最終更新日:2026年7月5日
Polymaker ABS・ASA 実践ガイド|反り対策と、屋内・屋外の使い分け
ABSやASAは、耐熱・剛性が要る機能部品の定番です。一方で「反って剥がれる」「大きい造形が割れる」といった難しさもあり、PLA感覚だと失敗しがち。コツは温度と“反り対策”にあります。この記事では、Polymaker の PolyLite ABS と ASA を、反りを減らす実践ポイントと、屋内・屋外の使い分けまで、正規取扱店のSK本舗が整理します。
結論を先に
- 屋内の耐熱・機能部品 → PolyLite ABS
- 耐熱・剛性・低臭。接着・研磨・塗装もしやすい定番。大量に使うなら3kgが経済的。
- 屋外・日光・雨に晒す → ASA
- ABSの強度に耐候・耐UVを足した屋外向け。看板・外装・車載に。
- 共通の前提 → エンクロージャ(密閉チャンバー)付き機種
- どちらも反りやすく、安定して刷るにはエンクロージャが前提。オープンフレーム機ならPETGやPolyMax PLAが現実的です。
見た目で選ぶNeon(蛍光)・Galaxy(ラメ調)仕上げもあります。価格・在庫は変動するため最新は各商品ページで。
この記事でわかること
- ABSとASAの違い(耐熱・耐候・用途)と使い分け
- 反り・剥がれ・失敗を減らす実践ポイント
- カラー展開(ABS・ASA・Neon・Galaxy)と印刷設定
ABSとASAの違い
PolyLite ABSは耐熱・耐衝撃に優れた汎用ABS。Polymakerは特殊なバルク重合により揮発成分を抑え、従来のABSより臭いが穏やかなのが特徴です。接着・研磨・塗装などの後加工もしやすく、機構部品や筐体に向きます。ASAは、そのABSの強度・耐熱性に優れた耐候性・耐UV性を加えた素材。日光や雨に晒される屋外用途でも色あせ・劣化しにくく、「ABSの屋外対応版」と考えると分かりやすいです。
| 観点 | PolyLite ABS | ASA |
|---|---|---|
| 強み | 耐熱・剛性・低臭・後加工 | 耐熱+耐候・耐UV(屋外) |
| 主な用途 | 屋内の機能部品・筐体・治具 | 看板・外装・車載・アウトドア |
| ノズル/ベッド | 245〜265℃/90〜100℃ | 230〜260℃/75〜95℃ |
| エンクロージャ | 推奨(前提) | 推奨(前提) |
| 仕上げ違い | Neon(蛍光)/Galaxy(ラメ調) | Galaxy(ラメ調) |
屋内で耐熱・剛性ならABS、屋外・耐候ならASA。迷ったら「日光・雨に当たるか」で切り分けると簡単です。素材全体の選び方は Polymakerフィラメント完全ガイド にまとめています。
カラー展開
PolyLite ABS 全10色 + Neon・Galaxy 仕上げ










ASA 全10色 + Galaxy 仕上げ










個性を出すなら ABS Neon(蛍光)・ABS Galaxy(ラメ調)・ASA Galaxy も。ベース性能は各素材と同じ考え方で扱えます。
反り・失敗を減らす実践ポイント
ABS・ASAで一番の難関は「反り(warping)」です。造形物の端が反り上がってベッドから剥がれたり、層が割れたりします。原因は収縮と急な温度変化。次の順に押さえると失敗がぐっと減ります。
効く対策
- エンクロージャで庫内を保温(急冷を防ぐ=最重要)
- パーツ冷却ファンはOFF〜弱め(急冷させない)
- ベッド90〜100℃(ABS)/75〜95℃(ASA)+定着補助(ブリム/ラフト)
- ベッドの油分を拭き取り、必要ならスティックのり等で定着を上げる
- ドラフト(風)を避ける・設置場所の温度を安定させる
- 大物は反りやすいので、角を丸める・肉厚を見直す設計も有効
やりがちな失敗
- オープンフレーム機で大きな造形(→高確率で反る)
- PLA感覚で強い冷却をかける(→層割れ・反り)
- ベッド温度が低い・定着処理なし(→端から剥がれる)
- 吸湿したまま印刷(→気泡・表面荒れ。乾燥はPolyDryer等で)
