3Dプリントしたオブジェが歪んでる!? なぜ!?|FDMで起こりがちなオーバーヒーティング対策のまとめ
FDM 3Dプリンターを使用していく上で、「オーバーヒーティング(過熱)」は、小さなパーツやディテール部分で形が崩れる原因となります。この現象は、適切に冷却されないためにフィラメントが十分に固まらず、溶けた状態のまま次のレイヤーが重なってしまい、形が歪んでしまうことを指します。
ここでは、厄介なオーバーヒーティングの原因や、それを回避するためのコツ、またより上手に3Dプリントを行うための具体的な小技などについて解説してみたいと思います。
1. オーバーヒーティングの原因
オーバーヒーティングの主な原因は、プリント中にノズルが特定の領域で長時間作業を続けることによってフィラメントが冷却される前に新たに溶けたプラスチックが重ねられ、形が崩れてしまうことです。このような状態は、特に小さなモデルや複雑な細部が多いプリントで発生しやすく、十分に冷却される時間が不足することが原因です。
- 冷却不足:冷却ファンの速度が適切でない、あるいは冷却がうまく機能していない場合、モデルが固まる前に次のレイヤーが重なるため、過熱の状態になります。
- プリント速度が速すぎる:速度が速いと、各レイヤーの冷却に必要な時間が確保されず、十分に固まる前に次の層が積層されるため、フィラメントが形を保てなくなります。
- ノズル温度が高すぎる:ノズルの温度がフィラメントに対して適切でない場合、必要以上にフィラメントが柔らかくなり、過熱が発生しやすくなります。
2. オーバーヒーティングを回避するための対策とコツ
a. 冷却ファンの設定を見直す
オーバーヒーティングを防ぐための最も基本的な対策は、冷却ファンを適切に使用することです。FDM 3Dプリンターでは、ノズルから押し出されたフィラメントが冷えることで固まるため、冷却ファンは重要な役割を果たします。
- 適切な冷却ファンの使用:特にPLAなどのフィラメントは、プリント中の冷却が重要です。ファンの回転速度を高く設定し、特に小さなパーツの造形時には冷却が十分に行われるように調整しましょう。
- 冷却時間を確保:スライスソフトウェアで、各レイヤーが冷却される時間を増やす設定を行うことも効果的です。たとえば、「最小レイヤー時間」設定を使用して、各レイヤーが十分に冷却されるようにします。
b. プリント速度の調整
プリント速度が速すぎると、各層の冷却に必要な時間が不足し、オーバーヒーティングを引き起こしやすくなります。特に細かいディテールの部分では、速度を調整することでオーバーヒーティングを防ぐことができます。
- 速度を遅くする:小さなパーツや複雑な形状をプリントする際は、プリント速度を通常よりも遅く設定しましょう。これにより、フィラメントが冷却される時間を確保し、形状の崩れを防ぎます。
- スライスソフトウェアの設定:スライスソフトウェアで「最小レイヤー時間」を設定し、冷却時間を増やすことで過熱を防ぐことができます。この設定により、冷却が不十分な層に対してプリンターが一時停止し、冷却時間を確保してくれます。
c. ノズル温度の調整
ノズル温度が高すぎると、フィラメントが過度に溶けやすくなり、オーバーヒーティングを招きます。適切な温度に設定することで、フィラメントが必要以上に柔らかくならないようにします。
- 温度を下げる:使用しているフィラメントの特性に合った温度を確認し、必要以上に高くならないよう調整します。例えば、PLAであれば通常190℃から210℃の範囲で、適切な温度を見つけましょう。
- 温度の試行錯誤:少しずつ温度を変えてテストプリントを行うことで、オーバーヒーティングが最小限になる温度を探ることが効果的です。
3.オーバーヒーティングを防ぐための小技
a. 複数のモデルを同時にプリントする
小さなオブジェクトをプリントする際、各レイヤーが冷える時間がないためにオーバーヒーティングが発生することがあります。このような場合、複数のモデルを同時にプリントすることで、一つのモデルが冷却される時間を増やすことができます。
- 冷却時間の確保:複数のモデルをプリントすることで、ノズルが他のモデルに移動している間に、それぞれの層が冷却される時間が生まれます。
- スライスソフトでの設定:スライスソフトウェアで、同時に複数の小さなモデルを配置し、一度にプリントするように設定しましょう。これにより、冷却時間が確保されます。
b. 冷却ファンの強化
もし既存の冷却ファンが十分でないと感じる場合は、冷却ファンを強化することも検討してみましょう。市販の高性能な冷却ファンを取り付けることで、より効率的にモデルを冷却できます。
- エリア別の冷却:専用のファンアタッチメントを利用して、ノズルの周囲全体を冷却するように設計されたファンを取り付けると、特にオーバーヒーティングが発生しやすい部分の冷却が向上します。
c. プリントオブジェクトの配置を工夫する
モデルの向きや配置も、冷却に影響を与える要素です。オブジェクトの向きを工夫することで、ノズルが特定の場所に長時間とどまらないようにし、過熱を防ぐことができます。
- モデルの配置と角度:オーバーヒーティングを防ぐために、モデルをプリントベッド上で適切に配置し、できるだけノズルが一箇所に留まる時間を短縮します。特に複雑なモデルの場合、ベストな角度で配置することで、冷却が均等に行われるようにします。
オーバーヒーティングのリスクを減らし、より高品質な3Dプリントを
オーバーヒーティングは、特に小さなモデルやディテールの多い部分で発生しやすい厄介な問題ですが、冷却ファンの設定やプリント速度、ノズル温度の調整といった基本的な対策を講じることで効果的に回避することが可能です。また、複数のモデルを同時にプリントすることや、モデルの配置を工夫することも冷却時間を確保するための良い方法です。
これらの対策を活用することで、オーバーヒーティングのリスクを減らし、より高品質な3Dプリントを実現することができるはずです。問題が発生するたびに原因を確認し、適切な対策を講じることで、失敗を最小限に抑え、満足のいくプリントを得られるようにしていきましょう!
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