Anycubicが、北米最大級の付加製造(アディティブ・マニュファクチャリング)の展示会「RAPID+TCT 2026」(米ボストン、出展フロアは2026年4月14〜16日)で次世代の3Dプリンター群を発表しました。柱になっているのは、18.3L超の大判レジン機「Photon P1 Max」と、エントリー帯の多色FDM「Kobra X」、そして350mm角・最大16色の大型FDM「Kobra S1 Max Combo」です。
関係するのは、フィギュアや大型造形を狙う光造形ユーザーと、多色プリントを試したいFDMユーザーの両方ですね。「レジンは大きく」「FDMは多色で安く」という二方向に同時に踏み込んだ発表で、ここ数年のAnycubicの製品づくりの流れがよく見える内容になっています。
なぜ重要かというと、これまで別々に進んできた「大判レジン」と「多色FDM」という二つの潮流が、一つのメーカーの発表会で同時に前へ出たからなんです。なお、今回ご紹介する各機種の国内での発売時期・価格は、現時点では確認できていません。海外発表の情報をもとに、何が起きているのかを落ち着いて整理していきます。
・RAPID+TCT 2026で発表されたAnycubicの注目3機種の中身(公表スペックベース)
・「大判レジン」と「多色FDM」が同時に進む業界の流れ
・お手持ちの機種・予算別に、今回の新製品がどう関わってくるか
注:本記事のスペックはメーカー公表値(公式プレスリリース・公式製品ページ)に基づきます。日付は、RAPID+TCT 2026の出展フロアが2026年4月14〜16日(会期全体は4月13〜16日とされています)、本記事のSK本舗公開日は2026年6月13日です。発表年と公開日を混同しないようご注意ください。
RAPID+TCTで発表された3機種の中身
RAPID+TCT 2026は北米の付加製造の展示会で、2026年はボストンでの開催とされています。Anycubicはこの場で、レジンとFDMの両方にまたがる新製品群を公開しました。発表の中心になったのが、以下の3機種です。
まず光造形の主役が Photon P1 Max です。18.3L超という大きなビルドボリュームを持ち、14インチ12K液晶(11520×8640ピクセル、ピクセルサイズ24.8×24.8μm) を搭載しているとされています。さらに 1.9Lの温度管理レジンバット を備え、最大造形高さは 300mm と公表されています。接続はWi-Fiと有線LAN(Ethernet)の両対応です。大型のジオラマやフィギュア、複数同時造形を狙う用途に向いた一台と読めます。
一方のFDM側は、エントリー帯の Kobra X と、大型の Kobra S1 Max Combo の二段構えです。Kobra Xは260×260×260mmのビルドボリュームに、第2世代のカラーエンジンで組み込み4色プリントを標準装備し、ACE 2 Proの増設で最大19色まで拡張可能とされています。メーカーの社内テストでは、フィラメントの通路を約30mmまで短縮したことで、色替えの切り替え時間とパージ(材料の捨て出し)を30〜50%削減できると公表されており、多色プリントの弱点だった「ムダと時間」に手を入れた設計です。なお、Kobra XはFormnext 2025(独フランクフルト)で初披露された機種で、今回のRAPID+TCTで改めて前面に押し出された形になります。
公表スペック早見表
数値はすべてメーカー公表値です。国内向けの最終仕様や価格は別途確認が必要になります。
| 機種 | 方式 | 主な公表スペック | 海外参考価格 |
|---|---|---|---|
| Photon P1 Max | 光造形(レジン) | 18.3L超/14インチ12K(11520×8640px・24.8μm)/1.9L温調バット/最大造形高さ300mm/Wi-Fi+有線LAN | 未公開(公式価格未発表) |
| Kobra X | FDM(多色) | 260×260×260mm/組み込み4色・最大19色拡張/色替え・パージ30〜50%削減 | 早期価格$279(デポジット適用で$259)/早期キャンペーン後は$299〜 ※いずれもUSD・海外参考値(税抜・税の扱いは国内と異なります) |
| Kobra S1 Max Combo | FDM(多色・大型) | 350×350×350mm/最大16色(ACE 2 Pro×4)/65℃チャンバー・350℃ホットエンド・120℃ベッド/PC・PA・ABS・カーボン強化材対応 | 未公開(公式価格未発表) |
出典:Anycubic公式プレスリリース(PR Newswire, 2026年4月)/Anycubic公式製品ページ/Kobra X価格は The Gadgeteer(2026年1月7日)・3DPrinting.com(2025年12月)。価格は海外(USD)参考値で、税の扱い・国内価格とは別です。
なぜ業界全体に影響するのか
この発表が業界全体に効いてくるのは、二つの流れが同じタイミングで前進したからなんです。一つは、これまで業務寄り・高価格だった大判レジンが、デスクトップ機の延長線上に降りてきている流れ。もう一つは、Bambu Labが切り開いた多色FDMが、エントリー価格帯にまで広がってきている流れです。
