光造形のボトム層設定の最適値
ボトム層(Bottom Layers)は、ビルドプレートに最初に硬化させる複数層で、モデルがプレートに確実に食いつくかどうかを左右します。露光時間が短すぎれば造形物ごと剥がれて失敗、長すぎればオーバーキュアでプレートからサポートが剥がしにくくなったり、底面側のディテールが潰れたりします。本記事では、ボトム層の「層数」と「露光時間」をどう決めるかをまとめます。
結論(目安)
一般的な目安は、ボトム層数4〜8層、ボトム露光時間は通常露光時間の5〜12倍(ただし約30秒以下に抑える)です。モノクロLCD機・水洗いレジンなら「ボトム層6層/ボトム露光時間20〜30秒」あたりから始めるのが現実的なスタート地点になります。最終値はレジンメーカー推奨値と、プレートの食い付き状況を見て微調整します。
決め方の原則
ボトム層の役割は「プレートに乗る最初の土台を過剰なくらい硬化させる」ことです。通常層と同じ露光時間では、プレートとの密着が弱く造形中に剥離します。一方で長すぎるとプレートから剥がすのが極端に硬くなり、スクレーパーで無理にこじるとプレート傷や歪みの原因になります。
- 層数は「ラフトの層数+予備」:ラフトを使う場合、ボトム層数はラフト層数以上に設定するのが基本。Lychee DocsやAmeraLabsも、ラフト層数より2層以上多めを推奨しています。
- 倍率は機種のUV強度に反比例:UV出力が弱い旧RGB機はボトム倍率が低めでも時間は長くなり、高出力モノクロ機は倍率10倍前後でも絶対値は短くなります。
- 30秒を超えない:AmeraLabsなどの一般的な推奨として、ボトム露光時間は30秒を上限目安にすると、剥離トラブルとプレート張り付きすぎの両方を避けやすくなります。
- メーカー指定値を優先:各レジンメーカーが推奨する「ボトム露光時間/層数」がある場合はそれを起点にしてください。
素材/機種別の目安
あくまで一般的な参考値で、必ず実機での検証をおこなってください。
| 構成 | ボトム層数 | ボトム露光時間 |
|---|---|---|
| モノクロLCD機+スタンダード/水洗いレジン | 4〜8層 | 20〜30秒(通常露光の8〜12倍) |
| 旧世代RGB LCD機 | 6〜10層 | 50〜90秒(通常露光の5〜8倍) |
| ラフトあり | ラフト層数+2層以上 | 上記レンジに準ずる |
| フレキシブル/高機能レジン | メーカー指定値 | メーカー指定値 |
数値はChiTuBox Academy、Lychee Docs、AmeraLabs、ANYCUBIC公式Wiki等の一般的な推奨レンジを統合したものです。
検証方法(推奨フロー)
- 通常露光時間を先に確定:ボトム露光は通常露光の倍率で決まるため、まず通常層の最適値を確定させます。
- ボトム層数を決める:ラフトを使うなら「ラフト層数+2」。ラフト無しなら4〜8層から。
- ボトム露光時間を倍率で設定:モノクロLCDなら通常露光×8〜12倍を起点、上限30秒程度で設定します。
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テスト印刷で剥離・張り付きを確認:
- 造形途中で剥がれる → ボトム露光を長く、またはボトム層数を1〜2層増やす。
- プレートから外すのに苦労する/底面ディテールが膨らむ → ボトム露光を短く、層数を減らす。
- 新品レジン/新ロットで再確認:レジンの粘度・顔料濃度のロット差で最適値が動きます。ロット切り替え時は短いテストを挟むと安心です。
よくある失敗パターン
- Bottom Layer Countが1〜2層と極端に少ない:プレートへの食いつきが不足し、途中剥離の最大要因になります。
- ボトム露光を延々と伸ばす:30秒を大きく超える設定は、プレート側で過剰硬化が起きて底面ディテールが潰れます。
- ラフト層数 ≧ ボトム層数:ラフトが上の層で通常露光になり、固着不良→剥離が起きます。
まとめ
ボトム層は「通常露光時間を確定 → 層数4〜8層 → ボトム露光を通常の5〜12倍(上限約30秒)」の順で決めるのが実務的に扱いやすい方法です。剥離・張り付き・底面ディテール潰れのどれが出るかで微調整し、最適値が出たらレジン名・ロットとセットで記録しておきましょう。
