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「世界最高峰」と評価される日本のトイレがある国を救う? ——オフ・グリッドの3Dプリント公衆トイレを日本企業が開発

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「世界最高峰」と評価される日本のトイレがある国を救う? ——オフ・グリッドの3Dプリント公衆トイレを日本企業が開発

トイレ大国・日本が世界を救済する?

 

古いところでは浮世絵、歌舞伎、寿司、近年に至っては漫画、アニメ、ゲーム、ビジュアル系など、日本独自の文化はこれまで世界を様々に驚かせてきた。その中で、特に20世紀、日本で比類なき発達を遂げ、ある意味ではガラパゴス的な進化を果たした末に世界を席巻している、ある文化がある。私たちが日常的に使用せずにはすませないあいつ、そう、他でもないトイレ文化だ。



TOTOなど世界有数のトイレメーカーを有し、ウォシュレットをはじめ、快適で清潔なトイレをこれまで世界に発信し続けてきた日本は、さしずめトイレ大国と呼んでいいだろう。それは単なる思い上がりではなく、WTO(世界トイレ機関!)代表であり、『トイレは世界を救う』(PHP研究所)の著者であるジャック・シム氏はあるインタビューにおいて「日本のトイレは世界最高のクオリティーだ」と述べ、さらに「日本の最大の輸出資源はトイレ文化だ」とまで語っていた。

 

 

 




「日本のトイレは最大の輸出資源だ」とミスター・トイレ絶賛の理由(DIAMOND ONLINE) https://diamond.jp/articles/-/220925



もちろん、始めから日本がトイレ大国だったわけではない。かつて日本では汲み取り式が一般的であり、水洗の洋式トイレとは、そもそも輸入された技術だった。それを変えたのがTOTOだ。アメリカで開発された温水洗浄トイレ「ウォッシュエアシート」を輸入販売していたTOTOはやがて自社オリジナルの「ウォシュレット」を開発。その機能性の高さからウォシュレットは累計4000万台の大ヒットとなり、今では日本機械学会から「機械遺産」に認定されるなど、国の「宝」となっているのだ。

さて、そんな日本が誇るトイレ技術が、今、ある国の人々を救うために役立てられようとしているのをご存知だろうか。そして、そこでも一役買っているのが、3Dプリンターなのである。

 

あの人口超大国ののっぴきならないトイレ事情

 

現在、トイレを巡って大きな問題を抱えているある国がある。世界人口ランキング世界2位、2027年には1位の中国を抜くだろうとも言われているのあの大国、そうインドだ。


というのも、インドでは未だにトイレといえば汲み取り式が一般的であり、また野外排泄をする人も多い(その数、なんと5億人以上)。これがインド国内において大規模な水質汚染の原因、あるいは感染症の蔓延の原因になっているというのだ。実際、インドにおいては幼児の死因の2割は下痢と合併症であり、その原因の8割が野外排泄による水質汚染であるということが調査により判明している。


 

 

 


そこにはいくつか原因がある。まず使えるトイレが十分に行き届いていないということ。ただし、それは単にトイレを各家庭に設置すれば解決するという問題でもないらしい。ある村では政府によって95%の家庭にトイレが設置されたが、現在ではそれらのトイレは廃墟と化しているという。なぜかといえば、トイレ自体はあるものの肝心の上下水道は設置されておらず、また汲み取り業者がいるわけでもないからだ。すると、トイレがあっても使い物にならず、結果、野外で排泄するしかなくなるというわけである。


 

 



また、インンドでトイレが普及しない背景には信仰上の問題もある。インドのマジョリティが信仰しているヒンドゥー教においては「浄/不浄」の概念が極めて重視されており、それゆえトイレが不浄のものとして遠ざけられる傾向にあるのだそうだ。それにより、トイレを自宅に持つということがそもそも忌避されてしまい、結果、家から少し離れた野外で排泄が行われてしまうことになるのだ。


本来、人間の排泄物は土に還れば微生物によって分解され堆肥となる。しかし、5億人が同時に野外へ排泄を行えば分解のプロセスは間に合わない。さらに野外排泄には汚染や感染症の問題のみならず、排泄中にヘビや動物などに襲われるリスクもあり、また排泄のために一人で野外に出た女性が暴漢に襲われてしまう事件もインドでは頻発している。