Photon P1 Maxの18.3L超という容量は、フィギュアの量産や大型一体造形を、家庭やスモールスタジオの机の上で回せる範囲に近づけてくる数字です。温度管理レジンバットを備えている点も、季節や室温でレジンの硬化が安定しにくいという光造形の悩みに踏み込んだ設計と読めます。こうした「大判+安定化」の方向は、他社の大判機にも判断を迫る材料になり得ます。
FDM側のKobra Xが示したのは、多色プリントの“コスト”を下げにいくという発想です。多色FDMは色を切り替えるたびに材料を捨て出すため、フィラメントと時間のムダが課題でした。そのパージを30〜50%削減すると公表してきたのは、「多色は割高」という印象を崩しにいく一手と読めます。組み込み4色を早期価格$279(海外参考値)という帯に載せてきた点も含め、多色FDMが入門層へ本格的に広がる兆しと言えそうです。
用途で見る、どの一台が向くか
発表されたばかりで国内の発売時期や価格は未確認ですが、「自分はどれを気にしておけばいいか」は、作りたいものから逆算するとすっきり整理できます。今回の3機種は、それぞれ向いている用途がきれいに分かれているからです。
まず、フィギュアや大型のジオラマをできるだけ大きく、一体で、きれいに出したいという方は、光造形の Photon P1 Max が筆頭候補になります。18.3L超というビルドボリュームは、これまでなら分割して出していた造形を一発で回せる範囲に近づける数字で、Mars系・Saturn系といった小〜中型のレジン機からの「もっと大きく出したい」という不満に対する分かりやすい上位機です。温度管理レジンバットを備えている点も、室温でレジンの硬化が安定しにくいという光造形の悩みに踏み込んでおり、「大きいだけでなく安定して出せるか」を重視する方ほど効いてくる構成と読めます。
次に、単色のエントリーFDMを使っていてそろそろ多色を試してみたいという入門層には、Kobra X がはまります。組み込み4色を標準で持ち、ACE 2 Proの増設で最大19色まで広げられる構成は、いきなり高価な多色機に踏み込まなくても色付き造形を始められる入り口です。色替えのパージ(材料の捨て出し)を30〜50%削減すると公表してきた点も、「多色は便利だけれどフィラメントを食う」という、これまでユーザーが口にしてきた弱点への回答になっています。
そして、業務で大型かつ機能部品をまとめて作りたいという方には、Kobra S1 Max Combo が向きます。350mm角という大きさに加え、PC・PA・ABS・カーボン強化材といった実用素材に対応し、最大16色まで持てる構成は、大型治具や機能部品を色分けして作りたい現場の要件に応えるものです。フィギュア系のレジン用途とは狙いがはっきり別の一台、と捉えておくと迷いません。
とはいえ、今回ご紹介した新製品はいずれも海外発表の段階で、国内の発売時期・価格は確定していません。「今すぐ多色FDMで始めたい」という場合は、待たずに現行機で動き出せます。SK本舗はAnycubicの正規取扱店で、現在は組み込み多色に対応したAnycubic Kobra S1 Comboを販売しており、多色プリントの入り口としてはこれだけでも十分にスタートできます。Anycubicの取扱ラインはAnycubicブランドページからご覧いただけます。今回の新製品の国内展開は、メーカーへ追って確認し、確定しだいお伝えする見込みです。なお在庫や入荷状況、現行機種の最新価格は変動しますので、最新情報はSK本舗の商品ページでご確認ください。
「大判レジンと多色FDM、自分の用途ならどちらだろう」と迷ったときは、作りたいもの・予算・サポート体制を整理のうえ、LINEでお気軽にご相談ください。現行ラインからの選び方も含めて、SK本舗カスタマーサポートがご一緒に整理します。あわせて、出力するデータ探しでお困りのときは、日本語で使える3Dデータ配布サイト「3D Data Japan(3d-data.skhonpo.com)」もご活用ください。
参考情報(出典)
本記事は、以下の一次・関連ソースをもとに構成しました。スペック・価格はメーカー公表値であり、国内の発売時期・価格は本記事公開時点(2026年6月13日)では確認できていません。
- Anycubic公式プレスリリース「Anycubic Showcases Next-Generation 3D Printing Lineup at RAPID+TCT 2026」(PR Newswire, 2026年4月)
prnewswire.com - Anycubic公式:Photon P1 Max グローバルローンチページ
store.anycubic.com - Anycubic公式:Kobra X 製品ページ
store.anycubic.com - Anycubic公式:Kobra S1 Max Combo 製品ページ
store.anycubic.com - RAPID+TCT 2026開催情報(SME・主催者発表)
sme.org - Kobra X 価格・概要:The Gadgeteer(2026年1月7日)
the-gadgeteer.com - Kobra X 概要:3DPrinting.com(2025年12月)
3dprinting.com - Kobra X Formnext 2025初披露・デポジット開始(PR Newswire, 2025年12月26日)
prnewswire.com
※価格はすべて海外(USD)参考値です。日本国内の販売価格・税込/税抜の扱いは、確定後にSK本舗商品ページでご案内する見込みです。スペックは予告なく変更される場合があります。
