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排気穴のサイズと位置

排気穴のサイズと位置

中空化(ホロウ化)したレジンモデルに欠かせないのが排気穴(ドレンホール/ベントホール)です。内部に未硬化レジンや空気を閉じ込めると、FEPへの吸着(サクション)によって剥離不良が起き、最悪の場合は内圧でモデルが変形・破裂します。本記事では、ChiTuBoxやLychee、Formlabsドキュメントで推奨されている排気穴の「サイズ」と「位置」の考え方をまとめます。

結論(目安)

一般的な推奨サイズは直径2〜4mm、最低でも2個以上の配置が基本です(Lychee Documentation/Formlabs Community/Meshmixer Academy 等)。Formlabs Form 2世代では「完全に閉じた空洞なら直径3.5mm以上」が公式推奨、新世代のForm 4では最小0.75mmまで小さくできるとされており、機種・レジンで最適値は変わります。位置は「印刷姿勢で最下点」と「上部ベント」の組み合わせが鉄則です。

決め方の原則

排気穴の目的は3つに整理できます。どれが欠けても中空化のリスクが上がるため、サイズと位置の両方で設計します。

  • 未硬化レジンを抜く:造形中およびIPAでの洗浄時に、内部の液体レジンを完全に排出するため。
  • FEP剥離時のサクションを逃がす:中空モデルが真空状態になると、プレート引き上げ時にFEPが強く引っ張られて造形失敗・FEP破損の原因になります。
  • UV二次硬化時の内圧を逃がす:密閉空間にレジンが残ると、キュアリング中に気体膨張や残留レジンの硬化ガスで内圧が高まり、割れ・変形を招きます。

サイズ別の目安

機種・レジン・モデルサイズに依存しますが、一般的なレンジは次のとおりです。

用途・条件 推奨サイズ 出典・備考
一般的なLCD/MSLA機、ミニ〜中型モデル 2〜3mm Lychee Docs、3DPrinterly等の実務的推奨
大型モデル・大容積キャビティ 3〜4mm レジン排出に時間がかかるため大きめ
Formlabs Form 2世代(完全閉塞キャビティ) 3.5mm以上 Formlabs公式(下記ソース参照)
Formlabs Form 4 0.75mm以上 Form 4 Design Guide(機構改良で縮小)
高粘度/大顔料濃度レジン 推奨値の上限側 排出に時間がかかるため大きめ

位置の設計原則

  • 印刷姿勢での最下点(local minimum)に1つ:造形中および造形完了時に、内部レジンが重力で集まる点に排出口を設けます。プレート側寄りの面、または印刷姿勢で一番低くなる位置が基本です。
  • 上部にベント用を1つ:印刷中に内部の空気を逃がすため、最下点と反対側(上方)に通気用の穴を置きます。吸盤現象を防ぐのに極めて有効です。
  • 最低2個、できれば追加で排出補助:Meshmixer Academyやコミュニティの一般推奨は「2個以上」。大型モデルは対向面に追加配置します。
  • 目立つ面は避ける:顔・正面・細部彫刻のある面は避け、底面・背面・髪や衣服の陰など、後処理で隠せる位置を選びます。
  • 壁に対して貫通させる:排気穴は中空部までしっかり貫通させます。浅すぎると機能しないため、壁厚+十分な深さを確保します。

検証方法(推奨フロー)

  1. 中空化の断面プレビューを確認:ChiTuBox/Lycheeで中空化した後、スライスプレビューで内部の連続性と壁厚を見ます。
  2. 排気穴を2個配置(最下点+上部):スライサーのドレインホール機能で、直径2〜3mmから配置開始。大型モデルでは3〜4mmに拡大、または追加配置します。
  3. 印刷姿勢で最下点に来るかを確認:モデル回転後に、配置した穴が実際に最下点に来るかを再確認します。傾けると最下点がずれるため必須ステップ。
  4. 造形・洗浄時に排出確認:造形直後、IPA洗浄前にモデルを傾けて内部レジンがきれいに排出されるかチェック。排出が滞る場合は穴の追加/拡大が必要です。
  5. 二次硬化は排出&乾燥後:内部にレジンが残った状態でUV硬化すると、密閉空間で圧力上昇や白化が起きます。排出と乾燥を完全にしてからキュアリングします。

よくある失敗パターン

  • 穴1個だけ/ベントなし:サクションで造形中に剥離不良、内部レジンが抜けずキュア後に変形。
  • 穴が小さすぎる(1mm未満):高粘度レジンだと排出しきれず内部に残留します。
  • 上向き面にだけ穴がある:印刷姿勢で最下点でないと、造形中に中空内部にレジンが溜まり続けます。
  • 貫通していない:壁の途中で止まっている排気穴は機能しません。必ず中空部までつながっていることを確認します。

まとめ

排気穴は「直径2〜4mm × 最低2個(最下点+上部ベント)」が基本設計です。Formlabs系のような密閉キャビティ要件がある機種では3.5mm以上が目安、Form 4世代以降は0.75mm〜と小径でも可ですが、汎用のMSLA/LCD機ではまず2〜3mmを出発点にするのが堅実です。中空化の設計時は、壁厚・排気穴サイズ・穴の位置・貫通の4点をセットで詰めれば、サクション破損や内部レジン残留のリスクを大きく下げられます。