こうした問題を受け、インドでは衛生的で安全性の高い公衆トイレの整備が急務とされているのだが、とはいえ、5億人のために必要な公衆トイレを準備するのはそう簡単なことではない。そもそも上下水道が設備されていない地域が多く、あるいは汲み取り式を作ってみたところで、じゃあ誰が汲み取るのか、本当にきちんと汲み取られるのか、という問題は残り続ける。



そこで立ち上がったのが日本の北海道の企業「會澤高圧コンクリート株式会社」だ。同社は現在、ロボットアーム式のコンクリート3Dプリンタを用いて積層造形した公衆トイレを建設するというプロジェクトを行なっている。すでに二基つくられており、それらは2020年の9月に一般公開されているのだが、なんでもこの日本発の3Dプリント公衆トイレ、実はSDGs目標に沿ってインドの窮状を救うために制作されたプロトタイプらしいのだ。

 

 

 

3Dプリントされた外装と水道いらずのオフグリッド・トイレ


會澤高圧コンクリート株式会社はSDGsの目標のうち6番目の『安全な水とトイレを世界中に』の実践を掲げ、女性スタッフを中心とする開発チームをインドに派遣、現地のニーズや課題などを調査。その末に作り出したのが、この3Dプリント公衆トイレだ。

 



画像引用:會澤高圧コンクリート株式会社

 


先にも書いたように、今、野外排泄が問題になっている地域には、まず上下水道が完備されていない。すると、通常の水洗式では設置したところで使えないという問題があるわけだが、そこで會澤高圧コンクリート株式会社が用意したのは、上下水道と連結しなくても使用できる自己完結型のオフグリッド・トイレ(独立型トイレ)である。


協業したのはバイオによるトイレの処理技術や空気中から水を抽出する技術を持つベンチャー企業。仕組みとしては、おがくずを利用するものとなっているようで、まず、スクリュー付きタンクにおがくずを充填しておくと、おがくずが排泄物によって保水される。その後、タンクに設置されているヒーターで加熱(50℃)し、スクリューで攪拌することにより排泄物の90%の成分である水を蒸発させる。残った約10%の固形分を微生物(好気性バクテリア)が分解し、発散させるという仕組みだ。



これに際して特別な菌の使用は不要、基本的には排泄物内の細菌と自然界の微生物の働きで分解していくとのことで、最終的に残った残渣はおがくずに吸着するため、肥料使用することができる。まさに一石二鳥というわけだ。






そして、3Dプリンターが活躍するのが、公衆トイレの外装である。先にも触れたようにセキュリティの点でも堅牢な外装は欠かせない。その上で今回用いられたのは速乾性の特殊モルタルを原料として、型枠を一切使わずにスピーディー造形するという技術だ。この方式ならば、速やかに大量の、かつ頑丈な公衆トイレスペースを作り出すことができる(ただし、今回の試作では日本の建築基準法上の問題から、プリントした中空状の外装にコンクリートを充填するという方式をとったとのこと)。デザインは花のつぼみをイメージしたとのことで、インドの野外の景観にも自然と馴染んでいきそうな、オリエンタルで洗練されたデザインになっている。

 

 




極めつけはトイレ大国の意地とでも言うのだろうか、空気中の湿気から水を生成する装置も装備させ、手洗いやウォシュレットまで完備させるという至れり尽くせりぶり。この技術は「空気から水をつくる」ことで「新たな水源」を生み出すことを目指すアクアムホールディングス株式会社が開発したものとのことで、まさに日本中の叡智を結集させた次世代型公衆トイレとなっているのだ。




画像引用:會澤高圧コンクリート株式会社

 


果たして、この3Dプリント公衆トイレはインドのトイレ事情を救済することになるのだろうか。是非ともトイレ大国の面目躍如を期待したいところだ。



會澤高圧コンクリート株式会社HP 

 

https://www.aizawa-group.co.jp/


 

 

 

 

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