FDM3Dプリンターでありがちな10の失敗について原因と対策を紹介
いまや一般に浸透したFDM(熱溶解積層方式)3Dプリンター。手軽に立体物を作成できる素晴らしい技術、ではあるものの、初めて使う人や慣れたユーザーでも、時折さまざまな失敗に遭遇することがあると思います。
そこでここでは、FDM3Dプリンターで起こりがちな失敗10例と、その原因、それぞれの対策について詳しく解説してみたいと思います。この記事を3Dプリントにおける失敗を防ぎ、より良いプリント結果を得るためのヒントとして用いていただけたなら幸いです。
1. ノズルの詰まり
原因:ノズルが詰まるのは、フィラメントが適切に押し出されず、ノズル内で固まってしまうためです。これには、温度設定の不適切やフィラメントの劣化、汚れが関係します。
対策
- 適切な温度設定:使用するフィラメントの推奨温度で設定しましょう。温度が低すぎるとフィラメントが溶けにくく、詰まりの原因になります。
- 高品質のフィラメント使用:品質の悪いフィラメントは異物が混入していることがあり、詰まりの原因になります。信頼性のあるメーカーのフィラメントを選びましょう。
- 定期的なメンテナンス:ノズルを定期的にクリーニングし、詰まりを防ぎます。クリーニング用の針やノズルクリーナーを使うと効果的です。
2. ベッドにフィラメントが定着しない
原因:造形ベッドにフィラメントが定着しない場合は、ベッドレベリングの不良、ベッドの表面が汚れている、またはベッドの温度が不適切であることが原因です。
対策
- ベッドレベリング:プリント前にベッドの高さを正確に調整します。ノズルとベッドの間の隙間が適切か確認します(紙一枚程度が理想です)。
- 表面の清掃:造形ベッドが汚れていると、フィラメントが定着しにくくなります。アルコールで拭くなどして、ベッドを清潔に保ちましょう。
- 加熱ベッドの使用:加熱ベッドを適切に温めると、フィラメントの初層がしっかりと定着します。特にABSフィラメントではベッド加熱が必須です。
3. エレファントフット(底部の膨らみ)
原因:初層が過度に押しつけられ、底部が広がる現象です。特に加熱ベッドの温度が高すぎることが原因です。
対策
- ベッド温度の調整:加熱ベッドの温度を少し下げることで、底部の膨らみを防ぐことができます。
- 初層の押し出し量を調整:初層の押し出し率を少し下げることで、余分な圧力がかからないようにします。
4. 糸引き(ストリングイング)
原因:移動中にノズルからフィラメントが少しずつ漏れ、細い糸状のフィラメントが残る現象です。リトラクト設定が不適切な場合によく発生します。
対策
- リトラクト設定を最適化:リトラクト距離と速度を調整します。通常、リトラクトを多く設定すると糸引きを抑えられます。
- ノズル温度の調整:温度が高すぎるとフィラメントが溶けやすくなり、糸引きが起こりやすいです。適切な温度に設定することで解決できます。
5. レイヤーのずれ(レイヤーシフト)
原因:プリント中にレイヤーがずれてしまうことがあります。これはベルトの緩みやステッパーモーターの異常、プリント中の衝撃などが原因です。
対策
- ベルトの張り具合をチェック:緩んでいるとレイヤーがずれるので、ベルトを適切に張ることが必要です。
- 速度の調整:プリント速度を少し遅くすることで、ステッパーモーターへの負荷を軽減し、ずれを防げます。
6. ウォーバリング(反り返り)
原因:特にABSフィラメントなどで、プリントの底部が反り返ってしまう現象です。これは冷却による収縮が原因です。
対策
- 加熱ベッドの使用:適切に加熱することでフィラメントが冷えて収縮するのを防ぎ、ベッドにしっかりと付着します。
- 造形エイド(ラフトやブリム)の使用:プリント物の接着面を広げるためにラフトやブリムを使うと、反り返りを抑える効果があります。
7. 層間剥離(レイヤー間の接着不良)
原因:レイヤー間の接着がうまくいかない場合、プリント物が弱くなり、層同士が剥がれてしまいます。原因としては温度が低すぎることや冷却ファンが強すぎることが挙げられます。
対策
- 温度を上げる:ノズルの温度を適切に高めに設定することで、レイヤーの接着が良くなります。
- 冷却ファンの調整:必要に応じて冷却ファンを一時的に弱め、接着を良くすることができます。
8. フィラメントの過剰押し出し(オーバーエクストルージョン)
原因:過剰にフィラメントが押し出され、モデル表面がボコボコしたりバリができる現象です。押し出し設定の不適切やエクストルーダーの誤調整が原因です。
対策
- 押し出し率の調整:フロー率を調整し、必要以上にフィラメントが出ないように設定します。少しずつ減らして様子を見ましょう。
- エクストルーダーのキャリブレーション:ステップ数を適切にキャリブレーションすることで、フィラメントの押し出しを正確にします。
9. フィラメントの不足(アンダーエクストルージョン)
原因:フィラメントが十分に押し出されないことで、プリントが不完全になったり、強度が足りなくなる現象です。ノズルの詰まりや、エクストルーダーのスリップが原因となります。
対策
- フィラメントの供給状況の確認:フィラメントがスムーズに供給されているか、ノズルに詰まりがないか確認します。
- 温度設定を見直す:温度が低すぎるとフィラメントがうまく押し出されません。適切な温度に調整しましょう。
10. モデルの潰れ(オーバーヒーティング)
原因:特に小さなパーツや細かい部分で、冷却が不十分でフィラメントが熱で溶け続け、形が崩れてしまう現象です。
対策
- 冷却ファンの効果的な使用:冷却ファンを適切に使用し、特に小さな部分をプリントするときは十分に冷却します。
- プリント速度を遅くする:プリント速度を落とし、一層ごとの冷却時間を確保することで、フィラメントの過熱を防ぎます。
まとめ
FDM3Dプリンターを使った3Dプリントには、さまざまな失敗が伴いますが、その原因と対策をしっかりと理解しておくことで、より良いプリント結果を得ることができます。今回紹介した10の失敗例と対策を参考に快適な3Dプリントライフを楽しんでください。
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