3Dプリンターのメンテナンス方法をFDMとSLAそれぞれ5ステップで解説
3Dプリンターを長く、また快適に使い続けていくためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。ここでは、特にFDM(熱溶解積層方式)とSLA(光造形方式)プリンターそれぞれのメンテナンス方法をステップごとに解説します。
FDM 3Dプリンターのメンテナンス
FDMプリンターは、熱で溶かしたフィラメントをノズルから押し出して積層するタイプの3Dプリンターです。正確な出力を保つためには、各部品の定期的なチェックと清掃が欠かせません。
1. エクストルーダーとノズルの清掃
エクストルーダーはフィラメントを溶かして押し出す部分で、ノズルが詰まるとプリントの品質が落ちることがあります。
清掃の手順
①プリントが終わったら、ノズルが冷える前にエクストルーダーの温度を上げ、残ったフィラメントを押し出します。
②ピンや細い針を使ってノズル内のフィラメントを取り除くことも効果的です。
③場合によっては、ノズルを取り外し、アセトンや特殊なノズルクリーナーで洗浄します。
2. フィラメントパスの確認とクリーニング
フィラメントはエクストルーダーに入る前にガイドされるため、フィラメントパスが詰まっていると供給がスムーズにいかなくなります。
確認手順
①フィラメントが通るチューブ(ボーデンチューブ)やギアの状態を定期的に確認します。
②汚れやゴミがないかチェックし、詰まっている場合は、圧縮空気や小さなブラシを使って清掃します。
3. ベッドのレベリング
FDMプリンターのビルドプレート(ベッド)が水平でないと、層が正しく積み上がらず、プリントが失敗することがあります。
手順
①プリンターのレベリング機能がある場合、それに従って手動または自動でレベリングを行います。
②紙やシックネスゲージを使ってノズルとベッドの隙間を確認し、各ポイントで同じ感覚になるよう調整します。
4. 駆動部品の潤滑
FDMプリンターは、ベッドやノズルがX、Y、Z軸に沿って動くため、スムーズな動作を保つには駆動部分の潤滑が必要です。
手順
①リニアガイドやボールネジに対して、メーカー指定のグリースや潤滑剤を使って滑りを良くします。
②特に摩擦が発生しやすい部分や、異音が聞こえる場合は潤滑が効果的です。
5. ファンとフィルターの清掃
プリンターの冷却ファンやフィルターが汚れると、プリント精度に影響を与えるだけでなく、プリンター自体の寿命を縮める可能性があります。
手順
①ファンブレードにホコリが溜まっている場合は、圧縮空気で吹き飛ばします。
②フィルターの交換が必要な場合、プリンターの説明書に従って行います。
SLA 3Dプリンターのメンテナンス
SLAプリンターは、液体樹脂=レジンをレーザーや光で硬化させて積層するタイプです。このタイプのプリンターも定期的なメンテナンスが必要ですが、レジンを扱う点において、FDMとは異なることに注意が必要です。
1. レジンタンクの清掃と交換
SLAプリンターのレジンタンクとは、硬化させるためのレジンが溜まる部分です。タンク内に固まった樹脂があると、出力品質が低下します。
手順
①プリントが終わったら、タンク内に残ったレジンをフィルターで濾し、ゴミや硬化したレジンを取り除きます。
②定期的にタンクの底面に傷がないかチェックし、傷がついている場合は交換します。
2. ビルドプレートの清掃
SLAプリンターでもビルドプレートの清掃が必要です。硬化したレジンが残っていると、次のプリントがうまくいかない場合があります。
手順
①プリント後、ビルドプレートに付着したレジンをアルコールで拭き取ります。
②固まったレジンがある場合は、スクレーパーを使って慎重に取り除きます。
3. 光学レンズやLCDスクリーンの清掃
SLAプリンターでは光を使ってレジンを硬化させるため、光学レンズやLCDスクリーンが汚れていると、光の透過が不十分になり、プリント品質が低下します。
手順
①アルコールを使用し、柔らかい布でレンズやスクリーンを優しく拭きます。
②直接触らないようにし、傷がつかないよう注意してください。
4. フォトポリマー液(樹脂)の管理
SLAプリンターで使用するフォトポリマー液(レジン)は、適切に保管しないと劣化する可能性があります。
手順
①使用後は、残ったレジンをタンクから取り出し、遮光容器に保管します。
②長期間保管する場合は、直射日光の当たらない冷暗所に置いて、品質を保ちます。
レジンを使用する際の注意点に関しては以下の記事を参照ください。
レジンの使用にあたって注意すべき七ヶ条
https://skhonpo.com/blogs/3dprinter-practice/resin7
5. 定期的なキャリブレーション
SLAプリンターのレーザーや光源は、定期的なキャリブレーションが必要です。これにより、正確な出力が維持されます。
手順
①プリンターのマニュアルに従い、キャリブレーション手順を確認して実行します。
②特に大型のプリントを行う場合や、品質にムラが見られる場合は、定期的にキャリブレーションを行います。
まとめ
FDMプリンターとSLAプリンターそれぞれに異なるメンテナンス方法が必要ですが、共通しているのは定期的な清掃と調整が、プリント品質とプリンターの寿命を延ばす重要な要素だという点です。使用頻度に応じてメンテナンスを行い、日々の小さなケアがトラブルを未然に防ぐことに繋がります。
しっかりとしたメンテナンスを行えば、長期間安定したプリントを楽しむことができるはず。ぜひこの記事を参考に快適な3Dプリントライフをお送りください。
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