最終更新日:

アンチエイリアシングはONとOFFどっち?

アンチエイリアシング(Anti-Aliasing)はONとOFF、どちらにすべき?

ChiTuBoxやLychee Slicerの設定画面にある「アンチエイリアシング(AA)」。デフォルトでは無効になっていることも多く、ONにするべきかOFFで運用するべきか迷うポイントです。結論から言えば、光造形の用途によって使い分けが必要ですが、フィギュア・造形モデル用途なら基本はONがおすすめです。

結論:フィギュア・スケールモデル用途ならON、精密嵌合部品や寸法精度重視の用途ならOFF

アンチエイリアシングは、LCDパネルのピクセル由来の「階段状のギザギザ(エイリアシング)」をグレースケール化で滑らかに見せる技術です。表面品質を向上させる効果がある一方で、エッジの微細ディテールがぼやけやすく、寸法精度にわずかな影響が出る場合もあります。したがって、造形物の見栄えを優先するならON、エッジの鋭さや寸法精度を優先するならOFFという判断が基本線になります。

判断基準:用途別のON/OFF指針

用途 推奨設定 理由
フィギュア・ミニチュア ON(4〜8x) 曲面の滑らかさが塗装後の仕上がりに直結
スケールモデル・ガレージキット ON(4〜8x) 曲面部の表面品質を優先
機能部品・治具 OFFまたは弱め(2x) 寸法精度・エッジの鋭さを優先
精密嵌合部品・寸法検証用モデル OFF 微細な寸法差が嵌合・適合に影響
ジュエリー原型 ON(弱め2〜4x) 曲面の滑らかさと細部のバランス

ChiTuBox・Lycheeの関連設定パラメータ

ChiTuBoxの場合、アンチエイリアシングは「Gray Scale Level(グレースケール)」と「Image Blur(イメージブラー)」の2つのパラメータで制御されます。公式ドキュメントによれば、Gray Scale LevelはLCDプリンター向けのスライス画像のエッジをグレースケールで羽毛化(feathering)することで階段状のギザギザを軽減する機能です。Image Blurは2〜8のレンジで、値が高いほどエッジがソフトになります。ただし高い値はスライス時間・ファイルサイズを増大させ、過度に高いと表面に異常が出る場合があるため、4〜8の範囲で試すのが現実的です。

Lychee Slicerの場合、アンチエイリアシングには複数のモードが用意されています。「None(無効)」のほか、「Smooth Surface(滑らかな表面、常用推奨)」「Sharpen Details(ディテール強調)」「Contrast Blur(エッジにAA+軽いブラー)」などから選択できます。さらに「Grey Offset(グレースケールの開始点)」と「Level(広がりの強さ)」で細かく調整可能です。

機種別の目安

古い2K機〜4K機ではピクセルが比較的大きいため、アンチエイリアシングの恩恵が目視ではっきりわかります。一方、ELEGOO Saturn 4 Ultra 16K(XY分解能14×19μm)やAnycubic Photon Mono M7 Pro(XY分解能16.8×24.8μm)のような高解像度機では、素の状態でもピクセルが髪の毛の約半分以下と非常に細かく、アンチエイリアシングの効果は旧機種ほど劇的ではありません。ただし、曲面の最終仕上がり品質を重視する場合はONが無難です。

注意点

  • 露光時間の再調整が必要:アンチエイリアシングはエッジのピクセルに中間階調を与えるため、硬化度が変化します。同じ露光時間でもエッジが細く出たり太く出たりするため、レジン校正テストで確認してください。
  • スライス時間・ファイルサイズが増える:AAレベルを上げるほどスライス計算が増え、ファイルサイズも肥大化します。印刷データ転送に時間がかかる機種では運用負荷が増える点を考慮してください。
  • 寸法公差に影響:嵌合部品やネジ穴など、±0.1mm単位の精度が必要な用途ではOFF運用が無難です。
  • 過度な設定は逆効果:ChiTuBox公式も「過度に高い値は表面に異常を生じさせる可能性がある」と明記しています。いきなり最大設定にするのではなく、4x→8xと段階的に検証するのが推奨です。

まとめ

アンチエイリアシングは「万能にON」でも「常にOFF」でもなく、用途に応じて使い分けるべき設定です。フィギュアや造形モデル用途なら4〜8倍のAAをONにして曲面の滑らかさを優先し、寸法精度が必要な機能部品・精密嵌合部品ではOFFで運用するのが基本方針になります。機種の解像度が上がるほど効果は相対的に小さくなるため、お使いのプリンターと素材に合わせた検証を一度行っておくと、以後の印刷判断が安定します。