光造形(LCD/MSLA方式)3Dプリンターは、高精細な造形が可能な一方で、造形後の「後処理」が仕上がりを大きく左右します。洗浄が不十分だとベタつきが残り、二次硬化が不適切だと割れや黄変の原因に。逆に、正しい後処理を行えば、市販品に匹敵するクオリティの造形物を手にすることができます。
この記事では、3Dプリント専門通販サイトSK本舗が、光造形プリンターの後処理を7つのステップに分けて徹底解説します。各ステップの具体的な手順、推奨時間、使用する道具、よくある失敗と対策まで網羅した完全ガイドです。
- 後処理の全体フローと各ステップの所要時間
- 洗浄液の選び方(IPA・水・専用クリーナーの比較)
- レジン種類別の二次硬化 最適時間表
- サポート材をキレイに除去するテクニック
- 表面仕上げの番手ガイド(粗削り→鏡面仕上げ)
- 安全対策とレジン廃液の正しい処理方法
- おすすめの洗浄機・二次硬化機の比較
後処理の全体フロー ― 7ステップ概要
| ①取り外し | → | ②洗浄 | → | ③乾燥 | → | ④二次硬化 | → | ⑤サポート除去 | → | ⑥表面仕上げ | → | ⑦塗装 |
| ステップ | 作業内容 | 所要時間 | 必要な道具 |
|---|---|---|---|
| ① 取り外し | ビルドプレートから造形物を剥がす | 1〜3分 | スパチュラ、ニトリル手袋 |
| ② 洗浄 | 未硬化レジンを除去 | 3〜10分 | 洗浄機 or 洗浄バット + IPA/水 |
| ③ 乾燥 | 洗浄液を完全に飛ばす | 15〜60分 | エアダスター、キッチンペーパー |
| ④ 二次硬化 | UVライトで完全硬化 | 3〜15分 | 二次硬化機 or UVライト |
| ⑤ サポート除去 | サポート材を切り取る | 5〜30分 | ニッパー、デザインナイフ |
| ⑥ 表面仕上げ | 研磨・パテ埋め | 10〜60分 | サンドペーパー各番手、パテ |
| ⑦ 塗装(任意) | プライマー→塗装→トップコート | 数時間〜 | プライマー、塗料、エアブラシ等 |
サポート材を除去するタイミングは「洗浄後・二次硬化前」と「二次硬化後」の2つの流派があります。
洗浄後(硬化前):レジンが柔らかくカットしやすい。跡が残りにくい。ただし折れやすい。
二次硬化後:造形物が硬く安定しているため破損しにくい。ただしサポート跡が硬く残りやすい。
フィギュアなど仕上がり重視→硬化前、機能部品など強度重視→硬化後がおすすめです。
STEP 1:ビルドプレートからの取り外し
造形が完了したら、まずニトリル手袋を着用してからビルドプレートを取り外します。未硬化レジンが肌に触れるとアレルギーを引き起こす可能性があるため、素手での作業は厳禁です。
取り外しの手順
- プリンターからビルドプレートを取り外す(ネジ式 or マグネット式)
- プレートを傾けて余分なレジンをバットに戻す(10〜20秒)
- フレキシブルプレートの場合 → プレートを軽くしならせるだけで剥がれる
- 固定プレートの場合 → 金属スパチュラを造形物の端に差し込み、横方向にスライドさせる
・スパチュラは横方向に押すのがポイント。上に引っ張ると造形物が割れやすい
・大型モデルは無理に一気に剥がさず、端から少しずつ
・フレキシブル(磁気式)ビルドプレートがあると取り外しが劇的に楽になる
・薄い造形物は特に注意。スパチュラの角度を浅くして慎重に
STEP 2:洗浄 ― 未硬化レジンを徹底除去
取り外した造形物には未硬化の液体レジンが付着しています。これをしっかり除去しないと、ベタつき・白化・寸法精度の低下の原因になります。
洗浄液の比較
| 洗浄液 | 対応レジン | コスト | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| IPA(イソプロピルアルコール) | 通常レジン全般 | 中 | 最も一般的、洗浄力が高い | 引火性あり、臭いが強い、換気必須 |
| 水・ぬるま湯 | 水洗いレジン専用 | 低 | 安全・安価・臭いなし | 通常レジンには使えない、廃水にレジンが溶出 |
