光造形の露光時間はどう決める?
光造形(LCD/MSLA/DLP/SLA)の露光時間(Normal Exposure Time)は、造形品質を決める最重要パラメータの一つです。ただし「この秒数が正解」という単一の値は存在せず、レジンの色・粘度・顔料濃度、プリンターのUV出力、LCDパネルの世代(モノクロ/カラー/4K/8K/12K)、積層ピッチ、造形温度によって最適値が大きく変動します。本記事では、考え方の原則と、ChiTuBoxや各種バリデーションマトリクスを使った検証方法をまとめます。
結論(目安)
モノクロLCD機の一般的なレンジは1.5〜3秒/層が目安、RGB(旧世代)LCD機は6〜14秒/層が目安です(CHITUBOX公式ドキュメント・Academy)。ただし同じ機種・同じレジンでも積層ピッチを厚くすれば長めに、薄くすれば短めに調整する必要があり、最終的にはXP2 Validation MatrixやRERF(Resin Exposure Range Finder)などの検証モデルを実際に印刷して決めるのが最も確実です。
決め方の原則
露光時間は「レジンを過不足なく硬化させる時間」を狙います。短すぎればディテールが脱落し支持が折れ、長すぎればオーバーキュア(ブルーミング)で細部が潰れ、XY寸法が膨らみ、サポートが外れにくくなります。次の4点を押さえると判断しやすくなります。
- レジンメーカー推奨値を起点にする:ボトル・TDS・メーカーサイトの推奨秒数を必ず最初にチェック。これが無ければ同系統レジン(例:水洗いスタンダード)の一般値から始めます。
- 積層ピッチに比例して調整:0.05mmから0.1mmに厚くすれば必要な露光エネルギーも増えます。厳密比例ではありませんが、厚い層はやや長めから試すのが安全です。
- UV光源の強度差を意識する:同じ「モノクロLCD」でも機種・世代・パネルサイズによって実効UV照度は異なります。新型高輝度機(例:上位機種のハイパワーLED+12K LCD)はより短時間で済みます。
- 造形温度:樹脂温度が低いと反応性が落ちて硬化が遅れます。冬場や空調の効いた部屋では、ヒーター付き機種の昇温機能や保温対策を使うと安定します。
素材/機種別の目安
あくまで一般的な参考値で、必ず実機での検証をおこなってください。
| 構成 | 積層ピッチ | 一般的な露光時間レンジ |
|---|---|---|
| モノクロLCD機+スタンダード/水洗いレジン | 0.05mm | 1.5〜3秒 |
| モノクロLCD機+顔料濃度の濃い・高機能レジン | 0.05mm | 2〜4秒 |
| 旧世代RGB LCD機 | 0.05mm | 6〜14秒 |
| 0.1mm層に厚くした場合 | 0.1mm | 0.05mm設定比で約1.5〜2倍 |
数値はChiTuBox Academyおよび各レジンメーカー公表値をベースにした一般的レンジです。透明レジン・フレキシブルレジン・キャスタブルレジン・エンジニアリングレジンはこのレンジから外れることがあるため、メーカー指定値を必ず優先します。
検証方法(推奨フロー)
- 起点を決める:レジンメーカー推奨値、もしくは同系統レジンの中央値を基準秒数として設定します。
- XP2 Validation Matrix/Resin XP Finder/RERFを印刷:1プレートで複数の露光条件を比較できるテストモデルです。ChiTuBoxやLychee Slicerで読み込み、ベース秒数で造形します。
- 細部のベストを選ぶ:印刷結果を観察し、細いピン・薄い壁・マイナス穴・ディンプルがきれいに再現されており、かつオーバーキュアで潰れていない条件を特定します。
- 0.1〜0.5秒刻みで追い込む:近い値で微調整し、実モデル(サポート付き)で最終確認。温度変化や新品/使い込み済みLCDでのズレも再確認します。
- LCD交換・レジンロット変更時は再検証:LCDの経時劣化、レジンのロット差、冬夏の温度差は実測レベルで効いてきます。造形に違和感が出たら都度検証します。
まとめ
露光時間は「メーカー推奨値を起点 → バリデーションマトリクスで検証 → 実モデルで微調整」が王道です。モノクロLCD機のスタンダード/水洗いレジンなら1.5〜3秒、旧世代RGB LCDなら6〜14秒が広いレンジの目安ですが、機種・レジン・温度で必ずズレます。最適値を決めたら、レジン名・ロット・積層ピッチ・温度と一緒にメモしておくと、切り替え時にすぐ再現できます。
