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光造形で造形物が途中で崩れる原因

造形物が途中で崩れるとは

印刷は進んでいるのに途中で造形物が落ちる、プラットフォームにサポートの根本だけが残っている(いわゆる「クラゲ状態」)、モデルが中折れする――こうした「中途失敗」の総称です。光造形の失敗の中でも頻度が高く、原因が複数にまたがるため切り分けが重要です。

結論:サポート・露光・はく離力の3要素を順に点検する

途中崩壊のほとんどはサポート設計(密度・接点サイズ・配置)/露光時間/はく離時の力の三要素に起因します。まずはサポート強度の不足、次に底面やサポートの露光不足、最後にはく離力の過大を疑う順番で対処するとムダが少なくなります。

原因1:サポート密度・接点サイズが不足している

オーバーハング面の広さやモデル重量に対してサポートの数や太さが足りないと、印刷途中でサポートがちぎれて造形物が落ちます。特にタフ・ABSライク・エンジニアリングレジンは粘度・粘着性が高く、より強いサポートが必要です。

  • 対策:Lychee/ChiTuBoxで「ミディアム」ではなく「ヘビー」プリセットを試す、またはカスタムで接点径(Tip)を0.05〜0.1mm増やす
  • アイランド(宙に浮いた最下点)には必ずサポートを入れる。スライサーの「アイランド検出」を有効にする
  • 重量のあるモデル(体積が大きい・中実)はサポート本数を増やし、Z方向に高くなるほど上層のサポートも重量を受けられるよう設計

原因2:底面露光(Bottom Exposure)が不足している

底面層(最初の数層)の露光が短いと、プラットフォームへの定着が甘くなり、印刷が進むにつれて全体が剥がれてタンクに落下します。

  • 対策:メーカー推奨値を基準に、底面露光を30〜60秒の範囲で調整。薄いサポート根本もしっかり固定するためやや長めが安全
  • Bottom Layers(底面層数)は5〜8層を目安に設定。標準露光時間との段差を付ける
  • プラットフォームにレジンの残渣や硬化片が付着していると定着不良を起こす。印刷前にアルコールで脱脂

原因3:通常層の露光時間が不適正

露光不足だとサポートと造形物の接点が十分に硬化せず、印刷中にサポートがしなって千切れます。逆に露光過多でも、周辺の硬化レジン片がタンクに落ちて造形ラインを邪魔し、層欠落→崩壊につながります。

  • 対策:XPFinder等の露光キャリブレーションモデルを印刷し、適正値を0.2〜0.5秒刻みで絞る
  • 新ロットのレジン・気温変化時には必ず露光を再確認
  • 露光を上げるのは最終手段。まずはサポート強化で対応し、それでも駄目なら露光調整

原因4:はく離力が過大(大きな断面・高粘度レジンで発生しやすい)

層断面積が大きい、または高粘度レジンを使っている場合、はく離時に強い力がかかり、サポートごと造形物を引き剥がしてしまいます。中空化していないモデルほど顕著です。

  • 対策:モデルを20〜45度傾けると断面積が分散し、はく離力が下がる
  • リフトスピードを1〜2段階遅く、Rest Time(待機時間)を数秒追加してレジンの流動を助ける
  • 中空化+排気穴でレジンと空気の流れを確保(カップ現象の項も参照)
  • ACFフィルム/柔軟フィルム対応機ははく離力自体が低い。機種選定段階でも重要なポイント

原因5:タンク内の硬化片混入・FEPフィルム劣化

前回の失敗印刷の残骸がタンク底に沈んでいると、UV光を遮って層欠落を起こし、造形物が宙に浮いた状態になって崩壊します。FEPフィルムが白濁・傷の状態でも同様の症状が出ます。

  • 対策:失敗印刷の後は必ずレジンを漉してボトルに戻し、タンク底を清掃
  • FEPフィルムの状態を毎回点検。白濁・傷・たるみがあれば交換
  • スキマー(樹脂製ヘラ)でタンク底を一周してから次のジョブに入るのを習慣化

原因6:Z軸の脱調・リードスクリューの詰まり

まれですが、Z軸のモーター脱調やリードスクリューの汚れで上昇が止まると、同じ層で何度も造形してしまい、最終的に重量超過で崩壊します。

  • 対策:リードスクリューの清掃と給脂を月1回のルーティン化
  • Z軸上昇時に「カチ、カチ」と脱調音がする場合はモーター電流設定の確認(機種による)

予防

  • 新規モデルはサポートプレビューで接点サイズ・密度・アイランドを必ず目視確認
  • 初めて使うレジンは、必ず小型テストプリントで露光・サポート設定を詰めてから本番に入る
  • タフ系/ABSライク/エンジニアリングレジンは「ヘビーサポート+やや長めの露光+低速リフト」の基本セットで始める
  • 造形姿勢は重心が低く、オーバーハングが少ない向きを優先
  • 長時間プリント前にタンク底のクリーニング・フィルム点検・プラットフォーム脱脂を習慣化すると途中失敗が激減する

まとめ

途中崩壊は「サポート→露光→はく離力→タンク状態」の順に疑うのが鉄則です。多くのケースはサポート強化だけで解決しますが、解決しない場合は露光・はく離・タンクと原因を広げていきます。失敗印刷の後始末(レジン漉し・タンク清掃)を丁寧に行うだけでも、連鎖的な失敗をかなり防げます。まずは「ヘビーサポート+傾斜配置+低速リフト」を標準設定にしておくと、大半のモデルは安定して造形できます。