それでもオープンフレーム機で耐熱パーツを作りたい場合は、手軽な HT-PLA(耐熱PLA) や、割れにくい PolyMax PLA という選択肢もあります(用途に応じて)。
印刷設定・スペック早見
| 製品 | ノズル | ベッド | 速度 | 冷却 | 容量 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| PolyLite ABS | 245〜265℃ | 90〜100℃ | 50〜200mm/s | OFF推奨 | 1kg | ¥4,100 |
| ABS 3kg大容量 | 245〜265℃ | 90〜100℃ | 50〜200mm/s | OFF推奨 | 3kg | ¥10,933 |
| ABS Neon | 245〜265℃ | 90〜100℃ | 50〜200mm/s | OFF推奨 | 1kg | ¥5,011 |
| ABS Galaxy | 245〜265℃ | 90〜100℃ | 50〜200mm/s | OFF推奨 | 1kg | ¥7,311 |
| ASA | 230〜260℃ | 75〜95℃ | 50〜200mm/s | 推奨機種に従う | 1kg | ¥5,280 |
| ASA Galaxy | 230〜260℃ | 75〜95℃ | 50〜200mm/s | 推奨機種に従う | 1kg | ¥6,333 |
出典:各商品ページの推奨設定(メーカー公式データシート由来・取得日2026年7月時点)。ABS系はエンクロージャ推奨・パーツ冷却OFFが基本。同じ素材でも機種・ノズル径で最適値は変わります。
向いている人
- エンクロージャ付き機種を持っている
- 耐熱・剛性が要る屋内の機能部品・筐体(ABS)
- 屋外・日光・雨に晒す部品(ASA)
向かないかも
- オープンフレーム機しかない(→PETG/PolyMax PLA/HT-PLA)
- 反り対策の手間を掛けたくない(→PETGが手軽)
- においや後処理を最小にしたい(→PETG)
よくある質問(FAQ)
ABS・ASAはエンクロージャがないと印刷できませんか?
反りやすいため、安定して刷るにはエンクロージャ(密閉チャンバー)付きの機種が前提になります。オープンフレーム機でも小物なら刷れる場合はありますが、大きな造形は反り・剥がれが起きやすいです。エンクロージャがない場合は、PETGやPolyMax PLA、手軽な耐熱ならHT-PLAを検討するのが現実的です。
ABSとASAはどう使い分けますか?
屋内で耐熱・剛性が要るならABS、屋外・日光・雨に晒すならASAです。ASAはABSの強度に耐候性・耐UV性を足した素材で、看板・外装・車載などに向きます。「日光・雨に当たるか」で切り分けると簡単です。
ABSの反りを減らすには?
一番効くのはエンクロージャで庫内を保温し、急冷を防ぐことです。パーツ冷却ファンはOFF〜弱め、ベッドは90〜100℃、ブリムやラフトで定着を補助します。ベッドの油分を拭き、ドラフト(風)を避けるのも有効です。大物は角を丸める・肉厚を見直す設計も効きます。
PolymakerのABSは臭いますか?
PolyLite ABSは特殊なバルク重合により揮発成分を抑え、従来のABSより臭いが穏やかとされています。とはいえABSはPLAより臭いが出やすい素材なので、換気のよい環境・エンクロージャ付き機種での使用がおすすめです。
ABS・ASAは乾燥が必要ですか?
吸湿すると気泡・表面荒れが出やすくなります。推奨乾燥はABSが70℃/6時間、ASAが70℃/7時間ほど。乾燥・保管しながら印刷できるPolyDryerを併用すると安定します。
まとめ
ABS・ASAは、エンクロージャと反り対策さえ押さえれば、耐熱・剛性の機能部品づくりで頼れる素材です。屋内の機能部品はPolyLite ABS、屋外・耐候はASA。反りは「保温(エンクロージャ)+冷却を抑える+定着補助」で大きく減らせます。オープンフレーム機ならPETGやPolyMax PLA、HT-PLAという道もあります。価格・在庫は各商品ページでご確認ください。