| エタノール | 通常レジン | 高 | IPAより臭いが軽い | IPAより若干洗浄力が劣る、コスト高 |
| 専用クリーナー(メーカー純正) | 通常レジン | 高 | 臭い少ない、引火点が高い | コストが高い、入手性 |
SK水洗いレジンやSK10K水洗いレジンを使えば、IPAなしで水道水だけで洗浄が可能です。臭いも少なく、初心者の方や換気が難しい環境でも安心して使えます。SK本舗の水洗いレジンは洗浄性と造形品質を両立した人気シリーズです。
洗浄の手順
- 1次洗浄(粗洗い):洗浄機またはバットに造形物を入れ、3〜5分間洗浄。大きなレジンの塊を落とす
- 2次洗浄(仕上げ洗い):新しい洗浄液で2〜3分間追加洗浄。細部の未硬化レジンを除去
- ブラシ洗浄:穴やディテール部分は柔らかい歯ブラシで軽くこすって除去
- 中空モデルの場合:水抜き穴からシリンジで洗浄液を注入し、内部を洗浄
IPA洗浄は長くても合計10分以内に収めてください。長時間IPAに浸けると、レジンが白化(白く曇る)したり、細部が溶けたりする原因になります。水洗いレジンの場合も同様に、長時間の水浸けは避けましょう。
STEP 3:乾燥 ― 見落としがちな重要工程
洗浄後の乾燥は軽視されがちですが、乾燥不足のまま二次硬化すると白化や曇りの原因になります。
| 乾燥方法 | 所要時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自然乾燥(室内放置) | 30〜60分 | 最も簡単だが時間がかかる。直射日光は避ける |
| エアダスター/エアブロー | 5〜10分 | 隙間や穴の中の液体も飛ばせる。おすすめ |
| ドライヤー(冷風) | 5〜10分 | 冷風のみ使用。熱風は変形の原因に |
| 食品乾燥機 | 10〜15分 | 低温(40℃以下)で均一に乾燥できる |
STEP 4:二次硬化(ポストキュア)― 強度と安定性の決め手
洗浄・乾燥後の造形物はまだ完全に硬化していません。UVライト(波長405nm)を照射する二次硬化により、レジンの架橋反応を完了させ、最終的な強度・硬度・耐久性を確保します。
レジン種類別 推奨二次硬化時間
| レジン種類 | 推奨時間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常レジン(グレー・ホワイト等) | 5〜10分 | 透明レジンは黄変しやすいため短めに |
| 水洗いレジン | 5〜8分 | 通常レジンより若干短め推奨 |
| ABS-Likeレジン(タフレジン) | 8〜15分 | 硬化不足だと靭性が発揮されない |
| フレキシブルレジン | 3〜5分 | 過硬化すると柔軟性が失われる |
| キャスタブルレジン(鋳造用) | 10〜15分 | 完全硬化が必要。焼成前に十分硬化させる |
| 植物由来レジン | 5〜10分 | 通常レジンに準じる |
- UVは全面に均一に当てる。ターンテーブル付き機器が理想
- 過硬化は厳禁。時間が長すぎると脆化・黄変・反りの原因に
- 厚みがある造形物は表裏を返して2回に分けて硬化
- 透明レジンは水中硬化(水に沈めてUV照射)で黄変を抑えられる
- 冬場など低温時はレジンの反応が遅いため、若干長めに設定
STEP 5:サポート材の除去テクニック
光造形プリンターではほとんどのモデルにサポート材が必要です。この除去作業が仕上がりを大きく左右します。
サポート除去に使う道具
| 道具 | 用途 | コツ |
|---|---|---|
| 薄刃ニッパー | サポートの根元をカット | 刃を造形物側に向けず、サポート側に向ける |
| デザインナイフ | サポート跡の削り取り | 刃先を浅い角度で当て、薄く削ぐように |
| 精密やすり | 細かい跡の平滑化 | 一方向に動かす。往復すると傷が目立つ |
| ピンセット | 細いサポートの除去 | 根元をつまんでねじるように引き抜く |
サポート除去のテクニック
- 大きなサポートから順に除去。一気に全部取ろうとしない
- サポートの根元をニッパーで切る。造形物表面ギリギリでカット
