
医療を刷新するSystemicBioのバイオ3Dプリント技術
成長を続ける3Dプリント医薬品
バイオ3Dプリント技術が新しい医薬品の製造にも役立てられていることは以前にも書いたことがある。
現在、医薬品の3Dプリントに関して、業界で注目の存在といえば、3Dsystemsのスピンオフ企業であるSystemic Bioだろう。同社は創薬と開発を加速することを企業の使命に掲げており、軟骨細胞の足場となるハイドロゲルの製造と臓器チップの研究を行う最先端の研究所を開設している。
この研究所は15,000平方フィートの広さを持ち、バイオプリンティングの新時代を切り開くと目されている。研究所では現在、エンジニアと科学者が、同社独自のh-VIOS (ヒト血管統合臓器システム) 臓器チップの開発と製造を行っている。さらに、ISO7クリーンルームでは、数千のh-VIOSチップとプレートの無菌生産をサポートしている。
ハイドロゲルを含む h-VIOS2(3DSystems)
これらの研究は有望な新薬の発見につながる可能性があるとされ、また他のバイオテクノロジー企業との提携によって進められているハイドロゲル製造も極めて注目度が高い。
血管新生ハイドロゲルのアレイを含む h-VIOS32 プレートのセクション
(3DSystems)
Systemic Bioの本社は世界最大の医療施設の一つであるヒューストンのテキサス メディカル センター (TMC) キャンパスに位置する。50年以上にわたり、教育、研究、患者ケアにおいて国内および国際的な認知度を高め、生命科学の進歩の最前線に立ち続けてきたTMCは、2021年に3DSystemsに買収されており、以来、医療バイオプリンティング分野の成長に貢献し続けている。
新しいラボの開設について、CEOのTaci Pereiraは次のように今後の展望と期待を述べている。
「3DSystemsの最先端のPrint-to-Perfusion™バイオプリンティング技術、当社の新しいクリーンルーム、科学者とエンジニアの優れたチームにより、これまでにない精度、品質、スケーラビリティを備えた商業用のパターン化された滅菌ハイドロゲル足場を製造できるようになりました。これは、実験的研究から本格的な生産へと移行する、バイオプリンティングにとって極めて重要な変化を示しています。h-VIOSプラットフォームは、この新しい機能によってバイオテクノロジー業界で私たちが解き放つことができるものの始まりに過ぎず、これらの新しい機会を追求するために、製薬会社やバイオテクノロジー企業と引き続き提携することを楽しみにしています」
すでに多くの達成を果たしてはいるが、バイオ3Dプリンティングの分野はまだまだ成長期にある。今後、医療の世界を大きく刷新していくだろうことは間違いない。私たちの未来の健康もまた3Dプリント技術にかかっているのかもしれない。