ゲーム業界で注目の3Dキャプチャツール「LUMA AI」は3Dプリンターでも使える?|ますます進化する3Dスキャン技術
iPhoneで高精度の3Dモデルを作成
現在、最も注目されている3Dスキャンアプリといえば、昨年(2022年)にベータ版が公開されたiOS向けの3Dキャプチャツール「LUMA AI」だろう。
LUMA AIの特徴は、その表現力にある。通常の3Dスキャンアプリが苦手としていた明るいものや透明なものもスキャンすることができ、また写実的な陰影表現などにも非常に強い。
スキャンもまた簡単であり、被写体にガイドが表示されるため、その通りにスマホを動かしていくだけで綺麗な3Dモデルを作成してくれる。
実際に使用してみたが、いろんな角度からいちいちシャッターを押す必要もないため、作業は非常に簡単。データ生成にかかる時間も数十分程度であり、またデータの質も非常に高い。
かようにエポックメイキングなLUMA AIなのだが、その優秀さの秘密は、NeRFというAIを用いた画像生成技術を用いている点にある。
NeRFとは「Neural Radiance Fields」の略で、カルフォルニア大学の研究員らによって2020年3月に発表された新しい技術の名前。ニューラルネットワークを使用して、複数の2D画像から3Dデータを生成する技術であり、現在、LUMA AIを始め、NeRFを手軽に利用できるツールが徐々に登場してきている。特にゲーム制作、CGデザインの現場などにおいては注目度が高い。
今月(2023年4月)の頭には、LUMA AIが今日のゲーム業界において主流の一つとなっているゲームエンジン「Unreal Engine 5」へのプラグインを公開した。これはLuma AIで生成した現実世界のオブジェクトをUnreal Engine 5で表示し、ゲーム開発などに利用できるようにするものであり、今後ますます業界においてその使用が一般化していくことになるだろうと目されている。
LUMA AIで作成した3Dデータは3Dプリントできる?
ところで気になることもある。LUMA AIで作成した3Dデータを3Dプリントに用いることはできるのかということだ。
結論から言うと、LUMA AIが作成した3Dデータをそのままプリントすることはできない。ただ、LUMA AIで取得したデータを3Dプリント用に修正することで、3Dプリントすることが可能になる。
この方法に関して書かれたとても有用なnote記事があったので紹介したい。
NeRFで生成したデータを3Dプリントできるデータに変換してみた(株式会社ツクリテ)
https://note.com/tkrite/n/n83d78b93a9c4
ここではRhino WIPというソフトウェアのShrinkWrapという機能と、Blenderを使った方法が解説されている。詳しくは記事をお読みいただくとして概要だけを記せば、LUMA AIの作成データの断片化されているメッシュをラッピングすることで1つのメッシュに変換し、さらに不具合を調整、その後、色情報をテクスチャとして投影することで、3Dプリント可能なデータに変換することができるとのことだ。
もちろん、より正確な3Dスキャンを行いたいという方はアプリではなく3Dスキャナーを用いるという方法もある。
現在、注目の3Dスキャナーといえば、弊社でも扱いのあるShining 3D『Einstar』だろう。「家庭用だと精度が悪い」「初心者には扱いが難しい」といったイメージもある3Dスキャナーだが、『Einstar』はその限りにあらず。初心者でも簡単、お手軽に、高精細な3Dデータを作成することができる。
その魅力としては最大0.1mmの精度、本物そっくりの色あざやかな3Dデータ、充実したサポート機能を挙げることができる。もちろん屋外でも安定した3Dスキャンを行うことができ、人物などのスキャンもお手の物だ。
Shining 3D『Einstar』販売ページ
https://skhonpo.com/products/einstar-3d-scanner
ますます身近になりつつある3Dスキャン技術は果たして3Dプリントの今後をどう変えていくのだろうか。皆さんもぜひこの機会に試してみてほしい。