パラメトリックモデリング 基礎マニュアル
3Dプリントを行う上では3Dモデリングが設計の自由度や効率を最大化するために非常に重要になります。その中でも「パラメトリックモデリング」は、変更の柔軟性を確保しながら設計を進めることができるため、プロジェクトの多様なニーズに対応するのに最適な手法です。
ここでは、パラメトリックモデリングとは何か、どのように3Dプリントに役立つのかを解説し、具体的な手法について詳しく見ていきたいと思います。
1. パラメトリックモデリングとは?
パラメトリックモデリングとは、設計したオブジェクトの寸法や形状をパラメータ(数値や変数)で制御する3Dモデリング手法です。これにより、設計のどの部分でも簡単に数値を変更し、モデル全体を迅速に更新することができます。特に、設計の反復や改良を行う際に役立つ方法です。
パラメトリックモデリングでは、設計に必要な寸法(長さ、幅、角度など)を数値として設定します。これらのパラメータを変更するだけで、全体のデザインが再計算され、自動的に調整されるため、一度モデリングした後でも修正やバリエーションを作るのが簡単になります。
2. パラメトリックモデリングの利点
パラメトリックモデリングは、従来のデザイン手法と比較していくつかの大きな利点があります。
・ 効率的な修正
寸法や形状に変更が生じた際、従来のモデリングでは、すべての関連部分を手作業で修正する必要がありましたが、パラメトリックモデリングでは関連するすべての部分が自動的に再計算されるため、設計の修正が非常に迅速に行えます。これにより、複数のバリエーションを簡単に試すことが可能です。
・ デザインの再利用
一度パラメトリックでモデリングしたデザインは、異なるサイズや形状の製品を再利用する際に便利です。例えば、部品の形状や寸法が異なる多くの製品が必要な場合、パラメータを調整するだけで複数のバージョンを簡単に作成できます。
・ 精度と一貫性
パラメトリックモデリングでは、数値を設定することで設計の一貫性が保たれます。精度が求められる製品や、寸法が重要なプロジェクトにおいて、パラメトリックモデリングは非常に有効です。
3. パラメトリックモデリングの使用例
ここでは、実際にパラメトリックモデリングを使った3Dモデリングの具体的な流れを説明します。
・ベーススケッチの作成
パラメトリックモデリングでは、最初に2Dのスケッチを作成し、後でこれを押し出し、3D形状に変換します。
例えば、箱のようなシンプルな形状を設計するとしましょう。最初に長方形を描き、それぞれの辺に「長さ」や「幅」といった寸法を割り当てます。この際、寸法を「パラメータ」として定義し、後で数値を変更できるようにします。
ポイント:Fusion 360やSolidWorksといったCADツールでは、寸法をパラメータとして設定することができ、後から値を変えればスケッチ全体が自動的に更新されます。
・ 押し出しと形状の生成
スケッチが完成したら、それを押し出して3D形状にします。押し出しの高さもパラメータとして設定することで、箱の高さを後から簡単に調整することができます。
例:高さを20mmと設定した後で、40mmに変更したければ、パラメーターの値を入力するだけで3Dモデルが自動的に更新されます。
4. パラメトリックモデリングでの機能追加
基本的な形状ができた後、パラメトリックモデリングの力をさらに発揮するのが「フィーチャー」の追加です。フィーチャーとは、モデルに新しい形状を追加したり、既存の形状を修正するための操作です。
・ フィレットとチャムファーの追加
エッジを丸めたり、斜めにカットすることで、デザインの滑らかさや見た目の向上が図れます。この処理もパラメトリックで行うことで、フィレットの半径などを変更した際にモデル全体が自動的に更新されます。
・ 穴あけとパターン化
たとえば、ボルトを通すための穴をあけたり、それを等間隔に複製する際にもパラメトリックモデリングが役立ちます。一つの穴を設計し、その位置や個数をパラメータとして設定することで、後から配置を簡単に変更できます。
5. パラメトリックモデリングを3Dプリント用に最適化する方法
パラメトリックモデリングを用いて設計した3Dモデルを3Dプリントするためには、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
・サポート材の考慮
モデルのオーバーハングや複雑な形状が3Dプリンターでうまくプリントできるかを確認することが重要です。設計段階でサポート材が必要な部分を意識し、パラメトリックモデリングでその部分を調整することで、サポート材の使用を最小限にすることができます。
・ クリアランスの設定
3Dプリントでは、モデルが正確に動作するために部品同士の間に十分なクリアランスが必要です。パラメトリックモデリングを活用すれば、クリアランスを変数として定義し、異なる素材やプリンターによる収縮率に対応することが可能です。
・素材特性に応じたデザイン
各素材には異なる特性があるため、パラメトリックで設定した寸法を素材に合わせて変更することで、強度や柔軟性を考慮した設計が可能です。例えば、ABSの収縮率に合わせて寸法を微調整するパラメータを設定することもできます。
パラメトリックを活用してより効率的な3Dモデリングを
パラメトリックモデリングは、3Dプリント用の設計において柔軟性と効率を提供してくれる強力なツールです。この手法を活用することで、設計の修正やバリエーションの生成が格段に楽になり、プロジェクトの多様なニーズに迅速に対応することができます。アイデアの段階からパラメトリックを活用し、プロトタイプをより効率的に作り上げましょう。
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