- 密集エリアはぬるま湯に数分浸けるとレジンが若干柔らかくなり取りやすい
- 薄い部分・細い部分は反対側を指で支えながら慎重に作業
- サポート跡はデザインナイフ→精密やすり→サンドペーパーの順で処理
サポート材除去についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。
STEP 6:表面仕上げ ― サンドペーパー番手ガイド
サポート跡の除去後、さらに表面を美しく仕上げたい場合はサンドペーパーで研磨します。番手(グリット)を段階的に上げていくのがポイントです。
| 工程 | 番手 | 目的 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 粗削り | 120〜240番 | 大きなサポート跡・段差を除去 | 力を入れすぎるとディテールが消える |
| 中仕上げ | 400〜600番 | 表面を均一に整える | 水研ぎ(水をつけながら)推奨 |
| 仕上げ | 800〜1000番 | 塗装前の下地作り | 塗装する場合はここまでで十分 |
| 鏡面仕上げ | 1500〜2000番以上 | 透明パーツの透明度回復 | コンパウンドで仕上げるとさらに光沢が出る |
光造形の積層痕はFDMに比べてかなり微細ですが、大型モデルや斜面では目立つことがあります。400〜600番のサンドペーパーで水研ぎするか、サーフェイサー(プライマー)を吹いて埋める方法が効果的です。
積層痕の「裏技」についてはこちらの記事もご参照ください。
STEP 7:塗装(任意)― プロ品質の仕上げへ
フィギュアやコスプレ造形など、見た目にこだわりたい場合は塗装で仕上げます。
塗装の基本フロー
| 工程 | 使用材料 | ポイント |
|---|---|---|
| ① プライマー(下地) | サーフェイサー(グレー or ホワイト) | 2〜3回に分けて薄く吹く。一度に厚塗りしない |
| ② 下地確認 | ― | プライマー後に傷や穴が見つかったらパテで修正 |
| ③ 塗装 | アクリル塗料 / ラッカー塗料 | エアブラシ推奨。筆塗りの場合は薄く重ね塗り |
| ④ スミ入れ(任意) | エナメル塗料 | 溝にエナメル塗料を流し込み、はみ出しを拭き取る |
| ⑤ トップコート | つや消し / 半光沢 / 光沢クリア | 保護&質感統一。好みで選ぶ |
安全対策 ― レジン取り扱いの必須ルール
| ニトリル手袋の着用 | 未硬化レジンに素手で触れない。ラテックス手袋はレジンが透過するためニトリル製を使用 |
| 保護メガネ | 洗浄時の飛沫やUV二次硬化時の光から目を保護 |
| 換気 | レジンとIPAの蒸気は有害。作業場は必ず換気扇を回すか窓を開ける |
| 廃液処理 | 使用済みIPAやレジン廃液は日光に当てて硬化させてから可燃ゴミで廃棄。排水口に流さない |
| レジンの保管 | 遮光ボトルで保管。高温・直射日光を避ける。子供やペットの手の届かない場所に |
レジン廃液の正しい処理方法
- 使用済みIPA(レジンが溶け込んだもの)を透明な容器に移す
- 直射日光に数日間当てる → 溶け込んだレジンが硬化して沈殿
- 上澄みのIPAは再利用可能(1次洗浄用として)
- 沈殿した固形物は可燃ゴミとして廃棄
- 水洗いレジンの廃水も同様に日光で硬化処理してから廃棄
おすすめの洗浄機・二次硬化機
専用機があると後処理の品質と効率が格段に上がります。SK本舗で取り扱いのある主要モデルを比較します。
| 製品名 | タイプ | 特徴 | おすすめシーン |
|---|---|---|---|
| Elegoo Mercury Plus V3.0 | 洗浄+二次硬化一体型 | 1台2役、ターンテーブル付き、タイマー搭載 | 初心者〜中級者に最もおすすめ |
| Elegoo Mercury XS | 洗浄+二次硬化一体型 | 大型対応、大容量バケツ | 中型〜大型モデルを造形する方 |
| Anycubic Wash & Cure 3 | 洗浄+二次硬化一体型 | コンパクト設計、静音 | 省スペースで使いたい方 |
