光造形3Dプリンターで各種レジンを用途別に使い分けるための基礎知識
光造形(SLA)3Dプリンターは、液体のレジンを光で硬化させることで、非常に精細で高品質なモデルを作成できる技術です。さまざまなレジンが市場に出回っており、それぞれが異なる特性を持っています。目的に応じて適切なレジンを選ぶことが、プリント成功の鍵となります。ここでは、用途に応じたレジンの選び方と使い分けのポイントについて解説します。
1. レジンの基本的な特性を理解する
まず、SLAプリンター用レジンの基本的な特性について理解しておくことが重要です。以下のポイントに注目しましょう。
- 硬度(硬さ・柔らかさ): 硬いレジンは耐久性があり、衝撃にも強いですが、柔軟性に欠けます。一方で、柔らかいレジンは衝撃を吸収しますが、形状が変わりやすい特徴があります。
- 引張強度: 引っ張りに対してどれくらいの耐性があるかを示す指標です。高引張強度のレジンは、強度が求められるパーツに適しています。
- 弾性率: どれだけ材料が曲がることができるかを示す指標です。弾性率の高いレジンは、たわみやすく、割れにくいですが、弾性率の低いレジンは剛性が高く、曲がりにくくなります。
- 耐熱性: レジンが高温に耐えられるかどうかも重要です。用途によっては、熱に弱いレジンは不適切です。
これらの特性を理解した上で、以下に具体的な用途別に適したレジンの選び方を解説します。
2. 用途別レジンの使い分け
2.1. プロトタイプモデルの作成
推奨レジン: 標準レジン(Standard Resin)
プロトタイプモデルの作成には、標準的なレジンが最適です。標準レジンは価格が比較的安く、精密さと表面仕上げに優れています。試作段階では、細かいディテールを再現できることが重要で、標準レジンはその要件を満たしています。
- メリット: 高い解像度でディテールが再現される。
- デメリット: 耐久性が低く、長期的な使用には不向き。
標準レジンの販売ページはこちら→https://skhonpo.com/collections/normal-resin
2.2. 機能的なパーツ(高強度が必要な場合)
推奨レジン: 高強度レジン(Tough Resin)またはエンジニアリングレジン
機能的なパーツや耐久性が求められる部品を作成する場合、高強度レジンが適しています。これらのレジンは、耐衝撃性や高い引張強度を持ち、ギアや構造部品など、負荷がかかる箇所に向いています。
- メリット: 高強度で耐久性に優れ、衝撃にも強い。
- デメリット: 標準レジンに比べて価格が高い。
高強度(高靱性)レジンの販売ページはこちら→https://skhonpo.com/collections/koujinsei-regin
2.3. 柔軟性が必要なパーツ
推奨レジン: フレキシブルレジン(Flexible Resin)またはエラストマーレジン
柔軟な素材が必要な場合は、フレキシブルレジンやエラストマーレジンが適しています。このタイプのレジンは、柔軟性が高く、たわみやすい特徴を持っているため、耐衝撃性や可動部分が求められる部品に最適です。
- メリット: 柔軟で衝撃吸収能力がある。
- デメリット: 表面が摩耗しやすく、力をかけると変形しやすい。
フレキシブルレジンの販売ページはこちら→https://skhonpo.com/collections/flexible
2.4. 耐熱性が必要な場合
推奨レジン: 耐熱レジン(High Temp Resin)
高温環境で使用されるパーツには、耐熱レジンが適しています。このレジンは、200°Cを超える高温にも耐えることができるため、エンジンや電子機器のパーツ、さらには鋳造プロセスにおけるテンプレート作成などに利用されます。
- メリット: 高温に耐え、変形や劣化が起こりにくい。
- デメリット: 一部のモデルでは、脆さがある。
2.5. 透明性が求められるパーツ
推奨レジン: クリアレジン(Clear Resin)
透明なパーツを作成したい場合、クリアレジンが最適です。クリアレジンは光を透過する特性を持ち、光学的なパーツやデザインモデルに適しています。また、後処理で研磨やコーティングを行うことで、より透明感を高めることも可能です。
- メリット: 光を通す透明性が高く、滑らかな表面仕上げが可能。
- デメリット: 耐久性や耐候性が低い場合がある。
高透明度レジンの販売ページはこちら→https://skhonpo.com/collections/high-transparency
2.6. 医療用途や生体適合性が必要な場合
推奨レジン: 生体適合性レジン(Biocompatible Resin)
医療分野や歯科用の3Dプリントには、生体適合性レジンが必要です。これらのレジンは、人の皮膚や口腔に直接触れる用途に使用されるため、FDA(米国食品医薬品局)などの規制に準拠した安全性が求められます。
- メリット: 医療用途や歯科用途に適しており、生体との親和性が高い。
- デメリット: 特殊な用途に限られ、価格が高い。
2.7. プリント後の処理を簡易化したい場合
プリント後のレジン洗浄などの後処理を簡易化したい場合は、水洗いレジンが最適です。これらのレジンは、アルコールなどで洗浄する必要がなく水で注ぐだけで洗浄できます。
- メリット: 後処理が簡単で洗浄剤などのコストを抑えられる。
- デメリット: 一般的に精度がやや下がり、収縮率が高い。
3. レジンの使い分けにおける注意点
3.1. 保管と管理
レジンは光や空気に弱いため、使用後は適切に保管する必要があります。未使用のレジンは、光を遮断する容器に密閉して保管し、直射日光の当たらない涼しい場所で管理することが推奨されます。
3.2. 硬化後の後処理
3Dプリントしたレジンは、プリント後にさらに紫外線(UV)で硬化させることが一般的です。このプロセスを正確に行わないと、モデルが完全に硬化せず、強度や耐久性が劣ることがあります。用途に応じた適切な硬化時間を守ることが重要です。
3.3. 安全性に配慮
レジンには化学物質が含まれているため、取り扱いには注意が必要です。手袋やマスクを着用し、換気の良い場所で作業することが推奨されます。肌に触れると刺激を引き起こすことがあるため、直接触れないように注意しましょう。
レジン使用にあたって注意すべき七カ条→https://skhonpo.com/blogs/3dprinter-practice/resin7
4. まとめ
光造形3Dプリンターでのレジン選びは、プロジェクトの目的や要件に応じて慎重に行う必要があります。プロトタイプ作成には標準レジン、高強度パーツには耐久性のあるレジン、柔軟性が求められる場合はフレキシブルレジン、医療用途には生体適合性レジンといった具合に、適切なレジンを選ぶことで、品質の高いプリントが可能になります。
さらに、レジンの保管方法や安全性にも十分注意を払い、適切に管理することが重要です。プリントの成功には正しいレジン選択とケアが欠かせません。皆さんもこの記事を参考により良い3Dプリントを楽しんでください。
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