CFF/CFRフィラメントとは?カーボン・ガラス入りの違い
CFF(Continuous Fiber Fabrication)とCFR(Continuous Fiber Reinforcement)は、連続した長繊維を部品内部に埋め込んで造形する方式で、従来のカーボン配合フィラメントとは考え方が大きく異なります。本記事では、用語の整理と、一般的に流通する「カーボン/ガラス入りフィラメント」との違いをまとめます。
結論:CFF/CFRは「連続繊維」を内部に埋め込む方式、一般的なカーボン/ガラス入りは「短繊維配合」フィラメント
CFFとCFRはいずれも、長いカーボンファイバーやガラスファイバーをリール状で供給し、造形中の部品内部に層ごとに敷き詰める技術です。対してホームユースで普及している「カーボン入り」「ガラス入り」フィラメントは、短く切断された繊維をPLA・PETG・PA(ナイロン)などのマトリクス樹脂に混練したもので、機械的な強度は連続繊維に及びませんが、既存のFDMプリンターで扱えるという利点があります。
CFFとCFRの位置づけ
両者とも専用機を使って連続繊維を配置する方式ですが、由来するメーカー・プロセスが異なります。
- CFF(Continuous Fiber Fabrication):Markforgedが採用した方式。熱可塑性樹脂ノズルと、連続繊維用のセカンドノズルを使い、層内に繊維を敷き込みます。
- CFR(Continuous Fiber Reinforcement):Markforgedが後継世代として採用した呼称で、第2世代の連続繊維システムを指します。シェル/充填を印刷する樹脂ノズルと、連続繊維を敷き込む専用ノズルの2ノズル構成は共通しています。
いずれも、内部に敷き込む繊維として連続カーボンファイバー・連続ガラスファイバー・ケブラー(アラミド)・HSHT(高強度高耐熱)ガラスなどが選択できます。マトリクス側にはOnyx(短繊維カーボン混練ナイロン)やナイロンが用いられます。
短繊維配合(チョップド)フィラメントとの違い
| 項目 | CFF/CFR(連続繊維) | 短繊維配合フィラメント |
|---|---|---|
| 繊維の長さ | 連続した長繊維 | 数十μm〜数mm程度の短繊維 |
| 剛性・強度 | アルミ機械加工部品を置換できるレベル | 樹脂単体より高剛性、ただし連続繊維には及ばない |
| 必要な機材 | 2ノズル構成の専用機(Markforged等) | 一般的なFDMプリンターで使用可(ノズル要件あり) |
| 代表的な素材名 | Continuous Carbon Fiber/Continuous Fiberglass 等 | PA-CF、PA-GF、PET-CF、PLA-CF 等 |
短繊維配合フィラメントを使う際の注意点
ホームユースで「カーボン入り」「ガラス入り」として流通しているフィラメントは、短繊維配合タイプが一般的です。次の点に注意して運用します。
- ノズル摩耗:繊維が真鍮ノズルを削るため、硬化鋼・ステンレス・ルビーなどの耐摩耗ノズルが必須です。
- 吸湿:PA-CF/PA-GFはベースがナイロンで吸湿性が高いため、使用前の乾燥と乾燥しながらの供給が推奨されます。
- ノズル径:詰まり対策としてノズル径0.4mmより大きい0.6mm以上を選ぶケースが多くあります。
- 高温度・密閉造形:PA-CF/PET-CFは高ノズル温度・高ベッド温度が必要で、反り対策として密閉型(エンクロージャ付き)の機体が向いています。
どちらを選ぶべきか
量産品の治具や構造部材で金属部品を置換したい、繰り返し応力のかかる用途で高い強度を確保したい、という要件があるなら連続繊維(CFF/CFR)方式が有力です。一方、筐体や治具のプロトタイプ、軽量化と剛性アップを手軽に狙いたい用途であれば、短繊維配合フィラメント(PA-CF、PET-CF、PLA-CF等)を既存のFDM機で使う方が、導入コスト・維持コストともに現実的です。
まとめ
CFF/CFRは「連続繊維を部品内部に埋め込む方式」、一般流通している「カーボン入り・ガラス入りフィラメント」は「短繊維を混練した複合樹脂」で、カテゴリそのものが異なります。短繊維配合フィラメントは既存FDM機で扱えるため入口として取り組みやすく、ノズル材質・乾燥・温度管理を整えるだけで剛性の高い造形が狙えます。