| Anycubic Wash & Cure 3 MAX | 洗浄+二次硬化一体型 | 大型対応、360°UV照射 | 大型プリンターユーザー |
| SK超音波洗浄機 6.5L | 超音波洗浄専用 | 超音波で細部まで洗浄、大容量 | 複雑な形状・中空モデルの洗浄に最適 |
| SK本舗 二次硬化機DIYキットPlus | 二次硬化専用 | 大型対応、コスパ良好、ターンテーブル付き | 大型モデルの硬化、コスト重視の方 |
| レジン洗浄セット | 手動洗浄キット | バット+ブラシ+フィルター等のセット | 洗浄機を使わず手動で洗浄したい方 |
よくあるトラブルと対策
| トラブル | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 表面がベタベタする | 洗浄不足 or 二次硬化不足 | 再洗浄→乾燥→追加の二次硬化を行う |
| 白く曇る(白化) | IPA洗浄が長すぎる / 乾燥不足で硬化 | 洗浄は合計10分以内。乾燥を十分に行ってから硬化 |
| 黄色く変色(黄変) | 二次硬化が長すぎる / 直射日光に放置 | 硬化時間を短くする。保管は遮光環境で |
| 反り・変形 | 過硬化 / 薄い部分の内部応力 | 硬化時間を短くする。薄いパーツは平らな面に置いて硬化 |
| 造形物が脆い・割れる | 硬化不足 or 過硬化 | レジンの推奨時間を確認。過硬化でも脆くなる |
| サポート跡が目立つ | サポート設定が大きすぎる | スライサーでサポート接触径を小さく(0.3〜0.5mm)設定 |
| 中空モデルの内部からレジン漏れ | 内部の未硬化レジンが排出しきれていない | 水抜き穴を2箇所以上設け、シリンジで内部洗浄を徹底 |
よくある質問(FAQ)
Q. 後処理全体でどれくらい時間がかかりますか?
シンプルな造形物なら30分〜1時間程度。フィギュアなど仕上げにこだわる場合は、研磨・塗装を含めて数時間〜半日かかることもあります。ただし、大半は乾燥の待ち時間なので、複数の造形物をローテーションで処理すると効率的です。
Q. 水洗いレジンでもIPA洗浄は必要ですか?
いいえ、SK水洗いレジンなど水洗いレジンは水道水だけで洗浄可能です。IPAは不要です。ただし、水洗い後の乾燥と二次硬化は通常レジンと同様に必要です。
Q. 二次硬化機がない場合はどうすればいいですか?
太陽光でも二次硬化は可能です。晴天の日に直射日光に30分〜1時間程度当てればOKです。ただし、紫外線量が安定しないため、過硬化や片面だけの硬化に注意が必要です。安定した品質を求めるならSK本舗 二次硬化機DIYキットPlusなどの専用機がおすすめです。
Q. IPAは何回くらい再利用できますか?
目安として5〜10回程度です。IPAが濁ってきたら日光に当てて硬化沈殿させ、上澄みを1次洗浄用として再利用できます。ただし、仕上げ洗浄にはなるべく新しいIPAを使いましょう。
Q. レジンの臭いが気になります。対策はありますか?
①水洗いレジンに切り替える(通常レジンより臭いが少ない)、②換気扇付きの環境で作業する、③活性炭フィルター付きの排気装置を設置するの3つが主な対策です。SK水洗いレジンは臭いが特に少ないと好評です。
Q. 透明レジンをクリアに仕上げるコツは?
①洗浄を短時間で完璧に行う(白化防止)、②水中二次硬化(黄変防止)、③1500番以上のサンドペーパーで水研ぎ→コンパウンド→クリアコートの順で仕上げると、高い透明度が得られます。
Q. 造形物はどれくらいの期間保存できますか?
適切に後処理された造形物は数年以上保存可能です。ただし、直射日光に長期間さらされると黄変や劣化が進むため、遮光環境で保管することをおすすめします。UVカットのクリアコートを塗布するとさらに長持ちします。
光造形3Dプリンターの後処理は手間がかかりますが、正しい手順とコツを身につければ、市販品に匹敵する高品質な造形物を作り上げることができます。この記事を参考に、ぜひ後処理マスターを目指してください。
後処理に関連する記事もご参照ください。
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