
「3Dプリントの反り」を逆に活用!? 熱でパーツを変形し、自動組み立てする
3Dプリントをしたとき、造形物がビルドプレートから剥がれてしまうことや、反り(ワーピング)が起きてしまうことは、よくある悩みのひとつですよね。
でも、その「反り」を逆に利用して、熱を加えると自動で組み立てられるパーツを作れるとしたらどうでしょう?
今回紹介するのは、UCバークレーのMorphing Matter Labの研究論文をもとに、[CNC Kitchen]が実験した熱によって形が変化する3Dプリント技術です。
「熱で変形する3Dプリント」ってどういうこと?
この技術は、異なる材料の熱膨張率の違いを利用して、温度変化で自律的に変形する構造を作るというものです。
たとえば、サーモスタットに使われるバイメタルストリップ(異種金属片)のように、温度の上昇によって金属の伸縮率が異なり、カーブを描く動きが生まれるという現象もあります。
これと同じ原理を3Dプリントで再現できるのです!
研究チームが行ったこと
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PLAとTPUを組み合わせた構造をプリント
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特定の層に応力(ストレス)を溜めることで、温度変化時に狙った方向へ曲がる
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ヒルベルト曲線(Hilbert Curve)状のインフィルでストレスの調整が可能
つまり、あえて反りを発生させることで、熱を加えると自動で形が変わる仕組みを作れるんです!
この技術でどんなものが作れる?
実験ではこんなものをプリント!
・平らなプレート → 熱湯につけると自動で立体形状に変形!
・ヒンジ部分が動くように設定し、折りたためるオブジェクト!
・折り紙のように、フラットな状態から複雑な3D形状に変化!
3Dプリンターでフラットな状態で出力し、最終的にお湯につけると自動で折りたたまれて立体形状になるという、まさにSFのような技術です!

なぜこの技術が面白いのか?
ワーピングを逆に活かす!?
通常、3Dプリントでは「いかに反りを防ぐか」が重要視されますが、この技術では、逆にワーピングを利用してパーツを動かすことに成功!
インフィルパターンを工夫して変形をコントロール
研究では、インフィル(内部充填)のパターンによって変形の仕方を調整できることが分かりました。
ヒルベルト曲線(Hilbert Curve) という特殊なパターンを使うことで、「曲げたくない部分は平らに保ちつつ、他の部分を変形させる」ことが可能になります。
熱可塑性素材の特性を活かしてリセット&再利用
この技術で使われる材料は、熱可塑性(Thermoplastic)と呼ばれるもので、熱を加えると一度変形した形を元に戻したり、新しい形に作り変えたりすることができます!
たとえば、一度変形した後でも、再びお湯につけると形を修正できるので、パーツの再利用や調整がしやすいというメリットもあります。
応用できるアイデア
この技術が発展すれば、いろいろな場面で活用できそうです!
自動組み立てが必要なパーツ設計
→ フラットな状態で運搬し、必要なときに熱で変形させて組み立てる💡
芸術・デザイン分野での活用
→ 温度によって変化するオブジェやインタラクティブアートに応用
ロボティクス・ソフトマテリアル分野
→ 温度変化で形状が変わるロボット部品や医療用デバイスへの応用
3Dプリントによるサーモモーフィズム
この技術は「サーモモーフィズム(Thermorph)」と呼ばれる研究の一環で、
3Dプリントで温度応答性を持たせるためのデザイン手法が論文内で詳しく解説されています。
主なポイント
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異種材料(PLA & TPUなど)の積層構造で温度応答性を付加
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ヒルベルト曲線インフィルを使い、熱変形を制御する新しい手法
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プリント速度や層の厚みを調整することで、変形の度合いをデザイン可能
さらに詳しい技術解説は、研究チームの公式ページに掲載されています。
Thermorph - Morphing Matter Lab
この技術が発展すれば、「平面プリント→加熱→立体構造へ変形」という新しい製造プロセスが生まれるかもしれません!
未来の3Dプリント技術として、ぜひ注目していきたいです。
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