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中空化する時の最適壁厚

中空化する時の最適壁厚

光造形(レジン3Dプリント)で中空化(ホロウ化)するのは、レジン使用量の節約、造形時間の短縮、重量軽減、そしてキュアリング時の残留応力低減が主な目的です。ただし壁厚を薄くしすぎればモデルが歪みやすく反り・割れのリスクが上がり、厚くしすぎれば中空化のメリットがほとんど得られません。本記事では、ChiTuBoxやLychee Slicerでの一般的な推奨値と、用途別の決め方をまとめます。

結論(目安)

一般的な推奨壁厚は2〜3mm、Lychee Slicerのデフォルトは2.5mm前後です(Lychee Documentation/3DPrinterly/Instructables)。ミニチュアや小物なら1.5〜2mm、大型のバストやプロップなら2.5〜3mm以上を目安に、モデルサイズと用途に応じて決めます。加えて必ず排気穴(ドレンホール)をセットで設計することが前提です。

決め方の原則

壁厚は「モデルが自重とサポート力に耐えられる最小厚み+安全マージン」を狙います。薄くする利点(軽量・時短・省レジン)と、薄くする欠点(変形・割れ・キュアリング時の歪み)のバランスで決まります。

  • モデルサイズに比例して厚く:小さいフィギュアと大きいバストでは、同じ壁厚でも剛性感が全く違います。大型ほど壁は厚めに。
  • 用途で厚さを変える:展示・鑑賞用は薄め(1.5〜2mm)、取り回す・触る・塗装する前提なら厚め(2.5〜3mm)。
  • キュア後の変形を意識:UV二次硬化時に壁が薄すぎると、内部応力で歪みや反りが出やすくなります。特に透明レジンは肉厚差で応力が残りやすいので要注意。
  • 排気穴をセットで設計:中空化は壁厚だけでは完結しません。内部にレジンを閉じ込めると「吸盤現象(サクション)」でFEP剥離不良や内圧破裂を招きます。必ず排気穴を設けます。

素材/用途別の目安

一般的な参考値で、造形するモデルの形状・レジン特性・サイズに合わせて調整してください。

用途・モデル 推奨壁厚 備考
ミニチュア/TTRPG/小物 1.5〜2.0mm 極小パーツは中空化せずソリッドで印刷する選択肢も
ハーフサイズフィギュア・一般的なプロップ 2.0〜2.5mm Lycheeデフォルト2.5mmの帯
バスト・大型プロップ・コスプレパーツ 2.5〜3.0mm 塗装・ハンドリング強度重視
透明/クリアレジン 均一な厚みを優先 肉厚差を避けることが最優先
エンジニアリング・ABS Likeレジン 2.5mm以上を基本 機能部品は中空化せずソリッドが安全

Lychee Slicer公式の初期値は2.5mm前後(+内部インフィル約20%)、ChiTuBoxも概ね2〜3mmのレンジで調整するUIになっています。

検証方法(推奨フロー)

  1. Lychee/ChiTuBoxで中空化プレビュー:壁厚2.0〜2.5mmを起点に中空化し、断面プレビューで内部形状・薄肉部分の有無をチェックします。
  2. 狭所の薄壁を確認:指・耳・剣先など細いパーツは壁厚を均等に確保できないことがあります。自動中空化では穴が開いたり薄くなりすぎる箇所が出るため、目視確認が必須です。
  3. 排気穴を2個以上設計:中空化とセットで最低2箇所の排気穴を設けます(詳細は別記事「排気穴のサイズと位置」を参照)。
  4. テスト造形:初回は小型の代表モデルで印刷し、洗浄・二次硬化後の変形・白化・ヒケの有無を確認。問題があれば壁厚を0.5mm刻みで上げる/下げるを試します。
  5. 大型モデルは内部リブを併用:2.5mm以上でも不安な大型モデルは、中空内部にリブ構造を追加することで、軽量化を保ちつつ剛性を確保できます。

よくある失敗パターン

  • 壁厚1mm未満:UV二次硬化で歪み、ちょっとした力で割れます。小物でも1.5mm以上を確保するのが無難です。
  • 排気穴なし:内部レジン閉じ込めでサクションが発生し、FEP破損や造形失敗の直接原因になります。
  • 肉厚ムラ:部分的に厚すぎ/薄すぎが混在すると、硬化収縮差でヒケや反りが出ます。

まとめ

中空化の壁厚は「2〜3mmがスイートスポット、Lychee/ChiTuBoxのデフォルトは2.5mm前後」が実務的な基準です。ミニチュアは1.5〜2mm、大型モデルは2.5〜3mm以上。必ず排気穴をセットで設計し、透明・機能部品は壁厚均一と厚め設定を優先します。壁厚とレジン節約量のバランスは、最終的に使い道(鑑賞/塗装/機能)で決めるのが正解です。