最終更新日:

Zホップとは?ノズル衝突防止の設定

Zホップとは?ノズル衝突防止の設定

Zホップ(Z Hop/Z Lift)は、FDM 3Dプリンターがノズルを移動させる際に、いったんZ軸を持ち上げてから水平移動する機能です。造形物の上をノズルが通る「トラベルムーブ」で、印刷済みの面にノズルが擦れたり引っかかったりするのを防ぎます。

結論:トラベル移動時にノズルを数mm持ち上げて、造形物との衝突・擦りを防ぐ機能

FDM機はノズルが層ごとに水平移動しながら造形します。このとき、次の吐出ポイントまでの移動中にノズル先端がすでに造形された部分に触れると、跡が残ったり、糸引きの材料を引きずったり、場合によっては背の高いパーツをノズルがはじいて層ズレを起こすことがあります。Zホップは、この移動の直前にエクストルーダーでフィラメントをリトラクトし、同時にZ軸を数mm持ち上げ、水平移動後に降ろすという動きで、ノズルと造形物の接触を避ける設定です。

Zホップの典型的な設定値

代表的なスライサーでは、次のような値がデフォルトまたは推奨になっています。

  • Cura:「Z Hop When Retracted」という項目で、デフォルト 0.2mm 程度。
  • PrusaSlicer:「Z lift(Lift Z)」として設定。
  • OrcaSlicer:0.2〜2.0mm のレンジで設定可能。0.2mm 層なら 0.4〜0.6mm が一般的な目安。

リトラクションと組で動くため、リトラクション設定(長さ・速度)とセットで調整するのが基本です。

Zホップの種類(動作パターン)

スライサーによっては、Zを持ち上げる際の軌跡を選べるものもあります。

  • Normal Lift(垂直):真上にZ軸を持ち上げ、水平移動後に真下に降ろす、最も基本的な動作。
  • Slope(斜め):XY移動とZ上昇を同時に行い、斜めにノズルを逃がす動き。印刷時間への影響を抑えやすい。
  • Spiral(らせん):Z上昇時にXYで小さならせんを描き、糸引きを切りやすくする動き。

Zホップが特に効くケース

  • 高さのある細い突起、ピン、タワー状の造形物がある
  • 同じベッドに複数パーツを並べて印刷している
  • フィギュア・ミニチュアなど、表面に擦り跡が残ると目立つ造形
  • 柔らかめの素材で、造形物がノズルにわずかに持ち上げられやすい場合

副作用と注意点

Zホップは便利な機能ですが、副作用もあるため「常時オン」が最適解とは限りません。

  • 印刷時間の増加:トラベルごとにZ軸の上下動が追加されるため、リトラクションが多い造形物では数%〜1割近く時間が伸びることがあります。
  • 糸引きの悪化:ノズルを持ち上げた瞬間にわずかな樹脂が垂れ、細い糸として残りやすくなります。Zホップ前提でリトラクション距離を詰めすぎると糸引きが目立つため、セットで調整が必要です。
  • Z軸アーティファクト:リードスクリューやZ軸機構の精度が低い機体では、上下動のたびに微小なズレが残り、壁面に横筋が出る原因になることがあります。
  • 高速機との相性:Bambu Labの推奨ではZホップを使わない設定がデフォルトになっているケースもあり、機体ごとの前提に合わせるのが無難です。

使い分けの考え方

造形物が低くフラット、かつ糸引きに敏感なフィラメント(PLAよりPETGなど)を使っている場合、Zホップはオフの方がきれいに仕上がることがあります。一方で背の高い細部や多色・複数同時印刷の場面では、Zホップが品質と成功率を大きく改善します。まずはスライサーのデフォルト値のまま試し、糸引きが増えたり印刷時間が伸びすぎるようならオフ/距離短縮、衝突や擦り跡が気になるなら距離を伸ばす、という方向で調整します。

まとめ

Zホップは、ノズルと造形物の衝突・擦りを防ぐための「トラベル時のZ持ち上げ」設定です。造形物の形状や使うフィラメント、機体の特性によって、オン/オフと距離の最適解が変わります。糸引き・リトラクションと併せて調整すると、印刷の安定性と表面品質のバランスが取りやすくなります。