と同じ露光時間では層の硬化が不十分になります。表面がゲル状のまま積層が進むと、完成時に全体がベタついた青い造形物になります。
対策:レジンメーカー推奨値を起点に、クリア系より長めの露光を設定します。モノクロLCD機種でも深色系は2.5〜5秒程度を起点にテストし、XP2 Validation Matrix等で最適値を詰めます(機種・レジン・造形温度により大きく変動)。
原因2:二次硬化(ポストキュア)の時間・光量不足
プリント直後の造形物は「グリーンステート」と呼ばれる半硬化状態で、二次硬化(UV後硬化)が必須です。太陽光や弱いUVライトでは光量不足で、表面のベタつきが残ります。
対策:専用のUV硬化機(Wash & Cureシリーズ等)を使用し、小物で5〜10分、大物で20〜30分を目安に硬化させます。ELEGOO・Anycubic公式の推奨時間はレジン種により異なるため必ずデータシートを確認してください。硬化機内では回転台で全方位に光を当てることが重要です。
原因3:造形・硬化環境の温度が低い
レジンは低温で粘度が上がり、硬化反応も鈍くなります。Formlabs公式も25〜30℃程度の環境を推奨しており、冬場の寒い部屋ではプリント中も二次硬化中も硬化が進みにくくなります。冬場に急にベタつきが増える場合は、まず環境温度を疑うのが定石です。
対策:造形室の温度を25〜30℃に保ちます。寒い季節はレジンボトルを事前に温める、硬化機内を温める、といった工夫が有効です(ただしレジンは可燃性のため直火・高温ヒーター近くでの保管は厳禁)。プリンター本体の内部を暖めるヒーター付きモデルや、エンクロージャー内を温める工夫も有効です。
原因4:洗浄時のIPA濃度・時間が不適切
洗浄用IPAが何度も使い回されてレジン濃度が上がっていると、洗浄効果が落ちて表面に未硬化レジンが残ります。また、洗浄時間が長すぎると表面成分が溶け出して軟化し、結果的にベタつきとして感じられることもあります。
対策:IPAは95%以上の高濃度品を使用し、二段階洗浄(汚れIPAで粗洗い→清浄IPAで仕上げ)が推奨されます。洗浄時間は合計2〜5分程度が目安で、それ以上の長時間浸漬は避けます。洗浄後は送風や圧縮エアで完全に乾燥させてから二次硬化に入ります。IPAが残ったまま硬化すると表面が曇ることもあるため注意してください。
予防するには
- 新しいレジンを使う前に必ず露光テスト(Validation Matrix等)を実施する
- 深色レジンはクリア系より露光時間・二次硬化時間を長めに設定する
- 二次硬化は回転台で全方位に光を当てる(片面だけでは不十分)
- 造形・硬化環境の温度を25〜30℃に保つ
- 洗浄後の乾燥も重要。IPAが残ったまま硬化するとベタつきが残りやすい
まとめ
造形物が青く・ベタつく症状は、層露光と二次硬化の両方を見直せば高確率で解消します。特に深色レジンは「クリア系と同じ設定で大丈夫」という思い込みが失敗の起点になりやすいため、レジンを変えたら露光テストを必ず実施してください。硬化環境の温度管理も見落とされがちな要素です。
